吉田美保子の some ori ノート

紅にほふ

2013.10.17

P1070184.JPG
さあ、ミッションに大きなキーワードが投入されました。「紅」です。
「紅」と言っても、そんじょそこらの紅じゃありません。めとさまが望まれる「紅」です。
いただいたメールに、『赤ではない「紅色」がとても好きなんです。』と書かれている。
そっか。
しかし、「紅」とは、何色か?
染めをしている身から言うと、いわゆる紅花染の色。これはショッキングピンクだから、ちょっとめとさまとは違うな。または「中紅」っていうピンク寄りの赤紫を思い浮かべる。しかし、これも違うんじゃないかな。もっと深い色を望まれているのではないか?
めとさまが、メールのタイトルに、「紅にほふ」とつけられていたので、その言葉で画像検索。そうしたら、鮮やかなピンク!桃の花がいっぱい。ってこれは、「春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女」という歌から。でも違う。めとさまの色は、もっとこっくりした色なんだ。
その後のメールのやり取りで、めとさまから教えてもらったのだけど、(めとさまはとても博識なお方です)、「にほふ」の「に」は「丹(に)」から来ていて、元々は赤系統の色を表す言葉だったと。だから、「色が」匂い立つ、という意味で使う時には、紅(赤)や紫色の上にしか冠せられることはないとのこと。
今でもイメージ的に、「匂う青」とか「匂う緑」とかは言わない。(へぇ!そう言われりゃそうだ!←ヨシダ心の声)
色の名前がこんなにも細分化されたのは比較的新しいことで、「春の苑」のように、濃くても薄くても、「紅」という表現しかなかったのでしょうとのこと。(へぇ!へぇ!へぇ!←ヨシダ心の声)
そしてめとさま、「私が想定している色は、吉田さんのおっしゃる通り、こっくりとした紅です。」と書かれてる。めとさまだけの「紅」があるってことだね。
『「匂い立つ」という言葉が似合う、深みのある色が好きです。「にほふ」に込められた余韻のようなものを纏う着物になれば…、それにふさわしい人間になれればと…という願いです。』

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