吉田美保子の some ori ノート

睦月さまのヨコ糸を染める

2017.09.25

ONLY ONLY でご注文いただいている睦月さまの八寸帯。試し織りを観ていただいてから、ブログ上では時間が空いてしまいました。実作業は水面下で進んでおります。さあ、ブログも再開しますよ。

1回目の試し織りをみていただいて(記事はこちら→)、まずは、ヨコ糸を考え直さねば。和紙の糸を想定していましたが、きびそ糸に変更です。手元になかなかいいきびそ糸があるのですよ(上の写真)。これ、使いましょう。

きびそ糸っていうのは、蚕さんがはじめに吐く糸です。蚕さんが、我が身を守るためにシェルターとして吐く糸ですので、硬く丈夫で、紫外線なども寄せ付けない特殊な絹糸です。ツルツルピカピカの絹らしさはありませんが、そこがかえって魅力です。

キビソ糸、私のお気に入りのタイプは大きな綛で流通していますので、まずは小綛に分けます。扱いやすくするのです。

染めました。染める段階で、セリシンがけっこう落ちます。少々落ちるくらいだと、打ち込みが入りやすくなり、ハリも抑えられ、かえっていい感じです。でも落ちすぎると、腰が抜けたように、ふにゃふにゃになってしまいます。これをコントロールするのが、腕の見せどころ。温度と時間が勝負です。

小管に巻いたところ。今回の練り減り率は、9%でした。まあ、いいとこでしょう。本当によかったかどうかは、織ってみて、帯になって締めてみないとわからないのだけど、9%はいい数字と言えましょう。

カテゴリー