吉田美保子の some ori ノート

タイムマシンに乗ったのれん

2018.02.01

大変に、大変に、大変に恥ずかしいですが、これ、私が20年くらい前に織ったのれんです。

まだ、染織家として独立する前に注文いただいて、織ったものです。勤め人をしながら、機織りしていた頃の話。指定されたサイズも大きくて、そんなデッカいの織ったことなくて、でもうれしくて、ドキドキしながら、織ったのおぼろげに覚えてます。

のれん、なんとなんと、20年間、ずっとご愛用いただいたとのこと。

20年間、お仕事場の屋根はあるけど、半分外のようなところで使っていて、それを今度、うちの中で使いたいから、ほつれの修理はできますかとの問い合わせいただいたのです。

送ってもらって見せてもらうことにしましたが、内心ドキドキです。20年も前の自分が、今、こちらに向かっている。クロネコさんはタイムマシンか?

で、ヒヤヒヤで待っていたところ、荷物がついて、オープンして、「うううわああ。。。あわわわ、、、、」

想像以上に恥ずかしい!!!穴を掘って、ビバークしたい。勢いだけで恐ろしいほど強引に織ってる。ぎゃー!

お客様にお電話し、織物として再生することは難しい旨、お話しする。タテ糸とヨコ糸を拾って、合わせていくことは無理ですわ。

すると、電話の向こうで、がっかりして、「それでもこれは捨てたくないから、修理できないなら、額にでも入れて飾るかなあ」とおっしゃいます。

えっ!額!!

こんな大きな額はないでしょう。だったら、織物として再生させることは無理だけど、テキスタイル作品として、ほつれを縫い止めることはできますよ。それでよければ、喜んでやらせていただきます。

それで、できる限りの補修をしました。縫いながら、20年前の自分と対話します。どうしようもなく稚拙ではありますが、精一杯でぶつかって、ガチで向き合ってる感じ、20年後の私にも伝わってくる。問題は多すぎだけど、なかなかいいじゃないの!愛しさだけはピカイチというのは身内の身びいきね。(身内というか、本人だけど)

修理を終えて送り返しますと、とてもよろこんでくださいました。メールにあった「本当に力作です。」の言葉がうれしい。

*こののれんの話は、先日配信したメルマガ《 some ori 通信 》にも、速報チックに書きました。ブログはどうしても遅れ気味です。メルマガの方には写真は載せられませんがね。

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