吉田美保子の some ori ノート

森康次先生の展示会に伺いました

2016.04.09

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日本刺繍の森康次先生の個展を拝見しに、銀座もとじさんに伺いました。森先生とお弟子さんの佐藤未知さんにお会いしたかったのです。ギャラリートークに参加させていただきましたが、お話、すごく面白かったです。
森先生が、作品作りをなさるにあたって、大切にされていることは三つあって、それは、「時間差」「情緒」「着姿」だそう。
「時間差」というのは、例えば、裾模様に花を繍ったとすると、肩の模様には実を表現する。そうすると、春と秋を同時に表現できる。これは分かりやすい時間差だけど、それだけでなくもっと微妙な時間差を表現する。例えば柄の大小でリズムをつける。色に少し変化をつけて、奥行きを出す。奥の方は、地色に近い色を使う。
「情緒」というのは理屈でないところ。静かな場所を作る。強弱をつける。余白をつくる。
「着姿」というのは、着物も帯も、決して平面でなく、人を包み、円筒形になることを意識すること。前姿、うしろ姿。側面の美しさ。
そして、色数は決して多くしない。着物と相性のいい色はそんなにない。色数は少なく、濃淡を5〜6段使う。
なるほど、なるほど。お聞きしながら激しくうなずきます。あー、すぐ隣りに展示されている作品が、まさにそうなっている〜。上品で可憐で、はかなげでさえある作品たちは、確固たる技術とマインドに裏付けされてるんだな。
いいものには理由があるんだ。そう思い知りました。自省します。
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写真は森先生と佐藤未知さん。なかなかいい写真でしょ?掲載許可はいただいてませんが、森先生は有名人だし、佐藤さんもウェブ上に取り上げられてらっしゃるので、いいかなと思いました。
佐藤さんの記事はここで読めます。すてきです。

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