吉田美保子の some ori ノート

「夕方5時の私の空、2016年3月5日」

2016.05.26

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かずさまの、only only、できました!かずさまには、昨日、無事にお納めしましたので、こちらでもご紹介させてください。
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お着物の名前を「夕方5時の私の空、2016年3月5日」と名付けさせていただきました。ちょっと長いけど、決定打のフレーズなのよね。
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3月5日に、かずさまから、「夕方5時の頃の空をふと見上げて、春の夕暮れの色、あんな感じがいいかな、とか思っています。曖昧すぎるかしら」というメールをいただいて、このお着物に息が吹き込まれました。ピントが合って、動き出した感じです。
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その日から、空を見上げる日々が続きました。空の写真もたくさん撮りました。それはね、すべて終わった今もです。つい見上げちゃうんだよなあ。
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見上げながら、いろんな気付きがありました。春浅い夕方の空は、ごくごく薄いグレーなんだけど、案外青みもあって、薄いピンクもまじっています。暮れ方の優しい色。清々しい感じもする。かずさまらしいなって思いました。
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実はね、昨日、かずさま、我が家までお越しくださって、3丈4尺、だーっと広げて観ていただいた時のひとこと。
「私が見た空の色より、私らしい色だわ」
わ、感激。
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このお着物は、かずさまがご自分で、作って、染められた糸が織り込んであることもキモのひとつ。
上の写真の真ん中辺り、ずり出しでとった糸が入ってます。だいだい色です。桜のアルミ媒染。色のトーンは違うけど、なじんだよね。藍の生葉染めの糸は、細い糸ですので目につきにくいけど、たくさん入ってます。溶けこんでる感じね。
織りはじめのところには、かずさまが、試し織りされた部分もくっついてます。まさに、かずさまと私、二人三脚で作った着物です。
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かずさまにとって、この春は、長年のお勤めを退職されたまさに節目の季節。これから、新しい世界を切り開かれる起点でもあります。その記念のお着物を織らせていただいたことは、私にとってもかけがえのない喜びでした。
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もうひとつ、とても大きなこと、起こりました。このお着物を織りはじめた4月14日、郷里熊本で、大きな地震が発生しました。遠くに住む私も大きな不安におそわれました。
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そんな中、私はこのお着物を織ることに没頭することで、支えられました。心を強く持って、できるだけのことをできたのは、かずさまとこのお着物のおかげと感謝しています。
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このお着物は、春の夕方のように、穏やかで静かなイメージです。かずさまのこれからの人生を、静かに輝かせてくれるものと信じております。
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使った糸の見本です。18種類の緯糸と経糸。指差ししているのが、かずさまが自分で染めた糸のうちでも、特にたくさん使った糸。
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お手紙を添えて、門出です。たっしゃでな。
*かずさまストーリーはこれにて中締めです。ブログを読んでくださっている方、お付き合いありがとうございました。いつか、着姿、拝見したいねー。

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