吉田美保子の some ori ノート

断然、B

2016.08.17

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あおさまのonly only、経糸の見本で染めた糸を、厚紙に巻いて、カラーチップを作って、AからEまで記号を振って、郵送して見ていただいた。
直感でどれがお好きですか?
すぐに返事のメールが来て、
断然、Bです。
と。
一瞬ギクリ。あちゃーーー、、、よりによってBですか。それも「断然」、、、、、。
実はこの染め見本、違いが出るように、少々極端に染めている。しかしBだけは、「少々」極端でなく、「とっても」極端に染めたのだ。
どういうことかと言うと、Bの糸は、染料を2種類しか混ぜていない。赤みのある青を染めるために、青に少々の赤を混ぜただけだ。他の染め見本は、少々の黒とか、茶色とか、補色成分を持つ色とかを混ぜて染めている。
それが何が問題かというと、2色を混合するだけでは、単調な感じになって、色に深さが出ないのだ。
単調な色って、どんな色かと言えば、、、そうだなあ、、、例えば、地方の市立中学の、部活動のユニホームの色。判別されやすいことが価値だ。地方の中学校でも、私立だと、ユニホームは学校の宣伝にもなるから、吟味した、凝った色だと思う。
(変なたとえで失礼。地方の市立中学校の部活動のみなさん、ごめんなさい。)
着物に限らず、また衣服に限らず、人間が作ったものはモノは、たいてい何でも色がつけてある。作った人が、使う人の用途や希望に合わせ、色をつけるのだ。鮮やかに見える色も、たいてい少々の補色などで、色を殺してある。その方が、なじむのだ。草木染めは鮮やかな色が染まる植物でも、いろんな成分がまじっているから、一種類の染料でなじむ色になるのだ。
さあ、困った。どうしよう。

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