吉田美保子の some ori ノート

Koh meets the rhythm

2017.01.14

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じゃーん、こちら、着物ライターの安達絵里子さんです。うれしいことに、先日の帰省時にお会いできたんです。only only であつらえ、息子さんの名前を冠した、「Good Morning Koh!」をお召しです。
この日はなんと、ヨシダのフルコーディネート。帯は、「Line & Rhythm(ライン&リズム)」を締めてくださってます。お初のお目見えなんですよ。
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くるっとまわっていただいて、後ろ姿を拝見しましょう。優しいボカシのお着物に、クールな帯が表情を加えていますね。緯糸がビス糸なので、独特な柔らかさとツヤがあります。
ビス糸とは、蚕が繭の一番内側に吐く柔らかい糸のことで、いわばお蚕さんの肌着ですね。その上、単糸で無撚りで、均一でなく太細があります。扱いづらいのです!染めムラも出やすかったですが、それを目立たなくさせるために、杼を三丁使って、織ってます。
地糸の染めは、白に見えますが、けっこう黒と紫の染料を入れています。極薄のパープルグレーになりました。ピンクとブルーのお着物と相性バッチリなのは、この地色がよかったかなと思います。
それに、青い細目の銀糸と、太い白い銀糸を入れ、明るい茶色でラインを織り入れています。ラインは五線譜が動き出したイメージ。ブラッシングカラーズは4色でリズミカルに。おタイコにはプラチナ箔も貼りました。
このお着物は、安達さんのご一家が小高い山に登り、朝焼けを見ているというイメージで織ったものなのですが、この帯を合わせていただて、ご一家のお父さん、お母さん、息子さん3人の会話が、リズムになり、歌になる、、、そんな風に思いました。音楽好きなご一家とのことなので、なおいっそうピッタリだわ〜。
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それから、もうひとつ。ちょっとズームで寄ってみましょう。
帯の真ん中にツバメが飛んでいます。そうです、こちらは、先の「清正公の陣羽織」展に参加してくださった、松原智仁さんの作品で、熊本をイメージして作ってくださった帯留めです。
朝焼けの空に、鳥がさえずり、羽ばたく。ご家族のあたたかい幸せな時間。そんな「Good Morning Koh!」の世界がここに完成したと言えるでしょう。完成させてくれるのは、いつだって、着る方の力です。
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安達さんは、後日、初おろしの感想を送ってくださいました。ひょー、着物のプロ、文章のプロだよ〜。光栄〜。その上、転載の許可もいただいちゃった。安達絵里子さん、本当にどうもありがとうございました。
「初おろしの吉田さんの帯、初めてとは思えないほど、しなやかで締めやすかったです。ビス糸のおかげか、軽くてしなやかで、身に添う感じ。
今日、撫でるようにしまいながら、吉田さんの作品を手に入れられた喜びを改めて感じました。ホントにいいものを作られましたねえ。色も、糸の表情もとてもすてき。ほれぼれとしますよ!
私にとって、きものの喜びって、着るときだけでなく、しまう時にこそ強く感じます。作品をゆっくり味わえる、幸せのひととき。
着る前のコーディネイトするワクワク感、着ているときの晴れがましいようなうれしさ。そして着た後のいつくしみタイム……それぞれの楽しみがありますね!こんなにステキなものをお作りくださり、ありがとうございました。」

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