吉田美保子の some ori ノート

曜変天目をみたっ!その二

2017.04.23

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はじめて観た曜変天目茶碗の第一印象は、「まあ、お地味だわ」ってもんでした。小さいんです。抹茶茶碗の大きさを想定してると、ガクッと来ます。ご飯茶碗より小さいよ。それに、よく並び称される油滴天目が、ピカピカしてますので、そんな感じを思っていると、ちょっと見はマットな感じなので、アララっと来ます。
でも、近づいてよく観てみると、そこは宇宙への入口でした。お茶碗の内側は、宇宙のはじまり。そこから果てしない無限空間へ。「きおさま」のonly onlyの帯「Little Cosmos」(リトル・コスモス)を作っていた頃に、画像は何度も何度も観ましたが、まさに本当に宇宙です。
まずは滞在時間5分くらいで、後ろ髪ひかれながら後にし、「茶の湯」展の会場全体を見てしまいます。何しろ、お宝がザクザク出ている展示会なので、見なくちゃならんものが、いっぱいなのです。
お腹いっぱいになりながら、全体を見てしまった頃、4時半になりました。新しく入場することはできない時刻です。会場入口に戻ると、人はガラガラ。しめしめ。もう一度、心を落ち着けて、曜変天目にソロリソロリと近づいて行きます。
目的地の周りには人がまばらにいます。このお茶碗を目当てに出かけて来た人たち。ご同輩。
私は、ガラスケースの前で、おもむろに首から下げている単眼鏡を目にあてて、ピタッと静止。息を殺して覗きます。ピントを合わせる。合った瞬間、うううっわーー。こりゃ、一体なんなんだ。宇宙ってこんな?吸い込まれるってこんな?想像の宇宙でなくて、本当の宇宙だ。
単眼鏡で観ていると、世界は、曜変天目と自分のみのような錯覚におちいります。一挙に別世界です。
この体験がすごいのよ。単眼鏡なしに普通に観ていると、どんなに集中しても目の端にいろいろ入ってくるもんね。それが一切なく、丸く見える被写体と私だけ。忘れず持ってきてよかったよ。(単眼鏡ってのは、よく陶芸や仏像の展示会でマニアのおじさまなどが、使ってる黒い拡大して見るヤツ。双眼鏡の人もいる)
で、曜変天目は、内側もすごいけど、外側もすごいわって思った。ちょっと離れて観て、その形の完璧さにやられた。小ぶりで何気ないけど、どこから観ても完全に完璧。うーん、うなるしかない。
あっという間に閉館時間になり、追い出されましたが、すごいものを観せてもらいました。こんなすごいの1600円の入場料で観れるってのはお得だわって、損得勘定しちゃいかんけど、なんか、平和っていいなって思ったよ。
*写真は上野の森の新緑。
*この展示会は、6月4日までですが、曜変天目の展示は、5月7日までです。ご注意を!

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