吉田美保子のsomeoriノート

Wednesday,30 November 2016

なんと、石井ゆかりさんが!

023_161120.jpg

「清正公の陣羽織ー吉田美保子展」の会期2日目に、事件が起こりました。なんと、石井ゆかりさんがお越し下さったのだ。石井さんて、「あの」石井さんですよ。本物です。「えっ!」でしょ。「んまー」でしょ。「どびっくり」でしょ。私だってびっくりしたよ。お越しになるのはもちろん知ってたけどね。

ゆかりさん、拙作のお着物「モルダウ・ミスト」をお召しになってお越しくださったのだ。それも知ってたから、その日は朝からむずむずしていた。手塩にかけ、旅立たせた子との再会だものね。それにあの子は、私の手をあっというまに離れて行った。
2010年の個展直前ギリギリに織り上がった。売れるか売れないか、実は自信がなかった。だって、真っ白なんだもの。水が湧き出るその瞬間を織ったもので、ごくごく微妙に染め分けた何種類ものアイボリーホワイトに、ところどころ、薄いグレーや水色の筋が入ってる。ただそれだけの、ほぼ無地に近い白い着尺。白すぎてちょっと着づらいかも。でもこのピュアな感じを織りたかったし、織る必要があった。
それをお買い上げ下さったのがゆかりさんだ。

あれから6年か。

昼過ぎごろ、ちょうど和の國さんの入り口あたりに立っていたとき、どこからかふわっと、お蚕さんが現れた気がした。ら、ゆかりさんだった。ほう、って思った。すごく自然で、似合ってて、満ち足りた感じを受けた。まあ、いいお召し物って思った。瞬間、あら、これ織ったの私じゃん!(ってすみません、自画自賛。いや、自織自賛か。)

モルダウ・ミストがいいお召し物であるのは、糸の力と着る方の力だ。お蚕ぐるみって言葉があるけど、うん、文字通り、ゆかりさん、お蚕さんにくるまれて、大事に守られてる感じした。かつ、独特な感じもした。モルダウ・ミストは、完全に、お召しくださるゆかりさんの世界の一部になっている。ああ、よかった。この子のこの姿を見せてもらえて本当によかった。

石井ゆかりさん、「モルダウ・ミスト」をお召しでお越しくださり、本当にどうもありがとうございました。

P1170694.JPG

そしてなんと!!!実は、この日、ゆかりさん、帯をお求めくださったのだ。選んでくださったのは、八寸帯「清正Red」。猩々緋の真っ赤な帯。タイコ裏以外は全面真っ赤で、全部綾織りで織ってる。ちょっとビロードのような感じもする。戦国時代にポルトガルあたりからやってきた南蛮渡来の織物をイメージしたのだ。その上この帯はそうとう立体的だ。太いキビソ糸をところどころに入れている。ブラッシングカラーズも全面に斜めに走る。うねりのある、勢いのある帯だ。

この「清正Red」もモルダウ・ミスト同様、この展示会になくてはならない帯として織った。展示会に出す新作はすべてそういう気持ちで織ってるけど、売れにくいかもって思ってたのはこれがピカイチ。それでも織った。だって清正公の陣羽織、こんな感じではなかったかと思ったから。覚悟を決めた色なのだ。覚悟を決めて織ったのものを選んでいただけて大変光栄です。

・石井ゆかりさんのサイト→筋トレ
・ゆかりさん、こんな感じのコーディネートでお求めくださいました→和の國ブログ
・石井NP日記に書いてくださいました。熊本ツアーinRed・その1 ここから3部作、ぜひお読みください〜。