吉田美保子の some ori ノート

きおさま、本番いきます

2015.04.24

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きおさまとのミーティングは、終わりました。さあ、あとは形にするのに邁進するのみ。堀を埋めてく感じで、準備周到に。これは、本番用の染料を作り直してるところ。
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色は、この8色に決定。
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緯糸の一種は、これ。うすーくムラ染めにしています。うすい青、びみょうに見えますね。織るとばらけますので、とびとびに入ります。深く、豊かな帯になるための仕掛けです。これ見よがしにならないように。ごくあっさりと。でもしっかりと。手品のタネを仕込むようで、好きな作業です。

きおさま、4回目のミーティング

2015.04.22

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さあ、きおさまの帯、4回目のミーティングに向けて、色を詰めて行きます。色の調合は、トライ&エラーの繰り返し。今までの、きおさまとのやり取りを反芻し、ノートを見直しながら。
染料を扱うのは、大好きです。しかし、ガツッとご希望を叶える色を出すのは難しい。
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今回の試し織りは、色を見るためのものだから、分量少なめで、3色を2バージョンずつ織りました。
4回目のミーティグもきおさまにご足労いただきました。実はこの日は、ご一緒にお昼いただきました。近所の餃子の王将で。二人とも王将、入ったことなかったんです。前回のミーティングのとき、「行ってみる?」などと話したもので。初めての経験。なかなかおいしかったです。
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ミーティグの結果、ダークブルーは、下染めにグリーン、ターコイズはあくまで純粋に、曜変天目の群青はふかい色で緑も感じさせる色に決まりました。(黄色いシールが貼ってある方)
きおさま、決めるの速いです。ぱっぱと選んで行かれます。自分のことが分かってらっしゃるんだろうな。決断力あるって、カッコいい。そのへんも、帯に反映できるといいな。そんな帯、織ろう。
さあさあ、出そろったよ!

きおさま、3回目のミーティング

2015.04.20

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新しく作った2枚の試し織りと設計図を用意して、きおさまとの3回目のミーティングに臨んだ。
きおさま、私のプレゼンをじっと聞いて下さり、黒と茶を使わず白抜きで、曜変天目の星を表現することなど、ほぼ賛同をいただけた。
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思ってたことと違った点は、きおさま、却下になった試し織り(上の写真)の青が一番お好きと。透明感のあるターコイズにエメラルドを重ねたような色。ではこの色を真ん中にすえて、上に、黒を感じるダークなブルー、下に緑の下染めと曜変天目の群青を。
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その他のきおさまのご希望は、ブラッシングカラーズはムラがあった方がよい、染め重ねて多色にする、真っ直ぐな線にしない、形は大小あった方がいい、などなど。
緯糸も、あまり太すぎないように。でこぼこが見えると、ちょっと民芸調になっちゃうしね。緯の差し色も細かく観ていただき、微調整。やっと光が見えてきた。だんだんフォーカス絞り込めてきたよ。
きおさまには、色の変更後の実際も観ていただくことになったので、もう一度ご足労いただきます。本当に何度もすみません。まさに二人三脚のモノ作り。さあ、もうひとがんばり。

代官山へ

2015.04.19

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100歳の祖母を見舞いに、母が上京していて、少々時間があるというので、代官山で待ち合わせた。
待ち合わせ場所を指定したのは私。外出したら、用事をハシゴするのは必須です。今、代官山で拝見したい展覧会をやってるのだ。「勝山健史織物展」。
駅で落ち合ったら、ごきげんの母。「代官山、いちど来たかったんだ。若者の街だけん!」ガクッとくる私、、、ちょ、、、
まずは、目的地。ヒルサイドテラスへ。勝山健史さん、いやはや、すばらしかったです。糸もいいのだろうけど(塩蔵繭!)、なんというか、、、、バランス最高。糸や織りのレベルが高く保たれてて、そこに効かせ色がピピピっと来てて、ふわー、すっかり感服、いい気持ちだ。
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母に「このヒルサイドテラスの裏は、何か知らんけど、すごいお屋敷なんだよ」と言うと、興味をしめす。行ってみようかと言うと、行きたがる。おお、公開されてるじゃん。
旧朝倉家住宅は、渋谷区の持ち物で、一般公開されていた。私は入場料100円、母は60歳以上無料。庭が傾斜地で歩きにくいが、とても立派。お宅もいい材をふんだんに使った大正期の建築。
しかし、母よ。若者の街だから、代官山に来たかったんじゃないの?
まあ、よいです。
代官山らしい、クールなレストランで夕食を食べ、私はビールを4杯飲み(グラスだよ。だんだん味と色が濃くなる)、ほろ酔いかげんで駅まで歩き、実家に帰る母とは東横線内で別れました。
母には、ブログに余計なこと書かないように釘を刺されたので、これ以上のことは書きませんよ。うふふ。
*写真は、オサレな代官山ではありません。神奈川県の端っこの、我が家の近くです。

きおさま、3枚目の試し織り

2015.04.18

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「ヨシダさんの青が好き」って言葉に支えられて、三たび暗中模索を開始する。
私の青って?
好きなのは、イブ・クラインのクラインブルーと、マチスのブルーヌード。ああいう、バシッとした青が好き。
それでいいのか?とにかく、スケッチだ。ふむー。ちょっくら、試しブラッシング。ふむーふむー。
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3枚目の試しを織って、蒸してみる。あらっ、光が見えたか?ブラッシングをしなかった、白場が案外効いてる。青を引き立ててる。いけるか?
可能性ありと見た。じゃあ、実物大にしてみよう。ここまできたら、パソコンの力を借ります。
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よし、じゃあ、全体像を作ってみよう。全体の設計図ができると、頭の中がすっきりします。
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ふむ、自分としては、帯として、立たせるところまで持ってこれたと思う。さあ、きおさまに見ていただこう。

きおさま、2枚目の試し織り

2015.04.17

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さあ、それでは2回目のミーティングを、形に落とし込んでみよう。まずは話し合ったことに忠実に。スケッチと、試しブラッシング、試し織り。
青、黒、茶色、有機的に、、、、、、なかなか落とし所が見つからずに苦しむ。おどろおどろしい感じがしてしまって、そこからの突破口が見つからない。
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きおさまは美人である。それも、華があって光がある正統派の美人。影のある美しさとかじゃなくてね。きっと、息子さん方、小さい頃、自慢のお母さんだったろうなあ。ほら、小学生の男の子って、美醜に対して正直じゃん?笑
おしゃれなきおさまのことだから、もちろん、ダークな帯も、使いこなしていただけるとは思う。だけど、できれば、もっと明るい光の帯を作らせていただきたいなあ。
何か、ご提案できないか、、、、
きおさまは、「ヨシダの青がすき」と言って下さっていた。では、青で勝負は掛けられないか、、、、。
思い切って、茶色をなくすか?そうすると、ずいぶんすっきりするぞ。だったら、黒も落としちゃう?青のみ、白抜きだったらどうだろう、、、、

きおさま、2回目のミーティング

2015.04.16

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糸も揃った。自分としては納得の経糸だ。さあ、きおさまの帯に取りかかろう。そう思えたのが、今年の3月初旬。さっそく、きおさまにメールしました。お返事に「メールの受信箱にヨシダさんのお名前を見つけた時、いよいよかなとうれしくなりました。」と書いていただいて、ああ、お待たせしてしまったな、最善を尽くそうって思いました。
第2回のミーティングまでに、ご提案できるものを用意しなくては。まず第1回ミーティングで話したことの整理。それから二人で「こんな感じ?」「こういう風は?」ってスケッチした図を元にもう一回スケッチ。そして、とにかく染めて織ってみます。手を動かしながら、きおさまに何をどう提案し確認するか、考えます。私の頭の中も、まだちっともクリアじゃありません。とにかく、第1回ミーティングを形にしないと、進めません。
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第2回ミーティングの日のもまたきおさまは、ご自身で車を運転してやってきて下さいました。お久しぶりです!1年3ヶ月ぶりでしょうか?きおさま、お元気そう。
さっそく、試し織りやスケッチをみていただく。いろいろお話して、ぼんやりながらも、少しずつ見えてくる。
「あざやかにする、強弱をつける、金糸はやめて細い銀糸を単調にいれる、あやふやな感じが好き、有機的なのが好き、青い色は洋服だったら着れないような派手な色で」
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まだ落とし込めてはいないのだけど、とにかくお聞きするだけはお聞きした。これを元にもう一度練り直しだ。
*上の写真はスケッチブック、中のは緯糸を染めているところ。曜変天目の色を狙った。下のは1回目の試し織り。

乗松祥子さん、善林英恵さん

2015.04.15

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昨日は面白い日でした。友人の帽子作家、善林英恵さんが、展示会のために上京。「この機会に行ってみたい所がある。よかったら、ご一緒に?」というお誘いを受け、等々力の「延楽梅花堂」に行って来きたのです。
「延楽梅花堂」のことも、こちら主宰の「乗松祥子さん」のことも、はたまた乗松さんの御本「百年の梅仕事」についても、今までまったく存じあげず。
つい先週、善林さんが、「久々のヒット本」と評した「百年の梅仕事」を早速取り寄せて読んでみた。読みはじめたら止まらない、引き込ませる本だ。乗松祥子さんに興味津々。生き方、働き方、考え方に心酔する。(善林さんのブログ、この本の紹介のページ→
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等々力の高級住宅街の、たいへん分かりづらい所にある「延楽梅花堂」にたどり着き、商品など見せていただいていると、乗松さんご本人が、お茶を入れて、2階から下りてきて下さった。
まあ!ツヤツヤピカピカのエネルギーあるお姿は、まさに神の降臨!って大げさですけど、そんな感じしました。お話できてよかった。ちゃんと生きてきた方には、神様がついてますね。梅の話しはもちろんですが、善林さんや私のことなども、興味を持ってお聞き下さり、とても励まされました。
大きな梅干しをひとつ食べさせて下さいました。たぶん古いものだと思う。大きな種をティッシュにくるんで、大事に持って帰ってきました。帰り着いて、早速、くるみ割りで割って天神さんを取り出して、しげしげ眺め、それから食べました。苦みの中に、年代物の極上ブランデーの味がしました。
善林英恵さんの作品展は、日本橋三越本店5階スペース#5にて、4月28日まで。善林さんのサイト→
延楽梅花堂のサイト→
*写真は、購入してきた杉田梅の梅干しと「百年の梅仕事」

きおさま、その後。

2015.04.14

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きおさまとの第一回ミーティングのあと、私は糸使いに悩んでしまって、進めずにいた。他の仕事も滞っていた。あるとき、いい糸に出会ったと興奮して、とにかく経糸にするまでやってみたのだが、どうも違う。このままでは、帯として、格もあり、面白みもある布地にならないぞ。
一度踏みとどまろう。それで、きおさまに、「たいへん申し訳ないが、納得いく物作りをしたいので、今しばらくお時間いただけないか」とメールした。
きおさまからは、「いつまでもお待ちいたします」というありがたいお返事がきた。
その後一年くらい、私は水面下で、糸のこと、曜変天目のこと、ウジウジグジグジ研究しながら、別の仕事のを織っていた。
ひとつ、大きな発見は、静嘉堂文庫の曜変天目茶碗は、超ド級の宝だということだ。
曜変天目は、この世に3点あり、3点ともが日本に存在し、3点ともが国宝に指定されている。また、復元もチャレンジされていて画像検索するといろいろ出てくる。
私は、帯のデザインに発展させるには、これら、静嘉堂以外のからもアイディア拾えるかもしれないと、画像検索を繰り返した。まあまあ気に入ったのもあったので、プリントアウトしてみた。
そこで愕然。力がない。張りがない。みなぎるものがない、、、、静嘉堂のとまったく違う、、、、ああ、きおさまが、「静嘉堂文庫の曜変天目茶碗」と指定されたのが、やっと分かった。
それから、曜変天目の「曜」の字は、星の意味があることを知った。そっか、星ね。宇宙の星を目指せばいいのか。
静嘉堂文庫が、数年前に曜変天目を公開したときに、馳せ参じなかったことが、返す返すも悔やまれる。超ド級が出た時には、多忙とか疲れたとか心の余裕とか、そういうこっちの理由はかなぐり捨てて、行かなきゃダメだ。
*画像は検索画面のスクリーンショット

きおさま、第一回ミーティング

2015.04.12

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きおさまとの最初の出会いから数ヶ月たちました。その間、きおさまの体調もずいぶんよくなられました。一度、お会いして意思疎通したい。頭の中は、アメーバーのようですから、少し輪郭が欲しいです。
2013年の11月の終わり、きおさまはふたたび我が家にやってきてくださいました。車を運転して。直線距離だと、そんなに遠くないのです。
きおさま、お久しぶりです!表情も明るく、なんか、うれしい。ああ、こんな、花のほころぶような笑顔をなさる方だったのね。
それで早速、きおさまのご希望を伺います。飛青磁と曜変天目の資料もバッチリ用意してあります。予習したよ〜。(地団駄だったのは、曜変天目、チャンスあったのに、見に行かなかったこと。このお話いただくちょっと前、静嘉堂文庫でお目見えしてたのです。私、ずっと前からカレンダーに書き込んでたのだけど、タイミング逃してしまって行かなかった。しまったーーー!飛青磁は大阪で見たことあります。)
いろんなお話をしました。きおさまのご主人さま、美を扱う仕事をしてらっしゃって、きおさまもお子さんが生まれる前はご一緒に働いてらっしゃったとのこと。ああ、だからか。さすが美意識も知識もうなるほどです。教えていただくこと多々。
今回は、曜変天目茶碗に力をもらって、八寸帯を作ろうってことに決まりました。
きおさまが、「ヨシダさんの青が好き」っておっしゃっていただいたことが、とてもうれしかったです。
*写真はこの日の制作ノート。

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