吉田美保子の some ori ノート

「夕方5時の私の空、2016年3月5日」

2016.05.26

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かずさまの、only only、できました!かずさまには、昨日、無事にお納めしましたので、こちらでもご紹介させてください。
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お着物の名前を「夕方5時の私の空、2016年3月5日」と名付けさせていただきました。ちょっと長いけど、決定打のフレーズなのよね。
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3月5日に、かずさまから、「夕方5時の頃の空をふと見上げて、春の夕暮れの色、あんな感じがいいかな、とか思っています。曖昧すぎるかしら」というメールをいただいて、このお着物に息が吹き込まれました。ピントが合って、動き出した感じです。
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その日から、空を見上げる日々が続きました。空の写真もたくさん撮りました。それはね、すべて終わった今もです。つい見上げちゃうんだよなあ。
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見上げながら、いろんな気付きがありました。春浅い夕方の空は、ごくごく薄いグレーなんだけど、案外青みもあって、薄いピンクもまじっています。暮れ方の優しい色。清々しい感じもする。かずさまらしいなって思いました。
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実はね、昨日、かずさま、我が家までお越しくださって、3丈4尺、だーっと広げて観ていただいた時のひとこと。
「私が見た空の色より、私らしい色だわ」
わ、感激。
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このお着物は、かずさまがご自分で、作って、染められた糸が織り込んであることもキモのひとつ。
上の写真の真ん中辺り、ずり出しでとった糸が入ってます。だいだい色です。桜のアルミ媒染。色のトーンは違うけど、なじんだよね。藍の生葉染めの糸は、細い糸ですので目につきにくいけど、たくさん入ってます。溶けこんでる感じね。
織りはじめのところには、かずさまが、試し織りされた部分もくっついてます。まさに、かずさまと私、二人三脚で作った着物です。
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かずさまにとって、この春は、長年のお勤めを退職されたまさに節目の季節。これから、新しい世界を切り開かれる起点でもあります。その記念のお着物を織らせていただいたことは、私にとってもかけがえのない喜びでした。
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もうひとつ、とても大きなこと、起こりました。このお着物を織りはじめた4月14日、郷里熊本で、大きな地震が発生しました。遠くに住む私も大きな不安におそわれました。
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そんな中、私はこのお着物を織ることに没頭することで、支えられました。心を強く持って、できるだけのことをできたのは、かずさまとこのお着物のおかげと感謝しています。
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このお着物は、春の夕方のように、穏やかで静かなイメージです。かずさまのこれからの人生を、静かに輝かせてくれるものと信じております。
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使った糸の見本です。18種類の緯糸と経糸。指差ししているのが、かずさまが自分で染めた糸のうちでも、特にたくさん使った糸。
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お手紙を添えて、門出です。たっしゃでな。
*かずさまストーリーはこれにて中締めです。ブログを読んでくださっている方、お付き合いありがとうございました。いつか、着姿、拝見したいねー。

かずさま、4回目のミーティング

2016.05.18

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ブログ、なかなか追いつきませんが、ゴールデンウィーク終盤の5月6日、かずさま、4回目のミーティングに、我が家にお越しくださいました。実は、このミーティング、もともとは、4月26日に決まっていたのだけど、私が熊本に手伝いに帰ったため、延期してくださっていたのでした。
ミーティングと言っても、話し合うことはすでにありません。全て、決まってますのでね。かずさまは、ご自分で染めた糸をせっせと巻いてくださいます。私は、もくもくと織りつづけます。シーンとした中、それぞれの仕事の音しかしない、静かないい時間です。
あ、念のため。only only でご注文いただいた方、みなさまに、このかずさまのように、何回も我が家にお越しいただいている訳ではありません。遠方の方、忙しくて時間の取りにくい方、任せっきりの方がここちよい方、それぞれですので、お一人、お一人、その方のご都合やご希望に合わせます。これぞ、only only なのです。それに、会わなくても、メールや手紙で充分機能すると思っています。
かずさまの場合はね、退職されたばかりで、時間も作りやすいし、加えて、ご自分で染めた糸を織り込むってのが、大事なミッションとなったので、その糸を巻いていただいたと言うわけです。
思い起こせば、ちょうど一年前のゴールデンウィークに、かずさま、我が家にお越しくださって、今回のonly only のお話は始まったのでした。1年か〜。順調な方かな???
もし、only only に興味お持ちの方、お気軽にお問い合わせください。「まだ考え中だけど」な方もどうぞ、どうぞ。まずはお問い合わせをこちらから!→   

かずさま、織ってます。

2016.05.15

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かずさまのonly only、進んでいます。織っているところを動画にとりましたので下に貼付けます。こうして見ると、客観的に見れますね。私、けっこう必死に織ってますねえ、、、、。もう少し楽に織った方がいいと思うのだけど、力の抜き方がわかりません。
もしアドバイスいただける方、おられましたら、ぜひお願いします。よろしくお願いします。(アドバイスはこちらから→
目標は、優しく強く、柔らかに丈夫に。
1分くらいです。見てね〜。

たんたんと。

2016.05.13

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本番を織りはじめた正にその日、その夜に、熊本の大震災がおきました。ビックリと言うのが本音でした。幸い電話が通じ、みんな無事だと、、、。まずはよかった。心配しつつも楽観視してました。
しかし、一日たって、本震です。うちの家族は無事と連絡ついたけど、だからと言って、、、、。千々に乱れる心をおさえつつ、今の私にできることはただひとつ。真摯に織機に向かうこと。
先がまったく見通せない苦しい時期、目の前にかずさまのonly only があったことは、本当に、大きな大きな救いでした。しっかり向き合う仕事があること。たんたんと、たんたんと。
かずさま自身も、長年、たんたんと、たんたんと、真摯に仕事に取り組んで来られた方です。(仕事されてるお姿は見たことないけど、分かります。そんな人なんです。かずさまが居れば大丈夫って、仕事仲間の方も思ってられたことでしょう。)
取り組んでいるかずさまのonly only が、帯や絵羽のお着物などではなく、無地っぽい着尺というのも、ありがたかったです。帯や絵羽だと、どうしても「見せ場」があるので、そこに向けて、緩急をつけ、戦略を練り、虎視眈々と手筈を整えます。しかし、着尺は、3丈4尺、たんたんと行けるのです。
たんたんと、たんたんと、織り続けました。

織りはじめ。そうしたら、、、

2016.05.11

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かずさまのお着物、緯糸、結局18種類の糸を使うことにしました。18丁杼です。
かずさまのご希望が、「無地っぽいのがよい」「色や糸に遊びがあってよい」とありますので、それにどうお応えするか、、、と試行錯誤し、結局この糸数になりました。杼を持ち替えるのがたいへんそうだ、、、、思いやられる、、、、、。
(とか言いながら、私、けっこう好きなんです。思い切りたくさんの糸を混ぜて、布を作っていくの。自分の手のなかから生まれ出てくる感じすごくします。)
18丁杼の入れ方はランダムなんだけど、全体のバランスをとるために、ランダムと言っても、本当にランダムではありません。いくつかの決まりごとを作って、それははじめから最後まで貫きます。
緯糸18種類のうち、ガンガン使うのは10種類にしました。あとの8種類は、ここぞという時。1尺に1本とか。2尺に1本とか、そのくらいの頻度です。
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よしよし、決まったぞ、さあ織るぞと思っていた4月14日の晩、ふるさとで大地震が発生しました。ちょうどラジオをつけていたので、緊急地震速報もリアルタイムでした。は?くまもと?
即、母に電話し、無事を確認したころ、かずさま、メールくださいました。
「吉田さん、九州で大きな地震ありましたけどニュース聞いてますか。」
テレビがない我が家は、ラジオがついてないと、ニュースが入って来ないってことご存知なのです。

かずさま、3回目のミーティング

2016.05.10

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「まあ、なんて、きれいな色!」
染め揃った緯糸を観たかずさまの第一声です。やった!(3回目のミーティングで我が家にお越しくださった4月13日の話しです。)
糸、かずさまのご希望に添うように、狙いに狙って染めましたが、もし違うようでしたら、納得いくまで染め重ねるつもりでした。
しかしイッパツでクリアです。かずさまのお好みとか、よくよく分かってるつもりだからね。えへん!
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かずさまは、早速、ご自分で染めた藍の生葉染めの糸を巻かれます。お着物に真っ白な割烹着ですよ。決まってますねー。
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私は、緯糸をどういうリズムで織り込んで行くかを最終決定しなければなりません。メインをどのくらい入れるか?半分か?三分の一か?サブの糸は、候補から厳選して、10種類くらいに絞り込みたい。多すぎるとうるさいし、少ないと詰まらない。どうする?
これでどんなお着物になるか、決定しますので、真剣勝負です。
*かずさまのうしろ姿も、すてきでしょ。帯は、拙作、八寸帯「小さくてハッピーな三角たち ロングバーバージョン」

緯糸を染める

2016.05.08

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さあ、かずさまのonly only、 緯糸やっとメインを染めますよ。染めるのは、この糸。国産の生繭の座繰り糸です。うふふ、いい糸なのよ〜。ふわっふわっ。むっちり弾力があるのです。単衣か胴抜きのお着物にされるので、特にね。丈夫で、張りと弾力があることが必須だと思ってる。
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めざす色は、ごくごく薄いグレー。それも、思いっきりブルーに振った。かずさま、ブルーがとても似合われますので、青い着物を織る訳ではないけど、ブルーはしっかり仕込みます。
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そうは言っても、赤の染料も黄色の染料もしっかり入れて、色に深みを持たせます。
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様子を見ながら慎重に染め重ね。極薄だから、染料の量に特に気を使う。極少量ずつを何回も何回も足して行きます。
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これはサブで使う糸。試しで使っていた分です。数種類あるのだけど、これもメインに相性いいように、染め重ねます。
ドンドン、ドンドン、染めて行きます。

かずさま、2回目のミーティング

2016.05.07

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4月2日土曜日、かずさま、我が家にいらっしゃいました。約1年ぶりです。
かずさま、その2日前の3月31日を持って、長年のお勤めを定年退職なさいました。退職したらお会いして、一気に詰めましょうというお話はしていたのだけど、わずか2日後です。
「昨日でもいいかなって思ったのだけど、職場から引き継ぎでの不明点とか、電話が入るかもって思ってね。ほら、今日なら土曜だから向こうも休みでしょ。」とおっしゃるかずさま。うーん、かずさまらしい、、、、この責任感。すばらしい。職業人として100%信頼できる。見習わなくては、、、。お応えせねば、、、。
早速、試し織りを3種、みていただく。かずさま、パッとお顔が明るくなる。「あら、すてき。こんな感じでお願いします。」
ちょっとガクッとくる私。どう攻略しようかと思ってたのに。
しかし、実際にはまだまだ詰まってはいないんです。メインの糸、これから染めるし。私としては方向性を確固としたいのです。
かずさまに、私の織機に乗って、自由に織ってもらいました。私が織っていた試し織り第3段に続けるような感じで。かずさま、長いこと織りを習われていて、着尺も織ったことあるそうなんです。しばらく会話もなく、それぞれが仕事に没頭する時間となりました。かずさま、いい感じで、織りを楽しまれたと思います。
織った中で、この色が好きだ、とおっしゃられた糸がありました。真綿紬の薄いブルーグレーに染めた糸。
そうですか、それでは、メインの糸はその色を目標に染めましょう。
*写真は糸巻きをするかずさま。糸は、ご自分で染めた糸です。綛が乱れてて巻きにくいけど、巻いていると頭が空っぽになって、無我の境地になれます。

かずさまストーリー、再開します

2016.05.06

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かずさまの only onlyストーリー、再開しましょう。「夕方5時の空の色」の着物が欲しいとリクエストされたところまで話しは進んでいましたね。
夕方5時の空を見上げつつ、発見したことは、求める色は、白成分が多いけど、青もあり、ピンクもあり、紫もあり。豊かな豊かな色彩をしているってこと。ああ、かずさまが見上げた空はこれだったか?
それで3回目の試し織りをしました。1回目と2回目との違いは、ブルー成分を多くしたこと。1回目と2回目の時は、グレーと藤色を意識して使った。それは、もともとのかずさまからいただいていたキーワードにあったから。しかし、イマイチ、しっくりこなかった。
5時の空には、澄んだ青空の色もけっこう残っていると見つけて、ピンときた。かずさまのご自分で染めれた糸のうち、ピンクの花が咲く藍草の生葉染めの薄い方、あれ、使える。けっこうたくさん織り込んでもいいんちゃう?
それで、早速、3回目の試し織り、やってみましたよ。

夕方5時の空

2016.04.24

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「夕方の5時頃の空をふと見上げて、春の夕暮れの色。あんな感じいいかな、とか思っています。曖昧すぎるかしら。」
かずさまからのメール、そう書かれてました。
さあ、たいへん!空の色はいいのだけど、えーとーー、情報、これだけ?
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早速、私も空を見上げるも、、、かずさまのご自宅は、我が家から東へ80kmくらいか?空の色、同じかしら?
で、いつの空なの?メールの日付は3月5日午前8時。前日の空ってことかなあ?
天気はどうなのかなあ?
どっちの方角を見上げればいいのかしらん?
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一つだけ、確信があるのは、これは、いわゆる「茜色の夕焼け空」ではないってこと。茜色はかずさまカラーでないからね。かずさまが、空を見上げて、これだって思った空があるはずなのよ。
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ようわからんけど、それをつかめるまで、見上げるしかありません。
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すみません。かずさまストーリー、ここでちょっと中断させていただきます。
私、明日から、ちょっと熊本に行ってきます。かずさまのonly only、ブログでは計画段階ですが、リアルでは、織り進んでいます。その最中に、一時中断するのは、はばかられましたが、悩んだ末に、かずさまに、相談メールをしましたところ、「かまわない。完成は急がないから、ぜひ行って来てくれ。こちらの方から、メールしようかと思っていたところだ。」と、ご返信いただきました。ありがとうございます!
いやー、この時期、かずさまのonly only を取り組んでいて、本当に助かりました。精神的に支えられました。織りに集中することが、冷静でいられる元でありました。感謝してもしきれません。
では、行ってきます。もしも帰省先から、更新できたら、いたしますね。引き続き、熊本へのご支援、どうかよろしくお願いします。

試し織り。そして、、、

2016.04.23

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かずさま、緯糸の指針が決まらないが、とにかく、試しを織ってみよう。そこから見つけよう。
という訳で、使えそうな糸を準備する。
かずさまが自分で染めた糸のうち、白い花の藍の生葉染めの糸をとりあえず巻く。ピンクの花の藍の生葉で染めた方の濃淡は、色味がターコイズ寄りということと、綛の乱れが大きいことで、保留。
(上の写真の小管に巻いてあるのが、白い花の藍の生葉染め。綛のままのが、ピンクの花の藍の生葉の濃淡)
他にも、着尺の緯にいける糸は、手元にたくさんあるのだ。ちょっと染め足すとか、綛の一部をしばって段だら染めにするとかは、お手のもの。どんどん染めて、糊付けて、巻いて、とりあえず織る。サブの糸を用意して、その糸で織ってみるってことです。本番メインの糸は、かずさまのご希望を伺ってから、染めますからね。それには、まずたたき台がいるのです。とりあえず布にするのです。
さあ、1回目の試し織りが出来ました。本番と同じ条件にするため、機からおろして水通しもします。
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んー、ちょっと白いか?藤色がかった薄いグレーを狙ってみたけど。では、濃いめのグレーを主体にして、2回目の試し織りをしましょう。(これは写真撮り忘れ)
かずさまとは、メールのやり取りをちょいちょいしておりましたが、ここで、衝撃的なメールが来たのです!(大げさです)(つづきます)
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ちょっとだけ、個人的なせまいの範囲の、熊本の話し。
昨日、両親と妹の家、10日ぶりにお風呂復活したそうです!一昨々日に熊本市内ほぼ通水ってニュースを見てましたので、「えっ?」って思いましたが、水道が戻っても、水圧弱く、チョロチョロとしか出ず、お風呂も、トイレも、洗濯機も機能せず、だったそう。背の高いマンションなどは、まだ届いてないところもあると聞きます。
20日に発送した、支援物資二箱は、今、ひとつ配達完了と、メール着ました。もうひとつも、今日、着くか?4日かかるね。時間掛かっても、届くってのはすごいことだ。
こんな状況のなか、届けてくれてありがとうございます。
これは、熊本市内の話し。益城とか阿蘇は、もっともっとかと思います。

ずり出しの糸は、、、、

2016.04.22

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かずさまストーリー続けます。
かずさまが持って来られた、ご自分でとったずり出しの糸、この時点では、ペットボトルに巻かれてます。ペットボトルは木枠の代用ね。いいアイディアです。さあ、綛あげしてみましょう。
しかし!すぐにお手上げ状態に。こりゃ、ムリだ。撚りがまったく掛かってないわ。ギブアップ。綛上げどころか、小管にも巻けない。このままの状態で、少しずつひっぱり出して使うしかないね。桜のアルミ媒染の色は、かずさまのカラーではないけれど、ちょっとだけでも織り込んでいきたい。
*ここで、簡単ではありますが、少々ご説明させていただきます〜〜〜。
ずり出しというのは、繭から繊維をずり出して糸状にしたもの。一番原始的と言えるかな?ふわふわと空気をたくさん含んでいます。真綿糸は、繭をまず真綿状にして、そこから引き出して糸にしたもの。座繰り糸は、繭を煮ながら、何本か合わせて取って糸にする。蚕が吐いた糸がそのままスーッと出るので、ツヤッとしてる。
で、撚りもとても重要なんです。撚りが甘ければ糸の束ね具合がゆるいのだから、柔らかくなります。しかし、毛羽立って、扱いが難しい。逆に撚りが強ければ、固くなります。さばきやすく、扱いやすいです。織り布は、糸の撚りによって、表情がガラッと変るのです。
よーし!作戦変更だ!別の方向から、かずさまらしさを追求しましょう!切り口はいくつでもある。それを見つけて行きましょう。
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ちょっとだけ熊本のこと。宅配便が再開されて、すぐに送った支援物資、まだ届いてないみたい。送るについては、ちょっとだけ悩んだ。配送の仕事を増やしたり、渋滞の一因になったりするかもと、、、、うーん。
昨日あたりから、やっと、フェイスブックでつながっていない友人にお見舞いメールを出しはじめました。まだまだそれどころではないだろうと躊躇しながら打ったら、すぐに返信いただけたりして、よろこんでもらえたみたい。
その返信がね、明るいのだ。この激しい苦しい日々の中、すくっとすべきことをしている、すばらしい友だちたちです。

緯糸のトライ

2016.04.21

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熊本&大分の応援しつつ、かずさまストーリー、続けます。
さてさて、緯糸はどうしましょう。
メインに使う糸は、生繭の座繰り糸でバシッと染めよう。サブも座繰りと真綿で、10種類くらいは用意したい。それに加え、かずさまが持って来られた、ご自分で染めた糸、これはぜひ使いたい。かずさまは、使えるようなら使って欲しい。でも無理しないでって言われてたけど、これは、記念のお着物だし、糸にはいろんな思い出も染まってるって思うのよね。隠れメインにしたいね。糸の質が心配ではあるのだけど、見る限り筋のいい、きちんとした糸だ。聞くと、出所は、私も信頼している京都の糸屋さん。質的にはクリアだ、着物にもいける。綛の乱れが心配ね。色味はどうだろうね。必ずしも今回のコンセプトに合うとは言えないな。ひとひねりするか、、、。とにかく、チャレンジしてみよう。
糸は全部で四種類。生糸が三種で、ずり出しが一種。色は藍の生葉染めが3種と、桜のアルミ媒染。この中で、生糸の桜染めは使えない。色が全く合わないから。(上の写真には写ってない。赤茶色です。)藍の生葉染め三種のうち、白い花の咲く藍草で染めた、どちらかと言うと群青が入ってる青色の糸は使えそうだ。(写真の左から三番目)。
ずり出しの糸は風合いがスペシャルだからぜひ使いたい。(写真の右上に写ってます。色がテーブルと同化している。)しかし、赤っぽい色はかずさまの色でないのよね。うーん、、、この上に、鉄媒染をうっすらかけてみてはどうでしょう?淡いグレーにならないかしら。やってみたい。それにはまず綛あげだね。
それで、かずさまにメールして、この糸、媒染を重ねてもかまわないかとお聞きすると快諾してくださった。よし!綛あげするぞ!!

かずさま、イメージ

2016.04.20

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さあさ、心配事はつきませんが、かずさまストーリーを進めましょう。
昨秋の個展のあと、かずさまのお着物、お聞きしたことを整理して、イメージをふくらませました。ノートに書き留めていた言葉は以下の通りです。
「単衣か胴抜きにする」
「色は薄いグレーか藤色がいいな」
「青系が好き」
「紫、桜ねずもいいな」
「布の表情はツルツルしないほうがいい」
「私が染めた糸を使ってもらえたらうれしい。でも無理しなくてよい」
「いろんな色を使って欲しい」
「無地っぽいのがよい」
「色や糸に遊びがあってよい」
「ヨシダさんが自分で着てるの好き」(*いつも着ている袷の一張羅のこと)
「絵羽にはしない」
「柄は入れない」
オッケーっす!
無地っぽいのをめざすなら、経糸は、完全無地ではないけれど、一見無地がいいでしょう。色は白に近い方がいいと思う。薄い色の方が、キチンとした場にも出掛けやすくなる。それに、かずさまが、濃い目のグレーでものすごくお似合いの一枚お持ちなの、知ってるんだ。それとかぶってももったいないもんね。
布味勝負となりそうだから、座繰り糸メインで、極細目の真綿糸も入れましょう。暑くならない程度にね。真綿少々は丈夫にするため。単衣になさるかもだもんね。変にがんばりすぎず、肩の力が抜けた感じもいいかも知れない。せっかく、退職の記念なんだし、肩がこらない感じがいいかな。
よーし、水面下で準備開始だ!
*写真はうちの近所。3月終わりに撮りました。

この数日

2016.04.19

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熊本のことで気持ちが高ぶったままのこの数日ですが、不思議に仕事は順調です。熊本の友人たちの、仕事を再開したとか、避難所と回って細かな支援をしているとかいうニュースが支えです。
遠い島に住む友人から、「どう過ごしていいかわからない時こそ、仕事だ、機織りだ、出来ることは元気に働くことだけだ、がんばれ、ソメオリヨシダ!」と強いメッセージいただいたことも大きいです。種火がポッと明るくなるメッセージでした。
かずさまの only only、ブログ上では、昨秋の個展にお越しくださって、スケジュールの変更があったってところまでですが、実作業は日々しゅくしゅくと進んでいます。この辛い時期、しっかり取り組めている仕事が目の前にあることが、どんなにありがたいことか。気が塞いても落ち着くし、その時間だけは無心になれます。
あらためて、かずさまに感謝します。
ブログの続きは、、、、また詳しく書きますね。
*写真は、午後5時の空です。春の夕暮れ。今日じゃないよ。春分ころだったかな。これはね、かずさまのonly only ストーリーの伏線です。おほほ。

かずさま、そして

2016.04.13

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かずさまの only only、その後、しばらく静かに寝かせていました。心の中で、どうしようか、こうしようかはありますが、火はつけません。
去年の秋の私の個展に、かずさま、お越しくださいました。会場で、楽しい時間を過ごしてくれていたようでした。着物をお召しになる方にとって、着物や帯を見るというのは、楽しいものですものね。
かずさま、出品作の帯をとても気に入ってくださって、お求めくださるというのです。わー、ありがとうざいます!
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それで、承っている、帯の方のonly onlyは、やめておこうということになりました。私としても、お預かりしているかずさまが自分で染められた絹糸、帯にするには、経にも緯にも、ちょっと向かないな、、、と思っていたこともあり、いい着地点になったと思いました。
それから、着尺の方、お納めするのが退職となる3月末の予定でしたが、それを、取りかかるのが退職後の4月からってことにいたしました。その方が、しっかり話し合って取り組めますものね。私も大賛成です。
このように、only onlyは、微調整可能です。実際に取りかかってしまえば動かせませんが、それより前でしたら、可能な限り、ご希望に添えるよういたします。また、こちらの都合をお願いすることもあります。ケースバイケース。その都度、すり合わせて行くのが only only です。
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今日のお写真は、個展でお求めくださった帯、「小さくてハッピーな三角たち ロングバーバージョン」を締めてくださってるかずさまです!撮ったのは、なんと本日!ブログ記事はなかなか追いつきませんが、本日3回目の打ち合わせでした。進んでますよ!

ゴールデンウィークに

2016.04.11

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かずさまが、ある日メールをくださいました。ちょうど一年くらい前だったと記憶しています。相談したいことがあるから、おじゃましてもいいかとおっしゃいます。もちろんウェルカム。どうぞどうぞ。
バリバリキャリアウーマンのかずさま、平日は動けません。去年のゴールデンウィークのある日、はるばる関東平野を横断してお越しくださいました。
お久しぶりです!
お話を聞くと、約一年後の2016年3月末をもって、長年のお勤めを定年退職なさると。それを記念して、着物と帯を作りたい。ついては織ってくれないかと。
どうもありがとうございます!心して織らせていただきます。
かずさまは、手織りの教室に長く行かれてました。博識で面倒見のいい先生がされている、とてもいい教室だったようです。(私だって行きたいくらい!)しかし、先生が亡くなられ、そこはクローズされた由、かずさまの手元に、ご自分で草木染めされた絹糸が残りました。この糸を生かせないかと。
どれどれ。
糸は、細いつやつやの絹糸と、ずり出しのふわふわの糸。染料は藍の生葉と桜のアルミ媒染。(上の写真です。生葉染めは、藍の花がピンクのものと、白いもので、分けて染められてます。色が微妙に違うのが面白い。)
かずさまがお望みなのは、グレーか藤色の着尺と、八寸帯。(この段階では)
出来上がりのご希望は、退職されるころとのこと。(この段階では)
うーん、、、、さあ、悩むべー。

only only かずさま、登場!

2016.04.10

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さあ、新たな完全注文制作 only only をスタートです。今回のヒロインを「かずさま」とお呼びしましょう。
かずさまと私は、けっこう長いおつきあいです。10年くらいかな。なんか、お会いすると和んだ気持ちにさせてくれる方で、ほっとします。
以前、ご注文いただき帯を織らせていただいたこともあります。まだ、注文制作を「only only」って名付ける前のこと。昔のブログに載ってるよ。あー、2009年だ。こことかここ
2009年って、私、引っ越した年で、かずさま、この帯の打ち合わせに、昔すんでた小さなアパートにお越しくださいました。そして出来上がったのを受け取りに、今住んでるここにお越しくださいました。
この帯ね、お締めいただいていると、「あら、それヨシダさんの?」って全く知らない方に話しかけられたりするそうです。すっきりストレートな感じが、ヨシダというより、「かずさまそのもの」のような気がするのだけどね。面白いものです。
それから、昨年の個展でも帯をお求めくださいました。
そして、今回は、、、、、。うふふ。話しの続きは、明日以降に。

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