「檸檬畑にそよぐ風を感じるような、爽やかな空気感ある着物を」というご注文だった。南イタリアの檸檬の段々畑の写真がメールに添付してあった。 さて、どうしたものか。シャンパンの泡が弾ける色とのご希望。ご注文主さまは、大人の楽しみを知るカッコイイ人。きっと、さらっとした着物の方がいいのだろう。(私はがむしゃらにガンバって作ってしまう。心は「さらっと」を目指すのだけど。)
この方のご希望は、ベクトルの矛先がはっきり定まっていて、それを的確に伝えて下さってたから、ぶれないように進むのみ。余計なことはしないこと。糸は経糸に水谷ルリ子さんからゆずられた糸を使ったので、糸のよさを最大限に発揮するようにしました。
仕立て上がって、お会いするチャンスを下さったのだけど、すっかりこの方になじんでて、ものすごくうれしかった。キャッチボールを重ねてきた結晶、ここに現る。
緯糸は真綿紬糸。植物染料。
「ウィステリア」(着尺) ご注文で織った着物です。紫が好き、ただし青みの。初夏の庭園みたいな。具象でなく抽象。モネの「藤」の絵みたいな。光がまぶしい、風が爽やか、緑がきれい。そんなやり取りをしながら、藤のかすかな香りをかいだような気がした。無地でなく、縞でなく、ぼかしみたいな着物が欲しいと。遠方の方で、メールでのやり取りでしたが、ご希望をかなえられてよかったです。
「ウィステリア」(着姿) 左に載せましたお着物を、お召しいただいてます。これは2014年の写真です。織らせていただいてから6年、「ああ、すっかりなじんで、、、よかった」としみじみ思いました。お写真はツツジの花がきれいですが、藤の花も咲いていたそう。ウィステリア、光あふれる庭園のウィステリアの下を歩く。うれしいなあ〜。
「存夜気(そんやき)」(絵羽) この着物は、新宿御苑のクールな呉服屋さんの発注で作らせてもらった。打ち合わせをする中で、頭の中もだんだんクリアになって行った。それで出来た着物。存夜気っていうのは、夜が明けるその直前をいうらしい。まさに夜明けの着物だ。植物染料。ブラッシングカラーズ。
「ミホコさんに織ってもらいたい」 って注文いただいたショール。やり取りした中で、「この方はご自分の世界観がしっかり観えてる方だなあ」とつくづく感服。その観る力、分けてもらいながら織った大地の赤。
「オレンジのショール」 赤すぎないことに腐心した。オレンジに寄せたショール。使って下さってる方に「ヨシダさんのショールは柔らかく、暖かいので、まだちょっと寒いかな・・・という春先に、とても重宝しております」とメールいただき、うれしい。
「綾織りショール」 これは綾織。綾織ってふんわり感が増し、しわになりにくく、肩に掛けた時ずれにくい。糸は極太と極細の真綿紬糸を併用しています。
「結果 all rightのショール」 これは、企画段階で、どういうショールを作るのか、イメージはガッチリつかめたのだけど、実現化に転げまわりました。ショールも難しいのよね。
「優しく、使いやすく、穏やかなショール」
「考えるショール」織りの醍醐味は、経と緯をどう出会わせるか。
「夏のショール」 ブラッシングカラーズの刷毛目が乗ってますね。
「異国のショール」 イメージソースは、雑誌で見た北欧特集。