Pure heart Michi, きれいなきれいな着物です。発注元はなんと、日本刺繍の大御所、森康次先生です。森先生がお弟子さまの佐藤未知さまのためにお誂えになりました。
森先生と佐藤さんから、色見本とひな形が送られてきまして、それに応えるべく、奮闘しました。きれいできちんとしている着物を織るってことがひとつの目標でした。
ベースの白は、森康次先生がフォーマットされた pure white で、凛とした基礎。その白は、他の色を目立たせるのではなく、白そのものがきれいな生き物であること。
黄は、どんな苦しみや辛さがあっても、必ずやって来てくれる太陽のように。
みどりは、小さな小さな新芽が、あるときはすごいスピードで青く、次の瞬間はみずみずしく、ぷるぷるに 変化するように。
これは、染織吉田が10周年を迎え、注文制作に ONLY ONLY と名前を付けた直後に取りかかった記念すべき一枚。
お納めしたあと、森先生からも佐藤さんからも、ご丁寧なおよろこびのメールいただきました。ご期待に添えたのかなあと、しみじみうれしかったです。
佐藤さんからのメールで、「ちょっと気恥ずかしい」って言葉ありました。これ、私が Pure heart Michi に添えた言葉でもあるんです。一途で真っ直ぐ。これって、ちょっと気恥ずかしい。でもね、佐藤さんそのものです。
Pure heart Michi の制作行程は、ブログに書かせていただきましたので、さかのぼってご覧いただけます。糸のこと、染めのことなども詳しく書きましたので、お読みいただければ幸いです。
「吉田美保子のsomeoriノート onlyonly 森繍さま」
「クリスタル・ストリーム」というこの帯のタイトルは、ご注文主さまが、どんな帯にしようかとメールでやり取りをしていた時にポンと投げて下さった。この一言で、ああなるほどと、何を望まれているか分かった。夏の暑い日に、冷たく冴える鮮やかな色、これを大いなる流れに乗せればいいんだ。この方は、ご自分が似合われるものをとてもよく分かってらっしゃるので、フォーカスは絞りやすい。が、期待以上の物を作りたいと言うのが、作る方の心情だ。
この帯は特に糸の選定から頭をしぼった。経糸(たていと)に使った糸は、「ぐんま200」という、群馬県産の繭から作った高級糸です。糸自体が白くて輝くタイプだから、クリスタルのイメージで織るにはピッタリだった。
染めは酸性染料と植物染料の併用。ブラッシングカラーズは酸性染料。
今回のご注文、新しいチャレンジさせていただきました。それは、名付けて、フィニッシュ オン フィニッシュ。織り上げた後に、もう一仕事しています。図柄をキリッとさせるために、また決めの柄を増やすため、銀や顔料を後から乗せています。これ、今までなかなか出来なかった。でも、今回はご注文主さまが、「新しいチャレンジは歓迎だ。思い切りやって欲しい」って背中を押して下さった。それで、周到なシミュレーションを繰り返した後、息を止めて、GO したのでした。やり終わって、完結したって思えた。
写真は、制作の2年後、ランチに誘っていただいたとき撮ったもの。愛用いただいていてうれしい。
ほら!すっごくお似合い!!夏の暑い日、シトラスの帯、締めて我が家にお越し下さいました。
これは、八寸帯シトラス・シリーズの、タレが白バージョン。季節は選びませんが、暑い日に、涼やかでいいですねえ。
この写真は、カメラマンの武藤奈緒美さんが、撮って下さいました。
大胆でしょ。こんな帯、どこにもないよってのを作りたかったんです。
赤と黒はブラッシングカラーズ。そしてそこだけ、綾織りにして色をめだたせるようにしています。白い部分は平織です。銀はフィニッシュオンフィニッシュ。銀箔を後から貼ってます。染めは酸性染料です。すごく大胆で、すごみのある帯になりました。
これは、恥ずかしながら私です。単衣の着物を作ったとき、手元の帯の中から、この帯を自分用におろしました。いい年をして、まだまだ成熟できない私には、この酸っぱいコーディネートが似合うかな?
この帯、いわゆる六通でして、見えるところが格子、見えないところは縞になってます。タイコとオナカに綾織りを入れて、濃いグリーンとイエローで、メリハリを作っています。まあ、思惑どおりと言えましょうか。
自分でいうのもなんですが、合わせやすく、締めやすい、重宝な帯です。和風すぎず、突飛でもなく、自分らしく居られます。
「ラブ・ロスコシリーズ」(八寸帯/九寸帯)画家マーク・ロスコへのオマージュです。 ロスコの絵の、きれいな色が静かにただ存在する感じが大好きです。ロスコのバランスは絶妙ですが、帯にすると、締め方次第で、色のバランスが毎回違ってきます。それが面白いと思います。
「ディープパープル&ブルー」(八寸帯) シンプルで静かなたたずまい。マーク・ロスコは何を思って、あの絵を描いたのか?それを探りたくて織るのだけど、それはなかなか遠いね。 ブラッシングカラーズは、植物染料と酸性染料の併用です。
「ピンク&チャコール」(八寸帯) ビビッドなピンクと渋さを感じる炭色。ちょっと枯れた感じになって面白くなった。ブラッシングカラーズは、植物染料と酸性染料の併用。緯糸はセリシンを残したカンボウジュ。
「フォーカラーズ」(八寸帯) 4色で構成してますので、どこに何色をどの配分で持ってくるかによって遊べます。 経糸はブラッシングカラーズ。酸性染料。 緯糸は、植物染料(シイ、フクギ)と酸性染料の併用。糸は、経糸が玉糸。緯糸は、きびそ、未精練のカンボウジュなど。風合いのある絹糸です。
「フォーカラーズの締め姿」なんと、真野響子さんです!大感激!婦人画報に載せていただきました。詳しい記事は、こちらのページに載せております。スクロ—ルしてご覧ください。
「ピンク&ブラック」(八寸帯) ピンク&チャコールと似てるけど、色の入り方が違うので、締めた時の表情は全く違ってきます。こちらのブラッシングカラーズは、酸性染料のみ。ガツンとくるよ。銀糸も使っています。
「イエロー&パープル」(九寸帯) 黄色と紫をぶつけました。補色の、はっとする色のコントラストです。着物姿をぴりっと引き締めてくれます。黄色と紫は、お絵描き大好きだった私が、幼稚園の時から追求(?)している色合わせです。
「イエロー&モスグリーン」(九寸帯) 経糸は赤城の節糸。650中。2本片寄り。回転数は200回/m。節が多くて、毛羽だって大変でしたが、いい表情になりました。緯糸はタッサーの紡ぎ糸と真綿紬糸。 経糸はブラッシングカラーズ。植物染料(ヤシャブシ)と酸性染料の併用。緯糸の染めは植物染料(エンジュ、ゴバイシ)と酸性染料の併用。
「チャーミング・イエロー」(九寸帯) おもちゃ箱をひっくり返したら、キラキラの宝物が飛び出してきた。経糸は、ぐんま200。緯糸は、450中の玉糸。銀糸を経糸にも緯糸にも使って、光を反射して輝くイメージにしています。
「イエロー・モンドリアン」(九寸帯) 画家ピエト・モンドリアンへのオマージュです。モンドリアンの余白の潔さは和の世界に通じると思います。2009年に「ビバ!モンドリアン」を作りましたが、その後発展バージョンの構想を温めてきました。モンドリアンへの敬意は深まるばかりです。
「イエロー・モンドリアンの全景」 経糸はぐんま200。緯糸は玉糸。地の経糸は、三つ編みにして極薄に染めて、白い中にうっすら陰影が出来るようにしています。ちょうどキャンバスの下塗りをしている感じです。そこにほどこすブラッシングカラーズ。色を引き立てる黒い枠取り。黒い線は目立たさせるため、そこだけ綾織りになってます。染めはすべて、酸性染料です。
「青いみかん」(九寸帯) 青くて固い、すっぱいみかんを織りたかった。かじると、口をとんがらせて顔をしかめるような。初々しい、きりりとした締め姿になると思います。
上方に載せてる「サワーオレンジ」と同じ経糸です。こちらの方が、格子が可愛らしく、より初々しい感じです。
「優しい海岸線」(九寸帯) 穏やかな波が寄せては返す海岸線。ブラッシングカラーズは、植物染料です。銀糸が全面に入ってさざ波のようです。
「線のリズム」(九寸帯) 雑踏の中の、楽しげなリズム。ブラッシングカラーズは、酸性染料。銀糸が要所要所に入ってます。茶色の縫い取りが都会的と思う。緯糸は、びす糸。(びす糸とは、繭の内側から取る希少な糸です。蚕が自分に一番近いところに吐くので、柔らかくて気持ち良い糸なのです)
「ブルーデビュタント」(九寸帯) イメージ的には、女子高生くらい。初々しさが残るも、背伸びしたいお年頃。そんな雰囲気の帯。ブッラッシングカラーは顔料。太目の銀糸で縫い取り。全面に細い銀糸を織り込んでます。
「ゴローも入ってる」タブロー(平面作品)を作りました。今まで織ってきた様々な布地で構成しました。懐かしく、キューンとくる布ばかりです。青田五良の復元布も貼ってあります。(これは両面作品です。額の大きさ100x150mm)
「清々」左のタブローの裏面です。こちらは、着物と帯の清々しいの、ふたつを張り込みました。帯の糸が見えてますね。これ、水谷ルリ子さんが、ご自分で蚕から世話され作られた糸だわー。貴重!
「Golden Pieces ゴールデンピーシーズ」きれいで、パワフルで、輝いてる。そんな着物や帯、織りたいなあって思ってる。これはその断片です。(額の大きさ123x168mm)
「ピンク!ピンク!ピンク!」ピンク三つどもえです。一番上の真四角のピースは、つなぎ糸です。つなぎ糸の良さがよく出たと思ってる。(額の大きさ148x200mm)
「ピンク&グレー」ちょっとなつかしようなキャンディーの包み紙。そんなイメージ(額の大きさ148x200mm)
「モランディ」イタリアの画家のモランディへのオマージュです。モランディの描く、静かな瓶たち、好きなのです。(額の大きさ140x190mm)
「ちょっとロスコ」これは、ラブ・ロスコシリーズを織っていたときのです。小さくなると、よりロスコと向き合えるような気がする。(これは両面作品です。額の大きさ90x130mm)
「クロス」クロスを意識して織ったのではないけれど、そこにクロスがある。(左の「ちょっとロスコ」の裏面です)
「Canary Yellow カナリーイエロー」カナリアみたいな黄色。これは、黄色の着尺の織りはじめのところ。経糸が見えます。スタート地点です。(これは両面作品です。額の大きさ90x130mm)
「Trad トラッド」これは墨染めの帯を織った時のもの。墨はやっぱり、時間とか空間とか、しっとり閉じ込めるなあ。(「カナリーイエロー」の裏面です)
「ブラッシング・ターコイズ」(ショール) ブラッシングカラーズの大判ショールです。体をすっぽり包みます。色分けされてるので、使い方次第で、化けますよ。
「ブラッシング・スカイ」(ショール) 空の青をブラッッシングカラーしたショールです。羽織ると、空を散歩している気分になるよ。
「ブラッシング・パープル」(ショール) マチュアなパープル。大人の女性に羽織って欲しい。
「ミニ巾着」 着物や帯の試し織りの部分を使って、かわいい巾着を作りました。デザインと縫製は、帽子作家の善林英恵さんです。いやー、どれもこれもいい仕事なさいますなあ〜。
「すっきりタイプ」(ミニ巾着) こういうすっきりしたデザインもあります。糸が見えますが、着物の経糸です。美しい光彩を放っています。
「匂い袋にも、飴ちゃん袋にも」(ミニ巾着) このかわいい巾着たち、どう使いましょう?いろいろに愛でていただければと思います。
「お茶にも」(小袱紗) ブラッシングカラーの小袱紗。お茶の世界も革新か?
「いろいろ」(小袱紗) 袱紗、たくさん作りました。お茶碗だけでなく、大切なものを乗せて下さい。
「卓上布もいろいろ」これらの卓上布は、絹の別布で裏打ちされてます。織った私が言うのもなんですが、上等って感じします。デザイン縫製は善林英恵さんです。
「黒とピンクの」(卓上布) とても大胆。左側の真っ白を生かしてくれた善林さんに感謝です。
「渋系」(卓上布) 糸味と染め味、生きてます。玄関の靴箱の上になどに置くのはいかが?
「シトラス系」(卓上布) デザインの妙。縫製の力。
「ブラッシング」(卓上布) 刷毛目を生かして。
「キラキラ」(卓上布) これはブラッシングして織ったあと、銀箔を乗せています。シャボン玉が飛んでます。
「アップですが」(卓上布) のびのび染めて、のびのび織りました。
「箪笥の上ですが」(卓上布) 仕立てタイプでない、一枚の布の卓上布です。花瓶が映えます。
「むかで」(卓上布) ムカデ型の卓上布です。ガラスなんかを乗せて欲しい。
「子どものムカデ」(卓上布) 細ーいムカデちゃんです。