吉田美保子の some ori ノート

「日下田正とエセル・メーレ」展に行った、1

2017.01.26

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昨日のブログの続きですが、終了迫る「日下田正とエセル・メーレ」展に滑り込むには、もうこの日しかないと決行したわけです。実は益子ってどこだっけってって感覚だった。それどこ?雪は降っとらんと?
交通は、下手に新幹線とか使うより、バスの方がいいとわかった。しかしそれは午前中一本しかない。朝8時20分、秋葉原発。うちを出るのは余裕をみて、6時20分。チョイスはない。
それで、早起きして、久しぶりの高速バス。秋葉原から上野を通って、合羽橋。藍熊染料さんのお店の前を通って、雷門の提灯もチラリとみて、隅田川を渡る。アサヒビールの○○こビル。それからスカイツリー。常磐自動車道に乗って、さあ北へ。
2時間半くらいで、益子の陶芸メッセの入り口付近にバスは着いた。意気揚々、るんるんと歩み入ります。
日下田正さんの作品の感想を簡単に述べることはできないので、大きく印象的だったことを書きますが、何よりすごいのは、ご自分の世界観をキリッと構築され、それが形になり目の前にあるってこと。
やはり、糸の力がものすごいってこと。その糸はご自分で棉花の栽培からされ、棉を収穫し、藍染か草木染めで染め、または染めずに生成りのまま、カーディングして色を混ぜ、繊維を整え、糸に紡いで、それから、機準備をして織っている。買った糸、ましてや紡績の糸ではこうはいかん。さすが、作品から迫りくる、深い深い説得力がある。
日下田さん、この糸を益子木綿と名付けておられる。日下田木綿でもよさそうなもんだがと思ったが、さすが、できる人は謙虚なのだ。
綾織りで織っているものも、平織りのものも、糸が効いてて、語るのだ。この糸でなければ無理だし、益子でなければ無理だし、日下田さんでなければ、絶対にあり得ないのだ。
素晴らしい作家さんはみな、「私の方法」を確立して、それを昇華させている。日下田さん、もちろん然り。それが人の心を打つんだなと思った。
*写真は、陶芸美術館の入り口。藍染のれんに、白抜きの「日下田」がいいね。効いてるね。さすがだね。展示会の入り口にのれんって初めて見たかも。

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