吉田美保子の some ori ノート

109通目のメルマガ【八王子にて号】

2023.02.20

    

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*上の写真は森田さん。ご本人の写真、初めて撮らせていただきました。

 

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おはようございます。このところ暖かな日が続きますね。日も伸びて春らしさを感じます。お元気でお過ごしですか?

先日、八王子に行ってきました。東京の西側の、元は「糸へん」産業で大変に賑わい、日本のシルクロードの交差点だった街です。

八王子から、北に行くと養蚕が盛んだった群馬県や埼玉県、西に行くと製糸の岡谷、南に行くと貿易港の横浜、東に行くと大消費地の東京です。

「糸へん」は衰退の一途なのですが、まだまだこの街は魅力的なのです。

今日のメルマガは、この日のことです。よかったらお付き合いください。

《 目次 》

1.   久しぶりに森田さん

2.   見せてもらった!

3.   情熱だよ

4.   支えられて

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1.   久しぶりに森田さん

八王子に行った目的は、森田撚糸さんへ、先日宮坂製糸さんでひいてもらった生糸を持っていき、撚糸をお願いすることでした。

いつもは、撚りのタイプが決まっているので、宮坂さんから森田さんへ直送してもらって、撚糸してもらって、うちに送ってもらっていましたが、今回は、特別に作ってもらった糸があるので、直接相談したいと思ってのことでした。

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2.   見せてもらった!

森田さんに今回の糸をお見せして、宮坂製糸さんをお訪ねした話など、しばらく話し込んでいたら、「見ていく?」と言われ、工場内見せていただきました。えー!本当に!!やったー!

先代が、仕事場はむやみに見せるもんじゃないとおっしゃったそうで、今までは見せていただけなかったのでした。

感激しました。

古い木造の仕事場。四方がガラス窓で裸電球。自らよじ登って反動をつけて、モーターを回すと、天井のベルトが回り出し、あちこち連動して、音がしだして共鳴する。

なんか、うまく説明できないけど、宮崎駿の世界でした。

色々説明もしていただき、製糸された糸が、ここで、ボビンに巻かれ、合糸され、撚りがかけられ、やっとやっと使える糸になるんだと実感しました。

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3.   情熱だよ

今回の持っていた糸は、上州式の60中と300中と、銀河シルクの3種類。

60中は3種類に分けて撚りをかけていただくことは電話で依頼済みだったのだけど、300中と銀河シルクに対しては、一種類だけの撚り方でお願いしようと思っていました。

本当は試したい撚り方があるけど、あまり煩雑になると申し訳ないから。そんな量もないし。お支払いする代金が大した額ではないのは分かっているし(それでも私にしたら大きなお金だけど)。

モジモジしてたら、森田さんが、人を動かすのは情熱だよって言われて、、、、。

うわー、情熱だったら人一倍ありますけどいいのですか?。

で、情熱を込めてお願いし、結局、7種類の撚り方にしていただくことに。

感動した。こんな面倒なこと引き受けてもらって。撚ってもらった糸、最大限生かして、いい織物にしないと申し訳が立たない。

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4.   支えられて

今回、すごく思ったのだけど、今、機織りして着物を作ることができるのは、仕事として携わってくださるプロの方々のおかげ。養蚕農家さん、製糸屋さん、撚糸屋さん。仕上げを託すのもみんなプロ。

森田さんは、「自分は死ぬまで糸繋いで撚っているよ」っておっしゃってた。「仕事に対する自負はある」とも。仕事見てて、そうだと思う。頼りになるし、任せられるし、信じられる。

で、その糸を受け取った織り手が生きていられるのは、織った着物をお金を出して買って、着てくださる方々が居てくださるから。

着る方に、頼りになる、任せられる、信じられると思ってもらえるようなプロであらねばと思いました。

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ご感想、ご意見ございましたら、このメールに返信する形でお送りください。

これからも、some ori や、きものや、モノ作りを通して、あなたさまとご縁を育んでいきたいと思っております。

どうかよろしくお願いします。

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染織吉田 吉田美保子

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