さえさまの着物と帯になる山鹿の繭、宮坂さんで製糸してもらって、次は撚糸にまわします。
製糸も大事だけど、撚糸もものすごく大事。絹が織れるのは、製糸された糸に撚りがかかっているからです。撚り次第で、糸はガラリと変身します。どんな布になるかも、撚りで変わります。
今回、さえさまのご希望に応えるべく、通常だったら遠慮するような細かい頼み事あり、電話じゃ無理だと糸を抱いて、八王子の森田撚糸さんへ足を運びました。
おそるおそるしどろもどろで話す私に、「ヨシダさん、仕事は情熱だよ」とおっしゃっる森田さん。
そうか、そうだよな。勇気づけられ、もとい、衿を正して、熱を込めてお願いしなおしましたら、あっさりと、「いいですよ」と受けてくださった。
言ってみるものだ。仕事は情熱ということを改めて教えてくださる森田さん、本当にありがとうございます。熱を受け止めてくださるプロがいてくれてうれしい。
以下の写真が、森田さんから戻ってきた、さえさまのための糸。情熱のかたまり。
7種類の細かいロット。
以上が着物用にメインに使うスーッとした糸。上州式。合わせた本数と撚り回数を変えて3種類。
以上がざっくり太めに特別にひいてもらった糸。着物の風合い出しに使う。一部帯にも織り込む予定。甘撚りにしたものと、カバーリングしてもらったもの。
銀河シルク。帯の経糸にも緯糸にも使います。今回2種類に分けて撚ってもらいました。
森田さんから戻ってきた糸たち、着物に使う糸はさっそく精練します。
アルカリで炊いて、ゆっくり糸のベールを脱がせていく。その変化に毎度おどろく。
こうやって、さえさまの糸は揃ったのでした。
精練した糸たち。セリシンの膜を脱いでさっぱり、ぷりぷりしています。