吉田美保子の some ori ノート

122通目のメルマガ【糸つむぎ号】

2024.01.15

         

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2024年が始まりました。

いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

年明けから大変なことが続きますね。

このメルマガを読んでくださっている方の中にも、大変な目にあわれた方もいらっしゃるかもしれません。

まだまだお辛い状況と思います。心よりお見舞い申し上げます。

もう30年以上になりますが、能登半島をドライブしたことあります。

砂浜にハンドルを取られていたら地元の人が押してくれて助かったり。朝市でぶらぶら散歩したり。

宿のお膳の輪島塗りの素晴らしさに目を見張り、手に持つ感触や、唇が触れる柔らかさに驚いたり。

懐かしいいい思い出です。

多くの人が思いを寄せて、忘れずにいることが、復興につながると思っています。

2024年が、世界中のみんなにとって、平和で、健康で、優しい年でありますように。

《 目次 》

1.   吉倉ますみさん

2.   糸を紡ぐ

3.   ずり出しの着物

4.   ずり出しにチャレンジ

1.   吉倉ますみさん

松が取れない頃に、染織家の吉倉ますみさんの工房を訪ねました。

吉倉さんは、ご自分で作った独自の絹糸なども使って、主に着尺を織っていらっしゃる作家さんです。

最近私もモーター付きの鋳物の紡ぎ機を手に入れ、見よう見まねで紡ぎ糸を作るのですが、なかなか思うようにいかず、一度吉倉さんに教えていただきたいとお願いしての訪問でした。

染織にまつわることをいろいろお話ししながら、楽しい1日を過ごさせていただきました。

吉倉ますみさんのブログ http://breeze-09.cocolog-nifty.com/blog/

2.   糸を紡ぐ

「真綿紡ぎ糸」をどうやって作るか、ご存知でしょうか?

定義や作り方は産地によっていろいろなのですが、基本的には、繭を柔らかくして広げたもの(=真綿)から繊維を引き出して糸にします。

つむぎ機を使うと、軽い撚りがかかり、かつ、完全な手作業よりはハカがいっていいのですが、これが手に入らないのです。

昭和の一時期出回っていたものですが(新しくはずっと製造されてません)、私はそれを25年探していて、やっと昨年ご縁があって、修理をしてもらって、晴れて我が家にやってきたのでした。

それでおっかなびっくり、興味津々で使っているところなのです。

私がやっていたのと吉倉さんのやり方は似ているようで、細かく見ると、いろいろ違いました。

紡ぎ機を置く台の高さとか、目線とか、真綿を押さえる場所とか、糸を送り出すタイミングとか。

安定して長時間、淡々と続けることが大事なのだなあ。

これが、ものづくりの基本と思いました。


(紡いだ糸たち。一番上のはずり出し糸)

 

3.    ずり出しの着物

「ずり出し」という糸の作り方があります。真綿紡ぎと似ているのですが、違いは真綿にせず、煮たままの濡れた繭から糸を引き出して作ること。(これも地域によって定義や作り方は違うと思います。)
最も原始的な絹糸の作り方と言ってもいいのではないでしょうか。

ずっと気になってましたが、今までやったことはありませんでした。

吉倉さんは着物一反の緯糸、全てずり出しで織ったことがあるそうで、そのお着物を見せていただきました。

いい着物だなあ!ふっくらして、上品さとワイルドさが共存している感じ。さすがです。


(水分を含ませた繭。白いのが自分で育てた繭。緑色のは天蚕)

 

4.  ずり出しにチャレンジ

手元にあった、たった5粒の繭をw吉倉さんの工房へ持って行ってました。これを使って、ずり出しもやらせてもらいました。

繭をお湯につけて浸透させて、重曹を入れたお湯で煮て、柔らかくなったら、濡れたままの状態で軽くほぐします。

そうすると、一本一本の繊維の形が見えます。蚕が首振ったままの細かいウェーブがそのままなのです。

ほうっ!これが3デニールの蚕が吐いたままの絹糸か!

その繊維を引っ張るとズリっと引き出されてきます。
ウェーブした極細の糸がくっつきあい、ある程度の太さにまとまってくるので、それを太ももの上で、手のひらでこねるように撚りをかけ、そのまま床に置いたザルに落としていきます。
ザルには、豆やおはじきなどを入れて、絡まるのを防ぎます。

糸になった~

お蚕さんが作った繭が糸になる。そして布になる。
原始的なやり方になればなるほど、興味と面白みが深まります。

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これからも、some ori や、きものや、モノ作りを通して、あなたさまとご縁を育んでいきたいと思っております。

どうかよろしくお願いします。

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