吉田美保子の some ori ノート

糸を決めた。

2013.07.22

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森先生との電話を切ってから、糸決定に至る少し詳しいお話です。
糸選びは何より大事と思ってる。糸によって、まったく違う布になるから、「どんな着物」にしたいのかが見えて来ないと、糸は決められない。同時に、糸を選んで布を作ることこそ、織りをやる人間だけの特権。染めの作家さん、刺繍の作家さん、ごめんなさいね、おほほ。
その都度、その都度、織りたい布に合う糸を正しく選ぶ。糸の入手は、キモだと思ってる。自分の非力はよくよく分かっているので、頼りになる糸屋さんを味方に付けて、教えてもらったり、融通してもらったり。でも絹糸業界、すでに風前の灯火で、とても難しい点なんです。
今回の、アトリエ森繍の佐藤さんのお着物は、「白をきれいに見せること、明るく、きれいで、きちんとしていること」。さて、その糸は?
このご注文にピッタリ合う特別な糸が手元にちょうどありました。
一年ほど前に、懇意にしている前橋の糸屋さんに、「吉田さん、悪いこと言わないから、買っておきなさい。こんな糸、もう二度とでないよ」と勧められ、無理して買った、ぐんま200の生繭座繰り糸。
実はこの糸、太さ違いで、2種類譲り受けています。どちらにするかで筬目も決まるし、布の表情も違ってくる。佐藤さんは、袷になさるから、糸がのびのび呼吸するような感じで行きたい。(これは私の感覚の「のびのび」。単衣だと、丈夫さ重視で目を詰ませるから「のびのび」と言うより、キッチリ)それだったら太い方だね。(太いと言っても細いよ。240デニールくらい)
いよいよ満を持して、この糸の出番だね。
今回使う糸は、左の上から2番目に写ってます。

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