「きものも考えているのよ」おっしゃって下さったけむさま、それからしばらくして、メールをくださいました。
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「のしめ」の着物が欲しくて、ずいぶん探しているのだけれど見つかりません。
それで、「そうだわ、吉田さんに織っていただこう」と思うようになりました。
森康次先生ご注文のお着物、すてきですね。これにとても惹かれました。
でもヨコのずれがない、いさぎよい「のしめ」、色はうすいピンクと黄色と白。
座繰り糸も大好きですし、さらりと薄くすこし光沢のある紬も。
こんな訪問着に負けない着尺。ご相談を進めさせていただきたいです。
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なんと、うれしいメールでしょう!それこそ「生きててよかった」って思うくらいうれしいメールです。
「のしめ」って、「熨斗目」と書きます。ずいぶん難しい漢字ですよね。元々は、武士が裃(かみしも)の下に着る礼装用の着物です。室町時代に始まって、江戸時代に多く着られたみたい。お能や狂言でも、着ますね。
いずれにせよ男性のものでした。それが、いまは、おしゃれに敏感な女性に着られています。
ちなみに上の写真が、のしめといわれてすぐに頭に浮かぶもの。こういう風に、きものの上下が無地で、中央部分は別の色で格子などになっています。現代ののしめは、これに限らないのですけどね。
さあ、けむさま、どうしましょう。
文中にある、森康次先生からのご注文というのは、こちらの着物です。これは、森先生からじきじきにご注文いただき、制作中には電話やメールでやり取りさせていただき、ずいぶん勉強させていただきました。
「この着物はね、白を美しく見せたいんよ。」とおっしゃる森先生の口調をいまもはっきり覚えてます。それで、自分がやるべきことが、パキッと分かりました。
今回、森先生から教えていただいたこと、総動員して挑みます。
けむさまとは、何度かのメールのやり取りし、打ち合わせのため我が家にお越し下さることになりました。