吉田美保子の some ori ノート

15通目のメルマガ【黄茶の染料号】

2018.05.25

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こんにちは。

五月も終盤、緑が濃くて、虫が飛んで、夕方いつまでも明るくて、初夏の様相となってきましたね。

お元気いらっしゃいますか?

最近、ずっと気になっていた染料のある「色」について調べました。

専門的になりますが、今日はそのことについて書こうと思います。よかったら、お付き合いください。

《 目次 》

1. 黄茶の染料

2. 教えを乞う

3. 染料店

4. ほんまもんの目利き市

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1. 黄茶の染料

私が絹糸を染めるのに使っている染料は、「酸性染料」です。染料はいろいろあるのですが、特に絹を染めるのには、この酸性染料が最適と思っています。色数が豊富で、混色が自由で、発色がきれいなところが長所です。

ところが、長年使っていて、自由に色が出せるはずなのに、困った色が一つあるなと思っていました。「黄色に寄った茶色が思った色と濃度にならない」のです。

長年の懸念でした。

赤茶系は思った色になるのですが、黄土色を含む黄色味の茶色は、染料を調合して色を作るのに大変難儀していたのです。

染料の仕入れ元も、田中直染料店と藍熊染料店の2社使ってますが、どちらで買ってもうまくいかず。田中直さんには思う色の商品がなく、藍熊さんには黄系の茶色はあるのですが、濃度が薄いのです。

どうしてもうまくいきません。

 

2. 教えを乞う

それで、解決するぞと決心して、教えを乞いました。一人でもんもんと悩んでいても解決しませんものね。

質問させていただいたのは、このsome ori 通信でも以前ご紹介した染太郎先生です。私、先生には絶対の信頼を寄せております。染めの神様!

ありがたいことにすぐにお返事いただいて、黄茶の色がないなら混色を試せと。

この混色、もちろん、今までもやってましたが、ごくごく薄めてやってみるというのが、染太郎先生のアドバイスでした。濃いと効果が見えにくいと。

絵皿にとって、10~20倍にも薄めるのです。それを筆先で、ごく少量から混色して行く。そして布に垂らしてみる。クマになれば均染剤を使う。

なるほど。すぐ実験です。

茶系2色と補色の緑系3色を少しずつ調合していきましたが、エンドレスで組み合わせがあります。結果、欲しい色そのものズバリではありませんが、「この傾向の色が欲しい」というまでは導くことができました。もっと粘ってやれば、きっと、ズバリが出せると思います。

 

3. 染料店

求める色は出せそうになりましたが、私の中のモヤモヤはまだ払拭されません。それは、なぜ、黄茶を染めるちょうどいい濃度の染料が売られてないの?という疑問です。

それで、発売元の藍熊さんと田中直さんに電話して、聞いて見ました。

その結果わかったのは、茶系の染料はもともと微妙で、黄茶の色素はとても薄いのだそうです。調合して作るのはすごく難しいものだってこと。黄色は特に要注意。それを分かって使いこなすしかない。

例えば、絵の具や顔料は、物質と物質が混ざって混色されるから目で見て分かるけど、染料はそこのところがちょっと違って、繊維に染みていって初めて着色される。

むー。

染料への探求はまだまだ続きます。

 

4、ほんまもんの目利き市

善林英恵さんとコラボで作っている鞄が、この度、京都で初お目見えです!

「ほんまもんの目利き市」と銘打ったフリーマーケットに展示スペースを設けてくださることになりました。

A4サイズが入る、カジュアル着物にあう鞄。もちろん洋服にも大活躍。ぜひ手にとってご覧ください。

5月27日日曜日、京都上京区笹屋町で、1日限りですので、関西にお住いの方はもちろん、この日、京都にお出かけになる方も、どうかお見逃しなく。

詳細は以下のブログをご覧ください。

http://www.someoriyoshida.com/blog

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きものと帯の注文制作

染織吉田 吉田美保子
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