*こちらは、メルマガ《 some ori 通信 》の配信記録です。
*写真は最後の2枚を除き、この富岡ツアーを企画してくださった「トシさん」にご提供いただいたものです。
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残暑お見舞い申し上げます。
もう9月も下旬なのに、ものすごい暑さですね。お身体、大丈夫でしょうか?
夏の太陽は高く、頭の上から降り注ぐ感じですが、秋はグッと下がり、斜めから強烈に刺してきて、夏とは違った疲弊を感じます。
なんというか、、、シミになりそうな日差し。
室内にも容赦なく刺さってくるので、昼間は南側のカーテンを厚く閉ざし、室温が上がらないようにしています。
夏は明るい暑さで、初秋は暗い暑さ、、、なかなか厳しいですが、もうちょっとで本当の秋と思って、乗り切りましょう!
今日のメルマガは、先日、群馬県の富岡に行った時のことです。お付き合いください。
《 目次 》
1. 富岡日記
2. みさちゃん
3. 富岡製糸場
4. 富岡後記
1. 富岡日記
群馬県富岡市にある、旧官営富岡製糸場は、近代日本史の重要なポイントで、明治の殖産工業の立役者。絹織物を生業とする私には一度は行きたいと思いつつ、これまで果たせていませんでした。
先日、参加しているコミュニティの方に誘っていただき、初めての訪問と相成りました。
電車の乗り継ぎが不安で、余裕を持って3時間かかる計算で家を出ました。
お供は「富岡日記」。富岡製糸場の「伝習工女」だった和田英さんの回想録です。
明治6年、幕末生まれの16歳の士族の娘さんが、キリッと志高く、興味津々で、製糸場でのあれこれや、周りの人々、食べ物のこと、具に観察しているの本で、めっぽう面白かったです。
当時の皇后陛下が行幸されたことは知識としては知ってましたが、ちょうどこの英さんがいた頃のことで、行幸当日のみならず、前日に女官が下見にきた時のことも詳しく書いてます。
女官がおしろいを真っ白につけているのを、うちうちで笑ったと書いてあるのにはびっくり。そりゃ怒られるでしょと思ったら、やっぱりお達しがあったようで、、、
明治のティーンエイジャーの娘さんたちの様子に苦笑いしました。まさか150年たった今、「もー、笑っちゃダメじゃーん」と呆れられるとは、英さんも思っていなかったでしょう。
2. みさちゃん
この小旅行にご一緒したお一人が(ニックネームで)みさちゃん。
初対面の方だったのですが、事前情報で、群馬県の奥の方のご出身で、現在は都会に住んでいるとは知ってました。
駅で落ち合って、レンタカーに乗り込んで挨拶していると、、、、、
「私、養蚕農家の出身なんです」と。
え!
話には幾度となく聞いていた、養蚕大国群馬の、まさに養蚕農家で育った人と一緒の車に乗っている!
子どもだったみさちゃんは、蚕が桑を食むサワサワという雨降りの音で目覚めていたと。
大きくなったお蚕さんを、両腕ですくって、そのひんやり感を楽しんだと。
毛虫は嫌いだったけど、お蚕さんはすべすべしてて可愛いと思っていたと。
うわ〜〜〜!大感激!
みさちゃんのご実家は、その後いつの頃か養蚕をやめ、野菜を作るようになったとのこと。
こういうの、生き証人って言うんでしょうか?こちらが知識として知っていることを、生活の中で実体験した人がここにいる。すごいなー。びっくりだなー。
3. 富岡製糸場
さて、富岡製糸場につきました。
レンガ作りで、威風堂々でっかくて、当時は最先端のピッカピカだったでしょう。さっき読んだ英さんの身になり、武者ぶるいがしました。
ですが、今の目になると、そうとう辺鄙なところであり、今でこそ世界遺産ですが、養蚕が廃れてきた昭和の後期から平成時代は、さぞ寂しかったのではないかなと推察されました。
明治のころ、全国から若い娘さんたちが続々と集まり、若い国家を世界レベルに追いつかせようと、一生懸命働いていたのだというのが幻のようです。
突然大雨に降られたり、雷が鳴ったりして、ちょっと感覚がクラクラしました。今が、英さんがいた明治時代か、みさちゃんや私が子どもだった昭和中期か、それとも令和なのか、なんだかわからなくなりました。
4. 富岡後記
高崎駅で解散して、私は一人新幹線で大宮に出て、埼京線に乗り換えたら、事故で立ち往生してしまいました。
ちょうどいい時間ができたと富岡日記の続きの「富岡後記」と「解説」を読みながら、運転再開を待ちます。
富岡後記は、和田英が、富岡から故郷の長野に帰ってから、地元の製糸場の立ち上げに指導者として関わったときの話です。
(谷根千で有名な)森まゆみさんの解説もなかなかに詳しくて、丁寧に取材されたのだろうなあ、さすがだなあって思って引き込まれて読んでましたら、やっと電車が動き、神奈川のうちにたどり着いた時は、タイムスリップから帰ってきたような気がしました。
染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》129通目のメルマガ【富岡日記号】をお読みいただき、どうもありがとうございました。
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染織吉田 吉田美保子