吉田美保子の some ori ノート

織ってます

2013.08.21

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アトリエ森繍さまの佐藤さんのお着物、佳境を迎えております。写真は、上前の裾から一尺あたり。ひざのちょっと下。
上前の裾から二尺くらいまでは、とても目立つ部分です。緊張しつつも、伸びやかに行こう!
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計画通りに織るのですか、24丁の杼のうちどれを選ぶかは、ちょっとしたアイディアや即興や気持ちによります。
例えば、地の黄色を織っていても、それが目立つ場所か、あるいは目立たせたくない場所か。
裾の方からご説明いたしますと、裾を織るとき選ぶ糸は、ズバリ軽く薄めの糸です。って同じ地の黄色の中からチョイスするのだから、ほとんど変わらないのだけど、でもやっぱり違うのです。気持ちの違いかもしれないけど、それは着物になったときの着姿に影響すると思っている。
例えば、裾には、節はなるべく入れないようにしています。そこに人の目を集めたくない。重力のない印象にしたいのです。ボテッとしないは、大事と思ってます。
裾の上に目を移しますと、そこは見せ場と言われる部分。上前の身頃、衽には、特に力をこめます。他の部分を織ってても、緯糸にいい節が出てくると取って置いて使ったり。バランスの比重を大きく、大きく。
その上は、お尻ですので、目立たせません。でも、丈夫さは一番必要。後ろ身頃の話だけど。それで、糸も少々太目を詰めて入れ、しっかりしっかり、一越一越。
その上は、おはしょりと揚げ、何より帯の下だし、何重にもなるところ。じゃまにならないよう、すっきり淡々と。でも、ここは、佐藤さんの体のど真ん中です。大切に大切に包み守る。見えない所だけど、大事なのです。
その上は、前身頃の話だけど、胸のあたりで、これまた見せ場。お顔の近くだから、特にきれいに。衿もそうね。輝く糸を意識して入れる。お顔がパーッと輝くように。
「なんだか、元気になるのよね。自信も持てるし。この着物、着てるとね。」って、いつか、佐藤さんが思ってくれたら本望だ。

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