*こちらは、メルマガ《 some ori 通信 》の配信記録です。
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染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》にご登録いただき、ありがとうございます。
70通目のメルマガ【白から延期号】をお届けいたします。
おはようございます。
お元気でいらっしゃいますか?
関東地方はお湿りがあって、ちょっとホッとしましたね。
今日はひとつ、お知らせがあります。
4月9日から開催予定しておりました「白からはじめる染しごと」展が延期になりました。
メンバーみんなで話し合いをして、今の世の中の状況をかんがみ、染めを仕事とする我らがどうアクションするのが、社会や、お客様や、関わってくださる方々みんなにとって最適なのかと、意見を出し合い決めました。
私はここに照準あわせて、制作してきましたので、ガックリきましたが、世の中に喜ばれなければ意味ないと、気持ちを切りかえ、制作にはげんでます。年賀状に会期をしっかりと刷り込みお誘いしましたので、あわわわわわ、どうしようと焦っております。
転んでもタダでは起きないぞ!
(上の写真はオンライン会議の様子です)
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《 目次 》
1. 展示会期延期のお知らせ
2. ONLY ONLY みりさま
3. 蚕から糸へ、糸から着物へ
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1. 展示会期延期のお知らせ(会の公式FBに発表された文章です)
「白からはじめる染しごと」を心に留めてくださっている皆さま。
いつもありがとうございます。
そして、本年もメンバー一同、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、本日は改めてのお知らせがございます。
2021年が明けて早20日余が過ぎました。
かねてよりお知らせしてまいりました4月初旬の展示開催に向けて、1年越しで会議をしながら準備を進めておりました。
が、緊急事態宣言も再び出された中、全員で話し合いを重ね、大塚文庫様を会場にしての展示は、現時点では難しいのではないか、という結論に至り、会期の延期をすることとなりました。
まずは健康と安全を第一に、晴れてお目にかかって心置きなく作品をご覧いただける日を楽しみに、各々制作に励んでまいります。
また展示会期、場所などが決定次第、こちらでお知らせさせていただきますので、変わらず見守って下さいましたら嬉しいです。
今後制作状況などもこちらから発信していきたいと思いますし、個人ページもご覧下さいましたら嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2. ONLY ONLY みりさま
完全注文制作ONLY ONLY は、「みりさま」ストーリーとして、スタートしております。
みりさま、アートなお襦袢キャンディ・キャンディをご所望です。
今回のスペシャルは、なんと、生地を特注してしまったことです。
元々、染織吉田の襦袢地は、丹後の機屋さんにお願いして作っているオリジナルなのですが、それをさらにカスタマイズし、みりさま用に織ってもらったという、特注の中の特注という展開です。
ブログはまだ書いている途中ですが、進行を楽しみにお読みいただければと思います。
https://www.someoriyoshida.com/category/only-only-注文制作/みりさま
3. 蚕から糸へ、糸から着物へ
「蚕から糸へ、糸から着物へ」プロジェクト、日々、少しずつ進んでいます。
今は経糸を巻いているところです。
作業の様子を、インスタやFBでライブ配信しておりますが、このメルマガを読んでいらっしゃる方にもぜひ見ていただきたいと、いくつかYouTubeにしましたので、よかったらご覧ください。
経糸を小綛に分けているところ
ふのりを作っているところ
染めているところ(白)
染めているところ(青)
糊をつけ終わって干しているところ
糸を巻いているところ
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染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》70通目のメルマガ【白から延期号】をお読みいただき、どうもありがとうございました。
ご感想、ご意見ございましたら、このメールに返信する形でお送りください。
配信停止をご希望の方は、タイトルを「配信停止」として、このメールをそのまま返信してください。
これからも、some ori や、きものや、モノ作りを通して、あなたさまとご縁を育んでいきたいと思っております。
どうかよろしくお願いします。
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きものと帯の注文制作
染織吉田 吉田美保子
我が家に、めっちゃきれいな、ツヤツヤの、ピカピカの、プルプルの、ふんわりの、生き生きとした絹糸がやってきました。
ね、すごいでしょ。
めっちゃきれいでしょ。それに生きものって感じします。
この糸は、熊本県山鹿市の養蚕農家、花井雅美さんが育てた蚕を、埼玉県で座繰りをしている中島愛さんが生繭から糸にしてくれたものです。
花井さんの養蚕も、中島さんの座繰りも、ひとつひとつの工程への誠心誠意さが素晴らしくて、深すぎて、面白すぎて、ここにうまいこと書けません。
着物ライターの安達絵里子さんが、丁寧に取材してくださってますので、いずれ安達さんによる文章をご紹介できると思います。それをお待ちくださいね。
今は、ただただ、美しい糸がやってきたよってことをここに記します。
私はこれから、この糸で、着物を一反織ります。
4月に開催される「白からはじめる染めしごと」展に出品します。どうか観にきてくださいね。
会期:2021年4月9日(金)〜11日(日)
会場:大塚文庫(東京・自由が丘)
「白からはじめる染しごと」展のことを、個人的なふりかえり記録として残しておこうと思います。会としての記録は、フェイスブックにページがありますので、そちらを見てくださいね。
場所は、自由が丘の「大塚文庫」。地下、一階、二階をお借りしての大きな展示会となりました。
会期は、202o年の3月20日(祝・金)の〜22日(日)まで。玄関で出迎えるのは、水橋さおりさん作訪問着と小林知久佐さん作九寸帯。
テーマは「海」。メンバーが一本ずつ、海の帯をつくりました。
「海の巻」なのです。
会場にて。
中央左の帯は、鈴木和美さん作「夏の譜」。右は吉田美保子作「ウルトラマリン」。
一階の回廊部分には、着尺と帯のコーディネートが並びます。
ずらーっと壮観。見ごたえ充分。
マネキンに着付けてのコーディネート展示も。こちらは、名古屋帯 (小林 知久佐さん作)、帯締 ( 江戸組紐中村正)、付下訪問着「藻の森」(クワバラマキコさん作)。
人気ブログ「きものカンタービレ」の朝香沙都子さんをかこんで。
朝香さん、2日間もお越しくださり、3回もブログに書いてくださったのですよ!
ぜひ、ご覧ください。1、2、3
そして、お求めいただいた帯を締めて、4回目も!
小林さんがお勧めしてくださっているのは、
八寸名古屋帯「三角のマーチ・かろやかに」吉田美保子作
小林さんは、メンバーに「大将」「師匠」と慕われているのですが、高い技術をみんなに惜しみなく教えてくれるだけでなく、こうやって、みんなの作品をいいところを見つけ、お客様にお勧めもしてくださいます。
さすが大将!こういうところも見習いたいです。
こちらは地下の会場です。
壁一面に、それぞれの仕事の工程のパネル展示。
着物の構成についても、図解と実物を展示しました。着物ってすごく考えられているのね〜ってお分かりいただけたかと思います。
中央のテーブルには、染めと織りの道具とさまざまな種類の絹糸の展示です。
大橋さやかさん。自作とともに。
左はクワバラマキコさん作名古屋帯「祥の雲」。中が大橋さやかさん作。右の帯が吉田作の八寸帯「イエローフラワー」。
では階段を上がって、お二階へ。こちらは、 坂井三智子さん作、名古屋帯「アンジェラ」。
この方が坂井三智子さん。
二階には、それぞれ染めた、色とりどりの帯あげを展示。選び放題です。
帯締めは、中村正の中村航太さんが、出店協力してくださいました。中村さん、なんと次回からは正式メンバーになってくださるですよ!
吉田の「アートな帯あげ CANDY CANDY キャンディ・キャンディ」も並びます。
はい、そしてみんなで丹後ポーズ。
「白からはじめる染しごと」展はこれからも続きます。来年に向け、すでに話し合いを重ねてます。どうかお楽しみになさってくださいね。
第二回「白からはじめる染しごと」〜輪 (rin)の巻〜
会期 2021年4月9日(金)〜11日(日)
会場 大塚文庫(東京・自由が丘)
「白からはじめる染しごと」展のことをブログに書き留めておきたいと思います。
まずはそのときに作ったテーマ帯の話。
「白からはじめる染しごと」とは、われわれ作り手は、何もないまっさらな、白い糸や白生地に、さまざまな仕事を重ねて、帯や着物を作るのよって、工程ごとお伝えしようという展示会です。
今回のテーマは「海」。
9名の染色家、染織家が、それぞれの「海」にいどみます。
私は、荒ぶる海と静寂の海。両方を表現したいと思いました。
新しいチャレンジもたくさん入れたい。グレーの部分は、ぼかし染めにしました。
ヨコ糸は、カベ糸です。
カベ糸とは、撚りが特別な絹糸です。芯にした細い絹糸に、強めの撚りをかけた絹糸をそわせて、上撚りをかけます。普通の絹糸とは風合いがガラッと変わります。今回、糸を撚糸屋さんに持ち込み、回転数など相談し、特別に作ってもらいました。
その糸を巻いて、試し織りして感触を確かめます。糸を生かさねば。
結果、カベ糸だけでは重くなるし、ツヤもでないなと、いわゆる絹糸らしい絹糸と交互に入れることにしました。
ふう、間に合った。上の写真は織りあがって、蒸したあと、水元して、伸子を張って、仕上げているところです。
こちらが、本番。「白からはじめる染しごと」展のメイン会場です。
私、この帯を「ウルトラマリン」と名付けました。
海の深い青がよく表現できたと思ったからです。
青い部分は、波がうねり、激しくぶつかり合い、
グレーの部分は、打って変わって、ピタリと凪ぐ。
そんな、嵐と凪。動と静。
ブルーのところと、グレーのところは、織り方も違えました。
ブルーのところは、綾の方向をジグザクで変えています。糸もほんのちょっとだけ変えてます。グレーはずーっと同じ方向。糸も変えずに静寂を表現。
染めと織り方と糸とで、動と静を表現しました。
ブルーのところ、ジグザグな織り方、お分かりいただけると思います。糸も違うの分かっていただけると思います。
ミソは、境目です。真っ白が3越だけ入ってます。
グレーの方はだんだん白くなり、ブルーの方はいきなり変わります。
この帯のことは、制作中の時から、SNSに載せてました。感じのよいコメントくださる方がいらしてうれしいなあと思っていましたら、、、
メッセージをやりとりするようになり、詳しくご説明したり、いくつかのご質問に答えたり、奇遇なつながりによろこんだりし。。。。
ご縁がつながり、なんと締めていただけることになりました!
お仕立てもご希望をうけたまわり、宅配便でお届け。
そういたしましたら、さっそく締めてくださり、写真も送ってくださいました!
ありがとうございます。お似合いでうれしいです。こんな方に締めて欲しいなってイメージにぴったりです。
このコーディネートですと、春の穏やかな海ですね。そよそよと海風ふいてきそうです。
いいなあ。うれしいなあ。実は、この方と私、SNS上だけのお付き合いで、お会いしたことはありません。でもなんだかとっても近しく感じます。
「ウルトラマリン」、よかったね。ここでしっかりがんばるんだよ。
あ、濃い色のお着物にもいいですね。
私が作ったウルトラマリンが、こうやってご縁いただき、大事にしてもらって、このお方をますます輝かせていく。これこそが作り手冥利です。本当にどうもありがとうございました。
「白からはじめる染めしごと」展のことは、もうちょっと書きたいので、また読んでくださいね。