うれしいうれしいメールが届きました。もゆさまが帯を結んでくださったのです。
いやはや、ぽぅーっと見惚れてしまいます。帯も出番だぞとよろこんで、はりきってますね。
帯がもゆさまにぴたりと寄り添い、凛としたお人柄を際立たせているようです。よかった。これぞ本望です。
おタイコには瑠璃色だけでなく、色めを変えたブルーを重ねたのもよかったように思います。
織ったものが持ち主の方に愛され、活躍の場を与えられる。作り手として、こんなにうれしいことはありません。
もゆさま、この度は本当にどうもありがとうございました。末長く、この子をどうかよろしくお願いします。
もゆさまのONLY ONLY、さあ、織り上がりました。
仕上げの蒸し、水元、湯のしは外注に出します。
蒸すと発色がよくなって、渾身の瑠璃色が冴えます。湯のしをすると絹がもっとツヤツヤになります。戻りましたら、最終の検反。
緯糸にこっそり入れた銀糸もチラリ。よしよし。いい感じ。
それからお仕立てへ。
仕立て上がりを届けてくれた仕立て師さんに「いい帯ですね」って褒められました。普段、余計なこと言わない業者さんに褒められると、心の中で「やった!」と思います。
さてさて、箱に収めてもゆさまの元へ。
「瑠璃のギザギザ」と命名しよう。パキッとした瑠璃色に想いを寄せて。
行ってらっしゃい。可愛がってもらうんだよ。
まもなく、もゆさまからメールが届きました。うれしい、うれしいメールでした。ひと仕事が無事に終わった、喜んでいただけたという満足感。ふぅ。
もゆさま、本当にどうもありがとうございました。おかげでいい仕事ができました。下に、もゆさまからのメール、感謝をこめてご紹介させていただきます。
帯が手元に届きました。
送っていただいた写真以上に素敵で、爽やかな瑠璃色は思い描いていた色の通りでした。
銀糸が上品に輝きを添えていて、これから初夏に向かう陽光にきらめくさまが頭に浮かびました。
この帯を締めて出かけるのが楽しみです。素敵な帯をありがとうございました!
さて、もゆさまの帯、ブラッシングカラーズが終わりました。
そういたしましたら、仮織をほどいて、経糸を緒巻きに巻き直します。緯糸を染めて、小管に巻いて、、、
ひたすら織ります。
もゆさまにメールいたしましたら、以下のようなお返事が!疲れが吹っ飛びます。
今回、緯糸は3種類を持ち替えながら織り込みます。艶のある絹糸とハリのある壁糸、キラリと光る銀糸。
織り方は「しずはた織」です。今のところ、八寸帯に最適と思っています。
もゆさま、もうすぐです。
さてさて、もゆさまとデザインの合意が取れましたので、いよいよ本番です。
上の写真は、染料の一色目を染めているところです。
この前に、経糸を準備して、機にかけて、仮織して、伸ばして、地入れして、染料を最終的に調整して、デザインを青花で写してっていう工程があります。
さあ、染めが進んできました。
上の写真は、白場に地染めをしたところです。柔らかくきれいな軽めのグレーです。
ここにも、もゆさまのお望みの「透明感、澄んだ色、春から初夏の陽の光」のイメージを込めました。
動画、インスタライブした時ので、タテ位置ですが、よかったらご覧ください。(1分45秒)
もゆさまからのご希望メールを受け、瑠璃色にさらにフォーカスすることにしました。エメラルドやターコイズはやめといて、ラピスラズリ一択です。
透明感、澄んだ色、春から初夏の陽の光。うん、あまりごちゃごちゃしない方がいいな。
さらにメールのやりとりは続きます。
「黄味がかった、緑のように見える青が、自分では選ばない色で、このままで良いような、何か他の色の方がいいようなと少し悩んでいるところです。でも自分では選ばない色だからこそ面白いということもあり。なんとも決められなくてすみません。」
いえいえ、了解です。なんでもおっしゃっていただくと、私としても緒(いとぐち)が見つけやすいです。
それで私が考えた案は、お太鼓の柄には、一部に緑の青も渋めに入れて、前帯には、瑠璃色の濃淡でスッキリとさせること。
そうすれば、お太鼓の方は、色の幅がでて面白みがあり、前帯側は、お好きな色だけでお顔写りいいように、かつ、帯締め、帯揚げ、などで遊べるように。
私の提案は、すんなり取り入れられ、GOサイン。
さてさて、手を動かす段階です。
試し染めを、織って、蒸して、仕上げて、着物の上に乗せてみます。緯糸は、途中で使い方を少々、変えてます。銀糸も織り込んだりして。何が最適かを探るのです。
ふむ。瑠璃色が効いている。ターコイズもきれい。
もゆさま、宝石のような帯、似合いそう。エメラルドもいいな。妄想が広がります。
図面にも落とし込み、もゆさまにメールでお見せします。
しばらくして、もゆさまからのお返事。
よっしゃ!その方向で参りましょう!矛盾とか考えなくていいですよ。「瑠璃色の透明感や澄んだ感じ」「春から初夏の陽の光」、両方、感じる帯にしましょう。
もゆさまストーリーのつづきです。
もゆさまとお会いできた興奮も冷めやらないうちに展示会も無事終わり、少し落ち着いたころから、私はじょじょに制作へシフトし始めました。
もゆさま、華やかなイメージですので、絹らしい艶めきが欲しいね。すごいいい糸、買っちゃおう。
あと、デザインは前回のをだいたい踏襲するけど、色はいろいろ試したいね。試しに染料を作って、試し織りをしよう。
もゆさまにご提案するにも、その材料がいるのです。雲をつかむような話でなく、目の前に実物をお見せして、もゆさまと私、二人で旅し、好きな世界を模索する感じ。ナビゲーターを務めます。
まずは、柔軟に。なんでもやってみよう。前回のコピーにならないように。新しく切り拓くために。もゆさまに一番似合う一本を作るために。
昨年の10月31日から11月3日、私は、神楽坂で「あわせ」という二人展をやりました。今思えば、感染症がちょっと収まってて、外出もそんなに臆することもなくという、ありがたい時期でした。
3日目の昼過ぎ、 会場に、急にきらきらした光の粒がふってきて、ふわっと心地よい風が吹いたような気がしたら、、、、小柄でおしゃれな方が、現れました。
それが、初めて会う、もゆさまでした。
まあ、なんと。はじめまして。もゆさま、東京でのお仕事の合間にお越しくださったのでした。
ゆっくり会場で作品を見ていただいて、、、、
もゆさま、この展示会のメイン作品「バンブーフェンス」を気に入ってくださったのですが、そこに使われていた一色に、とても惹かれると。これがメインならもっとよかったと。
まあそれでしたら、この「瑠璃色」をメインにONLY ONLYでお作りしますよ、と相成りました。
新しいONLYONLYのストーリーをはじめましょう。今回のヒロインは「もゆさま」です。
お出会いのきっかけは、昨年2020年の2月に、私のサイトのお問い合わせからいただいたメッセージでした。
メッセージの内容は、オリジナルで、着物や帯を作りたいとのこと。華やかなパーティーやお集まりでお着物をお召しになることが多いとのことで、そこで、ご自分の個性を生かしてくれる着物や帯をまといたいと。
なるほど、それ、ぜひ作らせていただきたいです。詳しくお話を伺いましょう。できれば会いたい。無理ならメールで詳しく。
もゆさまのお住まいは、関東からは遠く離れていますが、出張が多いそうで、東京にもしょっちゅうお越しとのこと。お会いするのはそう難しくないように思われたのですが、、、、、、
みなさまご存知の通り、この後、世界中が大騒ぎになって、お会いする計画は一時頓挫しました。
しかし、もゆさま、この間に、お着物をお召しの写真をたくさん送ってくださって、イメージを膨らますのにたいへん役に立ちました。いただいたメールに「今までの好みや古典的な合わせに引きずられ、、、」と書かれてましたが、なるほど、このままですごくきれいだけど、それを越えて新しいご自分を発見したいのかなと思いました。
*上の画像は、その後、私はもゆさまのイメージを膨らますのに使った画像検索のスクショ。