吉田美保子の some ori ノート

さえさま物語2

2023.06.01

 

さえさま物語の2話目です。

さえさまのご希望は、熊本の山鹿で育った蚕で、着物と帯を作ること。布の風合いは、ツルツルピカピカではなくて、ざっくりとした手触りがあること。

繭のことは、さえさまからお話もらってすぐに養蚕農家の花井雅美さんにお願いして、2022年の春蚕を特別にキープしてもらってました。

同時に、糸づくりについては、長野県岡谷市の宮坂製糸の社長、高橋耕一さんに電話して、相談に乗ってもらいました。

そしていよいよ製糸していただく日に、花井さんと二人で糸くりの様子を、宮坂製糸さんに見せていただきに出かけました。

織物は糸で決まります。糸は繭で決まります。

花井さんの愛情たっぷりで育った山鹿の繭を、さえさまのご希望にそうように、高橋さんの指示で、糸のひき方を変えて着物用に2種類、帯用に1種類にしてもらいました。

10kgの繭は乾燥させて約4.7kgになり、その繭を製糸すると約2kgになり、撚糸をへて、精練というタンパク質を取り除く作業をすると1.6kgくらいになります。

10kgってたくさんのような感じがしますが、着物と帯になる部分はたった1.6kgなのです。一層大事に余すところなく織らねばと思いました。

宮坂製糸所

お蚕ファーム

 

さえさま物語1

2023.05.15

 

新しいONLY ONLYをはじめます。今回のヒロインは「さえさま」です。

「いつか、着物と帯を、山鹿の蚕で、ヨシダに織ってもらうのが夢」とずっとおっしゃっていただいてました。

さえさまと私は古い友人で、一昨年、私が熊本の山鹿の蚕で着物を作った時、いつか自分もと思われたのです。

それが満を持して、いよいよ動き出しました。今回のストーリーは、その夢を実現させるまでの物語です。

まずはじっくりお話を聞きます。ちょうど一年位前、水天宮のホテルのラウンジでお会いしました。

さえさま、夢に描くイメージは、ふるさとの阿蘇に広がるススキ野原とおっしゃいます。同郷ですからよく分かります。あの清々しさ、雄大な大地に吹き渡るそよ風。

が、、、ふむ〜、ススキ野原、、、着物のイメージとしては大変難しいです。つかみどころが無さすぎる、、、この日はお話を聞くだけでお開きとなりました。

その後さえさま、ご自分でネット検索されて、カラー診断を申し込まれました。人伝の紹介などではなく直感的に。行動力に感服です。

当日は私もお付き合いすることに。

お願いしたのは、ゆき和さん。
こんな言い方は適切ではないと思いますが、これが大当たり。色のこと、着物のこと、着方や素材のことまで熟知していらっしゃって、惜しげもなく湧き出るように伝えてくださいます。知っているからこその自由さや、臨機応変さがあります。
我々との相性もバッチリで、和気藹々と濃密な時間を過ごし、すっかり仲間になりました。

ゆき和さんによる、最終的な診断結果は「苅安色」。

か、か、苅安!!苅安はススキの仲間、見かけはススキそっくりです。ここで、阿蘇のススキ野原と繋がるとは心底驚きました!

さえさまとゆき和さんと私、ススキの野原の大草原を三人で冒険するように、物語を紡いで行くことになるのです。

ゆき和さんのサイト

ゆき和さんが書いてくれたこの日のこと 

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