うわぁ!なんと美しいのでしょう!美しすぎてため息が出そうです。
画家の朋百香さんです。京都で開催されていた個展会場でのお写真を送ってくださいました。個展のレセプションで、ONLY ONLYでお作りした帯、締めてくださったのですよ。
さすが、ぴたりとお似合いですね。朋百香さんの絵を元に織った帯だから、当たり前かもしれないけど、周りの作品や会場の雰囲気と溶けあって、朋百香さんの世界がふんわりと完成しています。
鱗紋の大きさとか、色のバランスとか、よかったよね。締めていただいて完結ですので、お姿の写真いただき、本当に安堵しました。
合わせていただいているお着物は八丈織だそうです。朋百香さん、お忙しい個展会期中、帯と着物に守られていたように感じたって。うふ、うれしいエピソードね。
個展は大成功だったそうです。私は残念ながら出かけられず、画集を拝見したのですが、墨と絵の具の自由なこと。すばらしいです。本物拝見たかったなあ。
朋百香さんのサイト→☆
この帯のメイキングストーリーは、こちらから→☆(スクロールして、時間をさかのぼってご覧ください)
さあ、完成しました。朋百香さまの原画を元にして織った、鱗紋の帯です。
おタイコ。
前帯。
おタイコと前帯。
ズームアップ。
朋百香さまの原画と並べて。
朋百香さまは、「絵と織りは表現方法が違うのだから、そっくりにならなくていいのよ」っておっしゃってくださったけど、原画がとても素晴らしいので、可能な限り、踏襲しようと思いました。
もちろん、そっくりそのままとは行かなかったけど、「朋百香さまの絵の、凛とした美しさ」は写せたと思っています。
そうであれば、目的は果たせたかな。朋百香さま、そのものだしね。
お手紙書いて、糸見本を作ります。
さあ、朋百香さまのところで、しっかりね。
朋百香さまの帯のONLY ONLY、仕上げの様子です。
上の写真は、蒸しと水元をした後、伸子張りしているところ。今回、ヨコ糸を数種類混ぜて使っていることと、平織りと綾織を両方入れていることで、収縮率が違うので、伸子の間隔、狭めです。びっしり張って、布の幅を整えます。
さあ張れたよ。
布の収縮率、気にしていたけど、自然な感じになりました。ああよかった。
裏がこんな感じ。
乾いたら、湯のしに出して、お納めです。
朋百香さまのONLY ONLY、織りの本番、水面下で進んでおります。
デザインも、色も、糸も、すべて決まっておりますが、何回も確認して、準備を整え、深呼吸して、いざ。本番を織る日々は緊張の毎日。
ヨコ糸は、16種類。杼に名前をつけて、使い分けます。
柳川千秋さんに撮っていただいた上の写真、朋百香さまの帯のタテ糸です。ぐんま200という繭からひいた糸です。本当にきれいな糸です。
朋百香さまのONLY ONLY、2回目の試し織りができましたので、早速、長平庵にお持ちして観ていただきました。
1回目で問題になったところは対処していたこともあったけど、すぐにほぼほぼオッケーとなり本当にホッとしました。朋百香さまの目指すところ、まずは外すことなく体現できているな。
試しで織ったところは、おタイコ柄なので、前帯の柄は、図面を描いて持って行きましたが(下の写真)、これは少々変更となりました。鱗紋以外の部分を、まんべんなく間延びさせようと思っていたのですが(おタイコ部分は、見えるところは八寸、それに対して、前帯部分は、一尺ほど見えるのです)、中央部分は、間延びさせないでとのこと。
そっか、そこまでが、ひとくくりなんだ。そっか、、、、気付かなかった。浅慮でした。今わかってよかった。
私が気にしている、収縮率の違う糸を混ぜることによってできる小じわ、朋百香さまは、「自然でいいんじゃない?」とおっしゃいます。そうなのよね、いいっちゃあいいんです。気にしすぎると、思い切ったことできません。「これこそ、織りでなきゃできないことよね。」とも。おお、なんと言う理解者。よし、全体として、朋百香さまの世界観を表現できる方を取ろう。
もう一回詰めて、立て直しして、本番だ!
朋百香さまとお会いすると、いつもインスピレーションがうずきます。この日も、「朋百香さまのイメージで作った鏡」を見せていただきました。とても美しく、凛としていて、確かに朋百香さまみたいです。はあ、こんな世界があるのねえ。。。
お部屋にあるエミール・ガレのランプも、すっごくなじんでいて、まるで普通のことのようです。
夢のような時間を過ごさせていただきました。
朋百香さま、この日のことをブログに書いて下さっています。→☆
朋百香さまのONLY ONLY 、1回目の打ち合わせを終え、さあ、目標は定まったぞ。あとは、フォーカスを絞っていく。
まず、下図の作り直し。
求める色もクリアになりましたので、ヨコ糸、新たに染め直します。
鱗紋を染めるブラッシングカラーズの染料も、調合し直します。2回目の試しは、このまま本番のつもりで、多めに作ります。
ヨコ糸をチョイスして、本番さながらに織っていきます。原画をしっかり観て、朋百香さまの表現を織り込めるように。
発見したけど、原画に忠実になればなるほど、絵としてのよさのみならず、織としてのよさも出るようだ。
織りあがったら、蒸して、水元。伸子張り。これも、本番とまったく同じで、やってみます。
朋百香さまのONLY ONLY、1回目の試しに取り掛かってすぐに、この路線でいいのかどうか、早めにクリアにしたいと思いました。もしも、私の読みが違っていて大幅変更なら、すぐに対処したい。
それで、急ではありましたが、朋百香さまにお時間を作っていただき、長平庵(朋百香さま所有のお屋敷)に、原画と試し織と原画のコピーなどなど、一式かかえて出かけました。
おじゃまします。
朋百香さま、きものをお召しで、迎えてくださり、うれしかったなあ。朝のお約束だったから、お忙しかったと思うんだ。それなのに、これから作る帯の打ち合わせのために、きものをお召しになって、待っていてくださった。
試し織り見ていただくと、第一声が、明るく、
「まあ、きれい」と。
おっ、ほぼほぼオッケーか?路線的には間違ってなかったか。そっか、それならよかった。変更の可能性もあると思ってた。
それでまずはほっとしながらも、もっとよくするための変更点はどこなのか、細かく探っていく。私としては、どこまで均整を取らせるかも、分かりたい。原画が和紙だから、マットな感じも出したいのよね。どうしますかね。
朋百香さま、こだわり所はしっかり突き詰めるけど、小さい所にはこだわらない感が、いいなと思った。多分、私、細かすぎるところまで、言及してたんだろうな。要所をおさえることが大事。
デザインの変更点は、柄のメインとなる鱗紋、中央の三段を、少々拡大させること。メリハリにもなるし、目線を持っていく意味でも、おすすめした。
ONLY ONLY 朋百香さまの帯、原画とタテ糸がそろいました。さ、それではいよいよ試し織です。
それに先立ち、、、、画家である朋百香さまが描かれた原画を、コピー(カラーもモノクロも)させていただきました。原画だと、ものさし当てるのも、はばかられますものね。
コピーの許可をいただくのに朋百香さまにメールしたとき、ご返信にすてきな言葉いただきました。
「織りには織りの良さがあると思っています。例えば原画と全く同じにならなくてもいいですので、あまり窮屈に考えずに原画のニュアンスを踏まえつつヨシダさんの感性で織ってください。」
ありがたいなあ。通じ合えるなあ。さすが画家さんだなあ。
それで、試し織りに取り組み始めたのですが、すぐに気づいたことは、「できるだけ、原画に忠実になるようにやってみよう」というものでした。原画の完成度が高いのです。それは、絵としても、帯としても。だから、変更を入れないほうが、いいものになるのではないか。
朋百香さまへは、原画を描かれる前に、帯の寸法とか、デザインのコツ(タイコは中央の少々上に目線がくるようにポイントを持っていくといいなど)はお伝えしていました。それもあってか、帯としてのバランスもいいのです。
よし。では、まずは可能な限り、忠実ラインをねらって1回目の試し織をしてみよう。その上で、織の特性で変えたほうがいいところがあれば、変えていこうと決心しました。
朋百香さまのONLY ONLY、タテ糸を作りましたよ。
朋百香さま、きれいな整った九寸帯をお望みです。紬のおきものに合わせるだけでなく、小紋にも合わせたいとのこと。では、思いっきり、きれいな織帯にいたしましょう。
いつもは、タテ糸も数種類の糸を混ぜて使って、表情豊かにするのが、常套手段なのですが、今回は、混ぜないことで、均質で上品な感じをねらいます。
タテ糸はブランド繭の「ぐんま200」にしました。やっぱ、光沢が違います。輝くのですよ。扱っていて、とても気持ちがいいのだ〜。
朋百香さまの帯の原画、3枚目の変わり市松で完成かと思いきや、やはり鱗紋をと、新たにもう一枚、描かれました。
うわー、ぐっと完成度が上がりましたね。さすが。それに帯らしくもなりました。バランス取れてますね。
シャープであり、華やかであり、朋百香さまご自身のようです。これで、メイン部分のデザインは決定ですね!
では、次に、テクスチャーの方を絞り込みたいです。過去に織った布地をたくさん持参しまして、その中から、朋百香さまが選ばれたのは、「ぐんま200」という国産繭で織った布。とても綺麗で艶のある、とても上等な絹らしい絹です。
了解しました。原画とも合ってますね。では、この糸でタテ糸をたてて、まずは、試し織をやってみますね。それをたたき台に、話を詰めていきましょう。
タロットの会で、朋百香さまにお会いしたのが6月のこと。そして、7月になると、原画を描いてみたと、早速メールくださいました。は、早い!(添付されていたのが上の写真)
帯の織り上がりは来春予定なので、原画は秋頃までにとお願いしてましたが、バンバンと前倒しされるのは、さすができる女です。
朋百香さま、織りの技術的なことや、デザイン的なことを、ポンポンと小気味好くご質問になります。原画は、帯の大きさに合わせて描いてくださるようお願いしましたので、イメージしやすく助かります。デザインについては、まだ悩まれているご様子もあり。
そして、8月はじめには、試し織りの第二弾の画像を送ってくださいました(上の写真)。おお、シックさが増しました。帯の原画を描くの、乗ってくださってるのが、伝わって来て、うれしくなります。
ご自分の好きな色や、年齢のことなどを考え、変えてみたとのこと。これは、おタイコ部分の図ですが、前帯部分や、たれ先、手先のデザインにも言及して行きます。
その数日後、もしかしたら、三角でなく四角の可能性もあるかもと連絡があり、あっという間に、もう一枚描かれました。変わり市松です。エメラルドとマスタードが効いています。大人しくはあるけれど、これはこれで、ありです。
しかし、この間、2週間足らずです。それで3枚、、、集中力、すごいなあ。
この話、続きます。原画、さらに発展するのですよ!
朋百香さま、タロットの会でお会いして、しばらくのち、メールをくださいました。写真が一枚添付されてます。
「帯、写真のような鱗紋は可能ですか」と。「もしこんな感じの鱗紋が可能なら、頭の中にあるイメージを図案化してお見せしたい」と。
そして、「希望の帯は、荒い感じの八寸帯ではなくて、柔らかい布で帯芯を入れて仕立てる九寸の帯」だと。
ほお、すでにイメージが立ち上ってる感じですね。さすがです。
鱗紋でしたら、三角ですので、3年前の個展「三角・吉田」の記憶がよみがえります。その時は八寸帯がメインでしたが、端正な糸で九寸帯をつくったこともあります。ブラッシングカラーズと綾織りを組み合わせて、柄を強調することもできます。
朋百香さまへのご返信に、私の過去作品の写真を添付して、ご説明しました。
*鱗紋(うろこもん)というのは、上の写真のような、びっしりとした三角の連なりです。魚や龍や蛇の鱗を連想させることから、鱗紋と呼ばれています。厄除けの意味もあるんですよ。この模様、弥生時代にはすでにあったらしい。単調でも、力強い意匠だものね。すごいね。
さあ、新たなONLY ONLY をはじめましょう。次なるヒロインは、画家の朋百香さま。お作りするのは帯です。
まだこのお話がモヤの中にあるときに、コラボ鞄のお話をいただいたので、そちら先にお作りしました。そして、今、満をじしてお顔を覗かせるのが、元々のご注文の帯のお話です。そして、何と言っても今回のご注目は、画家である朋百香さまの原画を帯に発展させようということです。
このお話はいつまでさかのぼればいいのでしょう?「いつか自分の作品を原画にした帯が欲しいわ」とはおっしゃっていただいてましたが、具体化したのは、、、、、?
去年の6月に、朋百香さまのタロットの会にお誘いいただきました。せっかく直にお会いできる機会だからと、私は織り見本を持参しました。朋百香さまは、墨の抽象画の作品を見せてくださいました。さあ、これをどう融合させて行くか。お楽しみです。
写真は、朋百香さまが原画を描かれた和のタロットカード。岩倉ミケさんが占ってくださいました。私が引いたらこんなの出ました。(色気がなくて強そう。。。。)