吉田美保子の some ori ノート

ふふさま、Breath for Spring

2015.06.02

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ふふさま、お久しぶりです!
昨年、5年の歳月を経て、only only で作らせていただいた、ふふさまの九寸帯「Breath for Spring」、締めていらっしゃるところのお写真いいただきました。掲載オッケーいただきましたので、こちらでもご紹介させていただきますね。
いい雰囲気でしょう。ふふさまの世界観に、しっとりと溶け込んでますね。織りたかったものは、ふふさまそのものだったなあと思い返しております。もし本当にふふさまの世界が織れたとしたら、感無量です。
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カッコいい着姿だなあ。ほれぼれです。着付けやコーディネートも最高だなあ。何より、ご本人のたたずまいがカッコいいのだけどね。
ふふさまの「九寸帯 Breath for Spring」のメイキングストーリーは、ブログのカテゴリー「ふふさま」にまとまってます。こちら→。よかったら時間をさかのぼってお読みください。
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拙サイトの、「作品ギャラリー2014」の写真も差し替えさせていただきました。同じ写真けだけどね、やっぱ、完成形はお召し姿だから。。こちらのページをスクロールしてください。上から5番目に載ってます。
ふふさま、どうもありがとうございました。

Breath for Spring

2014.03.25

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ふふさまの九寸帯、銘を「Breath for Spring」とさせていただきました。冷たく厳しい冬の中に、春の息づかいを発見したイメージです。
はじめてメールをいただいてから5年、ずっとご注文いただいた「厳しいけれども凛として、澄んだ冬の空気を残した、でも華やかな春の予感のある感じ」を探してきました。この探す過程が一番苦労したかな。分からなくて暗闇のほふく前進のように進んで行った時期もあったなあ、、、
その答えが、「Breath for Spring」です。
宅配便、無事ついたかな〜って思っていたら、ふふさま、メール下さいました!ああよかった、気に入っていただけた。がんばってよかったなあ。一部抜粋でご紹介させて下さい。(ふふさま、猫さんと同居されてます。)
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届きました!
広げる場所にやや悩みましたが(なんせ換毛シーズン・・・)巻いてある紙をはがすのももどかしいくらい、ドキドキしながら広げました。
うわぁ・・・!
まず、地の色味がすごくいい。糸にほどこした絣の効果なんでしょうか、濃淡のあるブルーグレーの繊細な表情、絹ならではの張りはありながらもやわらかい手触り、試し織よりもずーっとずーっといいですね。
青と紫のブラッシングカラー、こちらは「うん、この色!」という納得の色で、でも本番の勢いというか、潔さが増した感じ。
青銀のアクセントも主張しすぎずいいバランスになりましたね。
なにより、とにかく、美しいですね。眺めているとため息が出るくらい。
・・・着こなせるのか?!と、かなり心配ですが、この帯の似合う凛とした大人な女性になりたいですねぇ。
本当に素敵な帯を、ありがとうございます。着姿を見てもらえる日を楽しみにしています。
では、また、お会いしましょう!
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ふふさまのONLY ONLY はこれにて、ひとまず完結です。ブログ上にてお付き合いくださいました方、本当にどうもありがとうございました。
ふふさまストーリーは、カテゴリーでまとまってますので、ここをクリックして、時間をさかのぼってお読みいただければ幸いです。

ふふさま、発送

2014.03.24

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ふふさまの帯、お太鼓の形にするとこんな感じ。仕立てられると両端が折り込まれ、もっとシュッとしますけどね。ふふさまから、お手持ちのお着物で合わせる候補、教えてもらってた。カッコいいの。うん、お互い引き立て合えるような感じするね。
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さあ、お納めですから、きちっとキリッと巻きますよ。この状態にすると、神々しい感じさえします。お供えのような感じです。ふふさま、お蚕さま、染料、私、いろんな思いが詰まってます。
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ONLY ONLY の作品には、名前を付けて、お手紙を書いて、糸見本や染め見本をつくって一緒にお納めします。名前もね、つけたのよ。うふふ、それは明日発表しましょう!

ふふさま、完成。

2014.03.23

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ふふさまの帯、湯のしからかえってきました。ふわっと光沢を帯びてます。さあさあ、広げて見ましょう。
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ああ、いい帯になった。冬の寒さが少しずつ和らぎ、ずーっと先だと思っていた春が、息づいてきた感じ、出てるんじゃないか。これこそ、ふふさまと私が、5年前から、ずーっと追い求めていたもの。
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検反しながら、あちこち点検。糸や染めの様子など、ためつすがめつ。銀糸の入り方もよかったね。これは、ふふさまがリズムを決めた。前柄の方には入れないってのもふふさまの決定。もしも自分が決めるのだったら、入れすぎていたと思う。引き算の美学は、ふふさまぐらい大胆でないとなかなか出来ないね。
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全体像はこんな感じ。地の白に見える所、薄ーいブルーグレーです。単色に見えるけど、4種類の経糸と緯糸の計5色からなってます。雪景色もよく見るとたくさんの色がある。そんな帯にしたかった。

ふふさま、伸子張り

2014.03.18

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ふふさまの帯、湯通しが終わると、そのまま張ります。水がしたたるいい帯なのです。
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我が家の場合、北の窓に取り付けたポールと織機を基点に張ります。始めと終わりを張ったら、伸子をどんどん張って行きます。
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柄のところは、ほら、こんな感じ。
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下から見るのもなかなかいいでしょ。ふふさまぽいでしょ。
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ここがタイコ。
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ここが前柄。
ある程度乾かしたら、湯のし屋さんに送ります。たっぷり蒸気をあててもらって、ふっくらふかふかして帰っておいで〜!

ふふさま、織り上げ→蒸し→湯通し

2014.03.17

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ふふさまの帯、織り上がりましたよ。機からおろす時はいつも緊張。ちゃんとできてるはずでも、見込み違いや計算違いや勘違いがないとも限らん。心を落ち着けて、カラカラと出して行きます。
ほっ。ちゃんとしてる。よかった。ふふさまのお顔が心にぽっ。うん、ふふさまらしい一本になった。
早速、次の作業に掛かります。検反して、不織布に巻いて、蒸し作業。これによって、染料がしっかり定着します。それから湯通し。糊や余分な染料を落としてしまいます。写真はゆるゆると入浴中のふふさまの帯。
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ピンぼけだけど、こっちの写真の方が感じが出てるかも。お風呂にお湯をためて、布をさーっと入れて、均等に振り洗いするのです。糊が落ちて、気持ち良さそうです。

続々・織ってます。動画もあるよ。

2014.03.14

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ふふさまの帯、織っています。これは織機の後ろっ側。
経糸は、ここに巻き取られてます。格納されてる感じ。秘密が隠されている。
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織りすすむに従って、ここから、少しずつ、全容を現すのです。ドキッ。


織ってるところの動画です。
*撮影は全て、天野志穂実さん♡

続・ふふさま、織ってます。

2014.03.13

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織ってます。織機を前から見るとこんな感じ。前方でくるくるしているのは、長さを測る検尺テープ。
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綜絖、開いたところ。ブラッシングカラーズしたところも、ちらりと見えますね。次の写真の方がよく分かるけど。
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ほら、ブラッシングカラーズしたところ。ここが、ふふさまと一緒に練りに練った、シンプルかつ大胆なタイコだよ。
*写真は、天野志穂実さん撮影。きれいですね。ありがとう。

ふふさま、織ってます。

2014.03.12

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ふふさまの帯、織りはじめです。たんたんと、たんたんと。はやる気持ちを抑えます。
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織るときは、あまり感情を込めたりしません。安定して、丁寧に、正確に、同じことの繰り返しをするのが吉です。思いを込めるのは、計画しているときと、試しを織っているときね。それがふふさまの望みからぶれないってことだと思う。
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本番を織る時には、すでに全てが決まっています。だから、もう何もできない。ただ正しく織るだけです。今までふふさまと対話してきたことを全て昇華させるのです。
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微調整は大事。織りやすいと、きれいに織れますのでね。
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もうすぐできますよ。
*写真は天野志穂実さん撮影です。

ふふさま、さあさあ!

2014.03.09

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さあ、準備は整った。いよいよブラッシングカラーします。って、動きのない雑な写真でごめんなさい。動画だったら面白かったね。それに狭い一室でやってるのもバレバレ〜。
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準備には時間をかけますが、ブラッシングはあっという間です。もうちょっとやりたい気持ちを押える方が大変です。それは、ふふさまが求めているものでは無い。
綿密な計画はしつつも、勢いを大事に。あと、最後には自分を信じる。できるって思い込む。それで、GO!

ふふさま、さあ本番!

2014.03.08

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ふふさまの帯、最終合意が取れましたので、早速本番に入ります。まずは仕事場を特に念入りに掃除と整頓。掃除しながら臨戦態勢を整えると言うか、、、、気持ちを一新する。
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染料の色出し。微調整。
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作った色は三色。
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使った染料は五色。
さあ!

ふふさまからのお返事。

2014.03.03

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ほどなくして、ふふさまは、きれいな、丁寧な手書きのお手紙を添えて、試し織りなどご返送下さいました。赤文字で変更指示がいっぱい入ってるんじゃないかと覚悟していたのですが、それはなかったので、ご希望をちゃんと捉えてられてたなと、安堵。
いただいたすてきなお手紙、ちょっとだけ引用しながら、ご紹介させてくださいね。
まず「いいですね。」って書いていただいて、大安堵。思わず顔がほころびました。つかんだものは間違ってなかった。
「青と紫もこの色でお願いします。」「地の色合いも、織りの雰囲気も文句なし。」「青みの銀糸の入り方も、うるさくなく、さりげなく、アクセントになっていて、いいですね!」と、書いて下さって、心底ほっとした。
そして、「説明図や模型図がすてきだ」と書いて下さってます。そ、そうですか?伝えようと必死に書いたのがよかったかな?「おタイコになった時の様子や前柄もイメージしやすかった」と。やった!そのためにがんばったもんね。
「このまま進めていただけますか?」はい!
「お値段ですが、いいんですか?安すぎませんか?いっぱいわがまま言って、好きなだけ注文をつけたのに、、、、ちょっと申し訳ない感じです。」いいんです。普通の値段です。私の織物を呉服屋さんなどでお求めいただくのとだいたい同じです。もうちょっと上げたいという本音はありますが、もうしばらくはこの設定で。
お手紙読んで、さっぱりしている中にも、深い愛情を感じたなー。ふふさまは、きっとそういうお方なのでしょう。では帯も、そんな感じで行きましょう。クールで、シャープで、でも根底には優しさや愛情が満ちている。それを目標に行きましょう。

ふふさま、最後の試し。

2014.03.02

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さあ、ミーティングで決まったことを整理します。そして、もう一度、試し染め、試し織りをします。前回は雰囲気で試しをしたけど、今回はきっちり。本番に備えて、データを取って、決め込んで行きます。
ふふさまとお会いして、お話したこと、感じたこと、頭の中をリフレイン。
ブラッシングカラーズの2色は、強弱をつける、青い方には一切赤みは入れない、赤を入れる方はしっかり紫にする、、、うん。ふふさまそのもののようなリクエストだ。
試しはもう一度ふふさまにお見せして、最終合意したいので、見ていただいて分かりやすいというのも、目標のひとつ。これ、自分のためにもいいね。分かったつもりを排除して、しっかり腑に落とす。
決めるだけ決めて、本番は爆発させるのだ。
さあできた。試し織りと、試し染めと、実物大の設計図、縮尺の設計図、この4点を作りました。早速、郵送しましょう。ふふさま、どう思われるかな?

ふふさまと。

2014.02.28

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ふふさまと新富町のお店を出て、駅まで一緒に歩いた。落ち着いた、静かな会話に、エキサイトした。お仕事のことも話して下さってうれしかった。第一線の説得力がある。私の知らない世界を教えてくださった。
私の頭の中には、ふふさまの人となりと共に、帯の構想が具体的に落とし込まれてきている。
ふふさまとの会話を反すうする。4枚の試し織り、はじめの2枚だけでも十分好きだとおっしゃってもらってうれしかった。でも、3枚目と4枚目、見ちゃったから。
緯糸をビス糸にするのも決定した。繭の内側の柔らかい部分であること、それゆえ、太さが一定でなく、染めむらになりやすいことなどもお伝えしたら、「それが面白いんじゃないですか!」って。
うん、ONLY ONLY はやっぱ、二人で一緒に作って行くものだなあ。ONLY ONLY の醍醐味みたいなもの、感じてもらえたと思うし、とうの私も実感した。記念すべき夜。

ふふさまとお会いする。2回目。

2014.02.27

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ふふさまとの2回目のミーティングは、昨年末のことでした。お仕事で上京されるというタイミング、これを逃してはいけません。準備はいいのか、私よ。大丈夫、精一杯、できるだけのことはした。
お会いしたのは、新富町の懐石料理のお店。おいしい野菜をたっぷりいただける、ふふさまおすすめのお店です。
その日、ちょっと早めに着く段取りで出かけたのだけど、ふふさまは、すでにお店にいらしてて、軽やかで爽やかな印象。私もすぐにリラックスして、どんどんすすめる。
試し織りを4枚、順にお見せして、どう照準を合わせたのかなどお話する。ふふさまの集中力もすごい。3枚目をお見せしたとき、目にハート型が浮かんだの、私は見逃さなかったよ。
4枚目も捨てがたいみたいだったけど、今回はこちらで詰めましょう。
試し織りをどう発展させ、本番の帯に持って行くかなど具体的なこともどんどん詰める。
ふふさまは、ご自分の好み、似合われるもの、分かっておられて的確に伝えてくださるので、ありがたい。作り手からすると、もうちょっと手を込ませたいと思うようなところも、「それは必要ない」とおっしゃる。そうね、必要ない。作り手の満足のためにやってることは排除すべきだ。「ほら、こんなに仕事がしてある」って伝えることは、美しさには関係ない。それは独りよがりの自己満足だ。この仕事はふふさまのためにある。
お互い、楽しく集中した。こういうとき、いいものができる。このミーティングは成功だったな。
この日のことは、ここに書いてます

ふふさま、試し織り、よっつ目

2014.02.23

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試し織りのみっつ目は、自分としても納得のいくものでした。やっとふふさまに添えたと思えたから。
さらに、もうひとひねり、できないか?
考えます。
織りと言うのは、経糸と緯糸をどう出会わせるか、それにつきます。うーーーん、綾織りを組み合わせるかな、、、・私は一番好んでやるのは、平織なのです。丈夫な素直な、しっかりした布になりますのですね。組織は単純なタテ1ヨコ1。
そのバランスを、タテ1ヨコ3にすると、緯糸が目に飛び込んできます。その効果はたいしたものなのです。織りでなくてはできないこと。
やる価値大アリです。それで、おおらかに、ブラッシングカラーズを走らせて、緯糸のアクセントを効かせるバージョンを考えました。
今回、はじめて、フェイスブックのボタンを載せてみます。うまくいくか!ナムサン。

ふふさま、試し織り、みっつ目

2014.02.22

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試し織りをふたつして、何となくピンと来ないまま、暗礁に乗り上げていた状態でした。うーむ、どうにか打開しなきゃ。
そんなとき、ふふさまと二回目にお会いできる段取りができました。去年の暮れのことです。お仕事で都心まで出て来られることになり、その後、お会いできることになりました。
このミーティングで、制作の目処をつけるところまで持って行きたい。
どうしよう。
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原点に戻るしかないね。ふふさまとのひとつひとつの対話を思い出そう。
もう一度、たくさんのノートから、キーワードをひろい直します。
「小さいパーツが散ってる柄より、帯全体が風景だったり、幾何学模様になっているのが好き」「シンプルで大胆、シャープが好き」「柄よりも地が多い方がいい」
ふむ。そっか、、、じゃあ、そこに焦点を合わせよう。いっちょやったるか。
ふふさまの真の望みをかなえたい。そんな思いで作った、みっつ目の試し織りです。

ふふさま、試し織り、ふたつ目

2014.02.21

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試し織りのひとつ目は、ちょっとフェミニンすぎた。帯としてはいいと思うけど、何と言っても ONLY ONLY だ。違うんだよ。
ふふさまにお会いしたとき、いろいろ資料を一緒に見て、ピンときたもの、お好きなもの、取り入れたいものなどなどに、メモした付せんを付けていた。
そこからひろい出す。
さまざまなキーワードもひろい直す。
明度の高い色が好き、少しくすんだ柔らかい中間色も好き、グレイッシュ、アッシュ、直線、アシンメトリ、、、、、
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それで、試しを織ってみて、帯にするならも考えた。
ひとつ目よりは、添ってきた。うん、それは間違いない。悪くはない。帯としてはよい。
でもなーー、ふふさまだもんなーーー。
もう一歩、踏み込んでもいいのではなかろうか、、、、

ふふさま、試し織り、ひとつ目

2014.02.20

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さあそれでは、試し織りです。ここをみっちり、腑に落ちるまでやるのです。
たくさんお話したことや、メールのやり取りを、もう一度じっくり、ひとつひとつ反すうしながら、取り組みます。
まず、ひとつ目。ふふさまが、私にメールを下さるきっかけになった一本の帯、これをとにかく再現してみました。
私のブログを見て、「一目惚れ」と書いて下さった一本とは、こちら。
こちら、ブラッシングカラーズは、すべて植物染料です。コチニール、スオウ、ロッグウッド、ゴバイシなど。同じ染料、同じ媒染で、ブラッシングして、織ってみます。もちろん蒸しもします。
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もしこれで帯にするならというデザイン画も起こします。
うーんん、違う。こうじゃない。ちょっと可愛らしすぎる、、、、ふふさまのイメージと違う。お好きな色味だし、お似合いになるとは思うけど、イメージと違う。
じゃあ、どうすれば、、、、、

ふふさま、機仕掛けと緯糸の準備

2014.02.19

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さあさ、ふふさま。
経糸が出揃ったところまで書きましたね。機仕掛け、やっちゃいましょう。
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それが出来たら、緯糸を染めます。色は、凍てつく冬の空色。
緯糸は、ふふさま用の第一候補として、ビス糸を準備。ビス糸と言うのは、蚕が糸を吐くときに、一番最後、自分に一番近い部分に吐く糸です。我が身に一番近いですし、さなぎとしてそこに長時間いるのですから、気持ちいいように、細くて柔らかい糸を吐きます。均一ではなく、太細の違いがかなりあります。生産量もごく少ないですから、希少なのです。
私、ふふさま、こういう糸、面白がって、愛でて、使いこなして下さる方だと思うのよね。私としても、節があったり、毛羽が出たり、織り難いのだけど、やってみたい糸なのです。
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染まったら糊をつけて巻きますよ。実作業をしているのは手伝いにきてくれたsizuさんです。

ふふさま、経糸でそろいました

2014.02.08

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いやはやー、すごい雪ですね。びっくりですね。外はちょうど、ふふさまの帯の地の色みたいね。しんしんと降り続いているけど、じきに止んで、春がくる。梅の花も凍えてるけど、また香りを届けてくれるでしょう。
経糸、でそろいました。一部が極薄の絣になってるの、写真じゃ分からないですね。糸が部屋中に干されると、圧倒されます。さあ、これをどう、ふふさまに添わせていくか。

ふふさま、経糸、絣にする

2014.02.07

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ふふさまの帯、経糸は、ほんの少々ニュアンスをつけることにしました。真っ白な雪にも、微妙な陰影がありますものね。ふふさまとお会いして、自然界すべての中の、あるかないかの、微妙なエッセンス、楽しんでいただける方だと思いました。
経糸に少々細工をして、のっぺりした印象を避けるという手段は、私はよく使います。ちょうどキャンバスに下地を塗っているイメージで。土台を作って、そこにどんなイメージを遊ばせようかと思うのです。
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その、経糸にニュアンスをつける方法の、私の常とう手段は、糸を綛のまま三つ編みにして染めると言うものです。そうすると、染まるところと染まらないところがランダムに現れて、面白い表情がつけられます。
しかし!!!!
今回の ONLY ONLY は、シャープでキリッとした帯をお望みのふふさまです。ぼわぼわした印象は御法度です。そこで、染め上がりが予測できない三つ編みでなく、きっちり絣くくりして、染まるところ、染まらないところを意図的につくりました。
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ほら、これが染まり上がったところ。もともと極薄のブルーグレーが染まってますが、糸が出ているところは、一段濃い色のブルーグレーになりました。これから、ビニールテープをほどいて、綛に戻します。そうすると、染めたところ、くくって染まらなかったところがパキッと分かれてるのが現れて面白い。
でもこれ、ほんのちょっぴりの差よ。ぱっと見は、分からないくらい。ぱっと見では気付かなくても、なんだか深い印象ねって思ってもらえて、じっくり見ると、ああ、手が込んでるなって仕事、したいのです。

ふふさま、経糸染め、一回目

2014.02.05

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ふふさまの帯の経糸、まず一回目の染めです。
染める色は、「白」。どんな「白」かと申しますと、ふふさまの求める、「厳しいけど、凛とした、雪解けの色」。
透明で、静かで、シャープ。あえて色を説明するとすれば、ブルーグレーがちょっと入った白なのだけど、ごくごく少量、染料に赤も入れて、紫みも出しました。
絹糸の色というのは、繭の色ですので、ほんの少々、アイボリーと申しますか、黄色っぽい暖かみを持った色なのです。それを無くしたいので、補色の紫を隠し味に投入です。

ふふさま、糸を仕入れる

2014.02.04

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ふふさまの帯、方向性が決まりましたので、早速動きはじめます。さあ、糸を仕入れましょう。
ふふさまは、つるっとした光沢のある、絹らしい絹の帯をお望みです。シャープな感じを出すためにも、節の少ない、白さのある糸を選びました。
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糸がきましたよ。ストレートな、性格の良さそうな糸。
さあ、まずは洗います。振洗いして、不純物を落として、さっぱりさせます。いい感じ。

ふふさまとお会いする

2014.01.31

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いよいよ、ふふさまとお会いする日がやってきました。
その日は、2013年6月1日。都内でお仕事が有り、足を伸ばしてくださることに。
ドキドキ! 
準備万端にして待つ。
ふふさまは、車を運転して来られました。
北関東からロングドライブ。けっこう遠いよ、120kmくらいかな。そのフットワークの軽さがイイネ!
メールを交換するようになって4年、はじめてお会いするふふさまは、空想どうり、すらっと美しく、思慮深く、丁寧で、お考えをクリアな言葉にして下さる方でした。
いろんなお話をした。これから作る帯のことも。
どんな着物をどんな風にお召しになるのか。その他いろいろ。
どんな帯を望んでられるか、見えてきた。どんな手法と魔法で、作ろうか。
以後、その時のノートを何回も見返す。
______クールでシャープな九寸帯が欲しい。雪解けの冷たい感じ。薄い墨染め。白が好き。藍が好き。地の面積が多い方がいい。柄よりも地が多い方がいい。前柄はうるさくないのが好み。直線が好き。カクカクしてるのは好き。丸っこいのはきらい。かわいくならないように。細目の糸で繊細に。金糸も好き。銀糸も好き。グレイッシュ、アッシュが好き。ビビッドな色は好き。ビタミンカラーは着ない。白は好きだけど、オフホワイトではなくて、ブルーグレーを持った白。アシンメトリーは好き。などなどなどなど。_______
オッケー!!!了解しました!!!
私の織った着尺や帯を見ていただいた。
「ここのところが好き、取り入れたい。こういうのは違う」とストレートなご意見。
縞は好きだけど、格子はダメ。
これによって、糸のチョイスと地の設計図がクリアーに見えた。
やっとファーストハードルの突破口が見つかった。
4 year-long communicated client came to see me and my studio.
She was so close to my expectation.
We talked short but deep to customize the obi expressing herself.
She could show herself with clear and crisp manner.
The picture of making special obi to her, came up me in a snap.

ふふさま、4通目のメール

2014.01.30

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ふふさまとのメール、4通目は、2013年の2月2日付けです。3通目からまたまた時間がたっぷりたってしまいました。その間、頭の中には、ふふさまの帯のことがいつもあるのに、ちっとも掴めてなく歯がゆい思い。
なかなか突破点が見つけられなかった私は、ふふさまにメール差し上げて、ある呉服屋さんのオンラインショップに載っていた私の帯を観ていただき、その感想を求めました。何かヒントをつかみたい。その一心。ちなみに、観ていただいたのは、この帯のシリーズです。
色や形は如何様にもするので、このイメージにピンとくるものがあるか否かを知りたかった。
ふふさまは、丁寧で的確なご返信くださいました。結果は、このタイプの帯はお好きでなかったようだけど。何となく、ふふさまが、どんな方なのか分かってきました。まだお会い出来ないふふさまは、とても大人な、すてきな方です。
いただいたメール、一部抜粋で、ご紹介させて下さい。
その中に、私の過去作品を、たくさん書いて下さってます。よく見つけて下さったなあー。今でこそ、サイト内に「作品ギャラリー」があるけど、この時はブログの過去ログから探して下さったのです。今回、あらためて見つけ出して、リンクしました。本人だって、うまく検索できず、手間取りました。いやはや、ふふさま、ありがとうございました。
_______________
件名:re: 染織吉田です
こんばんは。すっかりご無沙汰してしまいました。
(略)
さて、帯ですが、率直に言って、ストライクど真ん中ではないですね。どこがどうと言葉に出来ないのですが。では好きなたたずまいって、、、、難しい。何がどう違うのか、うーんと唸ってヨシダさんのブログを見直してみました。
好きだなあって思ったのは、プラハの石畳シリーズの「教会Ⅱ」。
ディープ・チャコール」とか、「ブラック・パープル」もかっこいいですね。
Gメジャー」の帯もすてき。レインボーシリーズの「虹のプリズム」「レインボーレイン」も好き!
ちょっときつめの春の日差し」「柔らかな光のピエト」も素敵ですね。タイトルも素敵!
こうして観て行くと、小さなパーツが散っている柄ではなくて、帯全体として、ひとつの風景だったり、幾何学模様になっていたり、そういうのが好きなのかも。
着物以外でも、形がシャープなものや、シンプルで大胆な柄の方が好きです。一方、色は鮮やかなものより、少しくすんだり、柔らかいもの、中間色の微妙な色が好きです。
・・・こんな感じで伝わりますか?「どういうものが好きか」を伝えるのって難しいですね。
でも、私自身が好きな色、好きな形、好きなたたずまいが変化していくし、その時の気分でも変わるので、自分でも思いもしないものに惹かれたりします。それではヨシダさんが困ってしまいますよね。すみません。
一度お会いできるといいですね。
(略)
_______________
ふむふむ。よく分かります。やや、分かったのは、まだまだスタート地点にも立ててないぞってことで。このままでは方向性すらつかめない。これは、ますますお会いしたいなあ。
この頃ふふさまは、関西から、北関東に越されてました。近くなったぞ!ふふさま、大変なキャリアウーマンでいらっしゃるのです。フットワークも軽くてらっしゃるし。かっこいいんです。

ふふさま、3通目のメール

2014.01.29

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2回目のメールのやり取りで、ふふさまが求めてらっしゃるのは、「帯」であること、そのテイストは「厳しいけれども凛として、澄んだ冬の空気を残した、でも華やかな春の予感のある感じ」であることが分かりました。
なるほどーー。「厳しいけど凛とした、、、」。そうねえ、、、急ぎではないっておっしゃっていただいてますので、長期戦でいこうと覚悟します。ふふさまにとって、大切なことは何なんだろう???その辺りのことが、まだまだ探れていません。
お会いできれば話が早いのですが、ちょっと遠いなあ、、、。ああそうだ、すでに出来上がってる帯の中に、「厳しいけれども凛とした」一本がある。これを観ていただきたいな。その上で、お望みとの相違を伺えば、作るべき帯の一端が見えてくるぞ。
と言う訳で、次の一衣舎さんの姫路での展示会にその一本もお預けしました。(この帯のシリーズ物です)
ふふさまは、お忙しい中、姫路までお出かけくださり、感想のメールを下さいました。一部ご紹介させていただきますね。2011年1月24日のことです。ちょうど今から3年前ですね。対話をはじめてからは2年がたとうとしています。
_____________
件名:行ってきました
(略)
ヨシダさんの帯、やっぱり素敵でした。雪解けの、春が来るぞっていう帯、とっても好みです。ちょっとだけ、イメージが違うとすると、少し印象が柔らかくて、なんと言うか、花霞みと言うのか、ふわっとした感じの所でしょうか。
色のトーンのせいかなとも思うのですが、もう少し、キリッとした雪解けの水の冷たさみたいな感じが欲しいなと。
明度の高い色が入った方がいいのか、それとも、ジェリービーンみたいな光る系の糸が入った方がいいのか、よく分からないのですけれども。
うーん、イメージを言葉にするのは難しいですねえ。
(略)
_____________
いえいえ、イメージを言葉にするのは、誰にだって難しく、本来なら私の方から言葉でもご提案すべきなんです。今の所、聞き役に徹してって申し訳ない。お望みの帯が、このタイプではないってことはよく分かった。
ふふさまは、ご自分が求めるイメージをはっきり画像として思い描ける方だ。明確でクリア。お会いしたことないけど、凛としたイメージ。今はもう少し、お話お聞かせ願いたい。そのチャンスを探りたいところ。
*写真はうちの近くの工場の窓。

ふふさま、2通目のメール

2014.01.28

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ふふさまとの対話は、少しずつ、少しずつ、まだ全く目に見えない、遠ーーくにある大事なものをたぐり寄せるような感じで進んで行きました。
2009年2月にメールでやり取りした約1年9ヶ月後の、2010年11月22日に、2通目のメールをいただきました。
その1年9ヶ月の間に、ふふさまは、何と関西に引っ越され、一方私は、2回の個展と、板橋区から今の仕事場へ引っ越しをしていました。
この時いただいたメールによると、一衣舎さんの京都での展示会で、この会に参加させていただいた私の作品を見て下さった由。私の織ったものの実物を観て下さったのは、この時がはじめてのはず。
ふふさまが2通目に下さったメールも、素晴らしく私を励ましてくれました。作り手は、こうやって、まだお会いもしてない方に鼓舞していただている。ちょっとくらいしょぼんしてても、しゃっきりする。この方の帯を織らせていただくまで腕を磨き続けねばと固く決心する。
ちょっとだけ、ちょっとだけ、引用させていただきます。
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件名:ごぶさたしてます
(略)
着尺や帯、見せていただきました!やはり、いいですね。実物は画像と違って、迫力がありますね。上品で華やかで、そして他にはないオーラがあって。
「淡雪ジェリービーン」、購入しようかどうか、悩んで悩んで、、、、。でもまだ着こなせないという思いと、とっても素敵だけど、ちょっと自分のイメージとは外れる(可愛い感じが強すぎる)という思いがあり、後ろ髪を引かれつつ、帰途につきました。
そこで、ですが、将来ヨシダさんのお手隙のときに(とは言ってもずっとお忙しいとは思うのですが)、帯を織っていただきたいのです。
前にメールで大好きですとお伝えした「スプリング・シーショア」のような、厳しいけれども凛として、澄んだ冬の空気を残した、でも華やかな春の予感のある感じ、って抽象的ですが、そういう帯をぜひ作っていただけたらなあと思っています。
(略)
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ちなみに、文中にある「淡雪ジェリービーン」は、こちらの帯です。
上に載せた写真、「厳しいけれども凛として、澄んだ冬の空気を残した、でも華やかな春の予感のある感じ」をハンティングしてます。

ふふさま、スタートします。

2014.01.27

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完全注文制作 ONLY ONLY の次なるお客様は、「ふふさま」です。ふふさまとの対話は、なんと、2009年2月28日に始まっています。この時から、ゆっくり、ゆっくり温めてきました。もうすぐ5年になりますね。
2009年2月28日、一通のメールを受信しました。タイトルは「はじめまして」。知らない方からメールいただくと、いつもドキリとします。何かが始まる予感がするからです。
ちょっとだけ引用させていただくと、
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件名:はじめまして
はじめして。
some origin、いつもこっそり拝見させていただいてます。
こっそり、、、、だったのですが、あまりにも好みストライクな名古屋帯にどうしても一言伝えたくて、思わずメールしてしまいます。
「スプリング・シーショア」、色といい、かすれ具合といい、完全に一目惚れです。
それから、「氷が溶けて、水が動く」、これも着物に仕立て上がったら、どんなに素敵でしょうね!
当方、〇〇在住のため、銀座まで足を運べず大変残念に思っています。手に取られる方が、うらやましくて仕方ないです。
(後略)
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じわっとうれしいメールでした。2009年2月というのは、3月の春分の日からの、銀座もとじさんでの初個展を控え、最高にテンパっていた頃でした。不安で不安で仕方ない時に、エールのようなメールいただき、ああ、見てくれてる人がいるんだなあと心底うれしかったのです。
ちなみに、some origin と言うのは、このブログの前に長く続けていたブログの名前です。
書いて下さってる「スプリング・シーショア」の記事はこちら。「氷が溶けて、水が動く」はこちら
どちらも、とてもいいご縁いただき、幸せにしています。
この2009年に始まったふふさまとのご縁、やっとやっと、結実に向かいはじめました!

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