吉田美保子の some ori ノート

めとさま、本番直前

2017.10.28

めとさまと、全ての打ち合わせが終了しました。ささ、あとは、6回目の打ち合わせで決まったことを落とし込んで整理して、しっかりシステムを決めて、織るだけです。

システムって、杼を何丁使って、どういう順番で入れ替えて、ってのを決めていくこと。そのために、一回ぶんのリピートぐらいは、助走って感じで織るのだけど、その助走で、私は、うわあってなった。

めとさまだ、めとさまそのものだ。

自分が織った布に、めとさまを感じた。いやはや。びっくりね。打ち合わせを重ね、ご希望をお聞きして、精度を上げていくにつれ、布はどんどん依頼主に似てきたのだ。

めとさま、6回目の打ち合わせ

2017.10.28

秋も中盤のある日、めとさま、ふわーっと優しい空気と、いい感じにコーディネートされた、ご自分らしさにあふれたファッションに身を包んで、6回目の打ち合わせに、我が家にお越しくださいました。

私は、5回目の打ち合わせで決まったことや、変更したことなどを、落とし込み、染めたり巻いたりして、2枚目の試し織りを織って、お待ちしていました。

お久しぶりのめとさまに、早速、試し織りをご覧に入れると、「わあ、きれい!」。

私は、「わあ、よかった」と安堵しました。

1枚目と2枚目の試し織りの違いは、きっと、めとさまと私以外の人には、ほとんどわからないと思います。「一緒じゃん」って言うと思う。でも違うのよ。1回目の打ち合わせで選ばれた糸と、新しく色合わせして染めた糸で織った2枚目の試し織りは、一挙にめとさまワールドに近づきましたもの。

さらに話し合いで、縞の入り具合など、もう一歩細かく、決めていきます。上の写真、赤丸のシールが貼ってあるところが、採用のところ。貼ってないところは却下のところ。本番では、赤丸シール部分を繰り返し織っていきます。

今回作った2枚目の試し織りの中では、明るいみかん色を単独で使っていたところが却下になって、ベージュの糸とみかん色の糸を、一本交互に入れていくことになりました。

これ、よかったと思う。単独で使うと、色の主張が強すぎるみかん色も、ベージュと交互になることで、目につくうるささが抑えられ、かつ、はっきりした色が持つ、華やかな感じも内包するきものになる。若くてきれいなめとさまには、こっそり、華やか成分を入れときたいのよ。

めとさま2、5回目の打ち合わせ後

2017.10.23

めとさまの2回目の ONLY ONLY のお話を続けましょう。ブログ上では時間が空きましたが、水面下では順調に進んでます。

5回目の打ち合わせで決まったことを、もう一度整理して、どんどんやっていきます。

筬を入れ替えて、タテ糸の詰まり方をひと目、ゆっくりにする。一寸間のタテ糸が116本から、112本になりました。このくらいの方が、糸の表情が見えますね。丈夫さもセーフです。

ヨコ糸、使う糸使わない糸がはっきりしたので、使う糸だけ集合させて、糸量を、もう一度しっかり計算し直す。使わない糸はバッサリ落とす。せっかく準備したのに、とか思っちゃいけない。そうすると澄んでくるのよね。で、足りない分を新しく染める。糊をつける。小管に巻く。

めとさま、ほっこりした真綿糸がお好きです。メインの3色、ほとんど真綿でいくことになりました。サブの色糸には、つるっとした糸もこっそり入れます。ちょっとだけ光って表情豊かになりますよ。もさもさせずに、足さばきもよくなりますしね。

ささ、話し合ったことを体現すべく、2枚目の試し織りを作りましょう。

めとさま、5回目の打ち合わせ

2017.09.12

8月後半のある日、めとさま、5回目の打ち合わせに、我が家にお越しくださいました。今年は関東地方、いつもよりは涼しい夏でしたが、それでも夏のさなかに、おそれいったことでした。

その日までに、私は、1240本のタテ糸を綜絖に通し、筬に通し、織り付けをして、試し織りをしました。
筬はこの時は、鯨寸間58羽を選びました。ちょっときつめだけど、めとさまが、丈夫な布を望まれたので、これくらいで行ってみようと。
めとさま、きもの生活を実践中で、なんと、洋服を気に入ってる数枚を残し、処分されてしまったのですって。毎日お召しとあらば、そりゃあ、丈夫さが特に大事です。
そういえば、1回目の ONLY ONLY の時も、着物を着て、近所のスーパーに買い物に行く生活が夢だとおっしゃっていたなあ。めとさまの、1回目の ONLY ONLY はこちらにまとまってますので、よかったらどうぞ。(長いよ!)

それで、暑い中お越しくださっためとさまに、早速試し織りをご覧に入れました。

ゆっくり丁寧に、ご覧になるめとさま。じっくり考えられて、いくつかの希望をおっしゃいます。それは、私には気づけなかった点でもあり、小さいけど大事な点でもあり、舌を巻きます。

曰く、ヨコに入れている緑をやめて、緑味を持っているベージュに変える。
アクセント的に入る、今のところ座繰り糸の赤茶色を、太めの真綿糸に変えて、表情を出す。
きれいな橙色もつるっとした生糸から、真綿糸に変える。

なるほど、確かにおっしゃる通り。その方が、よりめとさまが目指される「枯風」ですね。了解しました。
試し織り、布目が詰まりすぎと思いましたので、筬目を入れ替えることにも同意いただきまして、いろいろGOサインです。

めとさま、整経

2017.09.11

サイトのリニューアルで、ブログの方がストップしておりましたが、仕事はコツコツ進めてますよ。

めとさまのお着物、ブログでは、6月11日まででしたね。それからずいぶん進みました。タテ糸を290本の管が巻き終わったら、整経です。タテ糸の順番と長さを整える作業です。  

  これは、整経が終わって、巻き返しているところ。12色の色の束が入ってますよ。

ほら、こんな感じのタテ縞。これにヨコ縞が入りますので、出来上がりの印象はずいぶん違ってきます。

今は漕ぎ出でな (part2)

2017.06.11

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めとさまと4回目の打ち合わせの後、メールのやり取りをして、色やデザインを微調整して、さあ、これでいかがというこちらからのメールに対して、めとさまが応えてくださったメールのタイトルがこれ、
「今は漕ぎ出でな (part2)」
わー!にくいなあ〜。さすがめとさま。part1 を思い出すなあ。前回のめとさまの一枚目のonly only の時も、デザインを詰めて、さあこれでどうでしょうってお伺いメールした時のお返事がこのタイトルだったなあ。
前回、この言葉に支えられて航海しました。
今回はいかに。
船はしっかり作りました。風もいい感じで吹いてます。潮の流れも最高ね。
bon voyage!
*写真は、経糸を巻いているところ。今回、経糸に12色の色を細縞で入れ、緯も縞で小格子にします。1色につき、色の濃淡や糸の種類を生糸と真綿を両方使うなど、2種の糸を用意するとして、24種類の経糸を用意します。それを、整経するために290本に巻き分けます。

めとさま、4回目の打ち合わせ

2017.06.10

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5月の半ばの爽やかな日、めとさま、4回目の打ち合わせに、我が家にお越しくださいました。
メールで段取っているとき、「実は沼にはまってしまって、、、」とご自分のことを揶揄しておられましたが、お越しになってしまえば、いつも通り、すっきりとした表情をされています。
二人で図面をにらみ、もう少し黄色に振ることになりました。ピンクの分量が減って、こっくりした黄色を増やします。
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今、染まっている糸を見ていただきます。糸を見ているめとさま、本当にこういう色がお好きなんだなあ。ぽーっとされてる感じがいいなあ。
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後日連絡がきて、一色染めなおしました。どの色が違うかお分かりですか?
右から二番目の茶色です。鳶色から、ニュートラルな茶色になりました。
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図面もご希望で、山吹色の太細を入れ替えて作って見ました。が、これは相談の上、却下となりました。うん、私も、元々の細いバージョンの方がいいと思います。かすみのようで、風が吹いているようで、かっちりした形でなく、めとさまらしいと思います。

めとさま、染めはじめる

2017.06.09

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めとさま、2枚目のお着物のonly only、ブログ上ではちょっと間があいてしまいました。アップデートいたしましょう。
3回目の打ち合わせのことまで、書きましたね。あれから、ちょこちょこと染めはじめました。完全にデザインが決まったわけではないけど、指針は決まりましたので、できることからやりましょう。
どの糸を使おうかな?
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何と言っても、手を動かさないと始まりませんものね。特に今回は多色ですので、少量ずつコツコツ根気よく染めましょう。机上から、ガス台の上にシフトです。
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色を調整しながら染めます。
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濃い紅色の雨絣、これは本数は少ないけど、大事ですので、やっちゃいましょう。
雨絣って、糸をくくって染めて、色が濃いところと薄いところを作って、それがランダムに出るように、織ることです。そうすると、雨が降ってるように見えるんです。
ではまず、小綛を作って、
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くくります。
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染めます。この糸ね、経糸1240本の内の、16本の予定です。輝け、渾身の16本!

めとさま、3回目の打ち合わせ

2017.04.18

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めとさまとの2回目の打ち合わせが終わって、私はすぐに、話し合ったことを落とし込んで、イメージ画を作り直しました。今度は緯糸も表現。こんな感じかな?
それをPDFにして、メール添付でめとさまに送付。次の打ち合わせまでに見ておいてくださると、話が早いってもんです。
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で、それから2ヶ月ほど時は流れ、先日、4月の半ばですが、3回目の打ち合わせに、めとさま、我が家にお越しくださいました。
お送りしていたイメージ画のプリントアウトを元に、話を進めます。イメージ画は、格子の大きさや入り具合など、だいたいオッケーって感じでしたが、色のこっくり感がもう一歩。さあ、どうする?
二人で、「この色をもう一段こっくりさせたら?」「この色を黄色に振って秋のイメージに」、などなど、いくらでも出てきます。
うーん、イマイチ、埒があきません。その場でチャッチャッとイラストレーターを操作できるとカッコいいのだけど、私、パソコン作業はしっかり腰を落ち着けないと、出来ないのだー。
それで、めとさまが自ら、色鉛筆を手にとって、イメージ画に色を乗せていくことに。こりゃいい!早いし、よくわかる。がぜん、方向性が鮮明になりました。私の頭の中もクリアになりました。めとさま、伝えてくださってありがとう。
次の打ち合わせまでに、もう一度整理して、イラストレーターで作り直し、データをお送りすることを約束して、この日は終了となりました。
*only only をお考えの方へ。
打ち合わせをする回数や、それぞれです。めとさまのように、打ち合わせに何回もお出でいただくのもウェルカムですし、メールや電話でやりとりするだけでも、もちろん大丈夫です。意思疎通ができるよう、できるだけ詳しくご説明します。
ご注文時に、希望をつたえてくださって、あとはお任せでもいいですよ。燃えて制作いたします。その場合も、ご希望あれば計画や工程をご報告いたします。

めとさま、2回目の打ち合わせ

2017.04.15

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めとさま、1回目の打ち合わせから一ヶ月が経とうとするころ、ご上京の予定があると。それはぜひともお寄りください。
私は、前回選んだ色見本を元に、たたき台として、何枚かイメージ画を作っておきました。まだ落とし込めてないので、とりあえず経糸のみ。「こんな感じかな?」
何か具体的なものを作っておくと、その先がぼんやりながらも見えてきます。「これは違う」というのも、初期段階で分かるので、すぐ軌道修正できます。
2月中旬めとさま、お越しくださいました。笑顔がまぶしい。
イメージ画、お見せすると、ちょっと違ったみたい。もっともっと細かくしたいとのこと。それにこれはちょっと春っぽい。
秋は秋でも、晩秋か初冬くらいのイメージ。
秋の透明感。
枯葉の色。
もうすぐ冬が来るころの、張りつめた空気。
その向こうにこっくりした色がある。
そうか、、
上の写真のテーブルの下に、チラと写っている我が家の座布団みたいな感じだと。
なるほど。小格子にするってことは、決めですね。
色は、茶色すぎない茶色。
茶系は茶系でも、赤茶系。
エンジほどは赤くない。
赤茶を水で薄めたような色。
黒とか、黒っぽく見える色は入れないで。
ふむふむ。
雨絣は全面に入れたい。
霞(かすみ)や靄(もや)みたいな。
繰り返しはあってもいいけど、ランダムが好き。
あ、見えてきたぞ。無地っぽい、ランダムな小格子、色の差があまりなく、縞はあるのだけど、縞に見えないってことね。
よーし、もう一歩だ。
膝を突き合わせて、ケンケンガクガクだからこそ進みました。お運びいただき感謝です。

めとさま、1回目の打ち合わせ

2017.04.12

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めとさまのお着物を織らさせていただくことになったものの、全てお任せというのは、荷が重い。せめて、「ヒアリング」はさせていただきたい。「取材」と言ってもいいかもしれない。
めとさまのお住まいは遠方なのだが、ありがたいことに、関東方面に時々おいでになる。そのタイミングに時間を作っていただいて、ぜひお会いしたいと申し出る。それで、1月の中頃に、我が家にお越しくださることになった。
お久しぶりのめとさまは、昨日アップした写真のような、一つ乗り越えたような清々しい笑顔で、お見えになりました。
で、早速、次のお着物の話。いろいろいろいろ。キーワード、たくさんいただきました。
風のような。
風をあらわす。
空気感。
かすみのような。
枯風。
紅葉が枯れる。
枯れたものにこそ、色がある。彩に満ちている。
落ち葉が風に舞い、スローモーションで落ちてくる。
散り際こそ美しい。
秋のイメージ、それも晩秋。
colored wind とつながりがあるといい。
はっきりしないような感じがいい。
グラデーションか、ブラッシングカラーズ。かすれた感じがいい。
境目がはっきりしないようなのがいい。
ぱっと見が、強くないほうがいい。
軽やかで透明感がある。
茶色ベースがいいかもだけど、土っぽくならないように。
山ではなく、山の木々をあらわしたい。
ミルクティーの色。
こっくりしててほしいけど、薄い色がいい。
全部が濃いのは違うけど、一部はぜひ。
みじん格子は?または、ブラッシングカラーズ?
雨絣は?
不規則に交わる感じ。ランダムな感じ。
緯段だけでなく、経にも入れたい。
何色と言えないような色。
空気になってほしい。
小さめの格子。無地に見えるほどの。
緯より経が目立ったほうがいい。
透明感。
などなどなど。
以上のようなお話をして、見えそうで見えない、見えなさそうで見えそうな、新しいお着物が浮かびました。
そして、具体的にはどんな色かと思い、めとさまに、色見本の束を渡して選んでいただきました。真剣なめとさま。集中力すごい。
選ばれたものを、ちょっと切り取って、それが第一選抜。第一選抜から、もう一度選んでいただいて、第二選抜。上の写真は、2回の激戦をくぐり抜けた色を紙に貼り付けたもの。左下の貼られてないのは、第一選抜は通過したものの、第二選抜に落ちボツになった色見本。

めとさま、ふたたび

2017.04.11

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完全注文制作 only onlyは、いくつかのご注文を同時進行させています。今までもそうだったのだけど、ブログでは、一つ書き終わったら次のをスタートさせる方式で書いてました。しかし、実はちょっとムリしてました。実作業とブログが、こんがらがるのです。それで、これからはブログも、同時進行で書いて行こうと思います。(書いている方の都合で申し訳ない!)
さて!それでは、登場していただくのは、めとさまです!
めとさまといえば、「colored wind」です。こちらに制作ストーリーがまとまっています。
この着物を作っている頃に、めとさまは、一大決心をされました。仕事を辞めて、紙漉きの道に進まれることにされたのです。いろいろな葛藤があったと思いますが、上の写真のスッキリとしたお顔。決めた道をしっかり歩いてるって感じですね。(めとさまのサイト→枯風庵 colored-wind.com
そのめとさまが、去年の12月、清正公の陣羽織シリーズのショールをお求めくださいました。それをきっかけにメールのやり取りをしました。相変わらずの、美しい文章です。メールなのだけど、とびっきりの便箋に、万年筆できれいな色のインクで書いたお手紙もらった気分になりました。
後半の部分、そのまま引用させていただきますね。実は一部抜粋でご紹介したいと思ったのですが、あまりに美しく抜粋できないのです。きれいな、透明な、めとさまそのもののような文章です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(前半は略)
そして、もう一点。
ずっと「いつかの折に」と漠然と思っていたことなのですが、
何となくその「いつか」が今のような気がしてお伝えします。
美保子さんに「colored wind」を織っていただいて、ほぼ3年になります。
進むべき道を模索し、「名前」を探し、紙漉きに辿り着く過程は
あの着物の制作とぴったり重なっていました。
(屋)号の「枯風(庵)」は、実は「colored wind」の意訳です。
ようやくひとり立ちしつつあるか…という現在ですが、
号を決めた時から、もっと足場がしっかりしたら「枯風」という名の着物を
織っていただきたいなぁとずっと思っていました。
とはいえ、何をもって「足場がしっかりした」と判断するのか難しいですし、
美保子さんのスケジュールもおありですし、予約という形で
お引き受けいただけませんでしょうか。
色柄、風合い、絵羽かどうか、袷か単衣か、それら全てお任せで、
時期もいつでも結構です。
先約の方々との兼ね合いや材料の入荷など、諸々が調った時、
おそらく私の「足場」も何かしら形になっている気がします(と願います)。

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