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めとさまのお着物を織らさせていただくことになったものの、全てお任せというのは、荷が重い。せめて、「ヒアリング」はさせていただきたい。「取材」と言ってもいいかもしれない。
めとさまのお住まいは遠方なのだが、ありがたいことに、関東方面に時々おいでになる。そのタイミングに時間を作っていただいて、ぜひお会いしたいと申し出る。それで、1月の中頃に、我が家にお越しくださることになった。
お久しぶりのめとさまは、昨日アップした写真のような、一つ乗り越えたような清々しい笑顔で、お見えになりました。
で、早速、次のお着物の話。いろいろいろいろ。キーワード、たくさんいただきました。
風のような。
風をあらわす。
空気感。
かすみのような。
枯風。
紅葉が枯れる。
枯れたものにこそ、色がある。彩に満ちている。
落ち葉が風に舞い、スローモーションで落ちてくる。
散り際こそ美しい。
秋のイメージ、それも晩秋。
colored wind とつながりがあるといい。
はっきりしないような感じがいい。
グラデーションか、ブラッシングカラーズ。かすれた感じがいい。
境目がはっきりしないようなのがいい。
ぱっと見が、強くないほうがいい。
軽やかで透明感がある。
茶色ベースがいいかもだけど、土っぽくならないように。
山ではなく、山の木々をあらわしたい。
ミルクティーの色。
こっくりしててほしいけど、薄い色がいい。
全部が濃いのは違うけど、一部はぜひ。
みじん格子は?または、ブラッシングカラーズ?
雨絣は?
不規則に交わる感じ。ランダムな感じ。
緯段だけでなく、経にも入れたい。
何色と言えないような色。
空気になってほしい。
小さめの格子。無地に見えるほどの。
緯より経が目立ったほうがいい。
透明感。
などなどなど。
以上のようなお話をして、見えそうで見えない、見えなさそうで見えそうな、新しいお着物が浮かびました。
そして、具体的にはどんな色かと思い、めとさまに、色見本の束を渡して選んでいただきました。真剣なめとさま。集中力すごい。
選ばれたものを、ちょっと切り取って、それが第一選抜。第一選抜から、もう一度選んでいただいて、第二選抜。上の写真は、2回の激戦をくぐり抜けた色を紙に貼り付けたもの。左下の貼られてないのは、第一選抜は通過したものの、第二選抜に落ちボツになった色見本。
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完全注文制作 only onlyは、いくつかのご注文を同時進行させています。今までもそうだったのだけど、ブログでは、一つ書き終わったら次のをスタートさせる方式で書いてました。しかし、実はちょっとムリしてました。実作業とブログが、こんがらがるのです。それで、これからはブログも、同時進行で書いて行こうと思います。(書いている方の都合で申し訳ない!)
さて!それでは、登場していただくのは、めとさまです!
めとさまといえば、「colored wind」です。こちらに制作ストーリーがまとまっています。
この着物を作っている頃に、めとさまは、一大決心をされました。仕事を辞めて、紙漉きの道に進まれることにされたのです。いろいろな葛藤があったと思いますが、上の写真のスッキリとしたお顔。決めた道をしっかり歩いてるって感じですね。(めとさまのサイト→枯風庵 colored-wind.com)
そのめとさまが、去年の12月、清正公の陣羽織シリーズのショールをお求めくださいました。それをきっかけにメールのやり取りをしました。相変わらずの、美しい文章です。メールなのだけど、とびっきりの便箋に、万年筆できれいな色のインクで書いたお手紙もらった気分になりました。
後半の部分、そのまま引用させていただきますね。実は一部抜粋でご紹介したいと思ったのですが、あまりに美しく抜粋できないのです。きれいな、透明な、めとさまそのもののような文章です。
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(前半は略)
そして、もう一点。
ずっと「いつかの折に」と漠然と思っていたことなのですが、
何となくその「いつか」が今のような気がしてお伝えします。
美保子さんに「colored wind」を織っていただいて、ほぼ3年になります。
進むべき道を模索し、「名前」を探し、紙漉きに辿り着く過程は
あの着物の制作とぴったり重なっていました。
(屋)号の「枯風(庵)」は、実は「colored wind」の意訳です。
ようやくひとり立ちしつつあるか…という現在ですが、
号を決めた時から、もっと足場がしっかりしたら「枯風」という名の着物を
織っていただきたいなぁとずっと思っていました。
とはいえ、何をもって「足場がしっかりした」と判断するのか難しいですし、
美保子さんのスケジュールもおありですし、予約という形で
お引き受けいただけませんでしょうか。
色柄、風合い、絵羽かどうか、袷か単衣か、それら全てお任せで、
時期もいつでも結構です。
先約の方々との兼ね合いや材料の入荷など、諸々が調った時、
おそらく私の「足場」も何かしら形になっている気がします(と願います)。
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睦月さまと、「三角・吉田」で再会しご注文をいただいてから、1年と2ヶ月ほど経ちました。やっと当方のスケジュールも見えてきたので、睦月さまにご連絡。お忙しく飛び回っていらっしゃるのをキャッチすることができました。今年の1月の末のことです。
青山一丁目のカフェで待ち合わせです。私は、事前のメールのやり取りで、睦月さまがお好きだと言ってくださった過去作品の資料を持参しています。お作りするのは、帯となりましたので、織見本とか、プリントアウトとか。(上の写真です)
一年数ヶ月振りの睦月さま、いきいきしたきれいなパワーが伝わってきます。いいなあ。
で、早速に仕事の話。
睦月さま、一枚のきれいな布を示されました。使われている色は、黒と青と茶色とベージュです。この色使いがお好きだと。この色味で作ってくれないかと。なるほど、なるほど。
無地っぽいお着物に合わせて、普段使いとしてバンバン締めたいと。
布の表情はあったほうがよく、かつ、「きちんと感」は欲しいと。
了解しました。さあ、それではどうしましょう。悩む時間はたっぷりあります。2回めの打ち合わせはずいぶん先になりそう。遠方にすむ睦月さまのご上京のタイミングをキャッチしなくちゃなのでね。
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睦月さまと出会って十数年、その間、直接的なご縁はありませんでしたが、ご活躍はお聞きしてました。フェイスブックで繋がったりもしてました。
で、睦月さま、2015年秋に南青山のitonosakiさんで開催した、拙個展「三角・吉田」にお越しくださったのです。
お久しぶりです!
お久しぶりだけど、ネットで拝見してるので、久しぶりの感じはなく。しかし、お着物姿はさすがです。こればっかりは画像で見るより格段いいです。身についたカッコよさ。本物が馴染んだ感じ。くぅー。
それで、いろいろお話しして、なんと睦月さま、私に、着物を織って欲しいとおっしゃるのです。まあ!
それは、大変ありがたく光栄で、心して取り組ませていただきますが、お時間はかかります。そうですね、再来年になるかと思います。それでよければ、喜んで。
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今、取り組んでいるonly only をご紹介しましょう。実はここんとこ複数同時進行しています。書くタイミングを逃しておりましたが、お一人お一人、ご紹介していければと思っております。
まずは「きもの 睦月」の横山てる美さま。名古屋で和装のお店と着付け教室となさっています。着物のプロ、審美眼が光る方ですので、緊張もひとしお。このブログでは、「睦月さま」と呼ばせていただきますね。
睦月さまと私の出会いは、ずーっとずーっと昔になります。睦月さまが、まだお店を始める前のこと、私が織りで独立する前のことです。15、16年前?もっとかな。私が勤めていた「ゆうど」にお越し下さったのです。睦月さまご自身が織りをなさったことや、お住まいが私の親戚がいる所のお近くだという話をした記憶があります。睦月さま、この時のこと、よく覚えてくださっているそうです。
それから幾年月。睦月さまは、森田空美先生の元で研鑽を積まれ、ご自身のお店を持たれました。私はまだ伺えてないのですが、サイトを拝見するととても素敵(上の貼ったのは、睦月さんのサイトのスクリーンショットです)。ご自身の写真も、睦月さんのブログやフェイスブックなどで拝見していますが、とても、とても、とても素敵です。
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先日まで取り組んでいた、わださまの only only の合切袋、実は、二つ作ることにしました。一つは自分用です。
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今日はそのお披露目!本当は、着物を着た時かオシャレした時に、これを手に持つ自分を撮りたかったが、その予定はない。
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桜も咲いたし、外に出て、写真を撮ろう。
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いいでしょ。デザイン縫製の善林英恵さんが、私のイメージで作ってくれたんだよ!私って、こういうイメージ?うふふ。
布は、帯の試し織り部分がほとんど。いろいろと、作った当時の思い出がよみがえる、、、
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実は、今回、二つ頼んだのには、いろいろと理由があります。善林さんも、ご自身のブログに2回に渡り、書いてくださってます。→こことここ。
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善林さんのブログにもありますが、手で作ったもので仕事を成立させるのは、至難の技です。特に、一点ものを作っていたら、まずムリで、それをやるからには、あらゆる方面から、考えに考え、解決策を探し出すしかありません。
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ま、そんなこんなで、考えても妙案は出ない。でもわださまからのご注文はお受けしたい。打診した善林さんも乗り気になってくれてる。だったら二つ作ってもらうことにしようか?売るのは難しいから自分の?で、二つ注文すれば、善林さん的には、十分ではないにしろ、ギリギリオッケーくらいになるのでは?少なくても、私の覚悟は伝わる。
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で、二つお願いして、わださまの誕生日に合わせるために、そっちが先に納品されて来て、しばらくしてこれが来たわけです。二個目については、何も注文つけませんでした。だって、同じようにしないと効率落ちるもん。だから、わださまの分とほとんど同じのが来ると思っていたいのです。そしたら、なんと、善林さん、私のイメージで作ってくれたのです!!!
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これ、自分が持ち歩いてたら、「あら、素敵。私も欲しいわ」って方、現れるかも!!!
ピンと来た方、いかがですか!お望みに合わせて、いかようにもいたします。お問い合わせは、お気軽にこちらから→☆
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ちなみに、撮影時、中身はこんだけ入れてます。500mlのペットボトル。iPhone。財布。カード入れ。手ぬぐい。重さは、980gでした。
わださまの合切袋の写真は、プチプチを入れて撮ってます。重いものを入れるのは、はばかられますものね。今回は、しっかり入れました。約1kg入れて、持ち歩いて、何の不安もなくしっかりしてます。へこたれません。
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持った感じはこんな。
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全体像はこんな。
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善林さんから、合切袋が送られてきたのが、12日の夜。(朝から出かけていたので、夜指定)13日に撮影して(このページの写真などね)、お手紙書いて、カード書いて、伝票書いて。14日に梱包して出荷。15日の着指定。
3月15日は、わださまのお誕生日なのです。(以前いただいていたお手紙に書いたあったのを、今回たまたま発掘しました。それで、この日に間に合わせようと、善林さんにムリ言いました。応えてくれる彼女はすごい。)
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3日置いて、わださまから、お手紙が入った、現金書留が届きました。わださまらしいなあ〜。
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お手紙には、3月15日のことが書かれてました。天気が悪く寒かったので、朝から、録画した美術番組を見ていたこと。アール・ブリュットの番組に考えさせられたこと。バースデイケーキならぬ、バースデイアップルパイのふた切れ目を食べようとしたところ、ピンポンがなったこと。
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それに続くお手紙、一部抜粋させていただきます。
「合切袋、面白い出来上がりで、とても満足しております。アーシル・ゴーキーの雰囲気も出ています。良い裂の組み合わせです。やはり、赤がアーシル・ゴーキーにはあると思っていて、この赤のイメーヂが私にはあります。絵にその色があるわけではないのですが、私の中のイメーヂなのです。
早速お彼岸のお墓参りにこの手提げを持っていきます。とても気に入った出来上がりでした。嬉しく思います。善林さんにも、わだが悦んでいたとお伝え下さい。」
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ああ、よかったよ。only only わださまの合切袋ストーリーは、これにて完了です。
それにしても、2次元の布が、善林さんの仕立てによって3次元になり生まれ変わるのが、本当にすごいと思いました。そして、これから、わださまにあちこち連れていってもらって、新たなストーリーが生まれ、次元を超えるのだなあ。すごいなあ。コラボ。only only。おもしろか!
もしこのような、袋物などに興味のある方、ぜひお気軽にご連絡ください。お仕立ては、善林さんにお願いして、あなただけの袋物を作ることができます。
注文制作ではなく、出来てるもので気に入ったら欲しいという方も、お気軽にご連絡ください。ご紹介できるものがあることもあるし、今後そういうものを作った時に優先的にご紹介することもできます。
それから!実は、善林さんとのコラボで、私の布を使ったトートバッグも進行中です。着物にも合うトートとか、自転車かごに入れやすいトートとか探り中です。完成予定は、晩夏か初秋あたり。どうか、楽しみにお待ちくださいますよう!
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only only、わださまの合切袋、出来上がりました!
じーーん、、、、堂々とした風格がある合切袋になったなあ。年配の男性が持って、いい風情だと思います。ましてや、わださまだもんね。
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いろいろを乗り越え、出来上がりました。ほっとしました。実はある理由があって、善林さんをせっついて、仕立てを急いでもらいました。ご苦労おかけいたしました。その理由はまた書きます。
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いやはや、あれからもいろいろありました。仕立ての善林さんに、プロトタイプを送り返したら、なんと、盗難にあったり!(郵便受けから抜かれた!)
アーシル・ゴーキーは、多難な人生だったようですから、彼の絵を目指して作ってきた我々、これで済んでよかったと思った方がいいかもね。
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紐は結局、革の編丸紐となりました。手に持つところは、別の皮が巻いてあって、持ちやすくなっています。いろいろ考えたけど、これでよかったと思います。全体のバランスもいいよね。
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さあ、それで、ほうほうの体で着物をきて、駅に小走り。電車に飛び乗り、いざ日本橋へ。待ち合わせはコレド日本橋。和食のランチをいただくことになっております。
上の写真の7名がメンバー。みなさん、すてきです。
前列右が、ブログ上のお名前で神奈川絵美さん。お召し物は、再会がうれしい拙作「シスレーの居る風景」。
中央のキュートな方はtさん。なんと、来がけの電車でお声をかけてくださった。面識ないのに帯でわかったと!電車の中で「ヨシダさんの帯をしている人がいるなあ。あ!ヨシダさんだ!」。おかげで幸先いいスタートでした。
左は、みるさま。うふふ。締めてくださってるのは、「Spirit Of Green」です。可愛がってもらってる〜〜
後列右は画家の朋百香さん。ウェブサイトはこちら。かっこいいです。
お隣はrさん。お着物と帯留め、写ってないけどお羽織も、お義母さまから譲られたものだそうです。ものっすっっごくステキだった。それにお似合いだった。
一人置いて、左はmさん。お写真からはわからないけど、こちらもすてきな薄いピンクの牛首紬で、振りと裾に水が表現されてて、まさにお題の「魚座」と「春」にぴったりでした。ご自身は魚座ではないというのが、またツボでした。
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拙作まとってる3人寄って。
右の帯、みるさまの「Spirit Of Green」(メイキングはこちらにまとまってます→☆)
中央のお着物、絵美さんの「シスレーの居る風景」(絵美さんがご自身ブログにお誂えの記録を書いてくださってます→☆)
左の着物と帯は、名無しのごんちゃんです。(実は帯の名前は「大反省帯」。大失敗してしまった帯を、仕立てで生き返らせていただきました)
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お食事のあとは、デジタルアートを見に行きました。初めての体験。会場全体いい香りがするのです。まさに五感で楽しむアートですね。
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ここに写ってるのは、たぶん私。
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デジタルアートの出口で記念撮影。お食事の時より、リラックスして楽しんでるのがわかりますね。
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これはその後のお茶。もっと楽しんでる〜〜〜
*写真はそれぞれが撮ったものを、tさんに送って、まとめていただきました。そこから、それぞれダウンロードするの。こういうの、私できないので、感心します。tさん、ありがとう!
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日曜日の朝、出かける1時間半前、着付けを始めます。1時間も見れば大丈夫なはずだけど、念のためと、着付けで疲れるので休むため(笑)。
着物を着てる私を知る人はみんな賛同してくれると思うけど、私は、ちょー着付けが下手。いつも出たとこ勝負で着ています。そして、いつも、かたわらに着物の着方のアンチョコを置き、それを見ながら、おっかなびっくり着ているのです。それは昔から、今もです。
数年前、そんな私を見るに見かねて、旧知のお客様が、七緒のバックナンバーを送ってくださいました。その号は、着付け特集で、自分で読んでためになったし、とても分かりやすくツボを抑えて書いてあるからと。この号は人気だったらしく、売り切れていて、アマゾンで新古本を探して取り寄せ、それを送ってくれたのです。感謝感激しました。
このお方は、まだ私が、注文制作をonly onlyと名付ける前から、着物と帯を注文くださり、育ててくださいました。事実、ものすごく助かりました。染織を続けていられるのは、買ってくださるお客様みなさまのおかげですが、その一翼をになってくださいました。
個展の前には、陣中見舞いに、小さな醸造元の特別に美味しいビールをお送りくださったり。お食事にも2度、誘っていただいた、、、自分では行けないようないいレストランで、本格的なディナーをいただいた。ワイン1本ペロリとあけたなあ。第一線ビジネスウーマンでもある彼女は、染織吉田の打ち出し方の相談にも乗ってくださった。。。
お客様というより、人生の先輩だった。最高にかっこよかった。
七緒を広げて、着物を着ながら、、、、思わず手が止まります。このお方の訃報を聞いたのは、2週間前。未だ、心の整理がつかずにいます。