何重もの意味で、じーんとうれしいお写真いただきました。
これは、熊本地震で大きな被害を受けたお宅が、改修工事を終え、地域のみなさまにお披露目しようと、会を持たれたときの写真です。築135年の古民家で、相当なダメージだったらしいのですが、立派に復活したと。外壁にはフレスコ画が描かれ、街並みともよく馴染み、すっごく素敵みたいです。次、帰省したら、絶対観に行くわ!
場所は、熊本市南区川尻。この辺りも、地震の被害、大きかったのだよね。2年たって、やっと改修工事が終わったのですものね。まだのところも多いでしょうね。
さてさて、木槌を振り下ろして鏡開きをしたこちらの男性、どなたかお分かり?お召し物に見覚えは?
そうです!くりさまです!!2014年にONLY ONLY で取り組ませていただきました、お着物、お羽織、角帯をお召しです。見えないけど、羽裏も染めさせていただきました。一式をお召しくださり、晴れの舞台にご登場です。(制作工程はこちら→☆ スクロールしてさかのぼってご覧ください)
お納めして4年、いい感じで育ってくれてますね。うれしいなあ。
そしてそして、鏡を割られたこの樽は、地元川尻のお酒、瑞鷹です。ここも地震の被害が大きく、作れない期間が相当あったのでは。瑞鷹も、しっかりと復興している。うれしい限りです。
みなさま方から着物姿を褒められたくりさま、瑞鷹を勧められるままきこしめし、たいそうご満悦だったと、奥さまからお聞きしました。
あ、奥さまというのは、ここにフレスコ画を描かれたアーティストです。大事な日に、夫婦そろってお着物とは、本当にすばらしい。「着るまでが大変だったけど、着たら皆さんが喜んでくれて、うれしさ2倍でした。」とおっしゃってましたよ。
そしてこちらが、そのフレスコ画です。なんと、テレビでも紹介されたのですよ。こちら→♡
ジャーン!こちら、懐かしの「くりさま」です。一昨年、お着物とお羽織を織らせていただきました。その後、角帯も合わせていただき、三部作が完成しました。お正月にお召しくださったそうで、奥様がお写真送ってくださいました。
写真拝見し、とってもうれしかったです。ご主人さま、以前よりずっと着物になじんでらっしゃるわ。リラックスした感じを受けました。お正月に、わざわざ帰省先にお着物一式お持ちになられたんだろうなあ。ありがたいことだ。
すでに、「作品ギャラリー2014」に載せていましたが、この度写真を差し替えて、文章も少々いじりました。ここクリックして見てね。上から3番目です。→☆
これは、まさにご家族の象徴のようなお着物なんです。着物にも、羽織にも、羽裏にも、帯にもたっぷりストーリーがあります。栗と柿がキーワードでね。
本当にありがたいお仕事でした。これからも、ストーリーがある、唯一無二のお着物や帯、場合によっては、お羽織や布地なども織っていきたいと思います。
ずっとずっと取り組んで来た、くりさまの着尺と羽尺、それから羽裏をお納めいたしました!
くりさまとメールのやり取りをしていて、「素敵なコンセプトにもとづく色、染料、デザインで感激しました。」とおっしゃっていただけました。
イタリアに留学されてアートを学ばれたくりさまが教えてくださるには、デザインやセンスという意味の言葉を、イタリア語では、構想や方向という意味でも使うそうです。
「ヨシダさんの構想の矢は毎回、注文主の希望である的をはずすことなく、的中率120パーセントです。」とまでおっしゃっていただけました。感無量。ONLY ONLY の真髄ここにあり。
今回の制作にあたって、私が心に刻み込んだキーワードは、「くりさまのご主人様が50歳の節目を迎えられたこと。」「くりさまのお父様がお正月に毎年和服をお召しで、そのお姿をカッコいいなと思っておられたこと。」「くりさまご夫妻、ペットの2匹のわんこと、いいファミリー関係を築いておいでだということ。うちの一匹は、ブリーダーで種犬として長く使われて、人を信用しないワンコであったってこと。それがくりさま夫妻の愛情で、やっと穏やかな表情をする幸せなワンコになれたってこと。」
だから私は、くりさまご一家が、連れて行って下さった筑波の蚕影神社の鎮守の森で、青空のもと、栗ちゃん、柿ちゃんが、駆け回って遊んでいる、そんな幸せな光景を思い描いて織りました。
栗ちゃんの着物と羽織、柿ちゃんの羽裏。青い空。くりさまの印象的なブルー。
くりさまストーリーは、ここからお読みいただけます。時系列をさかのぼって下さると読みやすいです。
ご注文いただき、じっくり取る組む機会をいただけましたことに、くりさまご一家に深く感謝いたします。
くりさまの羽裏、図柄はロスコ。スカイブルーと大地の色の染め分けに決定しました。せっかくだからすべて草木染めで行きましょう。
これは、クチナシの抽出液でブルーを染めているところです。ふわっとした空。天高く、秋の空かな。
注文主さまのくりさま、アーティストでらっしゃって、印象的なブルーを使われます。それを見て、いいなって思ってたこともあり。くりさまご一家が、青い空の下、一緒に過ごしているってイメージもあり。
空が染まったら、今度は大地。柿染めです。栗染めの羽織の裏が柿染め。くりさまご一家、2匹ワンちゃんがいて、一匹が栗ちゃん、もう一匹が柿ちゃんです。一家勢揃い。
クランプでガシッと締めます。
これは媒染が終わって、最終の染め工程。
染まった!
さあ、満を持して、くりさま、再登場です!
実は、くりさま、羽織と着物を織らせていただきましたが、羽裏も染められないかとお聞きくださっていたのです。それも、先日作った、柿の染料を使って。それで、ここんとこ、その試し染めをしつつ、模索していたのです。
羽裏とは何ぞやってことからいろいろ勉強しました。色柄のことや素材のこと。現代の額裏を作ってやるぜよー。おー!
くりさまとも「ジャクソン・ポロックのドロッピングみたいのなのは?」とか「ロスコ風は?」「スペインのアルハンブラ宮殿は?」などなどのやり取りが。
それで、生地を探して、京都の生地問屋さんから、手に入れました。で、早速、熱湯で余計な成分を洗い流して、干しています。(上の写真) うーーん、いい布。
これ、本番の布。5cmほど切って、最終の色の試し用です。同じ布でないとね。本当には分からないから。
一部を板締めにして強く紐でくくって、白場を作ろうと思います。白場って深呼吸が出来る感じがして大事にしてます。
こちらは、染め方の試しです。染めのタンクに張り付いているのは、手伝いにきてくれたmiwaさん。今日は一人でなくてよかったよ。ありがとう、miwaさん!
長らく取り組んできた、くりさまの着尺ですが、、、
織り上がりました!
着尺を織るのは、自分と向き合うことだ。ダメなところもさらけ出される。実は怖いのです。とにかく逃げないでぶつかること。私に出来るのはこれだけ。
ご注文主さまはじめ関わって下さる人や、素材や、道具に助けられ、精一杯のタッグです。いい試合が出来たか?成果はどうか?
くりさまの着尺、緯糸はこんな感じです。それぞれに愛おしい糸たち。表情ゆたかで、キャラだちしているのだけど、けっこう謙虚で、分をわきまえ、出番をじっと待っている。ここぞと言うとき、大活躍。
ほれぼれ〜。
こいつらをどう生かすかという責任重大さ、受けて立たねば。糸はすごいんだぞって伝えたい。
くりさまの着尺、織ってます。淡々とした中に、驚きと反省が繰り返しやってくる。落ち込んだり、舞い上がったり、飽きないなあ。野趣味で素朴な布、朴訥とした色気を感じる布です。
動画も撮ったよ。1分くらい。よかったら見て下さい。これ、一日中やってます。
今回のくりさまの着尺は、一日3尺くらいのペースで織ってます。羽尺の方がもうちょっと早かったな。密度の違いかな。
くりさまの着尺、要所要所で、ルーペで確認しながら織っています。
ルーペは2種類使ってまして、こちらは小さい方。トップの写真は大きい方です。
焦点を合わせると、こんな感じ。
小さい方は、一辺が2分なのです。2分メガネとも呼ばれます。2分に何本の緯糸が入ったかを数えて、計画通りか確認しながら進みます。
ありゃ、ちょっとゆがんでますね。糸目に合わせて置かなきゃね。
こちらは大きい方。
くりさまの経糸、こんな感じ。毛羽が多いのよね。これがふんわり弾力のある、柔らかな布になる秘密なのだけど、織るのは大変。目がまわる〜。
布の表情は、なんと言うか、静かでおおらかな大地のよう。
真綿紬はマットな絹糸なのだけど、こうして見ると、光沢があるなあ。抑えた中に輝きがある、これが絹の力かな。
これは、端に出た緯糸を、いちいち切ってるところ。緯糸は12種類。メイン以外は、例えば、一寸に一本とかの出番なのです。飛んだ分は、切るのです。
さあ、着尺の緯糸が決まりました。巻きます、巻きます。
栗染めの鉄媒染がメインで、濃さを変えたのを数種。真綿紬糸がメイン。座繰り糸もほんの少々。5.5匁と6.5匁を用意。5.5の方がメインね。こっそり、柿の実を思わせる赤っぽい色を隠し色として使います。緑もちょっぴり使います。無地に見えて、よくよく見ると、深く、豊かで、果てしない、布を織りたい。
同時にしっかり計算を入れます。準備した糸の量と、入れていく割合の折り合いを付けるのです。自由に織りたいのだけど、自由なだけではいけない。しっかり計算を入れることで、バランスのよい布になると思う。
羽尺が仕上がりました。念入りに検反します。ためつすがめつ。湯のしがまだだから、完全には分からない。反省しつつ、いいところもしっかり見つける。
着尺では、もうひと目、筬目をつめてもいいかもしれない。羽織と違って、体重が掛かるから。身頃だけでいいんだけど。では袖を同じ筬で織っちゃって、身頃と衿衽は58羽にすると、ちょうどいいか?
すでに試し織りはくりさまもご覧になって気に入っていただけてる。緯糸の染めは、試しと同じでいいかな?いや、羽織とのコントラストを出すために少々白っぽくするか????
その旨、くりさまにご相談すると、一拍おいて、白っぽくはしないで欲しいとのお返事が。その理由は、この着物をお召しになることになるご主人が、お食事中などに汚しても、目立たないから安心だと。
なんだかほほ笑ましいなあ〜。愛があるなあ〜。うらやましい。
着てて、緊張しないってのも、大事です。楽に長く、お召しくださいね。
写真は着尺の緯糸を染めてます。同じタンクで、細目と、ちょっと太目の真綿紬糸も一緒に染めてます。ふっくらしたいい糸よ。
くりさまの羽尺、軽く検反しまして(最終検反は、最後にします)、湯通しです。私は、バスタブを使います。お風呂に、ぬるま湯をためまして、布をいちどきに放ちます。布ははじめは、もじもじと、はじらいと抵抗で、なかなか進水しませんが、ちょっとの時間で、すっかり水になじみます。その瞬間、クリは魚に変身します!私は、何回も何回も繰ってやって、彼が気持ちよくのびのびとスウィムをするのを助けます。
糊や汚れや、落ちきれなかった染料や媒染材も、すっかり落とし、丸裸になります。あー、さっぱりした。
そして、伸子で張ります。
その最中は、我が家は、いっぱいいっぱい、他に何もできません。
I give freedom to swim Kuri in bathtub. Kuri is free from covering now.
Kuri is so sexy.
Then, Kuri finish bathing and spread by streacher long in my room.
くりさまの羽尺、織り終わりました!まだまだひとつ目の区切りですが、ちょっとホッとしています。
織りづらくて、苦戦もしましたが、使いたかった糸を使って、栗を中心とする草木染めで、布を織れたことはとてもうれしくありがたいことです。織りたい布を踏んばって織るって力はついたか、、、。(力と言うか意地だね。貪欲さか。)
ああやればよかった、こうすればもっとよかったってのは、実はあるんです。反省点は山のようです。
一方、よかった〜、最高だよって思う点もあるし(笑)。
実はまだ分かんないんだよね。これから仕上げると変身するし、仕立てまでいけば、またまた大変身です。楽しみです。
くりさまのダンナさまに似合いそうってことと、愛おしい布だなあってのだけは言えるかな。
さあさ、羽尺、仕上げて行きましょう。
くりさまのダンナさまの羽尺、ずいぶんと織り進んできました。表情が豊かな布なので、織っていて飽きません。経糸と緯糸がぶつかって、つぎつぎ現れる表情に、うわーうわーと驚きつつ、愛でつつ、織ってます。
でもものすっごく織り難いです。糸に風情があり過ぎです(笑)。
うちの近くに、ぜにさわさんという、超高級コーヒー豆屋さんがあって、そこではマスターが、いろいろ解説しながら試飲させて下さるのですが、あるとき、正しい入れ方を聞いた私に、マスターがこう教えてくださいました。
「うちのようなレベルの豆はどうやっていれてもおいしいです。」
フィルターとか、湯の温度とか、挽くときの荒さとか、そういうことは些細なことだ。豆なんだと。豆に力があれば、どうやったっておいしいんだよと。
そっかーーー。それは織りも同じかも。糸に力があれば、いい織物になるもんね。好き嫌いはあるけど、うっっわーー!いい布〜〜〜って風にはなる。
くりさまの羽尺、織り進んでます。今日は、ちょっと道具自慢。機張りといいますか、、伸子と言う人もいるけど、写真に写ってる布を張る道具、いいでしょーー!今回、デビューさせたのです。
これは、尊敬する染織家の影山秀雄さんの制作のものです。煤竹と皮のバンドで出来ていて、金具は使ってないのです。しなり具合が優しくて、布を無理やり広げてる感が皆無です。取り付けられている針が、布を差すのも絶妙な角度で、布に負担が少なく感じる。織りを知り尽くしている人が作った織道具。
んでもって、美しい。美しいものに囲まれて、美しいものを作りたい。
実は、この機張り、織ってるときは見えません。実際は、この写真のように布の裏につけています。この方が私の好み。布の表情を見ながら織りたいから。上の写真は自慢のためにわざわざ撮ったヤラセです。
一寸くらい織ったら、その都度付けかえます。その感触にうふふふーってしながらね。
くりさまの羽尺、緯糸は10種類です。あ、写真には9種類しか写ってませんね。撮り忘れ。
ふっくらした真綿紬糸が基本です。真綿紬も、太い細いをまぜてます。細いのを3入れて、太目を1入れるくらいのリズム。もっと太いのは、一尺に一本くらいしか入れない。でも、必要。カッコいいから。
ほんの少々、つるっとした生糸も使ってます。その方が、着心地いいんじゃないかと思うので。
全部草木染め。あ、ひとつは墨染めです。
栗、矢車附子、蘇芳、ロッグウッド、マリーゴールド、墨といったところか、、あ、玉葱と山桃もだな。
これらを織りながら、まぜていく。まぜると言うか、、、、溶かす感じ。経糸に溶かし込んで、新たな色を作る。
すべての準備が整いましたので、くりさまの羽尺、さあ織りましょう、織りましょう。
緯糸を入れると、心が浮き立ちます。立体物を創造している気になるのよね。特に今回みたいに、杼の入れ方のある程度のリズムは決めるけど、即興でどんどん作っていくときは。
自分の手の中から、布が生まれ出るのは、何度やっても感動する。
いい布だなあ〜。自画自賛。
くりさまの羽尺、メインの緯糸が染まりましたので、混ぜ込む糸を決定していきます。緑みを感じさせるよう、隠し味を仕込むのです。糸の種類や太い細いもいろいろ。8〜9割くらいは、真綿紬の細目だけど、あとのちょっとで遊ぶのです。表情豊かで、着心地のいい、飽きない羽織になりますよう。
糊がついてない分にはつけます。糊、つくらなきゃ。
さあ、最終の小管巻き。実作業はmiwaさんがしてくれてます。
さあ、羽織の緯糸が染まりましたので、早速、試し織りをば。ふむ、ふむ。写真の下っ側が着物、上っ側が羽織です。ふむ、ふむ。くりさまに画像をお送りしたら、お気に召していただけた感触。じゃあ決定しよっか、、、と思って、一晩おいて再度検討。
朝は色がクリアに見える。
うぅ、、、いやっ、ダメだっ。ダメダメ。もっと、着物と羽織の違い、出すなら出さなきゃ。今の状態だと中途半端。くりさまのご主人様、もうちょっとメリハリつけた方がお似合いになる。
で、くりさまに、もうちょっとだけ濃くしたい旨お伝えし、緯糸に使う予定の中から、一部の糸を染め重ねます。染めて、媒染して、また染めて、洗って、糊付けて、乾かして、巻いて、さあ、再度の試し織り。
ほら、こんな感じ。いいんじゃない。ほどよい色の差。織ってるのが羽尺。上に乗せてるのが着尺。これで行きましょう!
ロッグウッドも染料になりましたので、早速、クリ、スオウ、ヤシャブシ、と染め重ねて行きます。媒染は、鉄です。染めと媒染を重ねるごとに、真っ黒に近づいて行きます。
鉄媒染は、鉄の成分が残ると、あとあと厄介なことになりかねないので、しっかり洗い流します。それに二層式の洗濯機の洗濯槽を使ってます。洗濯機として使うんじゃないよ。でかい洗い桶として使います。手でしつこく振り洗い。流水で、何度も水を換えて。最後は一晩、水にいれっぱなしにして、水をちょろちょろ出しっぱなしにします。完全に鉄を洗い流します。
さあ、この写真の中央の糸が今回染めた糸。いい黒でしょ。左は栗染め。着尺の緯糸の予定。右の緑みをもった糸は色味を加えるための糸。
色が決まれば、もう一度計算をいれて、糊をつけます。
くりさまとやっと羽織の話しを進めさせていただきました。同じ経糸で、緯糸を変えて、羽織の方を濃くすることになりました。
くりさまが、「こんな感じは?」と提示された着物と羽織りが組み合わされてる画像は、着物は草木染めの手織りで、合わせてあった羽織はひと目で分かる化学染料。茶色っぽいお着物に、黒の羽織です。
ふむ。経が栗染めだから、ここまでパキッとはならないけど、やってみてもいいですよ、酸性染料で、限界まで強く染めてみましょうか?
と、申し上げますと、くりさま、今回は草木染めにこだわりたいとのこと。
了解っす!では、草木の力で、深くて黒い濃い色をやってみましょう。
それでは早速、染めにかかろう。せっかくだから、栗も使おう。あと、スオウとヤシャブシ、ロッグウッド。ロッグウッド、煮出さなきゃ。
写真は2枚とも、ロッグウッドのチップをタンクに入れたところ。これから煮出すよ。
ロッグウッドって、明治の頃から輸入され、使われている、中米原産の優秀な染料。黒にしっかり染めたいときは欠かせない。
英語では、Log wood と書きますが、log って何? 丸太って意味もあるけど、書き付けとか、日誌って意味もあるよね?ブログのログだもんね?日々記録を残すように、日々、淡々と染めましょうか?って、やっぱ、丸太になりやすい木ってことだろうか?
そして、57羽の筬が再度送られてき(今度のは完璧!)、筬通しをして、試し織り3回目。湯通し、スチームアイロン。ふむ、これでいいかも。56羽でなくて、かえってよかった。
そんなある日、くりさまが、お友達と一緒に、我が家にお越しくださいました。ドーナツのバーレル持って!(その後食べ過ぎた)
3枚の試し織りを観ていただく。栗染めの糸が織機に掛かっている風景ももちろん。
経糸の感じ、気に入っていただけたようだ。ほんのちょっとだけ、柿色を差したのもよかったかな。(柿染ではないけどね)
ちなみに試し織りで使った緯糸は、経糸と同じで、栗染めがほとんど。基本の色です。ここからどう振るか?
くりさま、試し織りの色、お気に召していただけて、着物の完成の色は、栗染めメインとなった。実物を観ていただけたのが何よりよかった。モニター越しでは分からないこと多いし、言葉足らずで説明できないことも多いから。
さあ、それから、、、、、
今まで経糸を経て、機を動かすところに持ってくるので精一杯で、羽織の話しを、ちっともして来なかったのを反省。いっぱいいっぱい過ぎました。
男性が着物をお召しになるときは、やはり羽織は無いと落ち着かないと思います。お対でなくても構わないのだけど。お対もすてきです。
羽織の話しに移ります。
写真は、3枚の試し織り。同じじゃんって言わないでね。すっごく違うのです〜。
さあ、機に上がりましたので、さっそく試し織りです。
まずは、筬目を確定させなければなりません。予定では55羽(一寸間に110本の糸の密度)ですが、節が多い糸を使ってることもあり、53羽(一寸間に106本)で通してみます。
ゆるめ目からやってみたいのは、以前座繰り糸を地機で織ってる尊敬している方が、「糸の良さを見せたいから、筬目はゆるくする」っておっしゃっていたのが心に残っているからです。考え方は織り手それぞれです。
で、53で通して、4寸くらい織ってみます。いったん切って、お湯通し。糊を落として、乾かしてアイロン掛けて、様子を見ます。うむー。布としては最高に気持ちいいけど、今回はもちょっと丈夫さを求めたい。
で、55羽に入れ替えます。また織ってみて、切って、湯通し、スチームアイロン。
うーーん、もうちょっとだなあ。56羽か?もっとか?と筬を出してみるも、手持ちの56羽の筬は、私が着物を織りはじめた時に一等最初に買った筬で、昔の幅なのです。女性ものの着尺は織れるが、男性の体格がいい方の着物を織るには、ホンのちょっとだけ、足りないのです。今回でいうと、10本くらい入りきらない、、、広い筬を買い直すか、、、
どうせ買うならと、持ってなかった57羽を新調することにしました。ほどなくやって来た57羽の筬。包みを開けた瞬間、ん?この筬、ちょっとゆがんでる?!!!筬の羽は真っ直ぐでなきゃ糸が最悪切れちゃうのですが、ほんの1mmくらい、ゆがんでる。うーーーんんんん、織って織れないことはないが、ここは申し出させてもらおう。納得しなくちゃ織れないもんね。
で、製造元に電話して、返送してみてもらったら、すぐに作り替えてくれることに。
はー、織りは、織り出すまでが、山あり谷あり〜
上の写真は、天野志穂実さん撮影。織機風景。
下の写真は、私撮影。2回目の筬通しをしてくれているmiwaさん。
今回のくりさまのお着物、テクスチャーは、結城紬みたいな感じをお望みでしたので、経糸にも、真綿紬糸を中心にほっこりした糸をラインナップしました。で、使いたい糸を吟味して、どんどん準備していきましたが、同時に、こりゃ織り難いぞって思いはチラリと頭をよぎってました。
織り難いってのは、この場合、毛羽立つ、撚りが甘い、節が多いなどのことです。織りづらいけど、柔らかくしなやかな、いい味がある布になります。
私は織り難くても、織りたい糸で織る、無難に流れない、無謀にだって果敢に挑戦したいのです。
しかしまあ、今回はちょっとやり過ぎたかなあって思っていたある日、織り友達が我が家を訪ねてくれました。結城紬を織ってる人です。で、いろいろと盛り上がったのですが、ふと、糊付けの話題が出ました。で、彼女が結城で使ってる糊を教えてくれました。
早速取り寄せてみましたら、白い粉が届きました。この糊、知ってる!
ずっと以前、染織家の大先輩のお手伝いをさせてもらったとき、「機の上で付ける糊だ」って少し使わせてもらったのです。しかし、その方も織り仲間から譲られたとのことで、商品名とか入手先は不明だったのです。
染織家の間を行き来する白い粉!
神を見た思いがしました。救われた!
綱渡りもいい加減にしないとって思いますが、なんだかんだと助けてもらい、織りを続けています。本当にどうもありがとうございます。
しかし、さすがだなあ〜。研究され尽くされている感があります。
今回は、くりさまご一家に結城に連れていってもらったことと言い、ご縁があります。ビバ!結城!!
写真は、天野志穂実さん撮影。まだ引糊する前。ほら、織りにくそう。
くりさまの経糸、巻き取れましたので、よっこいしょと機に掛けます。ずっしり重いロールを整経機から外して、運んで、機の後ろにセットして、上に上げて前に持ってきます。綾を紐から棒に変えます。写真に写ってる白い棒が綾棒です。
それから、綜絖通しと筬通し。このときやっと、どんな経糸のならびになったのか、目の前に現れます。計画と現実に乖離があるかどうか。
いやはや、、、いろいろ省みつつ、、、、。
写真は天野志穂実さん撮影。
整経が終わったら、今度は、千切り(チキリ)(またはオマキともいいますね)に巻きます。渾身の力を込めて、気合いを入れて、えいやっと巻きます。
はさんでいってるのは、機草(はたくさ)と呼ばれる紙です。がちっと巻くのに必要です。糸が食い込まないようにもするし、ただの紙だけど、なくてはならないすごいヤツなんです。
この写真の方が分かりやすいですね。
昨日の拙ブログを見た、くりさまからメールいただく。昨日の一番したの写真、萌え萌えだったそうです。やったー!テクスチャー好き、織り好きには、たまらんいい感じになってると思ってる。
準備周到、さあ、整経です。息を詰めて、集中して、一気に行きます。
整経で一番大事なのは、綾を取ること。写真に写ってる、太い白い糸で取っていますよ。私は、端っこから順々に取るんじゃなくて、ひとつおきとか、ふたつおきとか、リズムを決めて取ることにしてる。そうすると、りきみや緊張も分散される。
糸は、木枠から一度上に行って、梨地の「のの字」のヒートンを通して、整経機に持ってきます。写真は糸がはじめて束になるところ。これが一回分。44本。
道具は美しいのです。素材も最高に美しい。ほれぼれ。
はい、整経できました。真綿系の糸がほとんどだから、ふっくらふかふかしてます。その分毛羽立って織り難いのですけど、布味は最高になるはず。くりさまがお好きなタイプと思ってる。
さあさ、くりさま、整経のための準備です。念入りに、念入りに。写真の奥、床に紙がありますけど、それに全ての計画が書いてあります。それをいちいちチェックしながら、進めていくのです。
木枠を並べる。下に布を敷いてるけど、こうすると、糸が垂れても枠の足が糸をかまないのです。お皿にも布を敷いてるよ。
今回、一部、木枠を二段重ねにしました。そこだけ、二本取りの経糸になります。いわゆる杢糸(もくいと)ですね。(二種類以上の糸を絡み合わせ作る糸を杢糸と言います)表情豊かな布の仕掛けのひとつです。
くりさまの経糸、バンバン巻きます。この頃になると、我が家は木枠で占領されます。足の踏み場もありません。
無造作に巻いていると思ってる?ちゃんと計って巻いてますのよ。整経長は33mで、木枠は44枠の予定。余裕をもって、一枠1000mを巻いていきます。
巻きます、巻きます。
ふぅ。
ふぅぅぅ。
木枠に付せんを貼っているのは、似ているけど違う太さや作りの糸を多用しているので、同じ種類の糸が並ばないよう、見分けるためです。うまく散らして、表情豊かな、くりさまのご主人のお着物、目指します。
くりさまの経糸、巻きをはじめましたが、まだまだ染めます。どういう表情を目指すのか、染めながら、巻きながら考えるタイプです。
これはアルミ媒染。明るく健全な感じがするんよね。今回はちょっとだけ混ぜたいのだ。動きが出るから。
こちらは銅媒染。青い液なのだ。緑青の色と言うか、、、、今回、これはたくさん使う。緑っぽさを内包させたい。
これは鉄媒染。アルミ媒染や銅媒染の後に、もう一度クリで染めて、その後に掛けます。その後、またクリで染める。
染めがオッケーになったら、糊をつけます。今回は、ふのりとしょうふを混ぜています。真綿系の糸を経に使うので、糊はしっかり強めに付ける。そうじゃないと、毛羽だって織れないのだよー。ってこれだけ付けても不安です。
くりさまの経糸、ずいぶん進んできました。決定した分から、糊をつけ、木枠に巻いちゃいましょう。様子見たいしね。そうだ、一部の経糸は二本取りで行こうか。たくさんの糸をふんだんに使って、フラットな立体造形を目指そう。その方が、くりさまとくりさまのご主人さまらしいと思う。
この日は、miwaさんが、手伝いにきてくれてます。巻いても巻いても果てしない〜。エンドレスに思われる。もちろん私も巻きますよ。
男物は一疋(一反の倍)で経てるし、相当な量です。しっかり計算しなきゃいけないのも、この段階。頭が痛くても、何回も何回も電卓をたたきます。
くりさまの栗染め、せっせと進めますが、作業をしながらも、イマイチ漠然とした思いの中をさまよっている私。方向性をもう少し詰めたい。
そんなことを考えていた12月のある日、くりさまが、京橋でフレスコ画の個展をされていたので、出かけました。くりさまの絵も拝見したいし、もう少し、話したい。
会場に行ってみると、なんとファミリーみなさまいらっしゃいました!くりさまと、ご主人様(着物を着て下さる張本人)、それとクリちゃん、カキちゃんも!
ご主人様は相変わらず、ゆうゆうとしたいい印象。くりさまの絵も、ゆったりした感じで、なんか似てるとこあるんだなあ、などと。
クリちゃんの毛並みの色を再確認して、おしゃべりも沢山して帰宅。何を求めてらっしゃるか、私はどう作ればいいのか、、、、少しずつ見えてくる。
作業続行。
それからまたしばらくした1月のある日、今度はくりさま、グループ展を広尾で開催されました。お会いするチャンス!
今度は糸見本を持って行きました。紙とかモニターでは伝えられない、実物をみていただくチャンスです。候補の糸を管に少しずつ巻いて持って行きました。
写真がそれなんだけど、左の小箱に入っているのが、くりさまに、お好きな色として選んでいただいた糸。右は選外。なるほど、そっか、茶色じゃないのね。特に明るい茶色は外しだね。すこし緑を感じさせましょう。
くりさまの栗染め、どんどん進めます。栗とどう語り合いができるか。耳を傾けられるか。
媒染は、まず銅媒染した上に、染め重ね、また鉄媒染を重ねたりもします。目指す色まで何回も染めと媒染を重ねますが、なかなかたどり着きません。ま、そこが面白いんだけど。草木染めはね。
濃い色がなかなか決まりません。栗の声が、聞き取れてないのかな。鉄媒染でグレーにしますが、乾くとちっとも足りてません。それで、染料に、スオウやヤシャブシの力を借りることにします。栗林から、雑木林に変身です。
写真は真っ黒に見えますが、乾くとそうでもありません。
糊付けに備えて、ふのりを準備します。経糸にも真綿系の糸を使うから、糊はたっぷり必要です。着物を織るには、糊付けはキモです。毎度、腐心に腐心を重ねます。
くりさまのお着物、染めをはじめます。細かいことはまだ決められてないのだけど、今回は栗が大事だから、ある程度の糸を栗で染めてしまおう。
栗を染めると、ふわーっといわゆるマロン糸になる。なんとも言えないおいしそうな色だ。マロングラッセ、モンブラン、栗きんとん、そんなものを思い出す色。
これは染めはじめ、媒染していない状態です。
今回は、くりさまのダンナさまのだから、ある程度の濃さをお望みで、これからズンズン染めと媒染を重ねて行く。でもその前の、いっとうはじめに、こんな優しい色があるっての、いいよね。こういうのが、草木染めの良さかもね。最終的に目に見える色の前に、ベースがある。
染めすすんできました。
すてきなホリデーから帰って、早速、栗の染料を煮出します。そのことは、ここに書いてます。
作業をしながら考える。やっぱり、男性のお着物として、落ち着くのは、遠目には無地だろう。ただ、ペタッとした無地だと面白くないよね。くりさまのダンナさまは、もっと有機的な布の方が似合われるんじゃないか。
それで、くりさまにメールして、こんな感じはお好きかどうか聞いてみることにした。2011年の作品ギャラリー中程に載っている、「みかんの純真」と「みかんの恋心」。
これは、何色もの濃淡のみかん色を経糸に、自由な縞(縞らしくない縞)として入れていて、みかん色が基調だけど、緑やグレーも入れている。
ご主人様の着物は、このみかん色を、栗グレーに変えて、茶色系、紫系や緑系もいれれば、面白いかも。クリちゃんの茶色や、カキちゃんの黒っぽい色も入れてはどうかな。
そして、テクスチャーは、くりさまが気に入って下さる、2007年の作品ギャラリーの中程に載ってる着物、「経緯諸紬(たてよこもろつむぎ)」の感じで、真綿紬糸を多用する。
ふむー。どうだろう。メールでご提案。
くりさまからは、早速、「ご提案の件、賛成です。みかんの純真、好きです。緯経諸紬は、色もテクスチャーもとても好きです。」とのお返事いただいた。
では、その方向で動き始めよう。まずは経糸だ。
いよいよ、くりさまご一家と、お会いできるチャンスがやってきました。去年の11月23日のことです。くりさま一家は、休日のこの日、一日使って、歓待くださいました。
ご主人さまとも、はじめてお会いしました。この方の着物を織らせていただくのね。
あたたかい、ゆったりした印象の方です。一緒にいる人を、優しい気持ちにさせる。
きっとお着物も、きっちり平坦に、四角四面に織るより、自然でおおらかで自由な感じを持たせた方がいいんじゃないかな。色味もこっそり、たくさんまぜようか?
その面白さを着こなして下さるんじゃないかしら。それに、そっちの方が着てて楽ってことにならないかな。
この日、くりさまご一家に、蚕影神社って、筑波郊外の里山の中のひなびた神社に連れて行っていただいて、それがとても良かったのだけど、神社のある森(山?)は、雑木林で、いろんな色がまじってて、きれいだなって思った。
その雑木林に、クリちゃんともう一匹のペットのカキちゃんが走り回ってるイメージの着物はどうだろう?
ご主人さまは、この日は、カジュアルな服でらしたけど、洋服も、キッチリしたスーツより、今日みたいなラフな恰好の方が似合われると思った。お正月にお召しになって、気恥ずかしくない感じのカジュアルさはどうだろう?
クリちゃん色の茶色をメインにするのはいいんじゃないかな。クリちゃん、抱いてらっしゃるの、お似合いだもん。
この日のことは、ここに書いてます。
2013年9月25日に、くりさまからいただいたメールには、こうも書かれてました。
「こちらは栗の産地でもありますので、草木染めの材料は調達できます。」
おお!せっかくなら、地元の栗を使った方がいいでしょう。ぜひお願いしますと返信しました。
しばらくした頃、ドーンとすてきな宅急便が届きました。そのことは、こちらのブログに書いてます。
早速、染料を取ります。そのことは、こちらのブログに。
このとき作った試し染めは、このようになりました。
さあ、これをどう料理して行きましょう?
それから、くりさまとは、8月、9月とメールがときどき行き交いました。メールの文章から、少しずつでも、お着物のイメージが拾えないか考えつつです。
布の風合いは、真綿紬糸を多用して、ふっくらほっこりさせることは確定しました。緯糸はもちろん、経糸にも紬糸に極細の生糸を絡ませた糸を使って、経緯諸紬の風合いに持って行きます。
しかし、色の方向性がなかなか出てきません。ご主人様はすでに青い大島紬をお持ちだそうですので、それとは違うお色味ではどうでしょうとはご提案しましたが、その先に進めないまま、時間は経って行きます。慌てて決めることはないと、私もゆっくり構えています。
くりさまは、草木染めがご希望です。さあ、どうしましょう。
そして、2013年9月25日、くりさまから、一通のメールが届きました。曰く、
「やっとひらめきました!主人の着尺の色は、愛犬クリちゃんの「毛の色」でお願いします!」
「ところで、染めに栗は使用できますか?」
「全体的でなくても、一部分だけでも、または白髪のようにばらしてでも入れていただけるとうれしいなあ」
おお!ご主人さまのお着物の色は、愛犬クリちゃんの色。それを栗染めで作る。おお!!面白い。受けて立ちましょう!
*写真が、今回の主役のクリちゃんです。
くりさまとの30年ぶりの再会を果たしてから、さらに、4年の歳月が流れました。
2013年の7月、くりさま、メールくださいました。その2ヶ月前に、私は、独立10周年を迎え、合わせて、このサイトを立ち上げました。その新しいサイトを見てのメールでした。
「ひとつお尋ねしたいのですが、ヨシダさんのサイトで見られる過去の作品はまだあるのでしょうか?ずっと前の作品画像の中に、男性物の着尺が見えるのですが、もうお手元には無いものなのでしょうか?
と言いますのも、うちの主人が今年50歳になるので、記念に紬でもと思ったのですが、、、(後略)」
まあ!何と!くりさまご自身が着物をお召しになるとは伺ってましたが、ご主人さまも!なんとすてき!
それで、早速お返事し、画像に載っている着尺はもう無いけど、新たに織らせていただくことは、もちろん出来ますとお返事しました。
そうしましたら、ぜひ作りたいとおっしゃって下さったのです。
目指す作風は、サイトの作品ギャラリーの2007年に載ってる「経緯諸紬(たてよこもろつむぎ)」みたいな、真綿紬糸を経糸にも緯糸にもたっぷり使った、風合い大切にしたもの。2005年の帯「苦し紛れ」の緑がかった色にも惹かれるとのこと。
しかし、急がないし、ご自身も大阪での個展準備で忙しいから、しっかり詰めるのはしばらく先がいいとのこと。それで私はひとり、さあどうしましょうと思いを巡らす数ヶ月を過ごすことになったのです。
*写真はくりさまとご主人さま
七緒に載ったのをきっかけに、くりさまがメールをくださってから、半年ほどたった頃、私は、銀座もとじさんで、個展を開催しました。この展示会に、くりさま、お越しくださいました。30年ぶりの再会。わー。
なんだか、恥ずかしいような感じしたな。同郷とはいえ、接点は小学校のときのスキーツアーのみ。中学校は同じはずだが、話をした記憶はない。その人が、今、私に会いに来てくれている。その不思議さにじーんでした。
昔のブログに、ちょっと書いてる。
くりさまのその後を知って、びっくり&羨望。くりさま、フレスコ画のアーティスト。上野にある某国立芸術大学卒業(私を二度も落としやがったとこ!)、イタリア、フィレンツェに留学。
我が中学校から、芸大に行った人がいたなんて、知らなかったよ。それも、たったいっこ上に。その人が今、目の前にいる。
くりさまもあまりおしゃべりなタイプではないとお見受けし、話に花をって感じではなかったが、織った物はじーっと見て下さった。作品をちゃんと見て下さる方だ。
ショールをお買い上げくださった。記憶違いでなければ2枚も。一枚は店頭で、一枚はもとじさんのネットショップから。
その後、くりさまの展示会のご案内をいただくようになり、また、一度、我が家にお越しくださったこともあった。ムサビに行ってるご親戚の青年らを連れて。
30年前のきっかけが、広がって行くなー!どきどきするよーー!
*写真はくりさまご一家。
さあ、完全注文制作ONLY ONLY、お次はじゃーん!「くりさま」です。
くりさまとの出会いは、、、、、なんと、小学生のときです。
小学生の5年と6年の冬休み、私は鳥取県の大山に、子どもたちと引率の指導者だけで行くスキーツアーに参加しました。1年目は姉と姉の友達と一緒に。2年目は私一人で。2年目に一人で参加したのは、きっとこのスキーツアーがすごく自分に合っていたからだと思います。真っ白な雪山や、大晦日に除夜の鐘をつきに行ったことなど、当時の興奮とともによく覚えています。スポーツ全般ダメで、社交的でもなく、周りにとけ込めないタイプの私が、目を輝かせて参加していたと思うと、なんだかジーンときます。
くりさまと私は隣の小学校という間柄。ひとつお姉さんで、オドオドしていた私を気にかけて下さっていたのでしょう。
それから、長い長い歳月が流れました。2008年の秋、私は、「七緒」という着物の雑誌に載りました。しっかり取材していただき、とてもいい文章書いていただきました。(その記事はこちらのページの中程に載せてます。→☆)
この雑誌をたまたまお読みになったくりさまが、私の名前(なんせ姓が変わってない)と「1968年 熊本県生まれ」と横顔(30余年後!)で、「ピン!」とこられ、当時のブログアドレスが載ったので、そこからメールくださったのです。
いやはや〜。感激しました。よく覚えてて下さいました!世の中って、本当に面白いね!
と言うわけで、長〜いお話のスタートです。
写真は、今回のONLY ONLY の主役がみんな写っています。そうなんです、「くりさま」は彼女のみじゃないのです!