吉田美保子の some ori ノート

緯糸のこと

2013.08.18

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今回のアトリエ森繍さまのお着物の、緯糸(よこいと)について、少々ご説明。
緯糸は、全部で、24種類です。24丁杼で織ってます。
色別に列挙してみますね。上の写真が黄色系。13種類。面積が多いですからね。単調にならないように、濃淡、太細、つるつるホッコリ、いろいろです。
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白は5種類。効かせ色だし、あくまで白く。一種類だけ、ほんの少々、青みがかってます。(←これが真っ白に見えるキモ!)
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緑は6種類。グラデーションをきれいに見せるのに、緑に特に気を使いました。色別は以上です。
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それから、糸の種類別に列挙いたしますと、上の写真が、メインに使った、ぐんま200の生繭座繰り糸です。10種類に染め分けています。緯糸全体の80%以上はこれらの糸になりますなあ。ツルツルピカピカで、とてもきれいな、ふっくらした糸です。
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この14種類の糸が、それ以外の糸です。糸の種類は、生繭座繰り糸の少々太目や、細目の真綿紬糸など。布に表情がでますし、何より丈夫にもなります。
以上、24のチョイス。目の前で、自分の手で糸が布になって行く。

さあ、いよいよ!

2013.08.15

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昨晩、糊をつけた糸を巻きまして、さあいよいよ織りますよ。
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どの杼にどの糸を入れるかも周到に考えます。メインで使う糸は同じ種類の杼にいれて、見なくても触るだけで分かるようにしています。糸量の計算ももう一度。慎重に、慎重に。(算数苦手です)
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袖の部分を織ってます。
12時に手をとめ黙祷。

最終の準備段階にかかってます

2013.08.14

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森繍さまのお着物、最終の準備に掛かってます。準備完了してしまうと、もう変えられないこと多いから、今が本当に腸捻転になるくらいの悩みどころ。
写真は筬を入れ替えているところ。試し織りの時は鯨尺53羽でしたが、52羽に入れ替えています。実作業をしてるのは、手伝いにきてくれた shizu さん。
実はこの後、織ってみて、もっと良くしたいと13ヨミって筬に入れ替えたのです。そしたら良くはならなかった。それでまた52羽に入れ替え。(暑い夜の夜なべ作業、ちょっと自虐的で酔い痴れる)
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地の黄色を、少し濃い色で変化をつけたいと、黄色を新たに一綛染めました。すでに用意した濃い目の黄色を多用して変化をつけようかとも思ったけど、それではきれいな布目にならないと判断。さらに一部の黄色、綛に戻して染め足しました。おとなし過ぎないように。白っぽいイメージにならないように。目指すは、きれいな黄色の着物です。
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黄色を染めたら、緑も染めなきゃ。緑が弱いと全体に弱くなりそうで嫌だった。ホンの少々しか使わないけど。
控えめでありながら、ちゃんと主張がある着物を織りたい。きっと佐藤さんはそんな人だと思う。
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うぃー、やるだけやったぜ。やるだけやれば、心は自由。

熊本ゆかりの染織家展、打ち合わせでした

2013.08.12

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本日は、「熊本ゆかりの染織家展」の企画者で着物ライターの、安達絵里子さんと打ち合わせ(という名のデート)でした♡。(って唯一の夏休みです)(打ち合わせだけど)
場所は、東京国立博物館。法隆寺館で待ち合わせだったのだけど、その前に観ちゃおうと早めに出かけた、「和様の書」展でばったりお会いしました。
(写真は本館の天井)
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「和様の書」、書道はさっぱりの私ですが、1000年前の書の美しいこと!力強いこと!
書は教養だったのだろうか?
いや、、教養とか、文化とか、芸術とか、、そんな安易なカテゴリーを超えた、生きることそのものみたいな力を感じました。
(写真は本館の内線電話。展示物じゃないと思うよ)
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東博に7時間くらい居ました。そのうち3時間は、打ち合わせだったにせよ。東博いいねえ、満喫しました。
その後、不忍池のほとりを歩いてアメ横へ。伊勢音って鰹節屋さんに。ここの鰹節削りを使ってて、かんな研ぎのサービスしてくれるのです。待ってる間に一本買って、地下鉄の駅に歩いてたら、雨が降り出した。

試し織りをみていただく

2013.08.12

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アトリエ森繍の佐藤さんのお着物、試し織りができましたので、京都に郵送して観ていただきました。
試し織りは、地の黄色から始まって、白になり、緑になり、白に戻って、黄色のグラデーション、、、、を2回繰り返しました。その都度、色や質を吟味して。テクスチャーのツルツル具合ホッコリ具合も変えてます。
色味は、違うと思ったらすぐ染め直すので、時間はかかるけど、その変化が目の当たりで面白い。森先生と佐藤さんが望まれているのは、果たしてどの程度の色味や風合いなのか、、、、探りながらすすめます。
試し織りには、紙をつけて、「この部分はどの糸で、どの位の濃さで織りました」などとメモし、お伝えしました。
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こちらは、同封してみていただいた、織物の設計図。実際に織る時に、この通りに織って行きます。ニュアンスをつける所、見せ場、なども設計段階で書き込みますし、また織りながら即興で付け加えたことも、書き込みます。そうやって全体のバランスを整えます。
速達でお送りしたら、到着してすぐ、森先生直々にお電話いただきました。
開口一番、「きれいですなぁ」とおっしゃっていただいき、うれしかったぁ〜〜。心の底から安堵しました。いろいろお話でもでき、光栄でした。
試し織りは、丁寧なお手紙をつけていただき、次の日には、手元に戻ってきました。
さあ、本番が始まります。

ありがとう、アカオニさん

2013.08.09

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この染織吉田のウェブサイト、作ってくださったのは、山形のデザイン会社の、アカオニさんです! Bravo!
いやはや、ほんとーーーにお世話になりました。おかげさまで、夢に描いた通りのサイトができました。
たぶん、ものすごく七面倒なクライアントであったと思います。(私、前世は校正者だったんではないかと言うくらいうるさいんです。半角開けてとか、句点の打ち方変えてとか、、、自分の原稿がなってなかったのにも関わらず)
うざい私によくお付き合いくださり、よくご辛抱いただきました。的確なアドバイスもいただきました。
私も注文制作で物作りをやっておりますので、お客様のご希望をかなえるってことは、一緒です。参考になること多々でした。異業種に学べです。
心から、本当にどうもありがとうございました。
山形とご縁ができたのもうれしいです。
(どうして山形かと申しますと、私の大好きなサイトがありまして、そちらに「大変申し訳ありませんが、お宅様のサイトの作ったデザイナーの方を紹介していただけないでしょうか?」とメールしましたら、こころよく教えてくださったのですが、それが何と、山形の会社だったのです。えっ、関東じゃないの、、、一瞬くらっときました)
お話が始まったのが、今年の2月ですから、半年ですねえ。あっと言う間だったし、長かったなあとも思います。
サイトが完全に完成しました。さあ、バリバリがんばろう!
お世話になった、アカオニデザインさんのサイトはこちら
作ってくれたのは小板橋基希さん、写真は志鎌康平さん、お会いはできなかったけど、後藤ノブさんと阿部衣利子さんが、支えてくださってたの知ってます。どうもありがとうございました。
大好きなサイトというのは、こちら、森の家さん。
今日の写真は志鎌康平さん撮影。撮影は4月3日でしたねえ、、、今となっては楽しい思い出。

ウェブサイト、本当に本当に、完成しました!!!

2013.08.09

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染織吉田のウェブサイト、今をさかのぼること2ヶ月強、6月1日にオープンいたしましたが、実はそれは見切り発車で、水面下で、ジリジリと書き加えておりました。
それが、本日、やっとやっと、完成いたしました!!!やったー!
どうか、もう一度、いろんなページをご覧になって下さいね。
新設ページがふたつできたのが、目玉です。
注文制作の詳細を記した「ONLY ONLY 」のページと、「業界の方へ、プレス方へ」のページです。
はじめまして」や「こんなふうに作ってます」も微変更。「作品ギャラリー」も新しい作品入れました。
これで念願のホームページができました。ご覧いただければ、本当にうれしいです。
染織吉田、ますます、染めること、織ることに、素直にまっすぐ、取り組んでまいります。
どうか、今後ともよろしくお願いいたします。
写真はうちの近所。

お知らせ

きれいな色

2013.08.08

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アトリエ森繍さんの佐藤さんのお着物、一度目の試し織りをしてまず思ったのが、「きれいさが足りない」。もっと「きれい」を追求しないと。
それで染め直し。
森先生や佐藤さんとのやり取りの記録を再読する。「きれい」という単語が何回もでてくる。「きれいで、明るく、きちんとしている」。求められているものは、明示されている。
よく読め、私よ。
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試し織りの黄色部分に使った杼です。試しの時にはいろいろやってみて、本番の時に、もう少し整理します。
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こちらは緑の方。緑は結局、大幅にチェンジしました。「きれい」は緑の方がむずかしい。

試し織り、はじまる

2013.08.07

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アトリエ森繍の佐藤さんのお着物、試し織りが始まりました。
佐藤さんからいただいている色見本と見比べる。
うむ、ちょっと違う。色が薄すぎる。佐藤さんが望まれているのは、もっときれいな黄色だ。
それに、テクスチャーもつまらない。こちらはきれい過ぎ。力強さと面白みに欠ける。
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それで早速、あと黄色7色、緑1色、白1色、染めました。どんどん染める。いいぞ!いいぞ!
今度は、植物染料も使って染めよう。生繭座繰り糸も太い方、細い方、両方染める。真綿紬糸もエッセンス的に使おう。濃淡も染め分けて。
植物染料は、福木と茜を染め重ねることにしました。(福木も茜も、女の人を守ってくれる色だと思ってるし)
酸性染料で染めた糸をメインで使うとしても、植物染料で染めた糸をまぜて使うのは好きです。あえて、ひとつ抜くというか、、、、その方が、着るものとして、肩の力が入らず、着てて楽ではないかと思うのだ。
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黄色の色数を増やしたら、緑の方の迫力が落ちた。緑に力を吹き込むために、また染める。

梶の葉

2013.08.06

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郵便受けに、大きな封筒。差出人は、ライターの雨宮みずほさん。2011年に出された「東京きもの案内」が有名だ。
雨宮さんが私に大きな封筒?それも速達。何だろう?
開けてビックリ!湿らせたキッチンペーパーとクリアファイルの間から、大きな葉っぱ!!!
添えられていたお手紙拝読。
この葉っぱは、梶の葉っぱで、昔、短冊の代わりに、七夕の日、梶の葉に願い事を書いて笹に吊るしたそう。もともとは、布や紙に使われていた原料でもあるそう。
へーーーーー!知らなかったよ!
すごいなあ、雨宮さん。さすがの知識と、それを分けて下さる優しさ。普段から、ここにこの木が生えてるとか、気にしてらっしゃるんだろうなあ。きれいな葉っぱを選んで、枯れないように水で湿らせて。包みながら、私の機織り姿とか思って下さったのかなあ。うれしいです。ありがとうございます。
もうすぐ、旧暦の七夕ね(今年は8月13日だそうですぜ)。心に涼風。
雨宮みずほさんのブログ、トップページはこちら。季節の風、感じます。すてきなブログ。
梶の葉のことを書かれたページは、こちら

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