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さあ、ミッションに大きなキーワードが投入されました。「紅」です。
「紅」と言っても、そんじょそこらの紅じゃありません。めとさまが望まれる「紅」です。
いただいたメールに、『赤ではない「紅色」がとても好きなんです。』と書かれている。
そっか。
しかし、「紅」とは、何色か?
染めをしている身から言うと、いわゆる紅花染の色。これはショッキングピンクだから、ちょっとめとさまとは違うな。または「中紅」っていうピンク寄りの赤紫を思い浮かべる。しかし、これも違うんじゃないかな。もっと深い色を望まれているのではないか?
めとさまが、メールのタイトルに、「紅にほふ」とつけられていたので、その言葉で画像検索。そうしたら、鮮やかなピンク!桃の花がいっぱい。ってこれは、「春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女」という歌から。でも違う。めとさまの色は、もっとこっくりした色なんだ。
その後のメールのやり取りで、めとさまから教えてもらったのだけど、(めとさまはとても博識なお方です)、「にほふ」の「に」は「丹(に)」から来ていて、元々は赤系統の色を表す言葉だったと。だから、「色が」匂い立つ、という意味で使う時には、紅(赤)や紫色の上にしか冠せられることはないとのこと。
今でもイメージ的に、「匂う青」とか「匂う緑」とかは言わない。(へぇ!そう言われりゃそうだ!←ヨシダ心の声)
色の名前がこんなにも細分化されたのは比較的新しいことで、「春の苑」のように、濃くても薄くても、「紅」という表現しかなかったのでしょうとのこと。(へぇ!へぇ!へぇ!←ヨシダ心の声)
そしてめとさま、「私が想定している色は、吉田さんのおっしゃる通り、こっくりとした紅です。」と書かれてる。めとさまだけの「紅」があるってことだね。
『「匂い立つ」という言葉が似合う、深みのある色が好きです。「にほふ」に込められた余韻のようなものを纏う着物になれば…、それにふさわしい人間になれればと…という願いです。』
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柄はいくつか考えて、それを元に発展させていきます。
あれもこれも取り入れたくもあり、ああでもない、こうでもないでもある。ちょっとこうして見ようか。こっちの方がしゃれている。切り捨ても大事だし。色を入れ替えたらどうなるかな。
そうこうしているうちに、めとさまからメールが届きました。およ?
「好きな色について、追加事項があり、ご連絡差し上げました。着物にするにはどうかと思ってお伝えしていなかった上、今さらの感もありますが、「一番」好きな色…「紅」です。(中略)
まだ修正の余地があれば、ご検討いただけませんでしょうか。後出しになってしまって、本当にすみません。」
おお!こういうのは大歓迎です。正直、素材にかかってしまうと変更が効かなくなりますが、今はまだ計画段階なので、どうにでもなります。私の方も、一気に照準が定めやすくなります。
染織吉田のサイトの、「ONLY ONLY」のページに、「ONLY ONLY のすすめ方」を書いてますが、その中程に、「もう一度対話しましょう」の項目があります。それ、以下に引用しますが、本当にそうなのよ〜。
めとさまと私の間にあった垣根が取っ払われたようで、うれしかったです。
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デザインや設計図を見て、お客様も私も「やっぱりこうしたい」という気持ちが出てくるものです。ここでもう一度、オープンな対話をさせて下さい。 ご希望をお聞きしている早い段階では、多くのお客様が「吉田さんにお任せです」と言われます。ですが、少しずつお話が始まると、いろんな好きなものが表に現れてくるようです。それを感じとるのも私の喜びです。
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めとさまのお着物、柄を考えます。
めとさまとのこれまでの対話を元に、何を望まれているかをよく考えて、ここでしっかり目に見える形にする。
お会いしたときお話したこと、また話せなかったこと、話の向こうにあったものなども。メールで伝えてくださったこと。その行間の思い。私が受けた印象も大事にしたい。こんなお着物、お召しいただきたいって気持ちもある。それもこっそり組み込む。
色や柄を考えるとき、ブラッシングカラーズや絵羽仕立てのお着物だとまた別の話なのですが、縞や格子の場合、私、パソコン使います。ソフトはイラストレーターです。
縞の太さを変えたり、色を変えたり、リピートしたり、「ここに一本別の糸を加えたいのよ」なども、表現できるので、大変に便利。実物大でプリントアウトして、鏡の前で合わせてみたりできるのもまた良し。
思えば、私、織りで独立したごくごく初期からデザインにパソコン使ってます。
しかーし!その時のソフトは、なななんと、エクセルでした。織りは基本、経と緯ですから、行か列を塗りつぶして、幅や高さを微妙に変えていく、、、。やって出来ないことは無い。というか、その当時、それしか出来なかったし。今思えば無謀でございましたなあー。(きっと今も無謀なこと、いろいろしてると思います。)
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帯を織ってます。これは、私が独自でつくるオリジナル制作。注文制作のonly only ではありません。
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半年も前に注文して、心待ちにしていた、芋がきた。その名も、甚五右ヱ門芋。山形の真室川の、森の家さんが育ててる特別なお芋です。うーん、ぷりぷり。うれしい。
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さあ、作って食べましょう。早速、同封されてたレシピ「佐藤家に伝わるおばぁの芋煮」どおりにチャレンジ。いっただきまーす♡
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実は、森の家の佐藤さんご夫婦に、気仙沼さんま寄席でお会いできたのです。佐藤さんご夫妻は新婚さん。すてきなカップルでした。これからますます森の家は、わいわい楽しく盛り上がるなあ。
明日は、甚五右ヱ門芋の収穫祭り「芋祭」なんです。秋の実りっていいなあ。行きたいよ〜。
These are the special yummy & yummy Taros potatos [Jingoemon imo], from Mamurogawa, Yamagata located at east-north japan.
Tanto Tanto Mangiare !
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とても久しぶりに、染織家の大先輩の、小熊素子さんを訪ねました。石神井公園を突っ切って歩いていくのが、気持ちよかった。久しぶりだけど、よく知ってる道。私、神奈川に引っ越す前は、よくおじゃまさせてもらって、染織の仕事のことや、いろんなこと、教えてもらったんだ。
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久しぶりの小熊さんは、染織も、生き方も、前にも増して、孤高の感じ。自分の道を歩かれてた。機にかかってた着尺は、織りづらそうな真綿の経糸だったけど、風格あって、すてきだった。これが織りたいってことなんだろう。織りやすいとか、流行りとか、売れやすいとか、関係ないのだ。
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それでいてこの方は、甘ったらしくない優しさがあるのだ。それは、作品にもにじみ出てるのだけど。
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小熊さんの仕事場にお邪魔すると、私はなぜかリラックスして、長居しすぎてしまう。いろいろ話せてよかったです。仕事やってく上で、同業者の先輩の存在は、何よりありがたい。
ありがとう!小熊さん!!
写真は石神井公園。
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一週間ほどして、めとさまから返信がきた。一週間、私はわくわくして待っていた。
どきどきして開封。たいへん、たいへん、たいへんに美しい万年筆の手書きのお手紙を添えてくださった。インクの色もすてきです。
ご挨拶の文章から結びまで、意識が行き渡ってるお手紙、心して読みました。
「ほんの数回のやり取りで、ここまで、どんぴしゃに私の好みを察知してくださったことに、驚きと感謝でいっぱいです。」
ありがたいお言葉いただいた。形にするまでがんばります。
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めとさまのチョイス。色番号2番と11番をメインに、もう3つほど加える。例えばこんな感じ。
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もしくはこんな感じ。これもいいね。
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これらの色もお好きとのこと。
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トーンを引き締めるために、これらが入っても。
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となると、これらは選外ですな。それも重要な情報なのです。削ぎ落して、残ったものを、また削ぎ落す。そんな感じで進めます。
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めとさま、今回のお着物のテクスチャーに関しては、ほっこり系をお望みとのこと。うん、それがお似合いになりそう。やっぱ、自分のことをよく分かった方だ。
ほっこり加減は考える余地ありだが、それは糸の太細で決まるので、大きくは決定と言っていいだろう。さあそれでは、色をおさえたい。
先日お会いしたときは、私の過去作品の写真を元に話すことが多かった。写真やモニター越しでは、つかみきれないことや、思い込みですれ違ってしまうこともある。私も舌足らずで説明べたなので、実物を提示して話を進めたいタイプだ。
それで、手持ちの絹糸からめとさまに合いそうなものをピックアップして、台紙に巻いて、郵送して現物を見ていただくことにした。(上の写真)
全部で23種類。可視化は大事やなあ。具体化しやすい。と自分でも思った。
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23種類のうちから、めとさまのお着物に合いそうなものをピックアップして、3案に絞った。
上は第一案。もみじのような赤を基調に大きな格子はどうだろう?
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これが第二案。これは山桜の印象。めとさまは、きれいなふんわりした色も似合われる。
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これが第三案。紅紫のこっくりとしたお着物。
これらを封筒にいれ、切手をはり、さあ、あんたたち、全権大使よ。いってらっしゃい!行って、めとさまと対話してきて。
と、投函したのでした。
(お送りした糸をそのまま今回のお着物に使うってことではありません。これらはあくまで見本で、本番では最適な糸に染め直します)
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ふーっと風が吹いたように、300kmの距離を帰って行かれためとさまと、メールのやり取りが続きます。
色のご提案をしようと準備をしていると、メールが届きました。メールに重さは無いにせよ(テキストだけだし)、ずしっと感じた、想いが詰まってるメールでした。そこには、めとさまが、大事にされてるいろんな事柄が書かれてました。好きなモノ・コト・色・花・歌などなどなど。
それを私は興味深く読み、いくつかは画像検索し、プリントアウトしました。(上の写真)
きれいだなあ。なーるほどなあ。そっか、そこにこだわるか。いくつか、「これだ」「ここから発展させよう」ってポイントをみつけました。
その数日後、次なるメールで、お手持ちの、特に気に入っている帯の写真を添付して下さいました。なるほど、なるほど。帯は染めなんだな。めとさまらしい審美眼で選ばれ、大切にされてる帯たち。これら全てに合う着物を求めているわけではないってお書きでしたが、振れ幅を見極めるのに、ありがたかったです。
このやり取りの数日後、中秋でした。私は、めとさまお好みの歌を思いながら、月を見上げました。
「月夜よし 夜よしと人に 告やらば 来てふに似たり 待たずしもあらず」
(読みびと知らず、古今和歌集、めと好み)
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すっかり日常に戻っているのだけど、(今日は、胃がん検診でバリウム飲んできたし)気仙沼のこと、もう一度だけ。
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私、気仙沼は二回目で、2012年の3月にも行ったんだ。この時も志の輔師匠のさんま寄席で。
で、一年半後の今回、何が変わったか。私にとっての1番の違いは、じゃーん、「レンタサイクルできた」です!
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前回も今回も、現地で特に予定を立てていたわけでなし、行き当たりバッタリな旅だった私。
前回は、レンタサイクルなんてなかったと思う。確証はないけど。道を歩くのが精一杯だったから。アスファルトがあちこち波打ったまま放置されてた。歩きやすいスニーカーを履いてたけど油断すると転んで大けがしそうで、緊張して歩いた。それで気仙沼市内散策を断念して、目の前の大島にフェリーで渡って山歩きした。のどかだったけど、森の木の下の方が焦げていて、あの日の火災が、まざまざだった。
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今回、ホテルについてふと見ると、「レンタサイクル1日500円」貼り紙。それも電動アシスト付き。こりゃ借りるでしょう。
アスファルト道路は、まだまだとは言え、自転車こぐのくらいは大丈夫までに整備が進んでた。ただ粉じんは舞ってます。リュックのポケットさぐったら、去年の冬のマスクが、買ったままの状態で発掘され。ビバ!ずぼらな私!
レンタサイクルで、マスクと帽子と日焼け止めで、気仙沼を走りまわった。川辺がのどか。ああ、この川を津波がさかのぼったのか。
更地になっている所は津波に持って行かれた所。そこに立ち始めてる急ごしらえの建物。
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学校の運動場の隅とか、児童公園とかに、小さなプレハブが連なって立っていた。
なんだこれ?用具倉庫?って思った瞬間、あ、これ仮設住宅だ!
ガーンときました。失礼なこと、思ってしまいました。ネットなんかで、機能的でデザインされてる現代的な仮設住宅の紹介を見てたから。現実は違いました。知らないことを恥じ入りました。
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ま、こんなことを感じてたから、その後の、市場で朝飯や着物ワークショップやさんま寄席が、いっそうジーンとくるものであったわけです。よい集まりでした。参加できたことを誇りに思います。
写真は旅の風景。
一番上と二番目は、解体中の、第18共徳丸です。ほら、津波で800m流されたってよくニュースになってた船です。一番下の写真は、市場で出船送りをさせてもらった時のです。楽しかった!左は着物ワークショップでお友達になった方。いいお出会いでした。