吉田美保子の some ori ノート

久保原由佳理展とスピニングパーティー

2013.09.07

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久保原由佳理さんの個展のギャラリートークに、銀座もとじさんに伺いました。ずっと拝見したいなあと思っていた作家さんです。
すばらしいお仕事でした。すごく真っ直ぐに染織に向き合われてる様子がありありと伝わってきて、なんだか泣きそうになりました。
久保原由佳理展は、銀座もとじさんにて、明日までです。
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その後、銀座4丁目のバス停からバスに乗って、晴海埠頭に向かいました。スピニングパーティーです。もう何年も前に2回ほど行ったきりで、チョー久しぶりでした。(6,7年前か?)
私は糸を探しに行くわけですが、今回は獲物をゲットできた感があります。今までは、自分がどんな糸を求めているのか、ピントを合わせ切れてなかったなあ。無駄に歩き回り、無駄な買い物をし、それが今も糸棚の奥底にあったり。やっと、自分の求めているものが分かり、そのために何をどう準備すべきか分かりはじめたってことか。←遅い!
スピニングパーティーのような、染織に関わる人が集う場所に行くと、会いたいなあと思っていた人に会えたりするのがいいね。決して人付き合いが多い方ではありませんが、いくつかのうれしい再会もあり。
新しくお会いできてうれしかったのが、福岡で翔工房を主宰されている田篭みつえさん。思ってたとおり、とってもすてきな方でした。染織を愛されてるなあ〜〜。
写真はうちの近所。夜の散歩。

異常気象、とうとう。

2013.09.06

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この夏は自然が厳しく、しんどかった。めちゃくちゃ暑かった。私のところは大丈夫だったけど、渇水したり、洪水だったり、竜巻がきたり。地震もありましたね。実害なくてももうヘトヘト。ラジオのニュース聞いてるだけでソワソワの日々でした。
あなた様におかれましては、いかが過ごされましたでしょうか?大丈夫でしたか?
私と言えば、夏の間もわりと平穏に暮らしていました。
閉じこもってやる仕事なので、一歩も出なくて、せっせっせっせとやるのみ。バテそうになると、エアコンつけたり強めたり。自然にリンクしていないって詰まらなくもあるけど、この夏だけは助かった。
が、昨日とうとう我が家も異常事態が!
お昼前、奥の和室で、検反してますと、いきなり天井からボタボタッと水!
一瞬、頭が真っ白。何が起きたか分からない。とにかく身を挺して布を守る。助かった、布までには1mほど距離があった。大丈夫、ハネもきてない。布の無事を確保してから、バケツと洗面器を持ってきて、水を受ける。
ひぃー!まるでドリフだ。これはドリフだ。
おさまってから、大家さんに電話したら、すぐ来て下さって、上の方がミスト扇風機のタンクの水をこぼされたと判明(うちは集合住宅の一階)。ああ。
しかし、この一件で、予期せぬ異常気象に遭遇したときの、一瞬の火事場の馬鹿力とその後の茫然自失になるさまが、よく分かった。この程度のことで実害なしでも、心のゼイゼイ、バクバクがしばらくおさまらなかったもんね。
この夏、さまざまな被害にあわれた方、少しは楽になられたでしょうか?まだまだ大変なさなかにおられるかも。大変でしたね。心からお見舞い申し上げます。
写真はうちの近所の駐輪場から夕日を見上げる。

熊本ゆかり便り9月号

2013.09.04

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「熊本ゆかりの染織家展」という地元に根ざした展示会が、毎年わが故郷、熊本で開催されている。呉服の名店、和の國さんを会場に、熊本にゆかりある作り手が作ったものを、熊本にゆかりある方々にお召しいただこうと、和の國さん、実行委員の安達絵里子さん、作り手一同が、がんばっている。
その安達絵里子さんが、展示会に対するあふれる想いを毎月和の國さんのブログに書いていらっしゃいます。
そして、その9月号がおそれおおくも私めなのです。
絵里子さんの均整がとれた美しい文章に引き込まれます。ダメダメな部分も多い私ですが、良いところにスポットを当てて書いてくれるから、まるでイケテル作家のようで、恥ずかしいったらありゃしない。
ぜひご一読くださいね。熊本ゆかり便り9月号はこちらです。
第4回熊本ゆかりの染織家展は、2014年の新春の予定です。どうかお楽しみに!
写真は熊本かんけいないです。うちの近所の落ち葉。

お知らせ

アンドレアス・グルスキー展に行った。

2013.09.03

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先日、都心に出たついでに、気になっていた「アンドレアス・グルスキー展」を観た。もう見逃しちゃうかと思っていたのでラッキーだった。
アンドレアス・グルスキーのことは、まったく知らなかった。ドイツの写真家だということだが、ネットのプレビューなどで観る限り、写真ぽくなく、「?」「よく分からん」と言うのが本音だったが、だからこそ観たかった。
で、度肝を抜かされました。ドびっくり。
でかい!世界観も何もかも極度に作り込まれてる!極限に限りなく近い完成度!
ドびっくりというのが、アートなのか?
そうだとは言い切りたくないのだけど、ドびっくりしちゃうのよね。(あー、そうなのか)???
すごかったです。観てよかった。
「アンドレアス・グルスキー展」は、六本木の国立新美術館にて、9月16日まで。
写真はうちの近くで空を見上げる。iPhoneでパチり。こんなビンビンの写真作品を観た記事の写真としては、合いませんなあ。

織りはレムニスケート曲線なのだなあ。

2013.09.02

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アトリエ森繍の佐藤さんのお着物、毎日せっせと進んでいます。
ここは、衿の部分。無地場です。
織っていて、この前教えてもらった、「レムニスケート曲線」を思った。
レムニスケートって、ふたつの曲線が、同じ大きさでバランスを保っているっていうのが、たぶん大事なんだと思う。
今、目の前で、現れてくるこの布のレムニスケートとは?
森先生の思いと、佐藤さんの思い。
森先生の思いと、私の思い。
佐藤さんの思いと、私の思い。
佐藤さんを輝かせる着物であるということと、着物としての完成度。
蚕が吐いてくれた絹糸を生かすということと、素材を制御して目標に近づけるということ。
計画通りに進めるということと、インスピレーションに身を委ねるってこと。
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そんなことを思いながら織ってます。

青田五良の掛け軸、見参かなう

2013.09.01

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この掛け軸、青田五良の作品です。いいでしょ、いいでしょ。
とっても不思議なご縁に導かれて、拝見して参りました。伸びやかで繊細な、青田の息吹に触れたように思いました。掛け軸の表装に使っている紙も青田の染めだそうです。昭和のごく初期の、熱い文化を感じました。
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くるくる巻くとこんな感じ。宝物ですね。
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この宝物を持っていらっしゃるのが左のお方。青田五良でネット検索して、私を探し出して下さったのです。銀座もとじさん経由で、電話でお話して、とことんお優しい方だなあと思いました。青田がつなげてくれたご縁だなあ。
本当にどうもありがとうございました。

まだまだー!

2013.08.29

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アトリエ森繍さまの佐藤さんのお着物、ジリッジリッと進んでおります。毎日毎日、目標を決めて。
「今日は何尺進もう」「この柄終えよう」「小管(こくだ)何本空けよう」「機草(はたくさ)何枚落とそう」とかとか。目標達成が日々の支えです。くじけないわっ!
ちなみに写真は、右の後ろ身頃の裾に近いところを織ってます。
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織りたての布に小管に巻かれた緯糸を乗せてみる。経糸が白いから、緯糸の染めは結構しっかり強めです。
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経糸と綜絖はこんな感じ。

作品ギャラリー、加えました!(ひとつだけ)

2013.08.28

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作品ギャラリーに、アップしました。パソコン能力の低いので、やっとやっとです。それもお力を借りて。2013年のページです。タイコが出てます。みてね。
この作品は、作ったのは2012年ですが、最近お締めいただいた姿を拝見し、とてもとても感激しました。そう、これっ!
うれしかった。

お知らせ

さえりさん、きたる。

2013.08.23

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旧い友達のさえりさんが、我が家を訪ねてくれた。遠くから、暑い中。
さえりさんと私は、かれこれ、25年の付き合いではなかろうか?若気の至りで大学を中退して、エジンバラの語学学校で会ったのが、出会いだから。
初めて会ったときから、インパクトの強い人だ。自然と医療とアートを融合する人なんだなあ。さえりさんが来てくれるんならと、「bass」を買っておいたよ。イギリスのビール。
しゃべってて、ここんとこの、私の「10周年&サイトオープン」関連の話となり、
「なんで、ロゴをレムニスケートにしたん?」と聞かれ、「?」となる。えっと、ロゴはね、織りで一番大事な綾を表してるんよ。無限大のお印でもあるし。
ところで、レムニスケートって何?はじめて聞いた。
で、「レムニスケート」について教えてもらった。
レムニスケートって、海が凪いでいるときから、だんだん波が出てきて、その波がどんどん大きくなり、連なって打ち寄せる、その連続する波動のことみたい。(ちと違うかも)
内と外が、連なる。過去と未来が連なる。宇宙からも、自然からも。
うーむ。染織吉田のロゴ、よかったみたい。
織りって、すごく神秘なのだ。ただ、私は、そこをあまり追求しないようにしてる。普通に毎日機織りしてて、いつか体得したいと思ってる。
写真は、綾。織りの要。今織ってる、アトリエ森繍の佐藤さんのお着物の。

織ってます

2013.08.21

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アトリエ森繍さまの佐藤さんのお着物、佳境を迎えております。写真は、上前の裾から一尺あたり。ひざのちょっと下。
上前の裾から二尺くらいまでは、とても目立つ部分です。緊張しつつも、伸びやかに行こう!
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計画通りに織るのですか、24丁の杼のうちどれを選ぶかは、ちょっとしたアイディアや即興や気持ちによります。
例えば、地の黄色を織っていても、それが目立つ場所か、あるいは目立たせたくない場所か。
裾の方からご説明いたしますと、裾を織るとき選ぶ糸は、ズバリ軽く薄めの糸です。って同じ地の黄色の中からチョイスするのだから、ほとんど変わらないのだけど、でもやっぱり違うのです。気持ちの違いかもしれないけど、それは着物になったときの着姿に影響すると思っている。
例えば、裾には、節はなるべく入れないようにしています。そこに人の目を集めたくない。重力のない印象にしたいのです。ボテッとしないは、大事と思ってます。
裾の上に目を移しますと、そこは見せ場と言われる部分。上前の身頃、衽には、特に力をこめます。他の部分を織ってても、緯糸にいい節が出てくると取って置いて使ったり。バランスの比重を大きく、大きく。
その上は、お尻ですので、目立たせません。でも、丈夫さは一番必要。後ろ身頃の話だけど。それで、糸も少々太目を詰めて入れ、しっかりしっかり、一越一越。
その上は、おはしょりと揚げ、何より帯の下だし、何重にもなるところ。じゃまにならないよう、すっきり淡々と。でも、ここは、佐藤さんの体のど真ん中です。大切に大切に包み守る。見えない所だけど、大事なのです。
その上は、前身頃の話だけど、胸のあたりで、これまた見せ場。お顔の近くだから、特にきれいに。衿もそうね。輝く糸を意識して入れる。お顔がパーッと輝くように。
「なんだか、元気になるのよね。自信も持てるし。この着物、着てるとね。」って、いつか、佐藤さんが思ってくれたら本望だ。

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