8月の終わりに、一通のお問い合わせのメールをいただいた。着物の注文についてのお問い合わせだ。多くを語らないメールだったけど、きれいな文章が心に残った。
「約1年悩んで、ようやくご連絡差し上げた次第です。」
こう書いて下さってて、そうだよなあと思った。着物をつくるって、そういうものなんだ。そのお気持ちに応えたいと思った。ああ、思い切ってヨシダにメールしてよかったって思っていただきたい。
と言うわけで、このお方のお着物に取り組んでいます。ブログにつづっていくことオッケーいただきましたので、できる範囲で書いていきます。
このお客様のお名前をこの場かぎりで「めとさま」とさせていただきたいです。ご本名とはかけ離れてしまいましたが、、、架空の名前で、新しい感覚楽しんでいただきたいなあなんて思いもありまして。
これからつくる新しい着物に、新しい名前をつけましょう。ブログに書き綴っていく制作行程は、新しい着物につける名前を探っていく工程になるかもしれません。
ブログをご覧下さっている方も、よろしかったらお付き合いくださいね。
今日は穏やかないい日でした。お客様もみえて、お話できて楽しかったです。話していると、思わずニッコリ。笑顔を分けてくれる人でした。
今日の仕事場。糸の準備が進んでいます。真綿の糸です。ふっくら。
こっちはきびそ糸。軽く撚りがかかっています。いい感じです。
このところの晴天で、予定を変更してでも、大掃除、大洗濯って方も多いのではないでしょうか?かく言う私も。
大掃除もして、大洗濯も。もう一度着るかもって思ってた、夏の着物をザブザブ洗った。昼間は暑くても、朝晩、こう冷えちゃうと、夏物はもうおしまいだ。
写真はムクロジ。ソープナッツとも言います。今日はこれで洗おう。
ムクロジを洗濯ネットに入れて、風呂桶に投入。その上から、ガーーッとぬるま湯を入れると泡がムクムクです。まさにバブルバス。そこに夏着物を投入し、ゆるゆる泳がせるってわけです。
晴れの日は、乾きもいいし、まさに洗濯日和。
私も観ました。名月や。
台風が去って間もないからか、清々しさひとしお。
台風の前日、派手なポンチョをかぶり、完全防備で出かけた。行き先は、六本木。
国立新美術館で、アメリカン・ポップアート展を観た。
ラウシェンバーグの本物なんて、すごく久しぶりで、うわーーーやっぱ、私、ラウシェンバーグ、大好きだって思った。ジャスパー・ジョーンズも好き。
で、この展覧会のコンセプト、アメリカン・ポップアートは、1960年代のアメリカ。私、1968年生まれ。生まれた頃の、太平洋の向こう側のビンビンのアート。
私が、現代美術かぶれだった(今もだけど)のは、1980後半からだから、その時すでに主流でないのだ。今ではすでに古典か、、、、うーん、ノスタルジック、、、ま、それでも好きです。ひきつけられる。好きなものは、好きなんです。
アメリカン・ポップ・アート展は、10月21日まで、国立新美術館にて。
それから、ミッドタウンの 21_21デザインサイトに、カラーハンティング展に行った。これ、ものすっごくよかったです。すかーっとした。
色をきっかけに広がる、広がる。こういうコンセプトありきの展覧会、これから主流になるかもなあ。企業や学校やたくさんの人を巻き込んで作りあげる。
アートとはなんぞやってこと、考える。そこらに無限に広がるもの(例えば「色」)、どう切り取るかなのか?ディレクションがアートなのか?よくわからん。
カラーハンティング展は、10月6日まで、東京ミッドタウンの 21_21 DESIGN SIGHT にて。
帰りは晴れてて拍子抜け。お家に帰って、評判を聞きつけてた、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催中のジェームズ・タレル展の動画をネットで観た。英語、分かんないけど。
ドギモ抜かされるほど、よかった。タレルにハート、持ってかれた。まいった。動画みてるだけで敬虔な気持ちになる。これがアートの本質か?ニューヨーク、行きたいなあ。
ジェームズ・タレル展は、グッゲンハイム美術館にて、9月25日まで。くだんの動画はこのページ。大おすすめ。
写真は3枚とも、21_21デザインサイトにて。
先日のことだけど、ビンハウス展の初日に、沼袋のシルクラブさんに行ってきた。この日だけ、インドネシアから、ジョセフィーヌ・ビン・コマラさんが来日されるとご連絡いただいたから。
今回の展示会、コマラさんのご主人の、ロニー・シスワンディさんの追悼と言うことで、コマラさんにひとことお悔やみ伝えたかった。
10年以上ぶりのコマラさん、深いまなざしは変わらないね。I am so sorry. って伝えられてよかった。
ロニーのこと、いろいろ思い出した。
私は勤めていた会社の関係で、けっこうご縁があったんだ。ここにちょっと書いてる。ロニーが来日したとき、染料が欲しいと言うから、藍熊染料さんにお連れしたな。私がちょっと値切ったら感心された。
シルクラブさんには、いろんな方が見えてて、私のもとのボスの今井さんご一家とも久しぶりにお会いできた。
今井夫人の紅子さんと話した。
「ロニーがゆうどに来た時、紅子さん、着物でいらしたでしょう。ロニーがすごくうれしそうな顔したのよく覚えてます。」
「そうそう、今着てるこれ、あのときのこと覚えてて、ロニーが着物の上に着るようにって作ってくれたの」
紅子さんは、きれいな紫の、道行きのようにも使える、軽いコートを羽織ってらした。
私は、あの時、人にウェルカムの気持ちや敬意を表すのに、丁寧に着物を着るってことを覚えた。
元の職場のゆうどに対する感謝も伝えられてよかったな。私が辞めたときは、まだ仕事も多かったから、せっかく育てた社員が抜けたのは、一年も前に申し出たにせよ、今思えば申し訳なかった。
今回のこの場も、ロニーが作ってくれたね。
コマラさんが、地下の会場に、ロニーの写真を持ってくるように言ったのと、今井さんが、ロニーとの思い出のデカンショ節をうなったのもよかった。
ビンハウス展は、シルクラブにて、9月20日(金)まで。
写真は、うちの近所。夜の散歩より。
作品ギャラリーに、最新作、Pure heart Michi、 登場です!
どうかご覧下さい。こちらです。
これにて、アトリエ森繍さまから、いただいた ONLY ONLY のお仕事、ひとまず完結です。森先生、佐藤さん、このブログを見て応援して下さってた皆様、本当にどうもありがとうございました。
さあ、次です!!!!
こちらが、アトリエ森繍の森康次先生からご注文いただきまして織らせていただいたお着物です。お弟子さまの佐藤未知さまがお召しになります。
僭越ながら、私、命名させていただきました。その名は、、、
ジャーン!
「Pure heart Michi」です!
Pure heart Michi にさせていだいたのは、一度だけお会いした佐藤さんが、一途で真っ直ぐな印象を私にくっきり残してくれたこと。
このお着物を、染め進むたびに、織り込むごとに、布は透明感やストレートさをどんどん現していきました。まるで佐藤さんとお会いしているようでした。
白は、森先生がフォーマットされた pure white で、凛とした基礎。
黄は、苦しみや辛さがあっても、必ずやって来てくれる太陽の色。
みどりは、小さな小さな新芽が、みずみずしく、ぷるぷると手を伸ばす様を。
そんなお着物です。
アトリエ森繍の佐藤さんのお着物、湯のし屋さんから、ツヤツヤふっくらになって戻ってきました。さあ、最終の検反と墨打ち(印付け)です。これ、けっこう大変。肩山を決め、長さを揃え、衽と身頃の関係を決定します。いえね、これ、織りながら、印つけているのです。だから、本当はそのままでいいはずなのだけど、そうは問屋が卸しません。
お着物には、名前を付けて、お手紙を書いて、糸見本をつけて、お手元に向かわせます。
大切に、大切に。大切な人を守るお着物だからね。
お着物の写真は、また後日!
アトリエ森繍の佐藤さんのお着物、織り上がり、仕上げをしている様子です。
これは、湯通し。糸につけた糊を落とし、布目を整えます。この瞬間は、感動的です。ガチガチに緊張してたものが、ちゅるんと緩んで、息をする。
その後、張り手で張って、乾かします。
それから、湯のしに出して、蒸気をあてて、布はますます輝きます。
って、実はこの写真、数日前のもので、お着物はすでに森繍さまの元に向かいました。
織り上がったものは、やはり森先生と佐藤さんに一等はじめにみていただきたいですからね。
ブログを見てて下さってる方、ごめんなさい。