さあ、新たなるONLY ONLY をはじめましょう。今回のヒロインは、「たくさま」。お作りするのは、八寸帯です。
たくさまとの出会いは、2016年11月20日です。2016年というのは、忘れられない大きな年。そうです、熊本地震があった年です。思いも寄らない大地震が故郷熊本を襲いました。直後はあたふたするばかりで、何もできませんでした。
ちょっと落ち着いた頃、「美保子さん、熊本で個展しないの?みんなで復興応援かねて見にいくのに。」とおっしゃってくださった方があったのです。
「!」
そんなこと、思っても見ませんでしたが、相談して見ましたら、熊本のいけてる呉服店の和の國さんや、着物ライターの安達絵里子さんの全面的な協力をいただき、あれよあれよという間に「清正公の陣羽織」と銘打った個展を開催することができました。
その個展に、「きもの真楽」という着物好きのグループの皆さんが、誘い合ってお越しくださいました。関東、関西からがメインですが、名古屋や香川県の高松からもお越し下さった方があったのです。
たくさまは、その高松から熊本へ、瀬戸内海を渡って、なんと日帰りでお越し下さった方なのです。
*写真は「清正公の陣羽織」展。和の國さんにて、みなさんと。
こちら、まり子さんです。鹿児島の着物好きな方々に大変頼りにされていて、着付け教室も主宰されてます。
締めて下さっている帯、私が織ったものなんですよ。お似合い。うれしいなあ。
先日、写真を送って下さったので、こちらでもお披露目させていただきますね。
うわー、さすが鹿児島!目の前は錦江湾ですね。雄大な桜島。地元鹿児島をこよなく愛するまり子さんです。
くるっとこちらを向いていただくとこんな感じ。エネルギーが湧いてくる帯です。
まり子さん、写真に添えて、こんなメッセージくださいました。
「今日は、午前中着付け教室でした。あなたの帯を締めて、生徒さんへもあなたの話をしたり、ブログをオススメしたりしてました。
この帯、いろんな場面でいろんなお着物に合わせています。紬や風通織の無地などにも。粋な着物もこの帯なら優しく温かな雰囲気に。軽めのお茶会なら気軽な感じではんなりと。本当に作り手の気持ちが、いい感じで表現されてて癒されます。」
ありがとうございます!
今回、まり子さんが、きよさま とのご縁を繋いでくださいました。とてもありがたいことです。まり子さんがいなかったら出会えなかった方と出会えました。
ONLY ONLYの制作 も、きよさま が信頼を寄せているまり子さんが間を取り持って下さったので、スムーズでした。めでたし、めでたし。
今回のように、ONLY ONLY 興味ある方で、懇意の着物屋さんやギャラリーさんがいらっしゃる場合は、その方を通して下さって、もちろんウェルカムです。私としても輪が広がって、うれしいです。
また着物屋さんの立場の方が、うちのお客様でヨシダのが合いそうな方がいらっしゃるわって場合も、ぜひぜひ繋いでくださいませ。
どうかなんでもお気軽にお問い合わせくださいね。
きよさま の帯、織り上がりましたよ。
早速仕上げをば。
まず蒸します。温度を与えることで、発色と定着するんですよ。その後、たっぷりの水で洗って、余計な染料などを洗い落とします。そして、仕事場いっぱいに張って、乾燥させます。
上の写真、手前がお腹の部分です。地色がクリーム色なのお分りいただけると思います。その先、地色の色がごく薄いグレーになります。三角が三つあるところがおタイコで、その先にちょこんと一個だけある三角がタレです。
こういうおタイコと前帯で、地色が違うのって、ONLY ONLY ならではです。オリジナル制作ではまずしません。きよさま とお話しした時、パッとご希望おっしゃられたのです。きっと、潜在的にこういうのがあればいいなって思ってらしたんじゃないかなあ。ご希望を叶えられてよかったです。
下から覗くとこんな感じです。伸子を張って、織り幅を整えます。
上の写真は手前がおタイコ。
さあ、ここまで行ったら湯のしに出して、検反してお納めです。今回は、まり子さんが、お仕立て、ガード加工などをして下さって、きよさまのところに届けて下さいます。
ですので、完成したお写真は、そのあと、お披露目させていただきますね。仕上がりはやっぱりまずONLY ONLY の主人公であるきよさま にいっとう最初に見ていただきたいものね。
というわけで、きよさま ストーリー、中締めさせていただきまして、完成形はまた後日載せますね。乞うご期待!
染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》にご登録いただき、ありがとうございます。
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こんにちは。
五月も終盤、緑が濃くて、虫が飛んで、夕方いつまでも明るくて、初夏の様相となってきましたね。
お元気いらっしゃいますか?
最近、ずっと気になっていた染料のある「色」について調べました。
専門的になりますが、今日はそのことについて書こうと思います。よかったら、お付き合いください。
《 目次 》
1. 黄茶の染料
2. 教えを乞う
3. 染料店
4. ほんまもんの目利き市
___________
1. 黄茶の染料
私が絹糸を染めるのに使っている染料は、「酸性染料」です。染料はいろいろあるのですが、特に絹を染めるのには、この酸性染料が最適と思っています。色数が豊富で、混色が自由で、発色がきれいなところが長所です。
ところが、長年使っていて、自由に色が出せるはずなのに、困った色が一つあるなと思っていました。「黄色に寄った茶色が思った色と濃度にならない」のです。
長年の懸念でした。
赤茶系は思った色になるのですが、黄土色を含む黄色味の茶色は、染料を調合して色を作るのに大変難儀していたのです。
染料の仕入れ元も、田中直染料店と藍熊染料店の2社使ってますが、どちらで買ってもうまくいかず。田中直さんには思う色の商品がなく、藍熊さんには黄系の茶色はあるのですが、濃度が薄いのです。
どうしてもうまくいきません。
2. 教えを乞う
それで、解決するぞと決心して、教えを乞いました。一人でもんもんと悩んでいても解決しませんものね。
質問させていただいたのは、このsome ori 通信でも以前ご紹介した染太郎先生です。私、先生には絶対の信頼を寄せております。染めの神様!
ありがたいことにすぐにお返事いただいて、黄茶の色がないなら混色を試せと。
この混色、もちろん、今までもやってましたが、ごくごく薄めてやってみるというのが、染太郎先生のアドバイスでした。濃いと効果が見えにくいと。
絵皿にとって、10~20倍にも薄めるのです。それを筆先で、ごく少量から混色して行く。そして布に垂らしてみる。クマになれば均染剤を使う。
なるほど。すぐ実験です。
茶系2色と補色の緑系3色を少しずつ調合していきましたが、エンドレスで組み合わせがあります。結果、欲しい色そのものズバリではありませんが、「この傾向の色が欲しい」というまでは導くことができました。もっと粘ってやれば、きっと、ズバリが出せると思います。
3. 染料店
求める色は出せそうになりましたが、私の中のモヤモヤはまだ払拭されません。それは、なぜ、黄茶を染めるちょうどいい濃度の染料が売られてないの?という疑問です。
それで、発売元の藍熊さんと田中直さんに電話して、聞いて見ました。
その結果わかったのは、茶系の染料はもともと微妙で、黄茶の色素はとても薄いのだそうです。調合して作るのはすごく難しいものだってこと。黄色は特に要注意。それを分かって使いこなすしかない。
例えば、絵の具や顔料は、物質と物質が混ざって混色されるから目で見て分かるけど、染料はそこのところがちょっと違って、繊維に染みていって初めて着色される。
むー。
染料への探求はまだまだ続きます。
4、ほんまもんの目利き市
善林英恵さんとコラボで作っている鞄が、この度、京都で初お目見えです!
「ほんまもんの目利き市」と銘打ったフリーマーケットに展示スペースを設けてくださることになりました。
A4サイズが入る、カジュアル着物にあう鞄。もちろん洋服にも大活躍。ぜひ手にとってご覧ください。
5月27日日曜日、京都上京区笹屋町で、1日限りですので、関西にお住いの方はもちろん、この日、京都にお出かけになる方も、どうかお見逃しなく。
詳細は以下のブログをご覧ください。
http://www.someoriyoshida.com/blog
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染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》15通目のメルマガ【黄茶の染料号】をお読みいただき、どうもありがとうございました。
ご感想、ご意見ございましたら、このメールに返信する形でお送りください。
配信停止をご希望の方は、タイトルを「配信停止」として、このメールをそのまま返信してください。
これからも、some ori や、きものや、モノ作りを通して、あなたさまとご縁を育んでいきたいと思っております。
どうかよろしくお願いします。
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きものと帯の注文制作
染織吉田 吉田美保子
http://www.someoriyoshida.com
ジャーン!京都デビューです!
カジュアルな着物姿にバッチリ合う、A4サイズの鞄、善林英恵さんとのコラボで進めておりますが、この度、京都でお披露目いたします。
「ほんまもんの目利き市」と名付けたフリーマーケットに、展示スペースも設けて下さることになりました。西の方、この機会にぜひ、お運びいただき、実際に手にとってみてくださいね。善林さんが会場にいて下さるので、ONLY ONLYで鞄制作をお考えの方も、ご相談ください。
「ほんまもんの目利き市」にはこの他にも、アクセサリー類(シルバー鍍金×半貴石など)、食器類やヴィンテージ着物などが並びます。和装関係サンプル品の大放出もあるとのこと。楽しい会になりそうです。
5月27日の日曜日、1日限りです。関西在住の方はもちろん、この日たまたま関西にいる人も、ぜひ覗いてください!
それからこの会の目玉として、「超初心者向け・ふだん着物相談&座談会」も無料で開催されるとのこと。これは10時からと13時からの1時間ほどだそうですので、もしもこれから着物を着たいって方は、この時間をねらってお出かけになるのもいいと思います。
フェイスブックに詳しいページができてますので、そちらをご参考の上、ぜひお出かけください。
ほんまもんの目利き市
5/27(日)9:30-17:30
場所・京都市上京区笹屋町通り千本通り東入笹屋町3丁目635 長艸繡巧塾寮一階 (社)十一・二内 雪柳庵
tel075-414-1140(開廊時間帯のみ)
場所前に自転車・バイク駐輪可能です。
地図はこちら http://sewingclass.wixsite.com/kyoto/acess
ONLY ONLY、きよさま の八寸帯、織ってますよ。もろもろ準備を整えましたので、あとはGO!GO!
しっかり打ち込みながら、織り進めます。
ほら、ここに織った部分が巻かれて行きます。だんだん太くなって行きます。
きよさま のONLY ONLY、もろもろ決定しましたので、あとは実行あるのみです。
まず、糸。
糸は上の写真のものがヨコ糸です。この糸、懇意にしている糸屋さんが、ヨシダ用に作ってくれたのですよ。ちょうどいい太さと質のものが売られてなく困っていたら、作ってくれました。ま、ロットも多いし、お値段もそれなりなのですけどね。
その糸屋さん曰く、「絹糸は、安かろう悪かろうだから、人様に売っていくなら高いの買いな。そうすれば、質がいいものできるし、お客さんにも信用される。」
うぐっ。確かにそうだ。この糸屋さんとは、かれこれ、15年くらいのお付き合い。毎度お高い糸を買って、やりくりにヒーヒー言っております。
染めは、薄いグレーとクリーム色に。グレーの方は、後ろ姿担当で、タイコ、タレ、手先に使います。クリーム色は、前帯部分担当です。グレーの方は銀色、クリーム色の方は金色の印象です。
きよさま のONLY ONLY、ヨコ糸の太さ、まり子さんがすぐ返事くださり、ご自分ももうちょっとしっかりさせた方がいいのではないかと思っていたとのこと。八寸帯は芯を入れない前提で作りますので、大事なのです。よかった、合意した。太くしましょう。
さて、では最終稿を決着させて行きましょう。
タレには、色の筋は入れないつもりですけど、いいですね?あと、手先はどうしよう?スッキリ無地でいいかしら?
これは、完全にお好みなのです。今までの経験からいうと、関東の方はスッキリ系を好まれるので、タレと手先は柄がない方が人気で、関西と中部の方は隅々まで仕事がしてある方がお好みかな。
きよさま とまり子さんに連絡しました。
そうしましたら、手先には色の筋が入っていた方がいいとのこと。華やかな方をお好みなんですね。了解。じゃ、紙で、小型帯を作ってみますね。縮尺は合ってますから、こんな感じの帯になります。
きよさま のONLY ONLY、ご希望が出そろったところで、2回目の試し織りをしましょう。糸づかいは、本番と同じで、、、、染料も本番を見すえた調合で、、、、
まあ、2回目もとにかくやってみるのです。糸を準備して、染料を作って、ブラッシングして、織って、蒸して、水元して、、、、
と、一通り、全部やって見ました。こうすると、本番の帯とほぼ同じ、布になります。ためつすがめつ、ながめます。引っ張ったり、折り曲げたりもします。(上の写真の手前が2回目の試し織り。奥は1回目の試し織り)
ふと思いました。タテヨコ、バランスいまいちだな。ヨコ糸、もうちょっと太いほうがいいのではないか?それで、計算を入れます。今織っている糸の太さは、前回のと比べてどうだろう?糸の種類が違うから一概には言えないけど。精練済みだから、セリシン落ちて練り減りしてるし。
うむ。これは、太くしたほうがいい。よし、きよさま とまり子さんに相談してみよう。
きよさま のONLY ONLY、1回目の試し織りをお送りしましたら、きよさま とまり子さん、お二人でご覧になって、あーでも無い、こーでも無いと、楽しい時間を過ごしてくださったようです。こういう時間が一番楽しいね。
試し織りといっても、布感は本番とほぼ同じですので、実感わかれたことと思います。
それで、きよさま のご要望によると、「ヨコ糸は座繰り糸の太めでいく」「三角の黄色は落ちついたイエローにする」「筋に入る色糸は、黄色、深緑、空色、銀色の4色にする」「タレにも三角の柄を入れる」などでした。
オッケーっす。ではデザインをし直ししますね。
まず、三角の位置と大きさを整えて、次に筋の色糸の入り方を決めましょう。4色のバランスをどうするかな?黄色を多くして黄色の帯の印象にするか(上の画像の左)、深緑を多くして、大人っぽい感じにするかだな(上の画像の右)。イラストレーターでふた通り作って、画像を添付して、メッセージします。
まり子さんがきよさま と相談してくださって、深緑多めの右の画像となりました。落ち着いた感じですね。汎用性ある帯になりそうね。