サイトの「着姿ギャラリー」を更新しました。「着姿ギャラリー」というのは、私が織ったものを、実際にお召しいただいているお姿を載せさせていただいているページです。今回、4枚、新しい写真を載せさせていただきました。ぜひ、ご覧になってくださいね。
私、自分のサイトの中で、このページが一番好きかもしれないなあ♡機織りしてきてよかったなあと思うのです。
ぜひ、ご覧くださいね。→着姿ギャラリー (サムネイルをクリックしてください。大きくなります。)
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こんにちは。天候が定まらないこの頃ですが、お元気でいらっしゃますか?
先日、「日本伝統工芸染織展」と「国展」と「こいのぼりなう!」に行ってきました。
ご存知の方も多いとは思いますが、「日本伝統工芸染織展」と「国展」は、染織界のツートップの公募展です。
「こいのぼりなう!」というのは、国立新美術館で開催中の展示会で、テキスタイルデザイナーの須藤玲子さんの布をこいのぼり型にして、大きな会場中をダイナミックに泳がせるというインスタレーションです。
今回のメルマガは、出かけた先で思ったことなど書いています。大っぴらには言えない内容ですので、オフレコでお願いします(笑)。
《 目次 》
1. 伝統工芸展と国展
2. 着るのか?
3. こいのぼりなう!
4. 宣伝
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1. 伝統工芸展と国展
「日本伝統工芸展」と「国展」は、大変に権威のある公募展で、多くの染織家が入選を目指して出品しますし、常連の方々は、日本を代表する有名な作家さんです。
私は、なんとなく、「ここを目指すぞ!」という気持ちになれず、今まで出品することなくやってきました。しかし、機会があれば、会場に出かけて、拝見することは続けてきました。
今年も、よかったですよ!
やはり、今、染織をやってる人たちの最高峰だと思います。すごいです。
*日本伝統工芸染織展の、東京での展示会は、5月14日までです。その後、京都、岡山、福岡を巡回するようです。
*国展の、東京での展示会も、5月14日までです。その後、名古屋と大阪に巡回するようです。
2. 着るのか?
しかし、一方で、こういう公募展で展示される着物や帯は、力がこもりすぎて「着るものなの?」と思うものもあります。国展に出品されている大きな布は、「これ、なんにするの?」と思わざるを得ません。
*伝統工芸染織展の出品作は、「着物」「帯」がほとんどで、「帯締め」などが少数出品されています。一方、国展の出品作は、「着物」「帯」のほかに、でっかい布があるのです。
「着物」や「帯」も入賞するためには、目立つことや、技巧を凝らしたものであることも求められるのでしょう。完璧さを追求しているのか、「大変そうだなあ」「こもってるなあ」っていうのが、第一印象だったりするものもあります。
着はしないし、用途はないけど、すごい、美しいってのもいいかもしれません。そういう世界があってもいいとも思います。しかし、少々のモヤモヤは残ります。
3. こいのぼりなう!
先日は、そのツートップの公募展の後に、こいのぼりなう!展を観たものですから、いろいろ考えてしまいました。
「こいのぼりなう!」は、今回はインスタレーションで、会場全体で一つの世界観を作っているものでした。マイナスイオン出てるの?ってくらい、気持ちよかったですよ。
こいのぼりの布たちは、本来は洋服やインテリアなど、明確な用途があります。その特別な用途のために、特化して作ったマスプロダクツです。
*須藤玲子さんは「布」というブランド名でテキスタイルを作っている方なので、「布」さんの布と言った方が、通じるかもしれません。
で、それらが、すごい情熱で、エネルギーに満ちているのです。
布は、用途があるものなのだ。誰かの何かに役立つということが、布が生きるということだ。
そんなこと、思いました。
例えば、「アウターにする布」という命題があったとして、それに向けて、須藤さんを中心とした何人ものチームが、あらゆる試行錯誤とアイディアと技術と努力をぶつけ合い、昇華させて行く、、、、。
やりきった清々しさがある布なんです。それはマスだから出来るんだ。
かなわんなあとも思いました。
では、手織りの作り手がすべきはなんなんだ?
この日のことは、ブログにも軽く書いていますので、よかったら見てください。上から2番目の記事です。「こいのぼりなう!」の写真もあります。ブログに書いた方は公表用で、こちらに書いたことは、オフレコですので、そこんとこ、よろしく!(笑)
http://www.someoriyoshida.com/blog
4、宣伝
自分の宣伝もさせてください!
染織吉田の通販「some ori マーケット」、更新しています。
用途、あります!使えます!!役に立ちます!!!
ぜひ、御許へ。
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どうかよろしくお願いします。
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きものと帯の注文制作
染織吉田 吉田美保子
http://www.someoriyoshida.com
きよさま の「急がなくていいのよ」という優しいお言葉に甘えて、私はその後、別の仕事にせっせと邁進しておりました。そしてこの春になって、さあいよいよ、きよさまの番 !
私は、まず「やってみる派」です。やってみて、お客様と一緒に「見つける派」です。今回は、きよさま とまり子さんがいてくれるから、三人よれば百人力です。
さあ集中して。長くなるので、説明は端折らせていただきますが、まずタテ糸の準備。ブラッシングの染料の調合、提案できるよう数種類。ヨコ糸の準備数種類。これは本番用とは別に。デザイン起こし。ささ、試し織りをしましょう。
その中で何を見つけるか?きよさま は、拙作「スタイリッシュな三角」をお気に召してくださってるのだけど、私としてはただの色違いではなくて、もっときよさま にぴったりのものを作りたいのだ。
そして、思いの丈を説明したお手紙を添えて、遠く鹿児島に向けて、レターパックで発送します。実物を見ていただくのが一番ですものね。
昨日は夕方からお出かけ。半蔵門線にひたすら乗って、三越前へ。目指すは、日本伝統工芸染織展。さすがレベル高くてピシッとしていて面白かったです。
岩井香楠子さんの染めの下図の展示もあって、ほおーと見入りました。作家の頭の中、見た感じ。微に入り細にわたり計画されてるなあ。ドキドキした。
あと、展示の中で一番心に残ったのは染めの人間国宝の森口邦彦さん。さすが、大胆で美しくて、よかったなあ。美と技術がピタッとあってる感じしました。(日本伝統工芸染織展は5月14日までの開催です)
で、三越新館から駆け下りながら、時計をチラ見。まずい、6時20分だ。半蔵門線に戻って、大手町で乗り換えて、乃木坂へ。はい、目指すは国立新美術館。国展に駆け込みます。金曜は夜間オープンの日です。
国展の会場は天井が高くてせいせいするね。染織しか見てないのだけど、染織も着物や帯に限らないのが自由でいいな。毎年出してる作家さんたちを見るのも楽しみです。ああ、この人、がんばってるなあ、よし私もって、勝手に元気をもらってます。初入選にも親しい人が!おめでとう!(国展も5月14日までの開催です。)
その後、同じく国立新美術館でやってる「こいのぼりなう!」を拝見。めちゃくちゃ面白かったです。須藤玲子さんのデザインされた数々の布がこいのぼりになって、大きな空間をダイナミックに泳いでいる。見るひとは床に置かれたソファーに体を沈めて、仰ぎ見る。これが気持ちよかった。
とても情熱的な布だった。その情熱が泳ぎまわるのだから圧巻でした。こちらのテキスタイルは、機械織りで作っているけど、手仕事って言っていいと思う。個人作家の手仕事ではなくて、もうちょっとだけマスプロダクツなのだけど。
こういうの見ると、個人作家がやらなきゃいけないもの、見えてくる。情熱で負けてない?
(こいのぼりなう!は、5月28日まで。写真は全てこの会場で撮りました。)
さて、この日、きよさまとまり子さんと、話したことは、、、、
私がまずお聞きしたかったこととは、、、、
今回の帯、1番のミソは、ブラッシングカラーズで入れる、黄色の三角の色だと思うんです。
黄色と言ってもいろいろあります。レモン色、山吹色、クリーム色、濃い黄色、ペールな黄色、パステルの黄色、濁らせた黄色、、、、いかようにもなるし、ここで、その帯の特徴が決まります。特徴って、いまの言葉でいうと、キャラと言ってもいいかもね。
どんな黄色をお望みですか?
きよさまにお聞きすると、ほとんど偏りのない、どストライクの黄色をお望みです。強くてきれいな黄色です。ちょうど、この日、まり子さん、私の織った帯を締めてきてくださったのですが、その黄色。たんぽぽ色とも言えるかなあ。
筋に入れる糸の色も大事です。どうしましょう?すると、くるっと部屋中を眺めるきよさま。「こんな色がいいわ」とおっしゃったのは、我が家にあったすでに染まってる、空色とダークグリーンの糸。まあ、これがもしそのものズバリだったら、これ使いましょうか?
あと、銀糸をお望みです。銀を入れて華やかさを出しましょう。
そして、もう一つのお望みが、地の色をおタイコと前帯部分で、少々変えることです。こっちは、私が持っている色見本をお見せして選んでいただきました。おタイコは薄いベージュ。前帯は薄いクリーム色。ふむ。面白いね。
よっしゃ、一旦ノートに書いたご要望を、まとめて紙に落とし込みますね(上の写真)。後日、まり子さんにお送りしますので、一緒に確認してくださいね。
昨年の9月22日の午後、きよさまと、まり子さんと、まり子さんの妹のMさんが、我が家を訪ねてくださいました。
きよさまとは、お初にお目にかかります。まり子さんとMさんとは久しぶり。我が家にお越しくださるのは初めてです。女性が4人ですから、話は絶えることなく。とても盛り上がったのを覚えています。
せっかくだからと、私が織ったものを見ていただきました。
きよさま、角帯に興味を持たれました。ご主人様もおきものをお召しになるんですね。まり子さんとなにやら相談なさってます。そしてすぐにこれが欲しいと。
それから、ショールも。5枚ほどあったのですが、「これ」っとすぐ決められます。すごいなあ。決断が早い。それも的確。私はダラダラ悩むタイプなので尊敬です。
そして、「八寸帯 スタイリッシュな三角」をご覧になるやいなや、これが好きだけど、青は私の色じゃないのよ、黄色がいいのよと。だったら作っていただけばとまり子さん。あ、よかったらよろこんでと私。
じゃあお願いします。とそこで話が終わりそうになるので、「ちょっと待ったー!」
あ、いえ、せっかくONLY ONLY でお作りするなら、ただの色違いでなく、きよさまにとって最高に一本になるようにしたいです。ひと口に「黄色」と言ってもいろんな黄色があるわけですし。地の白もこの「スタイリッシュな三角」では、極薄のブルーグレーで染めて、シャープな感じを出しているんですよ。三角の大きさや配置もいかようにでも変えられますよ。
そうしましたら、きよさま、さすが決断力がありますね。バシバシご希望おっしゃいます。お好きなものが明確なのですね。それにまり子さんが、的確なアドバイス。私はしっかりとノートを取ります。
急ぎませんよというありがたいお言葉いただいてホッと安堵。では後日、ご希望をもとに簡単なデザインをお越し、お見積もりと共に郵送しますと申し上げました。
さあ、新しいONLY ONLY ストーリーをはじめましょう。今回のヒロインは、「きよさま」です。きよさまは、ここから遠く離れた鹿児島の方。さて、どうやって、きよさまと私が巡り合ったか?それも今回の「きよさまストーリー」の大きなポイントです。
さあ、お話のはじまりはじまり〜〜〜。
きよさまストーリーは、今までとちょっとだけ違うのですけど、それが何かと申しますと、きよさまと私の間を取り持って、一緒にもっといいものを作りましょうという、力強いパートナーがいてくださるってことです。
その方は、鹿児島でM’s HEARTという会社をされている林まり子さん。まり子さんは、お母さまの代からきものに大変お詳しく、着付け教室や着物の展示会もされていて、鹿児島の着物好きの方々に、とても頼りにされている方なのです。
大島紬の本場の鹿児島にいて「大島紬もいいけれど、それ以外にもいっぱいいいものがあるよ、もっと着物で楽しもうよ」って、広めていらっしゃる方です。
そのまり子さんが、昨年秋に、ご連絡くださいました。懇意にしている着物好きの方が今度上京されるので、ご自分と妹さんも予定を合わせて上京する。その時、ミホコさんのお仕事場にお邪魔できないか?
まあ、もちろん、ウェルカムです。
で、秋のある日、まり子さんご姉妹と一緒に我が家を訪ねてくださったのが、きよさまというわけです。
*写真はこの春。ちょっと遠出した時。今回のストーリーもこんな感じに進めるぞー。
染織吉田の通販サイト「some ori crossing(ソメオリクロッシング)」を更新しました。やれやれ〜〜〜。帯と鞄に新参者が!!ぜひとも見てくださいね!
このタイミングで更新すると、私が連休中、これにかかりきりだったことが、バレバレですね。いやはや、事実なんですけどね。この連休は、「織り関係で少々遠出」、「展示会を見に都心にお出かけ」、「楽しい婦人会」、「ONLY ONLYの打ち合わせ」がそれぞれ一回あっただけで、あとはずーっとおうちにいて、細々とお仕事。パソコン仕事、がんばった。
細々したお仕事をやっちゃわないと、太太したお仕事できませんものね。さあさ、太太、はじめましょうかね。細々の成果も出ますように。
うわぁ!なんと美しいのでしょう!美しすぎてため息が出そうです。
画家の朋百香さんです。京都で開催されていた個展会場でのお写真を送ってくださいました。個展のレセプションで、ONLY ONLYでお作りした帯、締めてくださったのですよ。
さすが、ぴたりとお似合いですね。朋百香さんの絵を元に織った帯だから、当たり前かもしれないけど、周りの作品や会場の雰囲気と溶けあって、朋百香さんの世界がふんわりと完成しています。
鱗紋の大きさとか、色のバランスとか、よかったよね。締めていただいて完結ですので、お姿の写真いただき、本当に安堵しました。
合わせていただいているお着物は八丈織だそうです。朋百香さん、お忙しい個展会期中、帯と着物に守られていたように感じたって。うふ、うれしいエピソードね。
個展は大成功だったそうです。私は残念ながら出かけられず、画集を拝見したのですが、墨と絵の具の自由なこと。すばらしいです。本物拝見たかったなあ。
朋百香さんのサイト→☆
この帯のメイキングストーリーは、こちらから→☆(スクロールして、時間をさかのぼってご覧ください)
どうもありがとうございます。本日、5月1日は、染織吉田の独立記念日です。
なんと、今日で15年です。15年間、たくさんの方に助けていただきながら、織りを仕事として来れましたこと、本当にありがたいことだ思っています。いまだに、自分がこれで生きていることに、びっくりしてしまいます。もうダメだ、もう無理だとひやひやしながらも、人に恵まれたという、ただ一つのことだけで、なぜだか生きて来れました。景気や世相もなんのその。本当に「人」のおかげです。心から、御礼申し上げます。
独立15年ということは、織りを始めてからは、25年です。あっという間の四半世紀でした。織りの技術や知識は、少しは上達したかもしれません。しかし、一番大事なものは、そこ以外にあると思っています。これからも、そこのところを、しっかり見極めて、深く、美しく、豊かで、愛しいものを求めて、コツコツ織り続けます。どうか今後とも、よろしくお願いいたします。
今日の染織吉田は、普通の営業日でしたが、絵羽のONLY ONLY のご相談にお越しくださったお方と、いろいろお話ができた、とても良い日でした。
お着物が大好きな方でした。その上、ご実家筋が呉服屋さんで、お母様のお着物もたくさん受け継ぎ、人間国宝級の有名作家さんのものなどたくさんお持ちで、着付けの先生もされているという大の着物通のお方でした。
そんな着物のことを知り尽くしていらっしゃる方に、ONLY ONLY でご注文いただけ、ちょっとだけ、自分が誇らしかったです。(おっと、うぬぼれてはいけませんね)
お話を伺っていて、とても心に残ること、おっしゃってくださいました。
「ずっと着物を着てきて、この頃思うのは、平凡なものも案外いいなってことなのよ。」
うわあ、なんといいお言葉なのでしょう!ここに、着物の真髄があると思います。どうしても目立つものや、「私!私!」ってもの、作りがちですものね。平凡で、着やすく、コーディネートを楽しめる、ありそうで無いもの、一生懸命に作ろうと思いました。
*写真は我が仕事場のベランダから。雨上がりの朝。最近。