朋百香さまの帯のONLY ONLY、仕上げの様子です。
上の写真は、蒸しと水元をした後、伸子張りしているところ。今回、ヨコ糸を数種類混ぜて使っていることと、平織りと綾織を両方入れていることで、収縮率が違うので、伸子の間隔、狭めです。びっしり張って、布の幅を整えます。
さあ張れたよ。
布の収縮率、気にしていたけど、自然な感じになりました。ああよかった。
裏がこんな感じ。
乾いたら、湯のしに出して、お納めです。
伊勢丹での展示会のお話をしていましたが、ここで、新たなONLY ONLY をスタートいたします。
今回のヒロインは「なおさま」。すらっとした着物美人でいらっしゃいます。お勤め先は、なんと、伊勢丹新宿店本館7階、呉服売り場!
そうです、バリバリの現場最前線の方からのONLY ONLYです。
4月の展示会の打ち合わせのために、我が家にお越し下さった、伊勢丹のご担当の方三人のうちのお一人が、なおさまだったのです。
その時、織り機にかかっている布を見て、これは鞄になる布ですよと紹介すると、「私も欲しい」とおっしゃって下さったのです。
え!
まあ、なんとうれしいことでしょう。新宿の伊勢丹って、今の日本で、一番感度の高いデパートと言っていいのではないでしょうか?その現場でバリバリ働かれ、いいものいっぱい見てこられている方から、直々のご注文いただけるとは。
せっかくだから、4月の展示会に間に合わせられると、面白くなるかも。可能かどうか、善林英恵さんと相談します。
それで、どんな鞄をお望みですか?
なおさま、ちょっと考えられ、
メインのバッグに合わせて持つサブバッグ。お仕事に持つからA4が入るタテ型。お弁当箱を入れたいからマチが7cmくらい欲しい。メインバッグと二個持ちだから、特に持ち手は細めで、握りやすいこと。
とおっしゃいます。お弁当を入れるから、マチが7cmっていうのが、ものすごくいいなって思いました。リアルだわ。どんなにおしゃれでも、実用に不便じゃ元も子もないですものね。
*写真はこの日のなおさま。鞄の持ち手はこのくらいがご希望です。
今回の伊勢丹新宿店での展示会、お声がけくださったのは、扇子や日傘の制作で有名な、久保紀波さんです。私、大昔の勤め人時代から、存じ上げているのです。紀波さん、プロデュースでも活躍されてて、今回、誘ってくださったというわけです。
それにしても、私にとっては久しぶりのデパート。実はデパートあんまり得意じゃないのよね、それに新作、どこまで作れる?結構きつきつよ。と、および腰の私。
そうこうしていましたら、なんと、伊勢丹側のご担当の方からメールいただき、我が工房にお越しになりたいと。まあ、それはとてもうれしいです。創作の現場をご覧になりたいというのは、売る側の本気の現れですもの。
その上なんと、三人でお越しになられるとのことなんです。商品部と営業部と売り場最前線。まあなんと、三本の矢と申しましょうか。デパート側の本気度が見て取れます。これは、私も腹をくくって取り組まないと。腰が引けてる場合じゃないよ。
その日、朝からおいでになったお三人は、皆さん、ポジションポジションでそれぞれ、とても真剣。私は一人で、三人のお相手をして、質問に答え、ものをお見せし、頭、フル回転。あっという間の2時間半。お湯は沸かせど、お茶を入れる暇もなく。ああ、申し訳ない。
お三人の中、売り場担当の方、おきものをお召しでお越しくださいました。きれいな目で、優しげな方なのですが、鋭く深く、ものを見る方だなと。お見せした帯やきものだけでなく、我が家の壁に掛かっているタブローにも目を留められ。
そして、機にかかっている布に釘付けになられているご様子。織っていたのはグレージュの布(上の写真)。この布のこと、ものすっごく褒めてくださいました。まさにこれだと。
そして、なんと、なんと、ご自分もこういう鞄が欲しいとおっしゃるのです。まあ、なんと。
この続きはまた後日。
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こんばんは。
ひと月ご無沙汰しました。お元気でいらしゃいますか?
あっという間に春になりました。もうすぐ桜が咲くなんて、信じられませんね。地球は加速して回っているんでしょうか。
花粉は大丈夫ですか?
10通目のメルマガをお届けいたします。お付き合い下さい。
《 目次 》
1. 青色申告
2. 1億円プレーヤー
3. 伊勢丹で展示会
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1. 青色申告
先日、青色申告会に出向きまして、無事、昨年分の申告をすませてきました。毎年のことながら、大変可愛いささやかな数字でした。
近い将来、これを、憎々しい、太々しい、ギドギドした数字にしたいものです。
うちに帰って、書類や領収書をまとめて、保管しているプラケースに収め、代わりに、保管期限の切れる7年前のものを捨てました。捨てる際に、その7年前のものを見て、ふと思いました。昨年の売り上げは「可愛らしい数字」で、7年前の売り上げも「可愛らしい数字」です。
ですが、これを合わせれば? 7年前の分だけでなく、全部合わせたら?
私はこの5月で独立15年です。15年間すべての売り上げを合わせれば、それなりの数字になるんじゃね?
2. 1億円プレーヤー
さあ、私は、この15年でどのくらいの売り上げを立てたのでしょう?
ええと、ざっと計算するに、数千万は行ってるね!
うわっ。私、数千万も売ってるんだ。私が染めて織ったものを、この地球上のどなたかに、数千万円分もお買い上げいただいているんだ。そのおかげで、私は生きているんだ。
なんとありがたいことだろう。じーん。
私は独立前したのは、35歳の時なんだけど、その前の10年間、勤めながら織ったものを売っているのです。この分まで入れたら、いくら位になるんだろ?
もしかして、1億円?
んー、そこまでは行かないな。
いや待て。私に入った売り上げ金額では、行かないけど、お客さまにお支払いいただいた金額と考えたらどうだろう?小売店さまにいくマージンや、着物や帯の仕立て代、はたまた、展示会場に出向いていただく交通費や、ヨシダの帯に合わせて買った帯締め代まで入れたら、、、、、ゆうに1億円は越しますな!
こう考えると、なんだか、感無量です。
時々、私の、社会においての存在意義など考えて、ずーんと落ち込みますが、それでも1億円の経済を回しました。
いやはや。このまま行けば、私の売り上げだけで、1億円を越す日もくるでしょう。その分、どなたかに喜んでいただいたってことですよね。
こんな私も社会の一員と数えていただいて、いいでしょうか?
もしそうしていだだけるなら、本当におかげさまでございます。心から、どうもありがとうございます。
3. 伊勢丹で展示会
さて!展示会のお知らせです。四月、新宿、伊勢丹です。
「ときめく手わざ 華・粋・遊」
4月4日(水)~4月10日(火) 会期中無休 10:30~20:00
伊勢丹新宿店本館7階/特選きものプロモーションスペース
詳細は、こちら。
http://www.someoriyoshida.com/4426
ただいま、新作、ひーひー言いながら、楽しく作っています。
ぜひぜひ、見にきてくださいね。お会いできること、楽しみにしています。
なんと今回、伊勢丹の社員さんにも、ONLY ONLY のご注文いただいたのですよ。
我が家に打ち合わせにいらした時に、機に掛かっていたものに目を留められ。私も欲しいと。
アイテムは、善林英恵さんとのコラボの鞄です。近いうちにメイキングをブログ連載始めますので、ご注目くださいね。
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染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》10通目のメルマガをお読みいただき、どうもありがとうございました。
ご感想、ご意見ございましたら、このメールに返信する形でお送りください。
配信停止をご希望の方は、タイトルを「配信停止」として、このメールをそのまま返信してください。
これからも、some ori や、きものや、モノ作りを通して、あなたさまとご縁を育んでいきたいと思っております。
どうかよろしくお願いします。
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きものと帯の注文制作
染織吉田 吉田美保子
http://www.someoriyoshida.com
じゃじゃん!すっかり春うららな本日、いかがお過ごしでしょうか?こちらは、制作に大わらわです。そうなのですよ、展示会の追い込みに入っています。
本日は、そのお知らせをさせていただきますね。4月、新宿、伊勢丹、です。
まず、インンフォメーション、書きます。
「ときめく手わざ 華・粋・遊」
4月4日(水)〜4月10日(火) 会期中無休 10:30〜20:00
伊勢丹新宿店本館7階/特選きものプロモーションスペース
参加メンバーは豪華7組!
久保紀波 絞り染め:帯
松永恵梨子 小紋染:帯、着尺
吉田美保子 染織:着尺、帯、善林英恵さんとのコラボの鞄
峯史仁 組紐:帯締め
大城令子 染色:バッグ、半衿
富沢麻子 木工:バッグ、帯留
アトリエKinami :扇子、日傘
盛りだくさんで楽しそう!ぜひ、お越しくださいませ。
私が会場にいるのは、以下の予定です。
これ以外の日時にご来店予定で、もしヨシダに会いたいなどご希望あれば、よろこんで調整しますので、お気軽におっしゃってくださいね。
これからブログに、この展示会について、その経緯や、出品のための新作の話、さらには、なんと第一線で働いてらっしゃる方にいただいたONLY ONLY について書いていきます。乞うご期待。ぜひ、実物を見に、会場にお越しくださいね。
*画像はネットで拾わせていだきました。
昨日は、エネルギーをいただきに、お出かけしました。
まずは銀座へ。小島秀子さんの新しいこころみ、「WARPWOOF」を拝見しに、ワクワクと。
会場には、小島さんの、すごく精神の行き渡った、それでいて、なんかホッとする可愛らしさを持った布が、きものの世界から飛び出して、日常に使えるものに展開され、生き生きと存在してました!小島さんの生み出す美しさが、新しい息吹と混じり合って、新しいジャーニーをはじめています。
会場を辞して、せっかく銀座にきたので、ちょろっとGINZA SIXによりました。ここは日本か?、って来るたびに思います。私はどうも落ち着きません。
ふらふらと銀ブラ。松屋銀座に寄ったら、ザ・日本のデパートって感じがしてしまった。そのドメスティックさに逆にビックリ。銀座、GINZA SIXができて、流れが変わったね。やっぱ、何かできるってすごいことなのね。
で、地下鉄移動。銀座線を赤坂見附で乗り変えて、新宿三丁目へ。新宿三丁目と言えば、伊勢丹です。ちょっと7階に用がありまして、この話は後日また。詳しく書かせていただきますね。
用事を終えて、む?今日は水曜日?映画が安いかな?気になっていた、「ドリス・ヴァン・ノッテン」、まだやってるかな?早速調べて、あ、武蔵野館でやってる!1000円だ!予約して、時間まで「ベルグ」でビール。新宿とちょっと休憩と言えばベルグです。
「ドリス・ヴァン・ノッテン」、20:45からの最終回を見ました。
ドリス・ヴァン・ノッテンのファッションショーにフォーカスしたドキュメンタリーフィルムだったのだけど、私、ドリスってどんな人か全く知らなかったのだけど、すごく、端正なナイスミドルと言った風で、ちょっと拍子抜けしたくらい。見かけは全くエキセントリックでもなく、アーティスティック気取りもない。
が、自宅で撮影の段で、ああ、こりゃあエキセントリックはなはだしいって思ったよ。建築もインテリアも庭も、完璧すぎる。普通でないです。やっぱ、何事かなす人は、振り切れてますな。
モノ作りに対する真摯さはさすがです。そして、ものすごいハードワーカーです。美しさを希求する、そこまで持ってく。そうだ、そうだ。そうでなくちゃ!
完全注文制作 ONLY ONLY 、コラボで進めているもまさまの手織り鞄、布は私の手を離れ、デザインと仕立て担当の善林英恵さんの元にあります。さあ、どうなっているかな?
今回のグレージュの布は長さがありますから、どこをどう使うか、善林さんにお任せです。
「えいやっと決めた」と、連絡あり。善林さん、一枚の布にいろんな色相があって迷ったそうですが、少々ピンク味のある優しい感じの所を選んでくれました。
もまさまの以前のご注文の帯など見て、激しくない感じでと思ったと。ちょっとモランディを彷彿とさせますねと。ああ、本当だ。モランディは、グレージュの画家だね。
持ち手は、もまさまのご希望で、ヌメ革です。
と、ここまでは、先日までの話ですが、先ほど善林さんから連絡が。曰く「コバ(革の切り口部分)の部分が気に入らず、やり直してます。じっくり作らせてください。」
おお、さすがこだわりの善林さん。損得掛け値無しで、納得いくまでとことんやってしまう、作り手のサガでもありますね。
朋百香さまのONLY ONLY、織りの本番、水面下で進んでおります。
デザインも、色も、糸も、すべて決まっておりますが、何回も確認して、準備を整え、深呼吸して、いざ。本番を織る日々は緊張の毎日。
ヨコ糸は、16種類。杼に名前をつけて、使い分けます。
柳川千秋さんに撮っていただいた上の写真、朋百香さまの帯のタテ糸です。ぐんま200という繭からひいた糸です。本当にきれいな糸です。
染織家で写真家の、柳川千秋さんが、写真を撮ってくれました。
すっごく自然で、丁寧で、撮る人の優しさが伝わります。撮られている方は、少々恥ずかしいけど、いい写真だなあって思います。
糸。
道具。
糸を巻く私。
出番を待つ糸たち。
私。もくもくと。
織ってます。
柳川千秋さん、どうもありがとうございました!
もまさまのONLY ONLY、さあ、私的には本番です。タテ糸の準備、ヨコ糸の準備をへて、ブラッシングカラーズです。ここでほぼ決まると言ってもいい。緊張状態で、乗り切ります。そして、心をほどいて、織ります。
織れたら、整理して、蒸して、水元して、張り手で張って、伸子張りして、乾かして、スチームアイロン。
さあ、準備は整った。善林さんへ、発送します。あとは任せた!