吉田美保子の some ori ノート

たくさま 、最終調整

2018.07.02

たくさま のONLY ONLY、本番に使う糸が出揃いました。

早速織ってみます。3回目の試し織りということになるけど、これは、たくさま と話し合うためというより、調子を見て、自分の指針を測り直すため。

(上の写真がそれです。半分より下のおとなしい部分は違いますよ。ネップが入っているところね。あと、ネップの入り方は本番とは違います。念のため。)

ふむ。よかろう。いいんじゃないか。やるだけやった。あとは、行くのみだ!

八寸帯 オーダーメイド お誂え 注文 

上の写真、左上が1回目の試し織り。右上が2回目。右下が3回目。これらをもう一度、よく見て、頭にしっかりインプットして、さあ本番、行きますよ。

17通目のメルマガ【ふすべ号】

2018.06.30

染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》にご登録いただき、ありがとうございます。
17通目のメルマガをお届けいたします。

こんにちは。

先日の大阪での大きな地震、大丈夫でしたか?

メルマガを読んでくださっている中にも、大変な目にあわれた方、いらっしゃるのではないかと心配しています。

もうおさまったようにも見えますが、人の心の奥の奥には、まだまだ怖い思いがこびりついているのではないかと思います。

どうか、くれぐれも、無理しないでくださいね。

関東では梅雨あけ。

いよいよ夏です。

体を大事に夏を楽しみましょう。

《 目次 》

1. ふすべ

2. 骨董市で

3. ブログ

___________

1. ふすべ

「ふすべ」ってご存知ですか?

私は、先日、印伝屋さんに行ったときに、初めて知りました。

ご存知のように、印伝とは、鹿皮を染めて、その上に漆で型染めしたもので、お財布などによくありますね。

軽くて使い勝手も良いようで、年配女性を中心(?)に根強い人気があるようです。(あくまで私の感覚です)

実は、先日、母に財布を買おうかと思い、南青山の印伝屋さんに行ったのです。

通常の印伝の陳列の奥に、たたずまいが特別な一角を見つけ、どうも気になる。茶色くて地味なコーナーなのだけど、目が離せない。

ガラスケースを凝視していたら、店員さんが開けて触らせてくれました。

これが、ふすべとの出会いです。

うわあ、なんと柔らかい。手に馴染みます。自然な色も大好き。いぶされた匂いが残ってる~。

いろいろ教えてもらったのですが、ふすべって、鹿の皮を染めるのではなく、いぶすことで、茶色の色がつくのですって。で、例えば、糸を三本並べて、鹿皮に巻きつけてからいぶすと、その糸のところは煙が入らないので、生成りのままの色なのです。

その三本縞のキリッと美しいこと!縞っていいですねえ~~~!どこまでも続くって感じがしますね。吸い込まれそう。

うわー、、ドキドキしてきた。素材と縞のダブルパンチ。好物ふたつ。ノックアウトじゃ。

とうとう小さな小銭入れをゲットしてしまいました。

自分のものを買いにきたのじゃないのだけどな~。

2. 骨董市で

先号のメルマガでもお声がけしましたが、大和の骨董市に行ってきました。ご同行いただいた方のおかげで、とても楽しかったです。

たくさんの店が出てて、見て回って、ワクワクしました。欲しいものもいくつかありました。

ビーズバックしかり。印伝の札入れしかり。シルバーのカトラリーもよかったなあ。

たたずまいが美しく、均整が取れてて、りんとしてきゅーって感じ。作った人、リスペクトです。

欲しいなと思ったけど、買いませんでした。

お金の余裕がないのも理由ではありますが、ふすべの小銭入れは、余裕がないのに買いました。

同じようにドキドキしたのに、一方は買って、一方は買わない。

何が違いか?

問題はサイズだと思います。骨董市で見つけた方は、現代生活に合わないって思いました。

小さすぎるビーズバッグは、おしゃれした時の精一杯持ち物を少なくした時でさえ、必需品が入りません。

大きすぎる札入れは、日々持ち歩くのに邪魔ですね。

シルバーのカトラリーも、ぎょうぎょうしい飾りが、美しいけど、大きすぎる。

シンプルで、便利で、効率的なものばかりに囲まれたいのじゃありません。無駄が楽しい。無駄こそが豊かさかなとは思うのですが、、、

その塩梅がむずかしいですね。

 

3. ブログ

私の買ったふすべの小銭入れ、こっそりブログにアップしますね。

よかったら見てください。

http://www.someoriyoshida.com/blog

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染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》17通目のメルマガ【ふすべ号】をお読みいただき、どうもありがとうございました。

ご感想、ご意見ございましたら、このメールに返信する形でお送りください。

配信停止をご希望の方は、タイトルを「配信停止」として、このメールをそのまま返信してください。

これからも、some ori や、きものや、モノ作りを通して、あなたさまとご縁を育んでいきたいと思っております。

どうかよろしくお願いします。

___________

きものと帯の注文制作

染織吉田 吉田美保子
http://www.someoriyoshida.com

メルマガ

2018.06.30

これ、いい縞でしょうー。私、見ほれてしまいました。

ズームアップ。なんだか分かる?どうやって作ったかも、ちょっとびっくりの技法でした。

種明かしは、これ。最近ゲットした私の小銭入れです。

これに出会った経緯など、本日配信のメルマガに載せています。よかったら今号から配信しますので、ご登録ください

アーカイブは、ノートにあります。いつもは有料設定ですが今号は無料設定しますので、今号だけ読みたい方はこちらから。(メルマガはテキストのみだけど、ノートは写真も入っているから、実はノートが一番いいかも)

メルマガ、おかげさまで、登録100名を超えました。ぼちぼち続けて参りますので、どうかよろしくお願いします。

 

*6月27日にお申込みいただいた、ドコモのアドレスの、AHさま、メールが戻ってきてしまいます。申し訳ありませんが、アドレスをご確認の上、もう一度、ご登録くださいませ。

 

お知らせ

こんにゃく糊の一本糊づけ

2018.06.24

たくさま のONLY ONLY、ヨコ糸は染まりましたが、実は、試しを織っている時から、悩んでた。それは、糊付けをどうするかったことが。もうちょっとだけ硬くしたいし、その硬さをキープしたいのだ。

たくさま 、重くて、硬いのが、苦手になってきたと書いてられた。が、柔らかすぎては八寸帯にならない。いつも使っている糊は、いい具合に硬いのだが、それは落ちるものなのだ。

それで、以前から、取れない糊にチャレンジしてみたかった。今こそ、そのとき。「こんにゃく糊」だ。

上の写真は、糊を溶かしているところ。

八寸帯 お誂え オーダー 注文

さあ、糊ができましたが、粘りが強くて、綛のままでは、糊つけ無理だな。一本糊つけ、するしかないな。

八寸帯 お誂え 注文 オーダー

はい、これが一本糊つけ。木枠に巻いた糸を、糊液をくぐらせて、別の木枠に巻き直すのです。

別角度から。下の動画も見てね。

 

*メルマガとって下さってる方へ。

先日配信の、《 some ori 通信 》16通目のメルマガ【こんにゃく号】に、私、こんにゃく粉を「5%」の糊液にしたと書きましたが、正しくは、「0.5%」の間違いでした。お詫びして訂正します。

付け加えますと、0.5%の水溶液ということで「owf」ではありませんので、そこんとこよろしく。

メルマガ、丁寧に読んで下さっている方が、いてくださって、身が引き締まります。ありがたいことです。

もし読んでみたい方は、こちらから。→

ヨコ糸を準備する

2018.06.23

たくさま のONLY ONLY、本番用のヨコ糸の準備もちゃくちゃくです。色は、たくさま から送られてきた色見本を目標に染めましたよ。

ネップに入れた真綿も、こうやって、たくさま の色見本の上に、いろんな色糸を乗せてみて、色を吟味して、その決めた色を目標に染めたんですよ。

八寸帯 オーダー お誂え 注文

上の写真は、地にまぜる濃い色の糸。濃い色と薄い色を両方使って、杢糸を作ります。

八寸帯 オーダー お誂え 注文

染まったら、どんどん巻きます。

巻けました〜。

糸をつくる

2018.06.21

 

たくさま のONLY ONLY、ご注文内容は、実はとてもシンプルです。しかし、シンプルなのが一番むずかしい。これ本当です。ただシンプルに織っただけじゃ、つまらないものになる。

たくさま は、糸味とか、風合いとか、凸凹とか、そういうの大事にされる方。それは、いっとう始めから伺ってる。どう応えるか?

うーむ、では、糸を作ろうかな。ネップとして差し色で入れるために真綿を入手し、12色に染めた。そのうち、4色はごく薄い色だ。それらを紡いで、タイコと前帯部分に、地の絹糸に添わせて織り込もう。

で、早速つむぎます。よかったら、上の動画ごらんください。

八寸帯 お誂え オーダー 注文

ほら、こんな風になるのです。これが表情になる。

ヨシダ、全身を使って、糸を作ります。

ちなみに、染める前の真綿はこれです。→
12色に染めたのはこれ。→  赤や青や紺などの真綿は糸でなくネップになる。

 

たくさま 、2回目の試しの返信

2018.06.20

八寸帯 オーダー 注文 お誂え

2回目の試し織りをたくさま にお送りしたら、到着してすぐ「かなりいい感じ」とのメールが。ちょっとだけ安堵。

しばらくしてメールしてみると、「帯地は素敵に仕上げていただいているので大満足してます。差し色でちょっと悩み中。」との返信が。

お、お悩み中ですね。急がなくていいですよ、焦らずたくさまのペースでお願いしますと返信。しかし、帯地自体は気に入ってくださっているようで、ホッとしました。屋台骨がオッケーということだから、ひとつクリアと言ってもいい。

それからもうしばらくして、たくさま から、お手紙を添えた試し織りが、返信用のレターパックでやって来ました。

ふむふむ。たくさま から提起された問題点は3点。

1、ネップで入れた真綿糸の差し色のうち、青だけが目立って見える。

2、タレには差し色いらない。

3、試し織りに作っていた、「濃いところ」「中間」「白っぽいところ」は、「中間」で行きたい。

まず1は、、、うーむ。そうですね。試し織りでは、確かに青、目立ちますね。それに、登場回数も多かった。無くすのもありか?青のところを伏せてみます。うーむ。ちょっと寂しいなあ。個性的な青だから、入れると、山椒が効くみたいに、締まると思う。それに、たくさま 、「効かせた感じ」とか「にくい感じ」のカッコイイ系が似合われると思うのよね。この青、目立たないように、ごく少量、回数も少なく、例えば、タイコに3箇所、前帯に2箇所くらい入れることにしてはどうでしょう?

2は了解。色は入れないけど、凸凹は作りましょう。手先も同じでいいですか?

3も了解。濃淡を作るのではなく、全体的に統一感を出しましょう。

上記のように、メールすると、ご賛同いただけました。よっしゃ、それではいよいよ本番!

*写真は、試し織りの上に、差し色にした真綿を乗せたところ。この真綿をごくごく少量とって、ヨコ糸に撚り込んでから織るのです。右が出番を減らすことになった青。

地震、清正公

2018.06.19

蛇の目紋 名古屋帯 九寸帯

大阪で大きな地震がおきて、なんだか落ち着かない。亡くなられた方のご冥福を祈るばかり。

震源地の近くは特に、まだまだ大変と思います。これから本震がきたりどうかしませんように。大雨が降ったりして、これ以上の被害が広がりませんように。

今回の地震、「慶長伏見の地震」と断層帯が同じって聞いてふっと思い出した。

熊本地震の後、「清正公の陣羽織」という個展をさせていただくことになり、加藤清正公について、ずいぶん調べたのだけど、そういえば「慶長伏見の地震」というワードが出て来たよ。

この時、伏見城にいて震災にあった豊臣秀吉の元に、いの一番に駆けつけ活躍したのが、清正だったのだそう。さすが、清正公。せいしょこさんは、築城や治水に抜群の腕を持ってる方なのだ。

熊本地震後の個展「清正公の陣羽織」展でやりたかったことは、我々みんながそれぞれ「Petit せいしょこ」さんになって、力を出し合い復旧して行きましょうってことでした。

今回も、大阪に向けて、清正公が駆けつけてくれてることと思います。全国から、ぞくぞくと、道やガスやエレベーターを直しに。近いうちには、心が明るくなることを携えて。

*写真は拙作「九寸帯 清正ゴールド」。蛇の目紋は、加藤家のご紋です。

たくさま 、2回目の試し織り

2018.06.15

八寸帯 名古屋帯 お誂え オーダー 注文

たくさま のONLY ONLY、1回目の改善点を踏まえて、糸や真綿を染め直して、2回目の試し織りをします。

上の写真は、新しく染めた真綿。これをフツフツと織り込んで行く予定。洋服地でいうならツイードがお好みのたくさま 、ツイードチックな感じをこれらの真綿で出していきます。

糸も新たに染めて、糊をつけましたよ。巻いているのは、手伝いに来てくれたmoyu さん。この後、合糸して、小管に巻きます。

さあ、織れた。2回目の試し織りです。

全体像はこんな感じ。あれこれ説明を書き込みます。

ヨコ糸、けっこう色々入れてます。どこまで違いが出てるか分からないけど、そこはかとなく感じられると思います。

図面を書いて、お手紙を書いて、比較のために一回目の試し織りも入れて、今回もレターパックで、高松のたくさま に向け、発送します。

たくさま からお返事

2018.06.14

八寸帯 名古屋帯 お誂え オーダー 注文

1回目の試し織りを高松のたくさま にお送りして程なく、レターパックが送り返されてきました。

たくさま 、感想やご希望を付箋に書いて貼ってくださってて、わかりやすい。ありがとうございます!
私が染めた色にはなかった希望の色も、ご自分で見本を探して、貼り付けてくださってます。こういう時、ものづくりは共同作業って思います。
お手持ちのお着物に合わせてご覧いただいたみたいで、「(数種に織り分けている試し織りの中で)〜〜あたりがしっくりなじんで見えました」などともお書きいただいてます。

こうやって、試し織り段階で、お客様と直接やりとりできるのが、ONLY ONLY の最大のいいところかも。
一般的には、お誂えと言っても、はじめに一度ご希望を伺うのみがほとんどだと思う。だって、そうしないと効率悪いから。
でも私はそれじゃ、本当にお望みのものって作れないと思うのよね。お望みって複雑だし、いっぺんには表現できないと思うのです。お客様もご自分が欲しい着物や帯の詳細を伝えるなんて、慣れてないのも当たり前だし。
こっちだって、お聞きしたことが体現できるのか、できたとしてモノとしてカッコいいのか、それをお客様が本当に望んでいるのか、、、「やってみないとわからない」ってのが、本音です。やってみないとわからないのだったら、やってみればいいじゃん。ねえ。だから、試し織りをして観ていただきます。

たくさま は、そのほかにも、

「この色はちょっと苦手です」

「この2色をこちらくらいにすると暗くなりすぎますか?」

「グレーっぽい、紺のような色はおかしいですか?」

「(真綿が織り込まれた)フツフツとした感じ好きです」

「(手持ちの帯に似てくるので)今回は黄みよりの地色は無しでお願いします」

などなどお書きくださってます。オッケーっす!だいたいの雰囲気的なものは大丈夫ですね。では、糸と真綿をお好みに染めましょう。黄みを入れないようにね。

*写真は染めの途中。

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