たくさま のONLY ONLY、本番に使う糸が出揃いました。
早速織ってみます。3回目の試し織りということになるけど、これは、たくさま と話し合うためというより、調子を見て、自分の指針を測り直すため。
(上の写真がそれです。半分より下のおとなしい部分は違いますよ。ネップが入っているところね。あと、ネップの入り方は本番とは違います。念のため。)
ふむ。よかろう。いいんじゃないか。やるだけやった。あとは、行くのみだ!
上の写真、左上が1回目の試し織り。右上が2回目。右下が3回目。これらをもう一度、よく見て、頭にしっかりインプットして、さあ本番、行きますよ。
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17通目のメルマガをお届けいたします。
こんにちは。
先日の大阪での大きな地震、大丈夫でしたか?
メルマガを読んでくださっている中にも、大変な目にあわれた方、いらっしゃるのではないかと心配しています。
もうおさまったようにも見えますが、人の心の奥の奥には、まだまだ怖い思いがこびりついているのではないかと思います。
どうか、くれぐれも、無理しないでくださいね。
関東では梅雨あけ。
いよいよ夏です。
体を大事に夏を楽しみましょう。
《 目次 》
1. ふすべ
2. 骨董市で
3. ブログ
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1. ふすべ
「ふすべ」ってご存知ですか?
私は、先日、印伝屋さんに行ったときに、初めて知りました。
ご存知のように、印伝とは、鹿皮を染めて、その上に漆で型染めしたもので、お財布などによくありますね。
軽くて使い勝手も良いようで、年配女性を中心(?)に根強い人気があるようです。(あくまで私の感覚です)
実は、先日、母に財布を買おうかと思い、南青山の印伝屋さんに行ったのです。
通常の印伝の陳列の奥に、たたずまいが特別な一角を見つけ、どうも気になる。茶色くて地味なコーナーなのだけど、目が離せない。
ガラスケースを凝視していたら、店員さんが開けて触らせてくれました。
これが、ふすべとの出会いです。
うわあ、なんと柔らかい。手に馴染みます。自然な色も大好き。いぶされた匂いが残ってる~。
いろいろ教えてもらったのですが、ふすべって、鹿の皮を染めるのではなく、いぶすことで、茶色の色がつくのですって。で、例えば、糸を三本並べて、鹿皮に巻きつけてからいぶすと、その糸のところは煙が入らないので、生成りのままの色なのです。
その三本縞のキリッと美しいこと!縞っていいですねえ~~~!どこまでも続くって感じがしますね。吸い込まれそう。
うわー、、ドキドキしてきた。素材と縞のダブルパンチ。好物ふたつ。ノックアウトじゃ。
とうとう小さな小銭入れをゲットしてしまいました。
自分のものを買いにきたのじゃないのだけどな~。
2. 骨董市で
先号のメルマガでもお声がけしましたが、大和の骨董市に行ってきました。ご同行いただいた方のおかげで、とても楽しかったです。
たくさんの店が出てて、見て回って、ワクワクしました。欲しいものもいくつかありました。
ビーズバックしかり。印伝の札入れしかり。シルバーのカトラリーもよかったなあ。
たたずまいが美しく、均整が取れてて、りんとしてきゅーって感じ。作った人、リスペクトです。
欲しいなと思ったけど、買いませんでした。
お金の余裕がないのも理由ではありますが、ふすべの小銭入れは、余裕がないのに買いました。
同じようにドキドキしたのに、一方は買って、一方は買わない。
何が違いか?
問題はサイズだと思います。骨董市で見つけた方は、現代生活に合わないって思いました。
小さすぎるビーズバッグは、おしゃれした時の精一杯持ち物を少なくした時でさえ、必需品が入りません。
大きすぎる札入れは、日々持ち歩くのに邪魔ですね。
シルバーのカトラリーも、ぎょうぎょうしい飾りが、美しいけど、大きすぎる。
シンプルで、便利で、効率的なものばかりに囲まれたいのじゃありません。無駄が楽しい。無駄こそが豊かさかなとは思うのですが、、、
その塩梅がむずかしいですね。
3. ブログ
私の買ったふすべの小銭入れ、こっそりブログにアップしますね。
よかったら見てください。
http://www.someoriyoshida.com/blog
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染織吉田のメルマガ、《 some ori 通信 》17通目のメルマガ【ふすべ号】をお読みいただき、どうもありがとうございました。
ご感想、ご意見ございましたら、このメールに返信する形でお送りください。
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これからも、some ori や、きものや、モノ作りを通して、あなたさまとご縁を育んでいきたいと思っております。
どうかよろしくお願いします。
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きものと帯の注文制作
染織吉田 吉田美保子
http://www.someoriyoshida.com
これ、いい縞でしょうー。私、見ほれてしまいました。
ズームアップ。なんだか分かる?どうやって作ったかも、ちょっとびっくりの技法でした。
種明かしは、これ。最近ゲットした私の小銭入れです。
これに出会った経緯など、本日配信のメルマガに載せています。よかったら今号から配信しますので、ご登録ください。
アーカイブは、ノートにあります。いつもは有料設定ですが今号は無料設定しますので、今号だけ読みたい方はこちらから。(メルマガはテキストのみだけど、ノートは写真も入っているから、実はノートが一番いいかも)
メルマガ、おかげさまで、登録100名を超えました。ぼちぼち続けて参りますので、どうかよろしくお願いします。
*6月27日にお申込みいただいた、ドコモのアドレスの、AHさま、メールが戻ってきてしまいます。申し訳ありませんが、アドレスをご確認の上、もう一度、ご登録くださいませ。
たくさま のONLY ONLY、ヨコ糸は染まりましたが、実は、試しを織っている時から、悩んでた。それは、糊付けをどうするかったことが。もうちょっとだけ硬くしたいし、その硬さをキープしたいのだ。
たくさま 、重くて、硬いのが、苦手になってきたと書いてられた。が、柔らかすぎては八寸帯にならない。いつも使っている糊は、いい具合に硬いのだが、それは落ちるものなのだ。
それで、以前から、取れない糊にチャレンジしてみたかった。今こそ、そのとき。「こんにゃく糊」だ。
上の写真は、糊を溶かしているところ。
さあ、糊ができましたが、粘りが強くて、綛のままでは、糊つけ無理だな。一本糊つけ、するしかないな。
はい、これが一本糊つけ。木枠に巻いた糸を、糊液をくぐらせて、別の木枠に巻き直すのです。
別角度から。下の動画も見てね。
*メルマガとって下さってる方へ。
先日配信の、《 some ori 通信 》16通目のメルマガ【こんにゃく号】に、私、こんにゃく粉を「5%」の糊液にしたと書きましたが、正しくは、「0.5%」の間違いでした。お詫びして訂正します。
付け加えますと、0.5%の水溶液ということで「owf」ではありませんので、そこんとこよろしく。
メルマガ、丁寧に読んで下さっている方が、いてくださって、身が引き締まります。ありがたいことです。
もし読んでみたい方は、こちらから。→☆
たくさま のONLY ONLY、本番用のヨコ糸の準備もちゃくちゃくです。色は、たくさま から送られてきた色見本を目標に染めましたよ。
ネップに入れた真綿も、こうやって、たくさま の色見本の上に、いろんな色糸を乗せてみて、色を吟味して、その決めた色を目標に染めたんですよ。
上の写真は、地にまぜる濃い色の糸。濃い色と薄い色を両方使って、杢糸を作ります。
染まったら、どんどん巻きます。
巻けました〜。
たくさま のONLY ONLY、ご注文内容は、実はとてもシンプルです。しかし、シンプルなのが一番むずかしい。これ本当です。ただシンプルに織っただけじゃ、つまらないものになる。
たくさま は、糸味とか、風合いとか、凸凹とか、そういうの大事にされる方。それは、いっとう始めから伺ってる。どう応えるか?
うーむ、では、糸を作ろうかな。ネップとして差し色で入れるために真綿を入手し、12色に染めた。そのうち、4色はごく薄い色だ。それらを紡いで、タイコと前帯部分に、地の絹糸に添わせて織り込もう。
で、早速つむぎます。よかったら、上の動画ごらんください。
ほら、こんな風になるのです。これが表情になる。
ヨシダ、全身を使って、糸を作ります。
ちなみに、染める前の真綿はこれです。→☆
12色に染めたのはこれ。→☆ 赤や青や紺などの真綿は糸でなくネップになる。
2回目の試し織りをたくさま にお送りしたら、到着してすぐ「かなりいい感じ」とのメールが。ちょっとだけ安堵。
しばらくしてメールしてみると、「帯地は素敵に仕上げていただいているので大満足してます。差し色でちょっと悩み中。」との返信が。
お、お悩み中ですね。急がなくていいですよ、焦らずたくさまのペースでお願いしますと返信。しかし、帯地自体は気に入ってくださっているようで、ホッとしました。屋台骨がオッケーということだから、ひとつクリアと言ってもいい。
それからもうしばらくして、たくさま から、お手紙を添えた試し織りが、返信用のレターパックでやって来ました。
ふむふむ。たくさま から提起された問題点は3点。
1、ネップで入れた真綿糸の差し色のうち、青だけが目立って見える。
2、タレには差し色いらない。
3、試し織りに作っていた、「濃いところ」「中間」「白っぽいところ」は、「中間」で行きたい。
まず1は、、、うーむ。そうですね。試し織りでは、確かに青、目立ちますね。それに、登場回数も多かった。無くすのもありか?青のところを伏せてみます。うーむ。ちょっと寂しいなあ。個性的な青だから、入れると、山椒が効くみたいに、締まると思う。それに、たくさま 、「効かせた感じ」とか「にくい感じ」のカッコイイ系が似合われると思うのよね。この青、目立たないように、ごく少量、回数も少なく、例えば、タイコに3箇所、前帯に2箇所くらい入れることにしてはどうでしょう?
2は了解。色は入れないけど、凸凹は作りましょう。手先も同じでいいですか?
3も了解。濃淡を作るのではなく、全体的に統一感を出しましょう。
上記のように、メールすると、ご賛同いただけました。よっしゃ、それではいよいよ本番!
*写真は、試し織りの上に、差し色にした真綿を乗せたところ。この真綿をごくごく少量とって、ヨコ糸に撚り込んでから織るのです。右が出番を減らすことになった青。
大阪で大きな地震がおきて、なんだか落ち着かない。亡くなられた方のご冥福を祈るばかり。
震源地の近くは特に、まだまだ大変と思います。これから本震がきたりどうかしませんように。大雨が降ったりして、これ以上の被害が広がりませんように。
今回の地震、「慶長伏見の地震」と断層帯が同じって聞いてふっと思い出した。
熊本地震の後、「清正公の陣羽織」という個展をさせていただくことになり、加藤清正公について、ずいぶん調べたのだけど、そういえば「慶長伏見の地震」というワードが出て来たよ。
この時、伏見城にいて震災にあった豊臣秀吉の元に、いの一番に駆けつけ活躍したのが、清正だったのだそう。さすが、清正公。せいしょこさんは、築城や治水に抜群の腕を持ってる方なのだ。
熊本地震後の個展「清正公の陣羽織」展でやりたかったことは、我々みんながそれぞれ「Petit せいしょこ」さんになって、力を出し合い復旧して行きましょうってことでした。
今回も、大阪に向けて、清正公が駆けつけてくれてることと思います。全国から、ぞくぞくと、道やガスやエレベーターを直しに。近いうちには、心が明るくなることを携えて。
*写真は拙作「九寸帯 清正ゴールド」。蛇の目紋は、加藤家のご紋です。
たくさま のONLY ONLY、1回目の改善点を踏まえて、糸や真綿を染め直して、2回目の試し織りをします。
上の写真は、新しく染めた真綿。これをフツフツと織り込んで行く予定。洋服地でいうならツイードがお好みのたくさま 、ツイードチックな感じをこれらの真綿で出していきます。
糸も新たに染めて、糊をつけましたよ。巻いているのは、手伝いに来てくれたmoyu さん。この後、合糸して、小管に巻きます。
さあ、織れた。2回目の試し織りです。
全体像はこんな感じ。あれこれ説明を書き込みます。
ヨコ糸、けっこう色々入れてます。どこまで違いが出てるか分からないけど、そこはかとなく感じられると思います。
図面を書いて、お手紙を書いて、比較のために一回目の試し織りも入れて、今回もレターパックで、高松のたくさま に向け、発送します。
1回目の試し織りを高松のたくさま にお送りして程なく、レターパックが送り返されてきました。
たくさま 、感想やご希望を付箋に書いて貼ってくださってて、わかりやすい。ありがとうございます!
私が染めた色にはなかった希望の色も、ご自分で見本を探して、貼り付けてくださってます。こういう時、ものづくりは共同作業って思います。
お手持ちのお着物に合わせてご覧いただいたみたいで、「(数種に織り分けている試し織りの中で)〜〜あたりがしっくりなじんで見えました」などともお書きいただいてます。
こうやって、試し織り段階で、お客様と直接やりとりできるのが、ONLY ONLY の最大のいいところかも。
一般的には、お誂えと言っても、はじめに一度ご希望を伺うのみがほとんどだと思う。だって、そうしないと効率悪いから。
でも私はそれじゃ、本当にお望みのものって作れないと思うのよね。お望みって複雑だし、いっぺんには表現できないと思うのです。お客様もご自分が欲しい着物や帯の詳細を伝えるなんて、慣れてないのも当たり前だし。
こっちだって、お聞きしたことが体現できるのか、できたとしてモノとしてカッコいいのか、それをお客様が本当に望んでいるのか、、、「やってみないとわからない」ってのが、本音です。やってみないとわからないのだったら、やってみればいいじゃん。ねえ。だから、試し織りをして観ていただきます。
たくさま は、そのほかにも、
「この色はちょっと苦手です」
「この2色をこちらくらいにすると暗くなりすぎますか?」
「グレーっぽい、紺のような色はおかしいですか?」
「(真綿が織り込まれた)フツフツとした感じ好きです」
「(手持ちの帯に似てくるので)今回は黄みよりの地色は無しでお願いします」
などなどお書きくださってます。オッケーっす!だいたいの雰囲気的なものは大丈夫ですね。では、糸と真綿をお好みに染めましょう。黄みを入れないようにね。
*写真は染めの途中。