吉田美保子の some ori ノート

いずさま、17丁杼

2015.07.04

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いずさまのonly only、さあ本番です。緯糸は、結局、17種類使うことにしました。それを4つのパーツで使い分けます。
例えば、上の写真は、紫を密にしたい部分のラインナップです。
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17種類と言っても、メインは6種類。あとは、ニュアンスを入れるため、陰影を付けるため、いい感じにもってくためのものです。
いずさまのお望みは、「無地っぽいけど、無地じゃなく、疎密があって、ランダムで、統一感があること。はかなげで芯があること。寂しくならないこと。」
これらをクリアするのに、17丁杼が必要だ。
ちなみに上の写真は、地のピンクの部分のラインナップ。
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糸によっては、全体で20越くらいしか入れないのもある。(全体っていうのは、28000越くらいですので、20越なら0.07%かな。まあ、そのくらいです)
上の写真の右から2番目の黄色のシールを貼った13番の杼がそれ。全体で20越の糸です。ほとんど気付かれないくらいの入れ方だけど、こっそり明るさを加える、おまじない糸と申せましょう。
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そして上の写真のラインナップが、白を多めの部分。写ってる8丁が基本だけど、こっそり、紫の糸を1〜3本入れましょう。動きが出るしね。
さあ、がんばろー!

取材!

2015.07.02

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秋に発売される着物の本の取材を受けました。
ご登場いただくのは、このお方、にこさまです!八寸帯、Rhythmical Niko(リズミカル・ニコ)を締めて下さっています!
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今回の取材、本の中でね、「世界に一本、自分だけのオリジナル帯を作ってみたら、、、」という小特集になるらしい。
まずは我が家にお越しいただいて、打ち合わせ風景なども撮りました。その後、移動して着姿の撮影。丁寧に取材していただいて、出版が楽しみです。うふー。
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にこさま、「えー、なんで私???」とおっしゃいながらも、こころよく協力して下さいました。Rhythmical Niko(リズミカル・ニコ)、晴れ舞台で、とてもイキイキと活躍してくれました。再会できてよかった。
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カメラマンは、なんと、武藤奈緒美さんです!着物好きで、プライベートで仲良くさせていただいています。武藤さんの仕事姿、はじめてみたけど、カッコよかったー。プロだねーー。
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編集のミヤマさんも着物大好きなお方。着物談義で大盛り上がりの一日でした。
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出版は、この秋、10月中旬、主婦と生活社からです。着物ライフをより楽しむための、大人の女性に向けたムック本らしいよ!乞うご期待。また追ってこちらでもご紹介しますね。
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私もあわてて着物に着替えてご一緒に。撮影場所は、東林間のバートンです。

緯糸、準備万端

2015.07.01

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いずさまの緯糸、全てが染め上がりました。写真の手前右が、新しく染めた分。ごくごく薄い紫。いいんじゃないか。表現に幅がでる。いずさまのご意見のおかげです。
さあ、糊を付けて、小管巻きです。
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糸巻きしながらも、耳は、泉鏡花を聞いています。小説、なかなか読み進まず、ギブアップ。ニコニコ動画で朗読サイトを見つけました。佐藤慶さん朗読の、高野聖を繰り返し聞きながら、静かに糸を巻きます。
いずさまのお着物は、泉鏡花の世界観。お話いただいて、もうすぐ一年になります。泉鏡花を分かろうとそれなりにがんばったけど、まだまだ分からない。到達はできてないのだけど、真摯に仕事を重ねれば、その先にきっとあると信じて、今日も仕事を進めます。

試し織りが、行って帰ってくる

2015.06.29

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いずさまの3枚目の試し織ができました。早速、発送。お手紙を添えて。
いずさま、どう反応されるかしらん。ここまでくると、もう大変わりはできませんが、ニュアンスを変えることはできます。もうちょっとピンクにとか、あとちょっとだけ白に寄せてとか、もう少しホッコリした風合いに、、、などなど。
自分ではだいたい良いと思ってるんだけどね。着物として、しっくりするところまでは持って行けたと思ってる。変更するならどこだろう?
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ほどなく、いずさまから、ご返信がありました。すてきなお手紙そえてありました。
「こんなにすてきな色と質感に作り上げてくれて、ありがとうございます。とってもとっても楽しみです。」
わー!よかった!
あと、濃い部分に、もう少しだけ薄い紫があってもいいかなあってコメントがあった。
よっしゃ、早速、紫、染めよう!薄い、透明度のある、花びらの重なりのような紫。
勢いつけて、行きますよ!!

いずさま、3枚目の試し

2015.06.27

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いずさまの緯糸、染まりました。
いい色でしょ。これこれーー、この色なのよーー!ってドキドキしながら染めました。写真の手前に写っているのが真綿紬糸、奥に写っているのが座繰り糸です。
それから、すでにセットしてる筬を一旦抜いて、経糸を入れ直しました。1回目の試しの時は、鯨寸間56羽でしたが58羽へ。(一寸間に112本から、116本になります)密度をあげて、丈夫にします。
糸の太さから考えた密度では、56羽で十分と思っていたけど、実際織ってみて、もうちょっと上げたいって思いました。ただ上げすぎると、固い布になって、布が呼吸しない感じになる。色気がない。ふんわりした絹らしさを残しつつ、ギリギリまで密度をアップしたい。
いずさま、お茶をなさる方だから、丈夫な布にするっていうこと、特に気をつけてます。お茶は静かなイメージだけど、実は、立ったり、座ったり、正座したり、にじったり、、、、。動くのよね。それで、布に力が掛かるんです。ですから、着物は、最大限丈夫に、かつ、前幅もたっぷりになるように。
試行錯誤しながらの、3枚目の試し織りです。

いずさま、緯糸の染め

2015.06.26

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いずさまの only only、本番の緯糸の染めです。
送り返されてきた1回目の試し織りと、いずさまが添えてくださった、その短くも的確な感想をよく見て(←心の眼で!)、その先にあるまだ到達できぬ「泉鏡花の世界」に、どう添うか。ここ、正念場だー。
うん、試し織りの時より、色の純度をあげよう。酸性染料で行きましょう。ご希望、思ったより白い。2枚の試し織りの白い部分がお好みだった。ただ、「白い」着物を織る訳じゃない。しっかり染まった、薄い紫ピンクの着物なんだ。
糸は、やはり座繰り糸がメインね。いいツヤしてるもんね。お茶をなさる方だから、正座してもしわになりにくいことも大事だ。真綿も適宜いれましょう。ホッコリするしね。
(上の写真は、国産座繰り糸。いい糸でしょーー!どの綛を使うか思案しているところです。重さを計って、だいたい同じのをチョイス。均整のとれた着物にしたい。)
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色は、染井吉野の色を目指します。グラデーションにする訳ではないのだけど、濃淡で染め分けて、桜の花の重なりを表現できたら。
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座繰り糸、4色。真綿糸、4色。染料を足しながら、ちまちまちまちま、染めて行きます。

お納めした帯、2本

2015.06.22

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先日、帯をお納めしてきました。この帯、「Persimmon Noir (パーシモン・ノワール)」(角帯)と、
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この帯、「Persimmon & Chestnut(パーシモン&チェスナッツ)」。
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2本並べるとこんな感じ。
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これらの帯は、only only のご注文ではなく、私のオリジナル制作なのですが、実は、はじめから、頭の中には、ある設定がありました。それは、「ペア」で、そっくりじゃないけど何となく対になるものを織りたい、そしてカップルで締めていただければな、、ってものでした。
その上、頭の中には、理想のご夫婦がおいででした。このお二人に締めていただきたいって設定で、ガシガシ織りました。目標がハッキリしてる方が燃えますものね。
なかなか面白く出来たと自負していましたが、なにしろご注文ではないので、ガシガシとはおすすめできません。ご紹介するまでです。バラけてしまう可能性も大アリです、、、
が!とうとう、理想のお二人に締めていただけることになりました!やったーーー!
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この2本は、今、お仕立てをお願いしている段階です。「パーシモン&チェスナッツ」は、実は半分に折って、半幅帯として織りましたが、八寸名古屋帯として締めたいというご希望でした。半幅より出番が多いとのこと。わー、うれしい。
しかし、このままでは、タイコに柄がきませんので、1回ハギをを入れることになりました。こんなことも、仕立屋さんのお力を借りればできちゃうんですね〜。世界が広がります♪ ありがとうございます。

作品

いずさま、試し織り2枚

2015.06.20

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いずさまのonly only、試し織りを2枚織りました。いずさまに郵送して、ご意見とともに返送してもらい、それを元にあらためて準備し直す段取りです。
さあ、まず1枚目。あまり深く考えず、気の向くまま、美しいと思った糸を選んで入れて行きます。
2枚目は、今までのいずさまとのやり取りや、こっそり私の提案や、こうした方が着てて心地いいのでは?などなど、切り口を変えて、織り込んで行きます。
無地に近い、紫がかった極うすピンク、、、
加減をみるための試し織りとは言え、難しいもんだ。どこまで白くするかは思案どころです。着物の印象が変わってくると思う。
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織り上がった試し織り2枚を、お湯通しして糊を抜き、軽く乾かして、スチームアイロンをかけます。これでだいたい本番と同じ条件。
さあ発送。だけどどこまで説明を書くかで悩んでしまい、結果、必要最小限のご説明だけで発送してしまった。
あまり、私の意図など書くと、率直なご感想など言いづらくなるかもと思い。私も織ってしまうと、意図とかなくなるのよね。きれいかどうか?いずさまに好んでいただけるかどうか?それだけ。
*写真は、2枚の試し織り。バックに写っている紙には、私の説明と、いずさまのご感想、ご意見が書き加えてある。ほどなく返送されてきたところ撮りました。
書いていただいたご意見は、とても伝わってくるものでした。読み込むほどに、ああ、なるほどーって、私の思いをどんどんクリアにしてくれました。
いずさま、お手紙を添えてくださいました。試し織りの布片を、外で見たり、室内で見たり、朝日、夕日、お仕事場にも持って行かれて眺められたそうです。そしてやっと心が決まったと。
ああ、ご苦労かけてしまったなあ。
*only only は必ずしも、このやり取りが必要な訳ではありません。はじめにご希望お伝えくださり、「あとは任せた」とおっしゃる方もおいでです。もちろんどちらもウェルカムです。

いずさま、機上げ、試し織り

2015.06.19

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さあ、話しを進めましょう。いずさまの ONLY ONLY 経糸が出来て、機上げです。写真はムカデとよばれる道具に、経糸をセットしているところ。これでテンションが合うんです。実作業をやっているのは、手伝いにきてくれたmiwa さんです。
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私は、せっせと緯糸の準備。まずは試し織り用。使えるかどうかは未知数。候補生大集合。
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この辺りのラインナップか、、とにかく織ってみる。機の調子を整える。布の表情に出会う。話しはそれからだ。

帯と再会、3

2015.06.17

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さあ、3本目! これも大感激!
これは、九寸帯「ブラッシング・ブルー」。2011年の作品です。これ、緯糸に絣も入ってます。ブラッシングカラーズは経だから、経緯絣です。
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ちょっと回って、ヨコ見せてくださーい!
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もうちょっと回って、後ろ姿見せてくださーーい!
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すごくいいじゃん!
よかった、これけっこう心配してた。荒削りすぎたかなー、帯としてどうなのよって。
でも、いい表情してるわ。布の時より、断然いいもん。安心した。
お仕立てと、コーディネートと、お着付けと、お召しの方の人間力の混合技だわね。織り手は本当に救われてる。
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左の植木は、あじさい? うーん、違うね。 3人で、この帯、あじさいみたいだねって話しました。雨の季節を楽しむ帯になれるかな。
すてきな土曜日のお話は、これにておしまいです。いい一日をありがとう。

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