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いずさまの緯糸、染まりました。
いい色でしょ。これこれーー、この色なのよーー!ってドキドキしながら染めました。写真の手前に写っているのが真綿紬糸、奥に写っているのが座繰り糸です。
それから、すでにセットしてる筬を一旦抜いて、経糸を入れ直しました。1回目の試しの時は、鯨寸間56羽でしたが58羽へ。(一寸間に112本から、116本になります)密度をあげて、丈夫にします。
糸の太さから考えた密度では、56羽で十分と思っていたけど、実際織ってみて、もうちょっと上げたいって思いました。ただ上げすぎると、固い布になって、布が呼吸しない感じになる。色気がない。ふんわりした絹らしさを残しつつ、ギリギリまで密度をアップしたい。
いずさま、お茶をなさる方だから、丈夫な布にするっていうこと、特に気をつけてます。お茶は静かなイメージだけど、実は、立ったり、座ったり、正座したり、にじったり、、、、。動くのよね。それで、布に力が掛かるんです。ですから、着物は、最大限丈夫に、かつ、前幅もたっぷりになるように。
試行錯誤しながらの、3枚目の試し織りです。
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いずさまの only only、本番の緯糸の染めです。
送り返されてきた1回目の試し織りと、いずさまが添えてくださった、その短くも的確な感想をよく見て(←心の眼で!)、その先にあるまだ到達できぬ「泉鏡花の世界」に、どう添うか。ここ、正念場だー。
うん、試し織りの時より、色の純度をあげよう。酸性染料で行きましょう。ご希望、思ったより白い。2枚の試し織りの白い部分がお好みだった。ただ、「白い」着物を織る訳じゃない。しっかり染まった、薄い紫ピンクの着物なんだ。
糸は、やはり座繰り糸がメインね。いいツヤしてるもんね。お茶をなさる方だから、正座してもしわになりにくいことも大事だ。真綿も適宜いれましょう。ホッコリするしね。
(上の写真は、国産座繰り糸。いい糸でしょーー!どの綛を使うか思案しているところです。重さを計って、だいたい同じのをチョイス。均整のとれた着物にしたい。)
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色は、染井吉野の色を目指します。グラデーションにする訳ではないのだけど、濃淡で染め分けて、桜の花の重なりを表現できたら。
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座繰り糸、4色。真綿糸、4色。染料を足しながら、ちまちまちまちま、染めて行きます。
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先日、帯をお納めしてきました。この帯、「Persimmon Noir (パーシモン・ノワール)」(角帯)と、
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この帯、「Persimmon & Chestnut(パーシモン&チェスナッツ)」。
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2本並べるとこんな感じ。
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これらの帯は、only only のご注文ではなく、私のオリジナル制作なのですが、実は、はじめから、頭の中には、ある設定がありました。それは、「ペア」で、そっくりじゃないけど何となく対になるものを織りたい、そしてカップルで締めていただければな、、ってものでした。
その上、頭の中には、理想のご夫婦がおいででした。このお二人に締めていただきたいって設定で、ガシガシ織りました。目標がハッキリしてる方が燃えますものね。
なかなか面白く出来たと自負していましたが、なにしろご注文ではないので、ガシガシとはおすすめできません。ご紹介するまでです。バラけてしまう可能性も大アリです、、、
が!とうとう、理想のお二人に締めていただけることになりました!やったーーー!
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この2本は、今、お仕立てをお願いしている段階です。「パーシモン&チェスナッツ」は、実は半分に折って、半幅帯として織りましたが、八寸名古屋帯として締めたいというご希望でした。半幅より出番が多いとのこと。わー、うれしい。
しかし、このままでは、タイコに柄がきませんので、1回ハギをを入れることになりました。こんなことも、仕立屋さんのお力を借りればできちゃうんですね〜。世界が広がります♪ ありがとうございます。
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いずさまのonly only、試し織りを2枚織りました。いずさまに郵送して、ご意見とともに返送してもらい、それを元にあらためて準備し直す段取りです。
さあ、まず1枚目。あまり深く考えず、気の向くまま、美しいと思った糸を選んで入れて行きます。
2枚目は、今までのいずさまとのやり取りや、こっそり私の提案や、こうした方が着てて心地いいのでは?などなど、切り口を変えて、織り込んで行きます。
無地に近い、紫がかった極うすピンク、、、
加減をみるための試し織りとは言え、難しいもんだ。どこまで白くするかは思案どころです。着物の印象が変わってくると思う。
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織り上がった試し織り2枚を、お湯通しして糊を抜き、軽く乾かして、スチームアイロンをかけます。これでだいたい本番と同じ条件。
さあ発送。だけどどこまで説明を書くかで悩んでしまい、結果、必要最小限のご説明だけで発送してしまった。
あまり、私の意図など書くと、率直なご感想など言いづらくなるかもと思い。私も織ってしまうと、意図とかなくなるのよね。きれいかどうか?いずさまに好んでいただけるかどうか?それだけ。
*写真は、2枚の試し織り。バックに写っている紙には、私の説明と、いずさまのご感想、ご意見が書き加えてある。ほどなく返送されてきたところ撮りました。
書いていただいたご意見は、とても伝わってくるものでした。読み込むほどに、ああ、なるほどーって、私の思いをどんどんクリアにしてくれました。
いずさま、お手紙を添えてくださいました。試し織りの布片を、外で見たり、室内で見たり、朝日、夕日、お仕事場にも持って行かれて眺められたそうです。そしてやっと心が決まったと。
ああ、ご苦労かけてしまったなあ。
*only only は必ずしも、このやり取りが必要な訳ではありません。はじめにご希望お伝えくださり、「あとは任せた」とおっしゃる方もおいでです。もちろんどちらもウェルカムです。
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さあ、話しを進めましょう。いずさまの ONLY ONLY 経糸が出来て、機上げです。写真はムカデとよばれる道具に、経糸をセットしているところ。これでテンションが合うんです。実作業をやっているのは、手伝いにきてくれたmiwa さんです。
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私は、せっせと緯糸の準備。まずは試し織り用。使えるかどうかは未知数。候補生大集合。
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この辺りのラインナップか、、とにかく織ってみる。機の調子を整える。布の表情に出会う。話しはそれからだ。
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さあ、3本目! これも大感激!
これは、九寸帯「ブラッシング・ブルー」。2011年の作品です。これ、緯糸に絣も入ってます。ブラッシングカラーズは経だから、経緯絣です。
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ちょっと回って、ヨコ見せてくださーい!
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もうちょっと回って、後ろ姿見せてくださーーい!
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すごくいいじゃん!
よかった、これけっこう心配してた。荒削りすぎたかなー、帯としてどうなのよって。
でも、いい表情してるわ。布の時より、断然いいもん。安心した。
お仕立てと、コーディネートと、お着付けと、お召しの方の人間力の混合技だわね。織り手は本当に救われてる。
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左の植木は、あじさい? うーん、違うね。 3人で、この帯、あじさいみたいだねって話しました。雨の季節を楽しむ帯になれるかな。
すてきな土曜日のお話は、これにておしまいです。いい一日をありがとう。
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こちらの帯は、2012年に作りました、八寸帯ラブ・ロスコシリーズ「ディープ・パープル」です。感激の再会です。
いやはやー、いいじゃないですか!カッコいい!似合ってる。
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パープルとイエローの2色使いというのは、私、ずっと前からやってます。幼稚園の絵のクラスのときからです。自分としては身にしみ込んだ色使い。印象的で、けっこうきわどい。それを帯として表現するのはどうかなあって思っていたけど、止むに止まれず、夢中でつくりました。
で、再会したら、ほら、この通り!決まってる。まったく想像を超えてます。
これは、締めて下さる方のお力だね。さすが!
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先週末は、目黒区八雲で、着付け教室をされている、「着付けほのか」さんでの「和のランチ会」に入れていただきました。ほのかさんはお茶の先生でもいらっしゃいます。
この日は、お茶室でのマナーを簡単に教えていただき、お手前をいただき、おいしいランチをいただき、着付け講座も開催していただき、もう盛りだくさん!楽しかったです!
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着付け講座のモデルは、一緒に参加したこの方。なんと、締めている帯は、私が織ったものです。以前お求めくださった帯を今回お持ちくださいました。
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八寸帯「スモールバード」。なつかしいわー!お似合い。よかった。
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お茶室でパチリ。すてきなお茶室でしたわー。
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右が先生。いい感じでしょ。額あじさいがお庭に一輪だけ咲いたのを飾ってくださいました。
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おまけ画像。つくばいでの清め方を習って、はしゃぐ私。まじめにせーい!
*着付けほのかさんのサイトはこちら→☆
*この着付け講座の様子は、あと2回つづきます。なんと、帯の早変わりなんよ!
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さあ、いずさま用の経糸を用意しましょう。
今回は、単衣の着物であること、ツヤとホッコリを同居させたいこと、質実な織物にしたいことなどから、座繰り糸と真綿糸を両方入れることにした。割合は、座繰りが2、真綿が1でいくか。
きちんとした正しい織物にしたい。いずさまのイメージもそうだしね。だったら、並び方は単調にしよう。そのかわり、染めにはこだわろう。全体を8つに染め分けよう。オブラートの表情を求めるからね、僅差で染め分けないと。
上の写真は、座繰り糸。国産のいい糸です。
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そしてこれが真綿糸。ほっこり感はこれで出ます。空気を含むので、しわにもなりにくい。これもとてもいい糸。いい糸さわると、幸せね!
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染める前に、汚れなどを落とすために、湯練りします。それから下染め。
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三つ編みにして染めて、染まるところと染まらないところを作ります。分かるか分からないほどの僅少の差だけど。でもやっぱ、やっただけのことはあると信じたい。これで、無地といっても無表情ではなくなるよ。
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一度染めたら、三つ編みをほどいて、洗って、また三つ編みをし直して、ほんの少々染料を変えて染めます。これを繰り返す。何度も。
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ちょっと広げてみましょう。どうかな?あとどんだけ、染め重ねるかな?
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三つ編みだけだと、染まるところのスパンが短いし、偶然に頼りすぎて心もとない。それで、このように一部をくくって、染まるところと、染まらないところをしっかり分けて染めます。これを整経のとき、ばらけて入れるわけですよ。そうすると、すーっと染まった部分がところどころに入るわけです。
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さあ、そろそろいいかな?うん、いい感じ。
*ブログに書くと一日ですが、これ、何日も何日もかかってまぁーす。
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お正月の第2回ミーティングからもずっと、私は、いずさまのお着物のことを、つらつらと考えていた。どうしても気になる点がひとつだけあった。
それはいずさまが、お茶をなさると言うことだった。そしてこのonly only の着物を、泰勝寺でのお茶会に着ていかれたいという希望があることだった。
お茶会に淡い無地の紬でいいのだろうか?
一般論でいうと、お茶には柔らか物の着物と言うことになっている。フォーマルで華やかなのが求められてるってことでしょう。(私はお茶をしないので、ホントのところは分かりませんが。)
だから、織りの着物の場合は、柄をつけて絵羽にして、正式でゴージャスな感じを出した方がいいのではないか?
私は、あちこちで着物関係者に会うたび、聞いて回った。「ねえ、お茶会に無地の紬、どう思う?」
答えは千差万別。「立場による」、「どんな茶会かによる」、「先生の考え方次第」、「染めの方が無難じゃあるけど、無難もつまらんよね」など。柄を入れることを強く勧める人もあったし、気にしなくてよいという人もあった。
うーん、解決しないわ。では、いずさまに、直接お聞きしましょう。
それでメッセージ。薄く熨斗目とか、肩と裾にボカシなどの柄を入れるご提案も入れて。そういたしましたら、お返事がきて、
「無地っぽいけど、無地じゃない、というのが理想です。色は少し紫がかった薄い桃色。寂しいかなー? お茶会は控えめな方が良しとされる雰囲気があるので、大丈夫です」とのことだった。
なんか氷解した気分。腹が決まった。では、柄は入れずに、寂しくないお着物、作りましょう。
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このやり取りで、私は、やっと回路がつながった。いずさまは、作家ものが欲しいわけではないのだ。
最初のころ、メッセージで、『「女優きもの」という本を読んで、一番心ひかれたのは、焦茶色の「結城紬」だった。だけど今回は淡い色味が欲しいと見ていたら、ピンと来たのは、なんと帯揚げだった。』と書いてらしたのを思い出した。
結城紬も帯揚げも、作家名は明記されない。でもこの本、それ以外は、帯も着物も、作家さんの名前、バッチリ書かれてる。作品自体も、いかにもキャラが立った作家の力作である。これじゃないんだ。
もう一冊、いずさまが、SNSに面白かったと載せられていた本があって、それならと私も読んでみた。「一葉のきもの」という本。
何回か読むうち、ああ、これ、いずさまだっていうフレーズがあった。
「一葉は、常に美しさとは何か考察を重ね、自らの美の思想を、登場人物に反映させた。その美とは容姿でもあり、心の清らかさでもあった。」