吉田美保子の some ori ノート

デザインの詰め

2015.02.10

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にこさまの帯、緯糸を新たに染めているうちに、デザインも詰めましょう。完成形に近づけて行こう。
この段階では、私はパソコンを使います。イラストレーターってソフトです。これで、ジリジリと場所を変えたり、大きさを変えたり、配色を変えたり。微調整に微調整を重ねます。手描きより、非情な感じがすきよ。ニュアンスに流されないと言うか。
ま、こんなもんかなって思ったら、すかさずプリントアウト。実物大です。それで、タイコの形にしてみて、鏡の前で、ああでもないこうでもない。この時ね、にこさまが合わせる予定のお着物の色「青緑」になるべく近い服を着て合わせるの。何となく、空気が近くなるというか、、、分かるのです。
そして修正。納得いくまで、落とし所をみつけるまで、何回も何回も。

緯糸、染め直し

2015.02.08

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にこさまの二回目の試し織り、ブラッシングカラーズをして、緯糸を染めて、織って、蒸したら、、、、なななんと、色が変わった、、、、ガーーン!ショッーーーク!体の力が抜けて行く、、、、
蒸すことによって、温度を加えると、色が微妙に変わる。それは分かっているのだけど、今回は想定外だった、、、緯糸が変わった、、、。(今までブラッシングカラーの色が変わって、ショックでずたぼろになった経験は多々。それを突破した話しは涙なしでは話せないほど。)蒸しは本当に怖い。
この色も決して悪くないけど、にこさまの色じゃない。
前日までの意気揚々がいきなりショボーン。でも仕方ない。がっかりしている暇はない。巻き直しじゃ。こういう場合は、同じ種類の染料でいろいろ調整するより、元から変えてしまおう。緯糸を新たに別の染料で染めよう。直接染料、行ってみよう!
写真は、使用前使用後。光が違う写真だから参考にならないけど、こんなに違うんだよ。ちなみに、左が蒸し前。右が蒸し後。
Oh my goodness! I dyed weft thread into lemon yellow for Niko’s Obi. But beyond my expectation it changed into cream-yellow when I steamed them up.

にこさまの緯糸、goodのはずが、、、、

2015.02.07

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にこさまの緯糸、メインは和紙の糸にすることに。弾力あって、適度な張りで、八寸の緯糸に最適と思い、にこさまに提案してたんだ。
試しでは、この糸を以前使った分で織って、風合いをみて、オッケーであった。
さあ、本番を染めましょう。和紙だから植物繊維です。ふだんは動物繊維である絹を使ってますのでね、染料も違います。いつもと違う染料を出して来た。染料によるのだけど、植物繊維には、動物繊維の染料はまったく染まらないのだよ。染めは化学反応だなあと実感する。
合わせてシャリ感のある細目の絹も使おう。一種類だと単調になるしね。こちらは、草木染めで福木の銅媒染。彩度の低いレモン色が完成形で求める色だから。
写真は染まったあとの、和紙糸と絹糸。よしよし、いい感じ。早速ブラッシングした経糸に織ってみる。よしよしよし。さあ、蒸しましょう。
ここで、ガーーーーーン!!!ショックなことが、、、、、、(続きはまた)

2度目のブラッシングカラーズ

2015.02.06

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にこさまの帯、色味のご要望に答えるため、二度目の試しのブラッシングカラーズ、やってます。
青にはね、暗くして紫みを増やすのです。染料の配合的には、紫にちょっと青を加えるくらいにしてみた。
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緑は渋みを増やした。そうね、合わせるお着物が渋めの青緑だものね。ここは相通じさせるのが吉だね。
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だ円の大きさも問題だけど、マキシマムがこの位ではどうだろうか。
ブラッシングカラーズの試しが出来たら、織ってみます。緯糸も本番と同じのをこれから準備。

ラフのデザイン画、実物大

2015.02.04

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にこさまに、試し織りをお送りしたら、わずか数日で、丁寧なお手紙とともに、感想やご希望がやってきた。
さあ、エンジン吹かして行きましょう!
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にこさまの新たなご希望を元に、今度は、実物大でラフのデザイン画を描きます。あまり詰めずに。たのしくのびのび。こんな帯を締めて欲しいなって願いをこめて。
で、これは、写真を撮って、メールに添付してにこさまに観てもらった。(上の写真より、もちょっと整頓した形で撮って送ってますよ。)すぐに、「真ん中の」って返信がきた。
さあ、それでは、最終の詰め。本番用の糸の準備をしつつ。

にこさま、さあ試し織り

2015.02.03

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にこさま、さあ、試し織りです。試し織りの段階では、あまり深く考えず、いいと思った色を染め、織ります。とは言っても、比較するため、染料のチョイスを変えたり。ひらめきを探る感じ。「ピン!」
同寸の紙に、意図したところを書き記し、にこさまに説明できるように。
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全体像は小さい方が分かりやすい。タイコの辺りは、こんな感じ。タレを黄色にするか、タイコの続き柄にするか、はたまた、、、、、。にこさまも、私も、双方納得のポイントを探る。
前柄と手先は、黄色に内定してる。ベタはイヤとのことだったから、刷毛目を残す?オキーフの絵のような感じもいいね。紙の上ではいくらでも悩めます。
まだぜんぜん詰まってないけど、この段階で、一度にこさまに観ていただこう。方向性を確認したい。早速お送りする。

にこさま、少しすすむ

2015.02.02

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経糸の準備は、紆余曲折と膨大な時間がかかるのですが、今回、写真撮り忘れ。一枚もない。でも、ほら!いい感じ。
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それと同時に、デザインを詰めていきます。にこさまとお話したことや、メールのやり取りしたこと、すべて書き出して、検証し、大事な点をピックアップしていきます。
過去のメールに宝物が埋もれてたりする。ずっと前いただいてたメール。貼付けてくれてたアドレスを開くと、にこさまお気に入りのラブソング!これ聴きながら、がんばろう!
I weave the Kimono and Obi free from old rules. I have been keeping the full-custom kimono and Obi production (I named “ONLY ONLY” means from thread selection, original design, individual dyeing, special method weaving).
This time, I am doing ONLY ONLY for my client Niko. Niko-sama gave me the theme, the picture “Camel in a Rhythmic Landscape of Trees” by Paul Klee.
I am working harder to satisfy her and me!

作品ギャラリー、更新しました。

2015.01.31

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作品ギャラリー、更新しました。やっとのことで、2014年のところを仕上げて、2015年にもひとつだけ載せました。(上の作品です)
ぜひ、ご覧下さい。2014年はこちら→  2015年はこちら→
過去の作品たちをだーっと並べて見るのは、私にとっては、大反省大会です。どーんと落ち込み、また、がんばろう。
しかし、実は、もうひとつ見ていただきたいことがあります。それは、フォトショップによる画像の合わせ技。(上の写真がいい例です。)今までは時々、超強力な助っ人のerikoさんに、手取り足取り教えていただいたりしたのですが、今回は完全自作。これをやるのに、一苦労、、、ああ、、ああ、辛かった、、、どうか、どうか、私の力作、ご覧下さい!
(バランス悪いとか、解像度が変とか、画像処理が下手とか、言わんとってね〜。自分でも分かっとるけん。いたしかたなかと〜)

作品

苦悩の糸選び

2015.01.30

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にこさまとお話して、だいたいのイメージは頭の中で形になってきた。(一年以上前の話しです。)さあ、あとは実践あるのみ。
なのだったが、このあと私は、八寸帯糸選び困惑スパイラルに落ち入ってしまい、なかなか這い出て来られなかった。もちろん、日々機織りはしている。この間、他の八寸も織った。しかし、にこさまに最適な糸がどうしても判断できなかった。
「この糸とこの糸を、こういう密度で出会わせれば、こういう風合いの八寸帯になる。」と言う、一番大事なところに確信が持てない。仕事しながら這い出るしかないので、これぞという糸はどんどん織り、布になった。なかなかいいものも出来た。しかし、これは、にこさまじゃない。
九寸も織ったし、着物も織った。他のに取りかかってしまうと、なかなか次に行けないから、時間ばかりが飛んでいく。ようやく、光が見え始めたのは、昨年も暮れに近づいた頃だった。
11種類の糸を用意して、精練はごくごく軽く、糊を薄めにつけ、経糸を作った。
ふむ、これなら、にこさまに合うかもしれない。
*写真は、整経後に残った糸を巻いた小管。きっちり計算して整経するので、あまり残らない。

にこさま、オキーフと端布と。

2015.01.29

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にこさまとミーティングができたのは、実に最初のメールをいただいてから、半年たった一昨年の秋だった。
夏に会えそうだったのだけど、いろいろな都合から、延期になっていた。
その日のお昼頃、にこさまは、鯵の押し寿司と崎陽軒のシュウマイを持参で、我が家にお越しくださった。まあ、何とうれしいミーティング。わーい!ごちそうになりながら、いろいろお話。
にこさまの八寸帯、用途はカジュアル。タイコ柄は、クレーの絵のラクダなし。前柄から手先は無地で、彩度を落としたレモンイエロー。タイコに入れたい色は、ハッキリした黄色。グリーン。青紫。
ふむふむ。
にこさま、この帯に主に合わせる予定のお着物の端切れをお持ちくださった。深い青緑。この色、現代的な色だよね。昭和の着物には無い色じゃないか?洋服の中に一人着物でも、違和感ない、大活躍しそうな着物だ。いいなあ、私、好きだわ〜。
それから、ジョージア・オキーフのポストカード。この色味、この青緑の着物に合うんじゃないかと。そうね、そうね、バッチリですね。この強めの黄色と、それを引き立てる緑と、紫が入ったブルー。参考にさせていただきます。
それから、もうひとつ、にこさまがお持ちくださったのは、私が以前さし上げていた染織吉田の特製カード。織りの端布を貼付けて、お送りしていたもの。その布の色の感じがいいと。
布をなつかしく観る私。これは、帯の手先か返しの余剰部分を切ったものだな。力が抜けて楽に織ってる。色も気に入られたかもしれないけど、この脱力感もいいのかも。あまりギンギンに作り込まないほうがいいのかも、、、
素直なあっけらかんとした帯がいいのかも。

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