吉田美保子の some ori ノート

ふふさま、4通目のメール

2014.01.30

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ふふさまとのメール、4通目は、2013年の2月2日付けです。3通目からまたまた時間がたっぷりたってしまいました。その間、頭の中には、ふふさまの帯のことがいつもあるのに、ちっとも掴めてなく歯がゆい思い。
なかなか突破点が見つけられなかった私は、ふふさまにメール差し上げて、ある呉服屋さんのオンラインショップに載っていた私の帯を観ていただき、その感想を求めました。何かヒントをつかみたい。その一心。ちなみに、観ていただいたのは、この帯のシリーズです。
色や形は如何様にもするので、このイメージにピンとくるものがあるか否かを知りたかった。
ふふさまは、丁寧で的確なご返信くださいました。結果は、このタイプの帯はお好きでなかったようだけど。何となく、ふふさまが、どんな方なのか分かってきました。まだお会い出来ないふふさまは、とても大人な、すてきな方です。
いただいたメール、一部抜粋で、ご紹介させて下さい。
その中に、私の過去作品を、たくさん書いて下さってます。よく見つけて下さったなあー。今でこそ、サイト内に「作品ギャラリー」があるけど、この時はブログの過去ログから探して下さったのです。今回、あらためて見つけ出して、リンクしました。本人だって、うまく検索できず、手間取りました。いやはや、ふふさま、ありがとうございました。
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件名:re: 染織吉田です
こんばんは。すっかりご無沙汰してしまいました。
(略)
さて、帯ですが、率直に言って、ストライクど真ん中ではないですね。どこがどうと言葉に出来ないのですが。では好きなたたずまいって、、、、難しい。何がどう違うのか、うーんと唸ってヨシダさんのブログを見直してみました。
好きだなあって思ったのは、プラハの石畳シリーズの「教会Ⅱ」。
ディープ・チャコール」とか、「ブラック・パープル」もかっこいいですね。
Gメジャー」の帯もすてき。レインボーシリーズの「虹のプリズム」「レインボーレイン」も好き!
ちょっときつめの春の日差し」「柔らかな光のピエト」も素敵ですね。タイトルも素敵!
こうして観て行くと、小さなパーツが散っている柄ではなくて、帯全体として、ひとつの風景だったり、幾何学模様になっていたり、そういうのが好きなのかも。
着物以外でも、形がシャープなものや、シンプルで大胆な柄の方が好きです。一方、色は鮮やかなものより、少しくすんだり、柔らかいもの、中間色の微妙な色が好きです。
・・・こんな感じで伝わりますか?「どういうものが好きか」を伝えるのって難しいですね。
でも、私自身が好きな色、好きな形、好きなたたずまいが変化していくし、その時の気分でも変わるので、自分でも思いもしないものに惹かれたりします。それではヨシダさんが困ってしまいますよね。すみません。
一度お会いできるといいですね。
(略)
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ふむふむ。よく分かります。やや、分かったのは、まだまだスタート地点にも立ててないぞってことで。このままでは方向性すらつかめない。これは、ますますお会いしたいなあ。
この頃ふふさまは、関西から、北関東に越されてました。近くなったぞ!ふふさま、大変なキャリアウーマンでいらっしゃるのです。フットワークも軽くてらっしゃるし。かっこいいんです。

ふふさま、3通目のメール

2014.01.29

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2回目のメールのやり取りで、ふふさまが求めてらっしゃるのは、「帯」であること、そのテイストは「厳しいけれども凛として、澄んだ冬の空気を残した、でも華やかな春の予感のある感じ」であることが分かりました。
なるほどーー。「厳しいけど凛とした、、、」。そうねえ、、、急ぎではないっておっしゃっていただいてますので、長期戦でいこうと覚悟します。ふふさまにとって、大切なことは何なんだろう???その辺りのことが、まだまだ探れていません。
お会いできれば話が早いのですが、ちょっと遠いなあ、、、。ああそうだ、すでに出来上がってる帯の中に、「厳しいけれども凛とした」一本がある。これを観ていただきたいな。その上で、お望みとの相違を伺えば、作るべき帯の一端が見えてくるぞ。
と言う訳で、次の一衣舎さんの姫路での展示会にその一本もお預けしました。(この帯のシリーズ物です)
ふふさまは、お忙しい中、姫路までお出かけくださり、感想のメールを下さいました。一部ご紹介させていただきますね。2011年1月24日のことです。ちょうど今から3年前ですね。対話をはじめてからは2年がたとうとしています。
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件名:行ってきました
(略)
ヨシダさんの帯、やっぱり素敵でした。雪解けの、春が来るぞっていう帯、とっても好みです。ちょっとだけ、イメージが違うとすると、少し印象が柔らかくて、なんと言うか、花霞みと言うのか、ふわっとした感じの所でしょうか。
色のトーンのせいかなとも思うのですが、もう少し、キリッとした雪解けの水の冷たさみたいな感じが欲しいなと。
明度の高い色が入った方がいいのか、それとも、ジェリービーンみたいな光る系の糸が入った方がいいのか、よく分からないのですけれども。
うーん、イメージを言葉にするのは難しいですねえ。
(略)
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いえいえ、イメージを言葉にするのは、誰にだって難しく、本来なら私の方から言葉でもご提案すべきなんです。今の所、聞き役に徹してって申し訳ない。お望みの帯が、このタイプではないってことはよく分かった。
ふふさまは、ご自分が求めるイメージをはっきり画像として思い描ける方だ。明確でクリア。お会いしたことないけど、凛としたイメージ。今はもう少し、お話お聞かせ願いたい。そのチャンスを探りたいところ。
*写真はうちの近くの工場の窓。

ふふさま、2通目のメール

2014.01.28

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ふふさまとの対話は、少しずつ、少しずつ、まだ全く目に見えない、遠ーーくにある大事なものをたぐり寄せるような感じで進んで行きました。
2009年2月にメールでやり取りした約1年9ヶ月後の、2010年11月22日に、2通目のメールをいただきました。
その1年9ヶ月の間に、ふふさまは、何と関西に引っ越され、一方私は、2回の個展と、板橋区から今の仕事場へ引っ越しをしていました。
この時いただいたメールによると、一衣舎さんの京都での展示会で、この会に参加させていただいた私の作品を見て下さった由。私の織ったものの実物を観て下さったのは、この時がはじめてのはず。
ふふさまが2通目に下さったメールも、素晴らしく私を励ましてくれました。作り手は、こうやって、まだお会いもしてない方に鼓舞していただている。ちょっとくらいしょぼんしてても、しゃっきりする。この方の帯を織らせていただくまで腕を磨き続けねばと固く決心する。
ちょっとだけ、ちょっとだけ、引用させていただきます。
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件名:ごぶさたしてます
(略)
着尺や帯、見せていただきました!やはり、いいですね。実物は画像と違って、迫力がありますね。上品で華やかで、そして他にはないオーラがあって。
「淡雪ジェリービーン」、購入しようかどうか、悩んで悩んで、、、、。でもまだ着こなせないという思いと、とっても素敵だけど、ちょっと自分のイメージとは外れる(可愛い感じが強すぎる)という思いがあり、後ろ髪を引かれつつ、帰途につきました。
そこで、ですが、将来ヨシダさんのお手隙のときに(とは言ってもずっとお忙しいとは思うのですが)、帯を織っていただきたいのです。
前にメールで大好きですとお伝えした「スプリング・シーショア」のような、厳しいけれども凛として、澄んだ冬の空気を残した、でも華やかな春の予感のある感じ、って抽象的ですが、そういう帯をぜひ作っていただけたらなあと思っています。
(略)
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ちなみに、文中にある「淡雪ジェリービーン」は、こちらの帯です。
上に載せた写真、「厳しいけれども凛として、澄んだ冬の空気を残した、でも華やかな春の予感のある感じ」をハンティングしてます。

ふふさま、スタートします。

2014.01.27

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完全注文制作 ONLY ONLY の次なるお客様は、「ふふさま」です。ふふさまとの対話は、なんと、2009年2月28日に始まっています。この時から、ゆっくり、ゆっくり温めてきました。もうすぐ5年になりますね。
2009年2月28日、一通のメールを受信しました。タイトルは「はじめまして」。知らない方からメールいただくと、いつもドキリとします。何かが始まる予感がするからです。
ちょっとだけ引用させていただくと、
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件名:はじめまして
はじめして。
some origin、いつもこっそり拝見させていただいてます。
こっそり、、、、だったのですが、あまりにも好みストライクな名古屋帯にどうしても一言伝えたくて、思わずメールしてしまいます。
「スプリング・シーショア」、色といい、かすれ具合といい、完全に一目惚れです。
それから、「氷が溶けて、水が動く」、これも着物に仕立て上がったら、どんなに素敵でしょうね!
当方、〇〇在住のため、銀座まで足を運べず大変残念に思っています。手に取られる方が、うらやましくて仕方ないです。
(後略)
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じわっとうれしいメールでした。2009年2月というのは、3月の春分の日からの、銀座もとじさんでの初個展を控え、最高にテンパっていた頃でした。不安で不安で仕方ない時に、エールのようなメールいただき、ああ、見てくれてる人がいるんだなあと心底うれしかったのです。
ちなみに、some origin と言うのは、このブログの前に長く続けていたブログの名前です。
書いて下さってる「スプリング・シーショア」の記事はこちら。「氷が溶けて、水が動く」はこちら
どちらも、とてもいいご縁いただき、幸せにしています。
この2009年に始まったふふさまとのご縁、やっとやっと、結実に向かいはじめました!

作品ギャラリーを更新しました

2014.01.27

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作品ギャラリーを更新しましたので、ぜひご覧になって下さい。
2014年に、「colored wind」(着物)と「静かな色の羅列」(タブロー)を載せました。
2013年のところを、ずずずーっとスクロールしてください。新しい作品、載せました。帯、タブロー、オブジェ、増えてます。
すでにご縁があって手元を離れたものもありますが、手元にあるものもございます。もしご興味ありましたら、詳細をお伝えしますので、お気軽にお問い合わせください
2010年をぐぐーっとスクロールしていただくと、先日お着物をお召しのところのお写真をいただいた「モルダウ・バッハ」が載せましたよ。この作品の写真、本当によくなりました〜。以前は、絵羽仕立ての状態をマネキンに掛けている写真でした。見違えちゃうよね。
モルダウ・バッハ、これで完成です。着物は本当に一人で作るものではないのだなあ。こうやって、完成させていただきました。本当にどうもありがとうございました。

お知らせ

ヴィトンで鳩小屋、岡田知子展、吉田喜彦展、ヒカリエの47テキスタイル

2014.01.26

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お出かけしました。時系列順にご紹介。
まず、Traces of Disappearance(消失の痕跡)という展覧会みました。4名の国籍もバラバラな作家による展示会です。ルイ・ヴィトンのピカピカのビルの7階に、鳩小屋できてました。白い鳩が、糞をぽとり。
大きなガラス面にグミみたいなキャンディーが無数に張り付いてました。ちょっとね、教会のステンドグラスみたい。不思議で不安な感じがした。写真はすべて、このキャンディーのアートです。
Traces of Disappearanceは、4月13日まで、表参道のエスパス・ルイ・ヴィトンにて。
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それから、イラストレーターの岡田知子さんの個展『和服女性(にょしょう)』へ。壁一面にたくさんの作品が飾られてました。ということは、たくさんの女の人たちに、岡田さんがそれぞれ対峙したということで。それぞれの生き様みたいなものを感じました。岡田さんは、女の人の内面を描きたいんだろうなあ。
岡田知子個展『和服女性(にょしょう)』は、1月28日まで、青山ゑり華さんにて 詳細は岡田さんのブログにて。
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日本橋に移動して、壷中居で開催中の、吉田喜彦さんの個展に伺いました。吉田さんは、美濃の陶芸家の大家です。私、こっそりファンなの。吉田氏が作られるもの、手元に置いて、自分の織る物と対話させたいというのが夢ですが、今回もゲットすることは出来ず。自分がそこまで出来てないんでしょう。精進します。
吉田喜彦展は、25日で終了しました。
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それから、渋谷ヒカリエ8階で開催中の、47 textiles today で、47都道府県から出品された「繊維製品」を見てきました。これ、すっごく楽しかったです。みんなそれぞれすごいなあーー。日本の繊維業界のレベル、相当高いと思います。見せ方も考えてるよ。繊維ってくくりで、何でもありなのが楽しさの秘密か。
我が熊本からの出品は、「nonocima」でした。野々島学園って知的障害者の施設が生み出したブランド。私、熊本にいるとき、野々島学園にちょっとだけ関係してたのです。その時は、こんなブランドなかったよ。進んだな。
私の織りのスタート地点に、障害を持つ方の、開放感された自由な織物があります。今も大好きです。
渋谷ヒカリエでの 47 textiles today は、2月2日まで。

めとさま、完了!

2014.01.25

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めとさまのお着物、無事にお手元に届いたとのこと、とてもうれしい、しみじみじんわりするメールいただきました。がんばってよかったなあ。
早速、だるまに目玉を入れましたよ。このだるまさん、以前めとさまにいただいたの、取っておいたのです。お菓子のパッケージです。下に敷いたのは、colored wind の端布。織りはじめは安定しませんし、それを見越して少々長く織りますので、その分だけが手元に残ります。私の宝物です。
めとさまのブログへの連載はひとまず完結。colored wind は、このサイトの作品ギャラリー2014にも載せました。感動のお手紙も掲載させていただいてます。どうかそちらもご覧下さい。
めとさま、ここを読んでくださっていた方、本当にどうもありがとうございました。

めとさま、船出です。

2014.01.24

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めとさまのお着物、いよいよ船出です。お手紙を書いて、糸見本を作る。
あ、出荷って言った方がいいな。Real Artists Ship. 世に出してこそ。
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Colored Wind に使った糸の全て。これらの、思いの詰まった長い長い絹糸の一本一本、経と緯の出会いだけで、めとさまの着物は出来ている。
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今回ね、反物の箱も調達したの〜。お送りのお納めが増えてきたので、必要なのですわ。
さあ、めとさまの元へ、東風に乗せて。いってらっしゃい。愛されて幸せにね。
*Real Artists Ship は、スティーヴ・ジョブズの言葉。茂木健一郎氏のツイートで教えてもらった。

めとさま、完成しました!

2014.01.23

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めとさまの、colored wind, 湯のし屋さんで、蒸気をあててもらって、ふっくらツヤツヤになって帰ってきました。広げて、我ながら、わーーーっ!糸一本一本が、光り輝く感じです。やっぱり湯のしってすごいなあ。自分で出来ないことは、人に頼むのが吉ですな。
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さあ、最終の検反です。長さ、幅、重さ、密度、などなどチェックです。重さは約600g、軽い着やすいお着物になると思います。
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写真撮影。めとさまとのいろいろを思い出しつつ。いい時間だったなあ。
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しっかり巻き直して、箱に入れて、船出の準備。

梅、ほころぶ

2014.01.20

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今日は大寒。が、我が家のベランダ BONSAI の小梅ちゃんが、ほころんだ。朝、洗濯物を干した時は、今にも咲きそうだったけどまだだった。午後いちに気付いた。やった!
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やっと、いただいた年賀状の整理など。染織家の大先輩からいただいた賀状に、何やら見たことない四字熟語が。いただいた時から気になってたけど、やっと調べた。
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「歳寒松柏」
さいかんしょうはくって読むんだって。
寒い季節になってから、はじめて松や栢(このてがしわ)が散らないで葉が残っていることが分かるように、人も苦難のときになってはじめて、その人の実力、真価がわかるものであると言う意味なんだって。逆境で苦しい状況でも、信念や志など変えないことのたとえとのこと。孔子さまのお言葉〜。
いやはや、年の初めに、このようなお言葉いただいてたのね。このお正月は暖かだったからね。大寒の日に響くお言葉。

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