吉田美保子の some ori ノート

めとさま、染めます

2013.11.01

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めとさまのお着物、さらに染めます。これは、緯糸。入る分量は少ないけど、大事な赤系の色です。
最終稿のデザインは、まだ完全には決まっていないのですが、目に見える形にして、具体化し、さらに詰めたい。
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これも緯糸。オレンジ系。この段階では、ちょっと黄色が強すぎるか、、、、
めとさまが、うちにいらっしゃっとき、我が家の隠し本棚に「みだれ髪」の文庫本があるのに目を止められた。与謝野晶子が好きなのだそうだ。それで、パラパラと再読。
「みだれ髪」、何とカラフルなんだろう!色がどんどん出てくる。総天然色の歌集なのだなあ。それも赤系、「丹」の字がつくような、、、、うーん。なるほど。
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それで、赤系、染め重ねてます。こっくりした晶子の赤。

めとさま考

2013.10.27

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めとさまのお着物、さらに考えます。
ありがたい気付きがありました。昨日、織楽浅野さんのギャラリートークに、銀座もとじささんに、伺いました。浅野さんのお話は、いつも大変興味深く面白いのです。いただいた資料に「玄(げん)」と「素(そ)」という言葉がありました。玄は黒、素は白とも言えるのだけど、黒とか白の色ではなく、物の本質を示すとのことです。
うーん、めとさま、きっと経糸に望まれてるのは、こんなことなんじゃないかな。
織楽浅野さんの作品は、色味を抑え、深い奥行きがあって素晴らしいです。いつも学ばせていただいています。もとじさんでの個展「日々創造的でありたい」は今日まで。
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それからもうひとつ、めとさまのお着物を考えていて、心に浮かんだのは、やはりこれ。
「色は匂へど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず」
有為の奥山の先にあるのは、「玄」なのかな?「素」かな??だからこそ、今、匂い立つ「紅」なのかな、、、うーん、うーん。
よく分からんです。この辺のことは、私などより、めとさま、つかんでらっしゃるので、私は精一杯うつくしいもの、作りたいと思います。
まあ、私レベルの下世話な話になりますが、めとさまに2回お会いして、若くお美しいさまに、感嘆したわけです。資料を手渡しした時の、めとさまの手のツヤツヤなこと!自分のシワシワ加減を改めて自覚したってこともありまして。若くて輝いている方に、きれいなお着物をお召しいただきたいって気持ちもあります。もっともっと花開いていただきたいと。
「素」や「玄」がベースで、そこに美しい「紅」の風が吹く。
写真はあまり関係ないのだけど、自然の中でパチパチ撮ってると、「紅」って色は無いものだなあと。やはり、特別な色なんだなあと思った次第。

一衣舎さん、楽艸さんの展示会

2013.10.26

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一衣舎さんと、お草履の楽艸さんの展示会に、浅草に行ってきました。一衣舎さんには、私の作品も出品させていただいてます。
雨模様、気温も低くて、ちょっと外に出るのを躊躇するような日でしたが、いい展示会でした。面白いものたっぷりありましたよ。ウールの帯とか!ハロウィンのバッグとか!普通じゃ飽き足りない方には、恰好の展示会だと思います。面白くて独自路線で、丈夫で着やすいお着物など探している方、ぜひお運び下さい。
一衣舎の木村さんは、布に対する愛にあふれている方なので、着物全般の相談事などもされてみるのも、いいかもです。私も、いつか欲しいと思ってる羽織のことなどお聞きしましたら、抜群の反物、教えていただきました。ああ、そうか、この布だと、こういうシルエットになるのねえ。想像してウットリです。いつの日にかゲットできるよう、がんばりましょう。
一衣舎楽艸 秋の二人展」は、明日まで、浅草のギャラリー丸美京屋にて。ぜひ!
写真は、関係ないですよ。木の肌です。こんな織物、織りたい。

机上からテイクオフ

2013.10.25

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めとさまのお着物のデザイン、まだカッチリとは決まってないのですが、もう大化けはしないところまで行きましたので、デザインの詰めと平行して、染めもはじめます。目の前に実物を出現させた方が、わくわく感も増しまして、加速化しますしね。気付きも増えます。
経糸の準備は、テクスチャーが決定していて、本数が決まれば始められます。
まずは何と言っても「紅」から。本数は、20本前後になる見込み。(総本数は1100本くらいね。) 上の写真、「紅」染めてます。
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こちらは、白。あたたかい白です。ほっこり優しい白。
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干しています。染まった糸から、デザインを考え直したり。もうしばらく、染めとデザイン、行ったり来たり。

colored wind

2013.10.23

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めとさまは風のように帰っていかれた。心地よい余韻を残して。
その晩、無事に帰り着かれたかなあと思っていると、メールが届いた。ああよかった。ご無事でした。
そのメールで、めとさまのお着物制作は、また大きく前進しました。めとさま、お着物に冠を授けてくださいました。いただいたメール、名付けの部分から少し引用させていただきます。
『「colored wind」、この着物に冠したい名前です。
色があるようで色がない、あるいは、色がないようで色がある…抽象的な言葉遊びみたいですが、そういう空気感を出したいんです。』
そっか、よっしゃ、風に色を付けましょう。「透明な風と色付き」がコンセプトだとも書いて下さってます。経糸は透明な風のイメージ。風が吹いて、「葉や花を色付かせたり、咲かせたり」。(カッコ内はめとさまのフレーズ)
メールの内容は、内定していた色を少々変更して欲しい旨に続きます。もちろんオッケー。今なら何でも変えられます。
めとさま起こした風が、私の頭をクリアにしてくれました。写真は、決まったことを早速デザインに落とし込んでプリントアウトした紙たち。まだこれから詰めますけどね。

再来のめとさま

2013.10.22

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約束の時間は正午。打ち合わせ開始の時刻にしては、ちょっと中途半端だが、めとさま関東滞在時間を最大限に使うため。めとさまは移動中に、私は早めにお昼を済ませて。さあ、準備万端。
正午ちょうど頃、ピンポンが鳴った。ドアを開けたら、ふんわりとした風。ちょっとはにかんだような笑顔。この人はやっぱり透明な風だなあ。
めとさま、着物本を数冊ご持参。その中の一冊の見返しの色こそが、めとさまの「紅」なのだった。ちなみに「紅」は「くれない」と発音する。「べに」ではなく。ってもちろん、今回のめとさまと私の間だけの話ですがね。
この色を芯のところに偲ばせて「くれないにほふ」着物を目指しましょう。
風がそよいで、いい匂いがして、ふと振り返る。そこにめとさま。どこに行くのか、ふんわり通り過ぎた。
そんなイメージね。その余韻がリフレインするような。
いろいろ話をした。顔を突き合わせて、ああでもない、こうでもない。色鉛筆やたくさんの資料。帰りの電車に乗り遅れないように時計をたまに気にしながら。
最終的に決まったのは、ぐっと経糸の色数を押さえて、それも強い色は入れないのです。ただひとつ、こっそり偲ばせる「紅」をのぞいては。緯糸は段にして、しっかりした色を入れる。
写真は私のおめざ。何を見ても、めとさま色を探してしまいます〜〜。

めとさまから柄のお返事

2013.10.20

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柄のご提案と「紅」の色見本をお送りしてから数日後、めとさまからメールをいただいた。
書かれていたのは「整理しきれず悩んでいる」などなどと。
それに続けてなんと!!!
「もしよろしければ、再度、工房にお邪魔してもよろしいでしょうか。直接対話できたら…。何より、もう一度吉田さんにお会いしたいという気持ちでおります。」
とのお言葉が!
びっくりマークを何度もつける程のことかとお思いかもですが、何と言っても遠いのです。300km超ですよ。時間もお金もエネルギーも、たっぷり必要な距離なのです。
そっか、この前、お会いしたとき、私が聞き逃したことがあるんだな。もしかしたら、聞けたのに柄に落とし込みきれなかったか。うーむ。色の把握が違ったのか、、、
が、「紅」色については、「ばっちりつかんでいる」と書いて下さってる。
「ただし、着物に入れるべき紅かというと、迷いが生じてしまって。少し主張が強すぎるかと悩んでしまい、これもご相談事項の一つです。お話しする中で見えて来るような気がして、先ほどのお願いに至った次第です。」
なるほど、なるほど。
とにかく、もう一度お会いするのは、私も望むところです。まだ霧は晴れ切ってはないのです。すこし雲の切れ間がのぞけたけど。もうちょっと風が必要だ。
本当は私の方が出向ければいいのですが、それが出来ず心苦しいです。
写真は、めとさま歓迎のための花。台所がそのまま染め場で、打ち合わせルーム(?)です。このバラの色が、めとさまが望まれる「紅」であるとふんだ。本当は和花の方がよかったけど、うちの界隈じゃ手に入らない。

田園都市線から大井町線

2013.10.19

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二子玉川で開催中の、「濱野太郎展」を拝見してきました。濱野さん独自のアートで世界ができてて本当にすごいです。
濱野さんの作品を観ていたら、Real artists ship. って言葉を思い出した。スティーブ・ジョブズの言葉とのことで、茂木健一郎さんが紹介してたけど、本当のアーティストは出荷するもんなんだと。ただ作るだけじゃなくて、外に出して、作品を手放してこそ、アートだと。それが新たな世界を切り拓くと。
濱野さんは作品をどんどん作って、どんどん出荷して、大きく外で羽ばたいててるなあと思いました。
濱野太郎展」は、10月20日まで。二子玉の kohoro にて。
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その後、デパ地下でお買い物。二子玉、さすがオシャレです。都会〜。
スパークリングワインと、食べるものいろいろと、ケーキを買って、いざ、祖母のうちへ。おばあちゃん、数えで白寿!すごいねーー。ワインは、岐阜から出てきた叔母と私が飲むんだけどね。
祖母や叔母ふたりといろいろ話す。死んでしまった人たちのことなど。親戚付き合いと言うのは、死者の思い出話をする場かも。いいと思う。彼らが生きた証だもんね。せっせと話そう。
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写真は祖母のうちの猫。まっちゃん。17歳。こちらも長寿。おばあちゃんもまっちゃんも、ひところより、ぐっと痩せました。一緒に東京オリンピック見ようねって言うのが、合い言葉。オリンピックが決まったこと、良いのか良くないのか分からないけど、「オリンピック一緒に見ようね」と言い合えるのはいいなと思った。

そして紅

2013.10.18

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「紅」に向き合った上で、もう一度、パソコンに向かいます。とにかく一度めとさまに見ていただく段階まで持っていこう。
私が思うところの、めとさまの「紅」。これに心を砕く。何枚も何枚もプリントアウトして、微調整して、自分的にオッケーな何枚かを作ります。
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さあ、これで見ていただこうかな。プリントアウトの中から選抜した4枚と、それでも紅の色が心配ですから、色見本を何枚かつけて、大きい封筒に入れて、投函したのでした。
行ってらっしゃい!さあ、どんなお返事がくるでしょう!

紅にほふ

2013.10.17

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さあ、ミッションに大きなキーワードが投入されました。「紅」です。
「紅」と言っても、そんじょそこらの紅じゃありません。めとさまが望まれる「紅」です。
いただいたメールに、『赤ではない「紅色」がとても好きなんです。』と書かれている。
そっか。
しかし、「紅」とは、何色か?
染めをしている身から言うと、いわゆる紅花染の色。これはショッキングピンクだから、ちょっとめとさまとは違うな。または「中紅」っていうピンク寄りの赤紫を思い浮かべる。しかし、これも違うんじゃないかな。もっと深い色を望まれているのではないか?
めとさまが、メールのタイトルに、「紅にほふ」とつけられていたので、その言葉で画像検索。そうしたら、鮮やかなピンク!桃の花がいっぱい。ってこれは、「春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女」という歌から。でも違う。めとさまの色は、もっとこっくりした色なんだ。
その後のメールのやり取りで、めとさまから教えてもらったのだけど、(めとさまはとても博識なお方です)、「にほふ」の「に」は「丹(に)」から来ていて、元々は赤系統の色を表す言葉だったと。だから、「色が」匂い立つ、という意味で使う時には、紅(赤)や紫色の上にしか冠せられることはないとのこと。
今でもイメージ的に、「匂う青」とか「匂う緑」とかは言わない。(へぇ!そう言われりゃそうだ!←ヨシダ心の声)
色の名前がこんなにも細分化されたのは比較的新しいことで、「春の苑」のように、濃くても薄くても、「紅」という表現しかなかったのでしょうとのこと。(へぇ!へぇ!へぇ!←ヨシダ心の声)
そしてめとさま、「私が想定している色は、吉田さんのおっしゃる通り、こっくりとした紅です。」と書かれてる。めとさまだけの「紅」があるってことだね。
『「匂い立つ」という言葉が似合う、深みのある色が好きです。「にほふ」に込められた余韻のようなものを纏う着物になれば…、それにふさわしい人間になれればと…という願いです。』

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