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くりさまの羽尺、メインの緯糸が染まりましたので、混ぜ込む糸を決定していきます。緑みを感じさせるよう、隠し味を仕込むのです。糸の種類や太い細いもいろいろ。8〜9割くらいは、真綿紬の細目だけど、あとのちょっとで遊ぶのです。表情豊かで、着心地のいい、飽きない羽織になりますよう。
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糊がついてない分にはつけます。糊、つくらなきゃ。
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さあ、最終の小管巻き。実作業はmiwaさんがしてくれてます。
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さあ、羽織の緯糸が染まりましたので、早速、試し織りをば。ふむ、ふむ。写真の下っ側が着物、上っ側が羽織です。ふむ、ふむ。くりさまに画像をお送りしたら、お気に召していただけた感触。じゃあ決定しよっか、、、と思って、一晩おいて再度検討。
朝は色がクリアに見える。
うぅ、、、いやっ、ダメだっ。ダメダメ。もっと、着物と羽織の違い、出すなら出さなきゃ。今の状態だと中途半端。くりさまのご主人様、もうちょっとメリハリつけた方がお似合いになる。
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で、くりさまに、もうちょっとだけ濃くしたい旨お伝えし、緯糸に使う予定の中から、一部の糸を染め重ねます。染めて、媒染して、また染めて、洗って、糊付けて、乾かして、巻いて、さあ、再度の試し織り。
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ほら、こんな感じ。いいんじゃない。ほどよい色の差。織ってるのが羽尺。上に乗せてるのが着尺。これで行きましょう!
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ロッグウッドも染料になりましたので、早速、クリ、スオウ、ヤシャブシ、と染め重ねて行きます。媒染は、鉄です。染めと媒染を重ねるごとに、真っ黒に近づいて行きます。
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鉄媒染は、鉄の成分が残ると、あとあと厄介なことになりかねないので、しっかり洗い流します。それに二層式の洗濯機の洗濯槽を使ってます。洗濯機として使うんじゃないよ。でかい洗い桶として使います。手でしつこく振り洗い。流水で、何度も水を換えて。最後は一晩、水にいれっぱなしにして、水をちょろちょろ出しっぱなしにします。完全に鉄を洗い流します。
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さあ、この写真の中央の糸が今回染めた糸。いい黒でしょ。左は栗染め。着尺の緯糸の予定。右の緑みをもった糸は色味を加えるための糸。
色が決まれば、もう一度計算をいれて、糊をつけます。
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くりさまとやっと羽織の話しを進めさせていただきました。同じ経糸で、緯糸を変えて、羽織の方を濃くすることになりました。
くりさまが、「こんな感じは?」と提示された着物と羽織りが組み合わされてる画像は、着物は草木染めの手織りで、合わせてあった羽織はひと目で分かる化学染料。茶色っぽいお着物に、黒の羽織です。
ふむ。経が栗染めだから、ここまでパキッとはならないけど、やってみてもいいですよ、酸性染料で、限界まで強く染めてみましょうか?
と、申し上げますと、くりさま、今回は草木染めにこだわりたいとのこと。
了解っす!では、草木の力で、深くて黒い濃い色をやってみましょう。
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それでは早速、染めにかかろう。せっかくだから、栗も使おう。あと、スオウとヤシャブシ、ロッグウッド。ロッグウッド、煮出さなきゃ。
写真は2枚とも、ロッグウッドのチップをタンクに入れたところ。これから煮出すよ。
ロッグウッドって、明治の頃から輸入され、使われている、中米原産の優秀な染料。黒にしっかり染めたいときは欠かせない。
英語では、Log wood と書きますが、log って何? 丸太って意味もあるけど、書き付けとか、日誌って意味もあるよね?ブログのログだもんね?日々記録を残すように、日々、淡々と染めましょうか?って、やっぱ、丸太になりやすい木ってことだろうか?
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そして、57羽の筬が再度送られてき(今度のは完璧!)、筬通しをして、試し織り3回目。湯通し、スチームアイロン。ふむ、これでいいかも。56羽でなくて、かえってよかった。
そんなある日、くりさまが、お友達と一緒に、我が家にお越しくださいました。ドーナツのバーレル持って!(その後食べ過ぎた)
3枚の試し織りを観ていただく。栗染めの糸が織機に掛かっている風景ももちろん。
経糸の感じ、気に入っていただけたようだ。ほんのちょっとだけ、柿色を差したのもよかったかな。(柿染ではないけどね)
ちなみに試し織りで使った緯糸は、経糸と同じで、栗染めがほとんど。基本の色です。ここからどう振るか?
くりさま、試し織りの色、お気に召していただけて、着物の完成の色は、栗染めメインとなった。実物を観ていただけたのが何よりよかった。モニター越しでは分からないこと多いし、言葉足らずで説明できないことも多いから。
さあ、それから、、、、、
今まで経糸を経て、機を動かすところに持ってくるので精一杯で、羽織の話しを、ちっともして来なかったのを反省。いっぱいいっぱい過ぎました。
男性が着物をお召しになるときは、やはり羽織は無いと落ち着かないと思います。お対でなくても構わないのだけど。お対もすてきです。
羽織の話しに移ります。
写真は、3枚の試し織り。同じじゃんって言わないでね。すっごく違うのです〜。
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さあ、機に上がりましたので、さっそく試し織りです。
まずは、筬目を確定させなければなりません。予定では55羽(一寸間に110本の糸の密度)ですが、節が多い糸を使ってることもあり、53羽(一寸間に106本)で通してみます。
ゆるめ目からやってみたいのは、以前座繰り糸を地機で織ってる尊敬している方が、「糸の良さを見せたいから、筬目はゆるくする」っておっしゃっていたのが心に残っているからです。考え方は織り手それぞれです。
で、53で通して、4寸くらい織ってみます。いったん切って、お湯通し。糊を落として、乾かしてアイロン掛けて、様子を見ます。うむー。布としては最高に気持ちいいけど、今回はもちょっと丈夫さを求めたい。
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で、55羽に入れ替えます。また織ってみて、切って、湯通し、スチームアイロン。
うーーん、もうちょっとだなあ。56羽か?もっとか?と筬を出してみるも、手持ちの56羽の筬は、私が着物を織りはじめた時に一等最初に買った筬で、昔の幅なのです。女性ものの着尺は織れるが、男性の体格がいい方の着物を織るには、ホンのちょっとだけ、足りないのです。今回でいうと、10本くらい入りきらない、、、広い筬を買い直すか、、、
どうせ買うならと、持ってなかった57羽を新調することにしました。ほどなくやって来た57羽の筬。包みを開けた瞬間、ん?この筬、ちょっとゆがんでる?!!!筬の羽は真っ直ぐでなきゃ糸が最悪切れちゃうのですが、ほんの1mmくらい、ゆがんでる。うーーーんんんん、織って織れないことはないが、ここは申し出させてもらおう。納得しなくちゃ織れないもんね。
で、製造元に電話して、返送してみてもらったら、すぐに作り替えてくれることに。
はー、織りは、織り出すまでが、山あり谷あり〜
上の写真は、天野志穂実さん撮影。織機風景。
下の写真は、私撮影。2回目の筬通しをしてくれているmiwaさん。
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今回のくりさまのお着物、テクスチャーは、結城紬みたいな感じをお望みでしたので、経糸にも、真綿紬糸を中心にほっこりした糸をラインナップしました。で、使いたい糸を吟味して、どんどん準備していきましたが、同時に、こりゃ織り難いぞって思いはチラリと頭をよぎってました。
織り難いってのは、この場合、毛羽立つ、撚りが甘い、節が多いなどのことです。織りづらいけど、柔らかくしなやかな、いい味がある布になります。
私は織り難くても、織りたい糸で織る、無難に流れない、無謀にだって果敢に挑戦したいのです。
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しかしまあ、今回はちょっとやり過ぎたかなあって思っていたある日、織り友達が我が家を訪ねてくれました。結城紬を織ってる人です。で、いろいろと盛り上がったのですが、ふと、糊付けの話題が出ました。で、彼女が結城で使ってる糊を教えてくれました。
早速取り寄せてみましたら、白い粉が届きました。この糊、知ってる!
ずっと以前、染織家の大先輩のお手伝いをさせてもらったとき、「機の上で付ける糊だ」って少し使わせてもらったのです。しかし、その方も織り仲間から譲られたとのことで、商品名とか入手先は不明だったのです。
染織家の間を行き来する白い粉!
神を見た思いがしました。救われた!
綱渡りもいい加減にしないとって思いますが、なんだかんだと助けてもらい、織りを続けています。本当にどうもありがとうございます。
しかし、さすがだなあ〜。研究され尽くされている感があります。
今回は、くりさまご一家に結城に連れていってもらったことと言い、ご縁があります。ビバ!結城!!
写真は、天野志穂実さん撮影。まだ引糊する前。ほら、織りにくそう。
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くりさまの経糸、巻き取れましたので、よっこいしょと機に掛けます。ずっしり重いロールを整経機から外して、運んで、機の後ろにセットして、上に上げて前に持ってきます。綾を紐から棒に変えます。写真に写ってる白い棒が綾棒です。
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それから、綜絖通しと筬通し。このときやっと、どんな経糸のならびになったのか、目の前に現れます。計画と現実に乖離があるかどうか。
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いやはや、、、いろいろ省みつつ、、、、。
写真は天野志穂実さん撮影。
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先日、上野に、バルテュス展を観に行ってきた。バルテュスは、どうしても惹きつけられてしまう画家のひとり。会期後半は混むと思って、連休の合間の平日に行ってきました。
見終わって、ああ、この人は絵描きそのものだなあと思った。絵描きという職業じゃなくて、絵描きそのもの。全人生、全人格で絵描きなんだなあ。
ま、個人的には、有名な少女の絵より、少年時代のバルテュスが、飼い猫のミツの物語を描いた連載挿絵がストレートに心を打つなあ、などとも思った。
バルテュス、はじめから最後まで(幼少期から死ぬまで)、上手い。さすが。
で、数日後のさっき、アーリュブリュット(インサイダーアート/知的障がいがある人がつくるアートをさすことも多い)を取り上げたNHKの番組をネットで観たのだけど、あー、なんだか、ちょっとだけバルテュスに似てるぞーって思った。全身全霊でアートに向かってるところが。
バルテュスは、特にそのデビューの頃とか、すごく戦略的だし、確信犯的な絵だし、無垢のアートのアールブリュットとは、真反対のような感じだけど、作品から発するものは、なんだか似てたよ。ベクトルの向け先がはっきりしてて、そこに向かって、進んで進んで進んで、やり切るってところが。
すごいー。とにかくやり切らないことには、話しが始まらんな。
バルテュス展は、上野の東京都立美術館にて、6月22日まで。その後、京都に巡回とのこと。
NHKの番組は、news web。今なら、ここの真ん中辺に動画があります。
写真は、整経後の糸をはずして、静寂に戻った、私の整経機。天野志穂実さん撮影。
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整経が終わったら、今度は、千切り(チキリ)(またはオマキともいいますね)に巻きます。渾身の力を込めて、気合いを入れて、えいやっと巻きます。
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はさんでいってるのは、機草(はたくさ)と呼ばれる紙です。がちっと巻くのに必要です。糸が食い込まないようにもするし、ただの紙だけど、なくてはならないすごいヤツなんです。
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この写真の方が分かりやすいですね。
昨日の拙ブログを見た、くりさまからメールいただく。昨日の一番したの写真、萌え萌えだったそうです。やったー!テクスチャー好き、織り好きには、たまらんいい感じになってると思ってる。