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昨日は夕方ひと段落ついてから、上野に行きました。上野駅のギャラリーで、「10年かけて旅をする〈半農半芸〉」という展示をやってて、そこに出ている佐藤香さんというアーティストの作品がとてもいいと聞いたから。
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佐藤香さんのことも、上野駅のアートスペースのこともちっとも知りませんでしたが、懇意にしてもらってるアーティストの方が、フェイスブックで押しておられました。とてもよかったと。伝わってくるもの、ピンとくるものあり、出掛けました。それに、最終日だわ。
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上野について、駅の正面玄関の2階を探します。アトレのレストランにはさまれたスペース。ああーここだー!
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麻布に、各色の泥で描いた、大きな、ド迫力の作品5点。うーん、すごい。吸い込まれそうだ。私、大好きだー。来てよかったわーん。
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無限を感じるよね。作家の集中力がそうさせるのか。才能と実行力と集中力かな。すごいもんだ。
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写真に写り込んでる蒼い色は、ガラスに映った夕闇です。これが、またよいわ。
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上野ステーション。多くの人が行き交うが、ここにあるアートがあるの、ほとんどの人が気付かず。
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ああ、でもそういうものかもしれない。ラスコー壁画だって、高松塚古墳だって、ずーっとただそこにあったのだ。発見される前、その前を幾多の人が行き交ったかもしれない。
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みるさまの帯、デザイン画を元に、2回目の、試しブラッシングと試し織り。染料の調合の割合も意識して。重ね染めの回数を変えたり。染料を変えたり。薄め液の割合を変えたり。どうかな?渋いのはどう?深さは必要??
緯糸も新たに染める。緯糸は、和紙の糸は入れず、キビソのみとなった。精練したキビソ糸を、グリーン2色に染め分け。薄いグリーンと濃いグリーン。地は薄いグリーンをさらに乳白色をまぜた色とのことだった。
筋に入れる糸もキビソがいいか?それとも、細目の生糸で光らせるか?今は両方入れてみよう。太めのキビソも印象的な強いイエローグリーンに染めてみよう。変更の可能性はもちろんあるがとにかく探るのだ。
試しをしながら自分がガチガチ硬くなりがちなのに気付く。これ、要注意。みるさまは、元気がある生命感にあふれる帯を望んでおられる。私が深呼吸しなくちゃね。同時に直地点を探ること。自由な部分と、詰める部分と、両方あわせ持つのが2回目の試しです。
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みるさまの only only、1回目のミーティングを受けて、デザインを詰めて行きます。まずはラフスケッチをイラストレーターに写してみます。こんな感じか?ちょっと配置を動かしてみようか?柄の大きさは???
まあこんなもんかなと思えたら、縮小のままプリントアウトしてみます。うーん、いまいち。ここは入れ替えようかな。こっちはもっと大きくだ。
そんな感じで何回かプリントアウトして、まずまずと思えたら、今度は実物大でプリントしてみます。
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実物大で出したら、それを帯の形にして、鏡の前で体にあててみる。私の体だけど、みるさまのお姿をしっかり想像して。そうするとすぐ分かるのです。あ、ここ違うね。バランス悪いよ。ここんところはうるさいな。
それを何回も繰り返す。よっしゃーと思えるまで。
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昨日のことですが、八王子の奥田染工場で月一回開催されてる「奥田塾」に初参加してきました。奥田塾の存在は、ずーっと前から知っていて、いつか参加したいなと思いながら、やっとやっとはじめての参加をお願いしました。ドキドキです。
「ソメオリヨシダ」と名乗っている私ですが、実は「ソメ」の部分、そうとう弱いです。個人の織り手の中では、「ソメ」に特化しているつもりです。しかし、染めのこと、どこまで分かっているのか、根っこの部分がヤワヤワなのを実感していました。
「ソメ」は分かってないって書くと、いかにも「オリ」は分かっていそうですが、そんなことはありません。しかし自分で選んでそうしてるって感じあるのです。「この部分は、手を付けないでおこう。そのかわり、こっちはどこまでも踏み込んで行こう」とか。
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朝8時半、八王子駅に着きました。八王子というのは、繊維で栄えた町ですが、いままで縁はなく。。。唯一、大昔に中退した大学が隣りの隣りの駅だったので、なんとなくなつかしい感じはします。しかし知らない町です。
バスに乗って、たどり着いた奥田染工場は、、、、、度肝ぬかれました。宮崎駿の劇画に出てきそう。いろいろ無尽蔵に湧き出てくる感じ。なんか、豪快なの。これに比べると、手織りの現場はおとなしいなあ。
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昨日は、酸性染料のプリントという課題でした。私は、自分で織った帯を持って行きました。納得いく出来にならず、お蔵入りにしている布、けっこうありますのよ、はずかしながら。これが息を吹き返せば。
導かれながら、夢中で作業しました。引き込まれます。新しい経験は細胞を活性化させるね。自分がよろこんでいるのが分かった。ものを生み出すのは、本当に面白い。
奥田染工場、さすがプロと思ったのは、私が染めた布、白場がほんの少々汚染したのですが、それを取ってくれたのです。熱湯で煮るのですよ。知らなかった。
寒い一日で、凍えましたが、心にポッと火がつきました。「染めとは何ぞや」に一歩近づけたか?
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その日、暖かい日だったと記憶しているけど、みるさま、我が家にお越しくださいました。それもこの帯を合わせるご予定のお着物で。うれしいなあ。
お会いするの2回目で、じっくりお話するのははじめてですが、すぐに打ち解けることができました。みるさまは思った通り、明るくまっすぐな方でした。いろいろ大変なことを乗り越えて、今ちょっとホッとしておられるの、よく分かりました。人生をみるさまなりに、謳歌してらっしゃててすてきです。
早速、試し織りをみていただきました。まずまずいけてるようです。ひとつひとつの色と柄を、説明と検証していきます。「ここはもう少し黄色みがあっても。」とみるさま。すぱすぱと好みを伝えてくださるので、私も飲みこいやすいです。
「だいたいこんな感じですね」と、帯のタイコ部分、前柄部分、全体像をシャシャっと色鉛筆で描いてみます。稚拙だけど可視化するとつかめるよね。
軽いこと、元気がいいこと。これ大事。緯糸は和紙の糸は使わず、きびそのみで行く。
地の色はごくごく薄いグリーンで、タレは深いグリーン。手先は薄いグリーン。
私は、つい「手先もタレと同じで、濃いグリーンでもいいのでは?その方がまとまりがいいかも、、」などと申し上げましたけど、みるさま、「この帯、白大島にも合わせるつもりだから薄い方がいい」のだとおっしゃいました。
ギクッとしました。帯だけ見てちゃダメなんだ。みるさま、いっとうはじめに、この帯に合わせるつもりのお着物の着用写真、送ってくださったじゃないか。ちゃんと頭に入れ直せ。
この帯を締めてくださるご本人が目の前にいらして、合わせる着物をお召しになっている。そのありがたさ。それも我が家でだもんなあ。作り手として、これ以上は望めないってくらい恵まれてます。これで、いいもの作らなかったらバチが当たるってもんです。がんばります!
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みるさまの帯、素材は集まってきた。何をすべきか、見えてきたぞ。あとはどう組み立てるかだ?
色鉛筆やパソコン使ってデザインをするの、もどかしい感じがしました。まず染料と糸を使いたい。詰めるのはあとだ。
では最初に染料の調合。いただいているカラーチップの色を出来るだけ再現してみる。緑も幅が広いなあ。濃淡つくりたいな。どこにフォーカスを持って行こうか。
しかしまあ、深く考えず、とにかく色をおいてみよう。試しのブラッシングカラーをして、織ってみる。糸は、キビソも使うし、和紙の糸も使ってみようか。筋に入れる緯糸も数種類やってみる。ふむー。どうでしょうね。
試しであっても、蒸しも湯通しも、ちゃんとやります。アイロン掛けて、本番とほぼ同じ出来上がり具合にします。
さあ、できたぞ。んー、どうかなあ?もちろんまだまだなんだけど、この段階で、みるさまに見ていただきたいな。それで、ご意見やご希望を伺うのが一番かもしれない。これは着火材みたいなものだから、二人でハートとエンジンに火をつけよう。
そこで、みるさまにメールを出した。「もしよかったら、我が家にお越しになりませんか?または私がお近くまで出掛けてもいいですよ。」
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みるさまのお手紙にあった印象的な言葉、「グリーンは私の命の色なのです」。
ずんと伝わる一言です。そっか、命が繁るイメージね。イメージというか、命そのもの。で、「緑」でなく、「グリーン」ね。
みるさまに、お礼メールをしたら、返事を下さいました。その中に、またまたとても心に届く一文がありました。
「帯の質感や色合いは、着物を物理的に固定するだけでなく、体の深いところまで、しっかり届きますものね。きっと私の体と心を穏やかに守り、生を全うするまでのパートナーになってくれることでしょう。」
うーん、全ての作り手が、心すべきお言葉です。
実はこのころ、私は悩んでました。みるさまに、帯のonly only のお話をいただいたとき、取りかかるのは再来年(去年の話しなので、再来年というのは2017年のことです)になりますと申し上げてました。ご注文順に作っていくとすると、だいたい2017のはじめだろうと踏んでました。
が、その後、ご注文いただいている方のうち、お申し出順で、1番と2番の方が、いろんな事情で数ヶ月の延期となりました。それで、3番以降の方のに取り組もうと思ったのですが、織機の関係で段取りが難しくなるのよね、、、
うーん。帯を先に織った方が、効率的だぞ。この時点で、帯のご注文は、、、、みるさまだ。
それで、スケジュールの組み直し。みるさまに、思ったよりずっと早く取り組めるけど、、、とメールさし上げると、大変よろこんでくださいました。
*写真はうちの近所。散歩の途中。今日じゃないよ。天気のいい日。富士山がよく見えます。
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ほどなくしてみるさまから、大きな封筒が届きました。中に、色見本のカラーチップを貼ったものと、たいへん丁寧な達筆のお手紙が入ってました。色見本は、プロの方が仕事で使うDICのものです。わあ、すごいなあ。
色は、厳選されたことが、伝わってきます。カラーチップのセットに入ってなかった色は、他の何かから見つけてくださったのでしょう、一部、カラーチップ以外の色紙も貼ってあります。色を求めて、一生懸命探してくださったのだろうな。ありがたいなあ。このお心を形にせねば。
お手紙には、みるさまが、どうして緑色の帯を欲しいと思うに至ったかということを、率直に書き連ねて下さってます。それもとても伝わってくるものでした。文章も文字も、丁寧で真摯なのです。そっか、帯も、それを指針にしよう。わかったぞ。
*封緘に貼って下さったシールは、レースを編む女かな。フェルメール大好き。うれしいなあ。
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個展が終わって、通常の仕事に戻ってしばらくたった頃、みるさまのお顔が浮かびました。あの時、ほぼ立ち話のような感じだったこと、気にしていました。
グリーンとライム色がお好きで、八寸帯が欲しいってことはしっかり把握しましたが、もう少し理解したい。そうすれば、段取りも組めるし、頭の中でシュミレーションもできるってもんです。取りかかるのは再来年と言ったけど、徐々に添って行きたい。
そこで、メールをさし上げました。
「みるさまの中で、どんな帯がいいかってことは、どのくらいまで固まってますか?」「ファジーなところはあってもちろんですが、ここは譲れないってポイントもお有りですよね?」
そういたしましたら、すぐに丁寧なお返事を下さいました。
欲しい帯のイメージは、私のサイトの作品集にある「チャーミングボックス」が一番近いとのこと。(ここをずーっと下にスクロールしていただいて、「帯」のところの一番上の左にあります。)この帯の地色を薄いグリーンにして、黄色などのパンチの効いた色は小さな面積にしたいと。
みるさま、合わせるつもりの数枚のお着物がお有りで、着姿のお写真を添付してくださいました。なるほど、なるほど。織りのお着物に合わせるおつもりですね。白大島、墨藍の大島、紬、、、などなど。これは大変参考になります。
それから、みるさまは、色のニュアンスをお伝えくださるのに、カラーチップをご用意くださるそうです。
それはありがたい。ぜひぜひお願いします、とお返事を出しました。
*写真はうちの近所。散歩の途中。
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次なるonly only のヒロインは「みるさま」です。みるさまと作るのは、生き生きとした生命力あふれるグリーンの八寸帯。さあ、メイキングストーリーのはじまり、はじまり〜
みるさまとの出会いは、去年の秋の私の個展、「三角・吉田」の会場でした。会期、中日くらいだったでしょうか?午後の少々遅い時間、夕方になりかけって感じの時間帯でしたでしょうか?みるさまは、さっそうとイトノサキさんのドアを開けて、入って来られました。ふーっと風が吹いたような感じでした。
初対面だったけど、みるさまは、なんというか、バリアのない方。明るく、クリアでまっすぐな印象の方です。それで、私も構えることなく、すーっとお話に入って行くことが出来ました。
お話しすると、みるさま、素敵なきもの友だちがいらっしゃいました。私もよく知ってる方です。
この日は洋装でしたが、みるさま、お着物がお好きで、帯のonly only をお考えくださってるとのこと。緑色の軽い八寸帯が欲しいとのこと。どんな帯にするか、すでに頭にお有りのようでした。ああ、それだったら、すぐにでもお受けしたい。うずうず。
が、しかし。
その時点で承ってるonly only を全て終えた後だとすると、「大変ありがたくお受けしますが、取りかかるのは再来年になります」とお答えするしかなかったのでした。
*写真は散歩の途中。みるさま、こういう清々しいイメージの方です。みるさまのご自宅は隣りの市。大きな市だけど、それほど遠くないはず。みるさまのお近くもこんな風景かな?