吉田美保子の some ori ノート

114通目のメルマガ【さえさまスタート号】

2023.06.08

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*上の写真は、阿蘇市フリー画像よりお借りしました。

 

 

 

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こんにちは。

天候不順で空を見上げる日が続きますが、お住まいのあたりはいかがですか?

台風も発生しているようだし、関東もきっと今日あたり梅雨入りかなと思います。

このところ、突然にびっくりするような気象があらわれ、呆気にとられることが多いですね。

荒ぶる自然に人はなすすべもなく、、、、

十分に備えて、かつ地球に対して謙虚に丁寧にいきたいものですね。

《 目次 》

1.   さえさまスタート

2.   苅安色とススキ野原

3.   さつまいもとプロテイン

4.   着姿ギャラリー

1.   さえさまスタート

完全注文制作ONLY ONLYが新しくスタートしております。今回のヒロインは「さえさま」。

熊本にゆかりがある方で、山鹿の蚕で、着物と帯を作りたいというご希望です。

繭や糸づくりからのこだわった究極の着物と帯の制作工程、ぜひブログでご覧ください。

ただいま2話目まで進んでおります。

https://www.someoriyoshida.com/category/only-only-注文制作/さえさま

2.   ススキ野原と苅安色

さえさまが注文くださって初めに話し合いをしたときに、作りたい着物のイメージは「阿蘇のススキ野原」とのことでした。

それに加え、「ツルツルピカピカではなく少々ざっくりめで、遠目には無地に見えるけど、実は色がたくさん入っている着物」がご希望。

なかなか難しいご注文です。

突破口は、ゆき和さんのカラー診断で「苅安(カリヤス)色」が選ばれたこと。苅安とはススキにそっくりな植物で、色は薄い緑みのある黄色。清々しい阿蘇のススキ野原がくっきり頭に浮かびました。

そうか、素直に阿蘇のススキ野原を織ればいいのか。

たくさんの色がかくれている苅安色の着物を、さえさまとともに、楽しく探求したいと思います。

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3.   さつまいもとプロテイン

私も健康を気遣うお年頃になってまいりました。

最近教えてもらって、さつまいもとプロテインを摂るようになりました。

さつまいもは、カリウムが豊富で、むくみ防止や血圧低下に役立つそうです。皮もたべるとアントシアニンが摂れてベターとのこと。4℃以下に冷やして食べると、でんぷんがレジスタントスターチに変わり、整腸作用の効果を高めてくれてモアベターとのこと。

プロテイン摂取は、私はこれまで、一度も気にかけたことすらなかったのですが、もはや常識となりつつあるようですね。筋肉のみならず、髪や爪にもいいようです。

新習慣を始めると、新しい扉が開いたような気になりますね。

4.   着姿ギャラリー

サイトの着姿ギャラリーに新たに二枚、写真を加えました。

一枚は、帯と、別注いただいた帯揚げ、お襦袢袖を、アートの街ニューヨークで初おろしして下さったお写真。

そしてもう一枚は、お襦袢地一反を染めさせていただいたお客様からの、袂からチラリと覗くお姿です。全身を肌に近く包み守るお襦袢ですから、任せていただきうれしいです。

お二方とも、とても素敵です。以下のリンク、ぜひご覧くださいね。

https://www.someoriyoshida.com/style


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きものと帯の注文制作

染織吉田 吉田美保子

メルマガ

さえさま物語2

2023.06.01

 

さえさま物語の2話目です。

さえさまのご希望は、熊本の山鹿で育った蚕で、着物と帯を作ること。布の風合いは、ツルツルピカピカではなくて、ざっくりとした手触りがあること。

繭のことは、さえさまからお話もらってすぐに養蚕農家の花井雅美さんにお願いして、2022年の春蚕を特別にキープしてもらってました。

同時に、糸づくりについては、長野県岡谷市の宮坂製糸の社長、高橋耕一さんに電話して、相談に乗ってもらいました。

そしていよいよ製糸していただく日に、花井さんと二人で糸くりの様子を、宮坂製糸さんに見せていただきに出かけました。

織物は糸で決まります。糸は繭で決まります。

花井さんの愛情たっぷりで育った山鹿の繭を、さえさまのご希望にそうように、高橋さんの指示で、糸のひき方を変えて着物用に2種類、帯用に1種類にしてもらいました。

10kgの繭は乾燥させて約4.7kgになり、その繭を製糸すると約2kgになり、撚糸をへて、精練というタンパク質を取り除く作業をすると1.6kgくらいになります。

10kgってたくさんのような感じがしますが、着物と帯になる部分はたった1.6kgなのです。一層大事に余すところなく織らねばと思いました。

宮坂製糸所

お蚕ファーム

 

さえさま物語1

2023.05.15

 

新しいONLY ONLYをはじめます。今回のヒロインは「さえさま」です。

「いつか、着物と帯を、山鹿の蚕で、ヨシダに織ってもらうのが夢」とずっとおっしゃっていただいてました。

さえさまと私は古い友人で、一昨年、私が熊本の山鹿の蚕で着物を作った時、いつか自分もと思われたのです。

それが満を持して、いよいよ動き出しました。今回のストーリーは、その夢を実現させるまでの物語です。

まずはじっくりお話を聞きます。ちょうど一年位前、水天宮のホテルのラウンジでお会いしました。

さえさま、夢に描くイメージは、ふるさとの阿蘇に広がるススキ野原とおっしゃいます。同郷ですからよく分かります。あの清々しさ、雄大な大地に吹き渡るそよ風。

が、、、ふむ〜、ススキ野原、、、着物のイメージとしては大変難しいです。つかみどころが無さすぎる、、、この日はお話を聞くだけでお開きとなりました。

その後さえさま、ご自分でネット検索されて、カラー診断を申し込まれました。人伝の紹介などではなく直感的に。行動力に感服です。

当日は私もお付き合いすることに。

お願いしたのは、ゆき和さん。
こんな言い方は適切ではないと思いますが、これが大当たり。色のこと、着物のこと、着方や素材のことまで熟知していらっしゃって、惜しげもなく湧き出るように伝えてくださいます。知っているからこその自由さや、臨機応変さがあります。
我々との相性もバッチリで、和気藹々と濃密な時間を過ごし、すっかり仲間になりました。

ゆき和さんによる、最終的な診断結果は「苅安色」。

か、か、苅安!!苅安はススキの仲間、見かけはススキそっくりです。ここで、阿蘇のススキ野原と繋がるとは心底驚きました!

さえさまとゆき和さんと私、ススキの野原の大草原を三人で冒険するように、物語を紡いで行くことになるのです。

ゆき和さんのサイト

ゆき和さんが書いてくれたこの日のこと 

113通目のメルマガ【染織吉田20周年号】

2023.05.03

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*上の写真は、いただきもののわらび。春が飛び込んできた。

 

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おはようございます。

清々しい5月の風が吹いています。ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか?関東はまさに五月晴れといった天気ですが、あなた様のお住まいのあたりはいかがですか?

先日、染織吉田は、20周年を迎えることができました。

これもひとえに支えてくださっている皆様のおかげです。本当にどうもありがとうございます。

これからも、変化しつつも織り続け、30周年を充実した気持ちで迎えられるよう、コツコツやっていきますので、どうか今後ともよろしくお付き合いのほどお願いいたします。

 

《 目次 》

 

1.   20周年

2.   さとさまお手元に

3.   周年記念は特になし

4.   chatGPT

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1.   20年前

2003年5月1日が、染織吉田の設立の日です。

20年前のこの日のことを昨日のように覚えています。

その前の年の夏の終わりに勤めを辞めて、満を持して、開業届けを当時住んでいた板橋区の税務署へ、自転車をこいで持っていきました。

連休の間の平日でちょっと世の中がのんびりムードの労働者の日、そしてこの日は父の誕生日でもあります。父は66から86へ。私は35から55へなりました。

とにかくスタートさせて、行き詰まったら出直そうくらいのノリでの開業でしたが、曲がりなりにも続けてこれています。

世の中も変わりました。

変化できるものが生き残るとは、ダーウィンの言葉だそうですが、織り続けるためにも変化が必要と思っています。根っこは大事に、あとは柔軟に変わり続けながらコツコツやっていきたいものです。

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2.   さとさまお手元に

ONLYONLYで制作したさとさまの帯ですが、とうとうお手元に届きました!

送ってくださったお写真も載せてブログに「さとさま物語9」書きました。

そこにもちょっと書きましたが、お写真に写っているさとさまが、昨年お会いした時より一段登られたような、清々しくさっぱりした表情でしたのが、印象的でした。

50歳の記念に帯を発注くださったのですが、「どんな帯にするか」を私と二人三脚で考えているうちに、ご自分を深く見つめ直されたのかもしれません。

かくいう私も、さとさまに100%フォーカスした帯を作り出すことで、自分も鍛えられたように思います。ウィンウィンの関係が築けたとしたら、本当に嬉しいです。ブログ、ぜひご覧くださいませ。

https://www.someoriyoshida.com/category/only-only-注文制作/sato

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3.   記念事業は特になし

20周年の記念に何かすべきかと、、、、実はずーっと考えていたのですが、決断には至らず。

(10周年の時は、それを機に、ホームページを開設しました。)

淡々と仕事に向き合いたいと思います。

次のONLY ONLYも水面下で始まっています。

しっかり向き合って、その方に喜んでいただけるモノづくりを続けていこうと思います。

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4.   chatGPT

メルマガを書くとき、誤字脱字や伝わりやすさなど、それなりに気を使っているつもりですが、配信後に後悔することがあります。

それで今回は、うわさのchatGPTに、下書きの添削を頼んでみました。

それによると「満20周年」と書いていたのを「20周年」と書き直せと!ありがとう!chatGPT !

 

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きものと帯の注文制作

染織吉田 吉田美保子

メルマガ

さとさま物語9

2023.04.30

さとさまのONLY ONLY、「50歳のハッピーセレブレーション」の八寸帯、お手元に届きました!

お写真をいただき、満ち足りた感じのお顔を拝見でき、とても安心しました。

帯とのご対面は京都のラソワさんで、師匠の吉澤暁子さんもご同席の上のハッピーな時間だったとのこと。

さとさまからは、丁寧なラインをいただきました。うれしかった!苦労も吹き飛びました。
一部抜粋でご紹介させていただきます。

ピカピカツヤツヤの可愛いこ、上品な銀河シルクの綺麗さに見惚れてしまいました。
写真や動画では、地色はもう少し白っぽく見えていましたが、薄い大人ピンク〜赤紫でとても私好みでした!

私の知らない(うちに秘めた)部分を上手く引き出していただいたのだと、とても有り難く思っています。
経斜文織り(たてしゃもんおり)の柄の出方がとても独特でより魅力的に見せてくれますね。

丁寧に仕様書を付けていただいたので、糸見本を眺めては、うっとりニヤニヤしています。

着物は手持ちのものに大体合う気がしていて、帯揚げや帯締めはどんなものが合うのか、手持ちのものではどうか…など、妄想コーデをしています。 いつ、どこに着て行ってあげようか、楽しみで仕方ありません。

仕立てに関しては、吉澤先生にもご相談しましたが、仕立て屋さんにも帯を見ていただいてから、決めることになりました。
一生モノの素敵な帯、綺麗に永く使いたいので、慎重に決めたいと思います。   

ふう、よかった。 仕立て上がって、コーディネートして、実際にお出かけして、、、 その日が私もすごく楽しみです。    

次のお誕生日で50歳になられるということで、人生の節目、ご自分を鼓舞する意味もあり注文くださいましたが、お写真の表情を見てると、もうすっかり次のステージに上がられている印象で、さすがだなあと思いました。

大切な帯を織らせていただくことで、私の方こそ鼓舞されました。 本当にどうもありがとうございました。 

112通目のメルマガ【高尾でうぐいす号】

2023.04.23

   

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*上の写真は高尾山にて。下の写真は、昨年の写真を整理していたら出てきた、ラソワさんでの個展「ボンジュール」に向けて作った限定帯あげです。

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こんにちは。

初夏を思わせる日差しの日々になったかと思えば、肌寒い日があったり。春の天気は定まりませんね。お元気でいらっしゃいますか?

私は先日、運転免許の更新に、横浜の二俣川に行ってきました。

暑い中、ふうふう言いながら上り坂を歩いて、大きな箱型の建物にたどりつき、システマチックな流れ作業に身を任せていると、新しい免許証を受け取ることが出来ました。

前回までは警察署に行っていたので、大きな免許センターに行ったのはしばらくぶりのことでした。

久しぶりに相鉄線に乗ったら、新しく線路が伸びていて、いろんなところに繋がってます。

世の中、いろいろ便利になっていくものだなあと思いました。

《 目次 》

1.   さとさまお納め

2.   作品ギャラリー

3.   高尾でうぐいす

1.   さとさまお納め

完全注文制作ONLY ONLYで取り組んできたさとさまの八寸帯、発送しました。

と言っても、まださとさまのお手元には届いてないのですけどね。

発送直前に動画を撮って、ブログをアップしました。

さとさまを寿ぐ帯、もうすぐお手元に届きます。

https://www.someoriyoshida.com/category/only-only-注文制作/sato

2.   作品ギャラリー

私のサイトに「作品ギャラリー」というページがあります。「年代別ギャラリー」と「着姿ギャラリーに」に分かれいて、ときどき更新しています。

年代別ギャラリーの方、やっと2022年をアップしました。

2022年のことを振り返りながら作業をしていて、あら、素敵な写真なのにお披露目してないじゃないってのが結構たくさんありました。

着姿ギャラリーに、新しくお写真を加えました。

ぜひご覧ください。

(作品ギャラリーのトップページ)
https://www.someoriyoshida.com/gallery_top

(年代別ギャラリーの2022年のページ)
https://www.someoriyoshida.com/gallery/2022年

(着姿ギャラリーの最新ページ)
https://www.someoriyoshida.com/style

3.   高尾でうぐいす

おととい、高尾山にハイキングに行きました。

高尾山に行ったのは、実に35年ぶりでした。私は、10代終わりの頃、高尾にあった美術大学に通っていたのです。

ふー。懐かしい。

高尾山では、うぐいすがなき、遠くに山藤が咲いていて、新緑が眩しく、いい時間を過ごしました。歩いて登りましたが、下りはリフトに乗りました。マイナスイオンを全身に浴びて、最高でした。

都心から近く、外国人旅行者にも人気で、子供からお年寄りまで気軽に登山できると評判なので、ひょいひょい登れるかと思っていたら、左にあらず。

自分の足では登っただけだったにもかかわらず、二日経った今も、けっこうな筋肉疲労の中にいます。

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きものと帯の注文制作

染織吉田 吉田美保子

メルマガ

さとさま物語8

2023.04.19

完全注文制作ONLY ONLY、さとさまの帯、蒸し、水元、湯のしから、戻ってきました。

染料が発色し、糊が落とされ、蒸気にあたって艶が出て、ますますべっぴんさんです。一度手を離れたこが可愛さ倍増で帰ってくると、愛しさが増しますね。

これでどこに出しても恥ずかしくない姿になりました。どこに出してもって、行く先はさとさまと初めから決まっているのですけどね。

「さとさまのこれからを、しっかりお守りするんだよ。長く可愛がってもらって、どこにでも連れて行ってもらいなさいね。」

そんな思いで送り出しました。

(完成画像は、さとさまのもとに届いてから、御了承を得られたら、載せたいと思います。)

 

さとさま物語7

2023.04.13

さとさまの八寸帯、織り上がりました。

ふう、走り切った。それなりに長かった。

山や谷や、見晴らしの良い草原や、街中の雑踏や、ありとあらゆるところを、さとさまと一緒に二人で走った気分です。

さて、機から下ろした帯は、早速仕上げ作業に入ります。

机に広げ、隅から隅まで、目を皿のようにして詳細にチェックしていきます。絹は自然のものだから、毛羽だったり、切れて結び目があったりするのだけど、それらを見た目につかないように、処理していきます。

この後、高温の蒸しを2回(染料を繊維に定着させる)、水元(みずもと・流水で洗って、余分な染料と糊を落とす)、湯のし(絹糸につやを出す)を専門業者さんに外注して、いよいよ完成です。

 

織り終わったことをいの一番にさとさまにお知らせすると、さとさまらしい、じんわりうれしい返事が来ました。うわー、まさに〜〜。ちょっと引用させていただきます。

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マラソン大会ではゴール後、フィニッシャータオルを肩に掛けてもらい、メダルも掛けてもらいます。
それから、スポーツドリンクやパンなどの捕食をもらい、預けた手荷物をもらいに行きます。
荷物をもらった後、更衣スペースに移動して、着替えます。
更衣スペースまで、結構な道のりでフラフラ状態で歩きます。
着替えて、ようやく応援に来てくれていた家族や仲間と再会します。
吉田さんは、今、そんな感じなのかなぁと想像したりしています。

さとさま物語6

2023.04.08

 

さとさまの八寸帯、いよいよ織りです。織りは、計画通りに、淡々と進めていきます。

繰り返し、繰り返し、同じように。

無事故で当然なのですが、、、、、なんと途中で糸が一本抜けてしまいました。20センチほどそのまま織り進んで発見しました。

見つけた瞬間、サーっと血の気が引いていきます。

ガーーーン、、、ショック。

一瞬だけ、どうしようかと思ったけど、次の瞬間、「戻ろう」と心を決めて織った糸を解いていきます。半日くらいその作業に没頭です。

戻るのは織るのより100倍くらい時間もかかるし気も使うけど、時間をかけて丁寧に作業すれば、布が糸に戻り、また織り直すことによって完全な布にすることができます。

これはさとさまの大事な帯だから、できることは全部して少しでもいいものにするのです。

 

 

さ、仕切り直しで淡々と織り進めます。

さとさま物語5

2023.04.02

ONLY ONLY、さとさまの帯、緯糸(よこいと)を準備します。

経斜文織り(たてしゃもんおり)で織りますので、実は緯糸はほとんど見えなくなります。

それでも色は命。命を吹き込む9色をしっかりと力を込めて染めるのだ。

続いて、染めた糸にごく薄く糊をつけて、乾かして、小管(こくだ)に巻きます。糸を巻いていると、万感の思いが込み上げてきます。蚕を育ててくれた人や、糸を作ってくれた人や、これを織る機会を下さったさとさまや。

そんな思いにつき動かせれながら黙々と巻きます。

さあ、これで準備万端。あとは織りです。

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